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Side:アズール
「暗いところはお嫌いですか?」
そんなセリフとともに囲われたのは、式典が終わったばかりの、まだ日が高く登る午前中のことだった。
柱の影になっているとは言え、ここは誰が通ってもおかしくない校舎の廊下で。
こんな、こんな風に、オクタヴィネルの寮長がオンボロ寮の監督生を囲っていい場所では到底ない。
「僕、式典服が好きなんです」
「そう、なんですね…?」
「デザインが洗練されていますし、何より」
前のめりになられて、私のフードはぱさりと肩へ落ちてしまった。
けれど逆に、先輩のフードに覆い隠された私。
ほの明るい暗闇に見えるのはアズール先輩の蒼い瞳だけ。
「こうしてしまえば、僕らは誰からも見えないでしょう?」
そのまま腰を取られ。
ちぅ、と口付けられた。
こんなの体勢ですぐバレてしまいますよ、なんてお小言は、どこかに飛んでいってしまった。
Side:ジェイド
「式典服を着るたびに、少しだけ緊張します」
「おや、それはなぜですか?」
「最初、こちらの世界に来た時に、皆さんが式典服来ていたから」
本当の理由はそうではないんだけど、との言葉は飲み込んで、小さく苦笑するにとどめる。
この服を着ると、あの時、みんなに見つめられた感覚が蘇るのだ。
好奇の目に晒されるのは好きじゃない。
まだ、みんなに見られているような気がして、とは思い込みかもしれないけれど。
あの怖さはこの身に染み付いている。
「…そうですか…。実のところ僕は、この式典服はお気に入りなんですよ」
「どうしてですか?」
「普段のようにピッタリした服は窮屈で。ですが式典服は袖や裾がふんわりとしていますから」
「ふふっ、そっちの意味ですか?」
斜め上の意見が返ってきて、今度は笑顔になった。
ジェイド先輩の方を向けば、キュッと締められていたベルトが緩められていて、ふわりと広げられた。
あれ?今から式典なのにどうして、と思う間もなく、そのローブの中にすっぽりと包まれた私の身体。
「それに、こうすれば僕の大切な貴女は、誰の目にも留まらないように隠してしまえますから」
ローブの中は私の嫌いな真っ暗闇。
でも、ジェイド先輩が抱きしめていてくれるから、全然平気なの。
「暗いところはお嫌いですか?」
そんなセリフとともに囲われたのは、式典が終わったばかりの、まだ日が高く登る午前中のことだった。
柱の影になっているとは言え、ここは誰が通ってもおかしくない校舎の廊下で。
こんな、こんな風に、オクタヴィネルの寮長がオンボロ寮の監督生を囲っていい場所では到底ない。
「僕、式典服が好きなんです」
「そう、なんですね…?」
「デザインが洗練されていますし、何より」
前のめりになられて、私のフードはぱさりと肩へ落ちてしまった。
けれど逆に、先輩のフードに覆い隠された私。
ほの明るい暗闇に見えるのはアズール先輩の蒼い瞳だけ。
「こうしてしまえば、僕らは誰からも見えないでしょう?」
そのまま腰を取られ。
ちぅ、と口付けられた。
こんなの体勢ですぐバレてしまいますよ、なんてお小言は、どこかに飛んでいってしまった。
Side:ジェイド
「式典服を着るたびに、少しだけ緊張します」
「おや、それはなぜですか?」
「最初、こちらの世界に来た時に、皆さんが式典服来ていたから」
本当の理由はそうではないんだけど、との言葉は飲み込んで、小さく苦笑するにとどめる。
この服を着ると、あの時、みんなに見つめられた感覚が蘇るのだ。
好奇の目に晒されるのは好きじゃない。
まだ、みんなに見られているような気がして、とは思い込みかもしれないけれど。
あの怖さはこの身に染み付いている。
「…そうですか…。実のところ僕は、この式典服はお気に入りなんですよ」
「どうしてですか?」
「普段のようにピッタリした服は窮屈で。ですが式典服は袖や裾がふんわりとしていますから」
「ふふっ、そっちの意味ですか?」
斜め上の意見が返ってきて、今度は笑顔になった。
ジェイド先輩の方を向けば、キュッと締められていたベルトが緩められていて、ふわりと広げられた。
あれ?今から式典なのにどうして、と思う間もなく、そのローブの中にすっぽりと包まれた私の身体。
「それに、こうすれば僕の大切な貴女は、誰の目にも留まらないように隠してしまえますから」
ローブの中は私の嫌いな真っ暗闇。
でも、ジェイド先輩が抱きしめていてくれるから、全然平気なの。
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