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Jade
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『ジェイド先輩は私にきのこ料理を振る舞ってくださいますが、私も実は自分でレシピを考えて料理するのが好きだったりします』
「!!そうなんですかあなたさん!それならそうと早く教えていただければ…!ではこちらへ!」
『へ?』
今日も今日とて、きのこへの愛を語られながら、私はモストロ・ラウンジのカウンターに座っていたが、そう告げた瞬間、いそいそと手を引かれてキッチンへ通された。
「まだ開店まで時間がありますから、今から何か作ってもらえませんか?新商品のアイデアがほしいのです。もちろん完成品によってはそれなりの対価を用意いたします。ああ、制服が汚れては困りますから…僕のもので申し訳ないのですが、このエプロンをどうぞ」
『え、あ、今からですか?って、ご丁寧にありがとうございま…いや、すみません、さすがにこれは大きいです、はい。』
「ああ、これは僕としたことが失礼を。それでは…ここをこうしましょうか」
『!』
強引に料理をつくることにされてしまったが、まぁそれはよい。ただ、これほど大きなエプロンをつけるくらいなら、むしろ制服のままでした方がやりやすい、と、エプロンを返そうとすれば。
背中側からズイッと腕が伸びてきて、きゅ、きゅ、とリボンを結ばれ、長さを調整され、きっちりと着せられてしまった。
『...器用すぎる…』
「恐縮です」
『褒めてないです、へこんでます』
「なぜです?」
『教えません!』
容姿端麗、一部に目を瞑れば紳士的、なんでもできるこの男は、こんなことを言いながらどうせ私の気持ちもお見通しなのだろうけれど、精一杯の抵抗だ。
「おやおや。怒らせてしまいましたか?失礼しました。あなたさん、機嫌を直してください」
『ジェイド先輩がスマートすぎて、癪なだけですー!まぁ、きのこについて語る時だけは、一般人と変わりませんけど』
ふふっと悪戯に笑ってみせれば、いいえそんなことはありませんよ、と声色に笑みが混じる。
『えー?じゃあ他にどんなときにスマートじゃなくなるんですか?』
料理に使う食材をアレコレ選定していると、使える食材はここにあるものだけです、と別の籠を渡されたので、それを見ながら何を作ろうかと逡巡する。その横で、ジェイド先輩は遅れてこう答えた。
「スマートでない、ということかはわかりませんが、毎日フロイドに言われます。小エビちゃんの話ばっかしすぎ!あときのこ全部捨ててきて!…と。僕の中では、貴女ときのこは同程度の割合を占めているようです。」
ごとん
手に持っていた立派な人参を落としてしまった。この人、今なんと言った?
私ときのこが同列?
人間と食べ物だけど???
ってそうじゃない、問題は物質的な意味ではなくて、それって。それって。
しらず顔に熱が集まる。
『っ…ジェイド、先輩、それ、自分が、何を言ってるか、わかってますよね?!!』
「えぇ、それはもう。ですが、フロイドにそう言われるまで気づかないなんて、僕もまだまだスマートにはなりきれませんね。」
落ちていた人参を拾い上げながら、そのまま調理台に両手をつかれ、私の身体は囲われてしまった。
背中に張り付いてきたジェイド先輩は、人より体温が低いはずなのに、やけに熱を感じる。
ぐ、と身体が曲がってきて、私の耳にジェイド先輩の吐息がかかった。
『っ!』
「ああ、そうでした。余っている小海老と、それから僕の育てたきのこも是非使っていただけますか?二つが合わさったらどんな味になるのか、とても楽しみですから」
「取ってきますので、少しお待ちください。」と言い、話の間中弄んでいた私の指からスルリと手を離して、ジェイド先輩はその場をあとにした。
『っ〜…!あんなのズルいっ…!』
ヘナヘナと座り込んだ私は、これから始まるクッキングの時間がこれ以上に甘い時間になろうとは気がついていなかった。
*
「なんという優越感。あなたさんにあんな表情をさせられるのは僕だけだと思うと、ゾクゾクします…」
ジェイドの料理は、まだ始まったばかりなのだから。
「!!そうなんですかあなたさん!それならそうと早く教えていただければ…!ではこちらへ!」
『へ?』
今日も今日とて、きのこへの愛を語られながら、私はモストロ・ラウンジのカウンターに座っていたが、そう告げた瞬間、いそいそと手を引かれてキッチンへ通された。
「まだ開店まで時間がありますから、今から何か作ってもらえませんか?新商品のアイデアがほしいのです。もちろん完成品によってはそれなりの対価を用意いたします。ああ、制服が汚れては困りますから…僕のもので申し訳ないのですが、このエプロンをどうぞ」
『え、あ、今からですか?って、ご丁寧にありがとうございま…いや、すみません、さすがにこれは大きいです、はい。』
「ああ、これは僕としたことが失礼を。それでは…ここをこうしましょうか」
『!』
強引に料理をつくることにされてしまったが、まぁそれはよい。ただ、これほど大きなエプロンをつけるくらいなら、むしろ制服のままでした方がやりやすい、と、エプロンを返そうとすれば。
背中側からズイッと腕が伸びてきて、きゅ、きゅ、とリボンを結ばれ、長さを調整され、きっちりと着せられてしまった。
『...器用すぎる…』
「恐縮です」
『褒めてないです、へこんでます』
「なぜです?」
『教えません!』
容姿端麗、一部に目を瞑れば紳士的、なんでもできるこの男は、こんなことを言いながらどうせ私の気持ちもお見通しなのだろうけれど、精一杯の抵抗だ。
「おやおや。怒らせてしまいましたか?失礼しました。あなたさん、機嫌を直してください」
『ジェイド先輩がスマートすぎて、癪なだけですー!まぁ、きのこについて語る時だけは、一般人と変わりませんけど』
ふふっと悪戯に笑ってみせれば、いいえそんなことはありませんよ、と声色に笑みが混じる。
『えー?じゃあ他にどんなときにスマートじゃなくなるんですか?』
料理に使う食材をアレコレ選定していると、使える食材はここにあるものだけです、と別の籠を渡されたので、それを見ながら何を作ろうかと逡巡する。その横で、ジェイド先輩は遅れてこう答えた。
「スマートでない、ということかはわかりませんが、毎日フロイドに言われます。小エビちゃんの話ばっかしすぎ!あときのこ全部捨ててきて!…と。僕の中では、貴女ときのこは同程度の割合を占めているようです。」
ごとん
手に持っていた立派な人参を落としてしまった。この人、今なんと言った?
私ときのこが同列?
人間と食べ物だけど???
ってそうじゃない、問題は物質的な意味ではなくて、それって。それって。
しらず顔に熱が集まる。
『っ…ジェイド、先輩、それ、自分が、何を言ってるか、わかってますよね?!!』
「えぇ、それはもう。ですが、フロイドにそう言われるまで気づかないなんて、僕もまだまだスマートにはなりきれませんね。」
落ちていた人参を拾い上げながら、そのまま調理台に両手をつかれ、私の身体は囲われてしまった。
背中に張り付いてきたジェイド先輩は、人より体温が低いはずなのに、やけに熱を感じる。
ぐ、と身体が曲がってきて、私の耳にジェイド先輩の吐息がかかった。
『っ!』
「ああ、そうでした。余っている小海老と、それから僕の育てたきのこも是非使っていただけますか?二つが合わさったらどんな味になるのか、とても楽しみですから」
「取ってきますので、少しお待ちください。」と言い、話の間中弄んでいた私の指からスルリと手を離して、ジェイド先輩はその場をあとにした。
『っ〜…!あんなのズルいっ…!』
ヘナヘナと座り込んだ私は、これから始まるクッキングの時間がこれ以上に甘い時間になろうとは気がついていなかった。
*
「なんという優越感。あなたさんにあんな表情をさせられるのは僕だけだと思うと、ゾクゾクします…」
ジェイドの料理は、まだ始まったばかりなのだから。