未入力の場合は、あなた、が設定されます
Azul
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
学校という場所では思いもよらない物事が流行る。
もちろんそういった流行はすぐに廃れるものなので、流されないように注意が必要だ。
例えば今年の流行色とか、流行りの食材とか、そういうものには敏感であるべきだが、何にでも流されていたら、経営が破綻してしまう。
だから、それをあなたの口から聞いたときは少しだけ戸惑った。
「アズール先輩、背中に書いた文字を当てるゲームしましょう」
「は?貴女もあの流行に乗ってるんですか?」
「結構楽しいですよ?」
「はぁ…。そういうお遊びは余り好きではないのですが…まぁ、貴女がやりたいのならいいでしょう」
「やったー!じゃあ先輩、後ろ向いてくださいね」
何を言われても一旦困ったフリをするのは、僕の悪い癖だ。
あなたとするなら何だって嬉しいのにそういう態度は良くない、改めようとしても長年の癖はすぐには抜けない。
(こういうのはだいたい、すき、とか、あい、とか僕の名前とか、そういうような言葉に決まっているんだ。すぐにばれることなんてわかってるだろうに)
そう見立てをつけていても、どの言葉を貰えるのかと胸が高鳴ってしまって始末が悪い。
書かれるまでの数秒がとてつもなく長く感じる。
もう一分は経ったのでは?いや、そんなわけはない、と、だんだんと焦れてきて、それでもぐっと堪えてその時を待つ。
すると、トンと指が背中に触れて『きた!』と思った。
しかし一文字目は、僕の予想とは異なって「だ」だった。
(す、でも、あ、でもなく、だ?これはあれか、大好き、とかそういう?)
自分の考えが驕りかもしれないと不安になって二文字目を待つと、それは「き」だった。
(なんだ?一体何を…?「だ」、「き」、…「し」?)
「………」
「…」
「な、」
「……」
「え?」
書かれた文字は五文字。考えていたどの言葉とも違って驚きでバッと振り返る。
そこには返答を待って頬を染めているあなたがいて、ああこれは、正解を言い当てられるなと思った。
「あの、」
「…わかりました?」
「たぶん…」
「じゃあ答え、教えてください」
「せっかくなので、同時に答え合わせしてもらえたらと思うのですが」
「えっ!?」
「いいですか?」
「っ…いい、ですけど…間違ってたら、どうしますか」
「自信があります。なので、大丈夫です」
目を見開いた彼女は一瞬視線を逸らした後、『それなら、せーので、ですよ』と呟いて、僕を見つめる。
「せーの…だっ!?」
ふわり
なるべく優しく、けれどしっかりとあなたの身体を引き寄せて、腕に抱く。
少しして僕の背に回ってきた手を感じれば、答えは明白だった。
「だ・き・し・め・て…そうでしょう?」
「せいかい、です…けど、もう!答え合わせもなにもないじゃないですか!」
「ですが正解は正解です」
「それはそうですけど」
自分から求めておいて何が恥ずかしいのか、ぐりぐりと僕の胸板に額を擦りつけるあなたの可愛さと言ったらない。
でも不思議ではあったので、疑問をそのまま口にする。
「どうしたんです?珍しいじゃないですか」
「…んん」
「寂しくでもなりました?」
「…違います」
「ではそちらの回答を教えてもらえませんか?」
髪を撫でるとさらにギュッと力が込められて、知らず相貌が崩れた。
「不足しました」
「?」
「アズール先輩が不足したので、充電したかったんです」
「な、」
「先輩は、私が不足すること、ないでしょうけど、私は」
あまりの衝撃に脳が止まりかけたが、そんなことあるわけないと叫ぶのをすんでのところで止めたのは褒められてもよいだろう。
そんなこと雄の僕から口にできるわけもなかったのだけれど、もしかしなくても、あなたとしては言ってほしかったのかもしれないと。
だから意を決して『そんなわけないでしょう』と言えば、不思議な顔が僕の胸からぴょこんと覗いた。
「僕だって、毎日不足します」
「そんな、」
「嘘だと言いますか?言わなかった僕も悪いですが、余り甘えてもな、とそういう気持ちは男女で差はないでしょう。貴女が寂しいと思っているときは、恐らく僕も同じ気持ちですよ」
「いっしょ…」
ぽかんとしたあなたの唇をさっと奪ってチュッと音を立てると、ぱちぱち瞬きしたあと固まってしまったあなたをもう一度ぎゅぅっと抱きしめてから、真っ赤に染まるその耳に囁いた。
「きっといつも同じ気持ちなので、キスしたいときも言ってくださいね。何時でも大歓迎ですから」
それから今度からはぜひ言葉で伝えてほしいと、契約でもさせようか。
もちろんそういった流行はすぐに廃れるものなので、流されないように注意が必要だ。
例えば今年の流行色とか、流行りの食材とか、そういうものには敏感であるべきだが、何にでも流されていたら、経営が破綻してしまう。
だから、それをあなたの口から聞いたときは少しだけ戸惑った。
「アズール先輩、背中に書いた文字を当てるゲームしましょう」
「は?貴女もあの流行に乗ってるんですか?」
「結構楽しいですよ?」
「はぁ…。そういうお遊びは余り好きではないのですが…まぁ、貴女がやりたいのならいいでしょう」
「やったー!じゃあ先輩、後ろ向いてくださいね」
何を言われても一旦困ったフリをするのは、僕の悪い癖だ。
あなたとするなら何だって嬉しいのにそういう態度は良くない、改めようとしても長年の癖はすぐには抜けない。
(こういうのはだいたい、すき、とか、あい、とか僕の名前とか、そういうような言葉に決まっているんだ。すぐにばれることなんてわかってるだろうに)
そう見立てをつけていても、どの言葉を貰えるのかと胸が高鳴ってしまって始末が悪い。
書かれるまでの数秒がとてつもなく長く感じる。
もう一分は経ったのでは?いや、そんなわけはない、と、だんだんと焦れてきて、それでもぐっと堪えてその時を待つ。
すると、トンと指が背中に触れて『きた!』と思った。
しかし一文字目は、僕の予想とは異なって「だ」だった。
(す、でも、あ、でもなく、だ?これはあれか、大好き、とかそういう?)
自分の考えが驕りかもしれないと不安になって二文字目を待つと、それは「き」だった。
(なんだ?一体何を…?「だ」、「き」、…「し」?)
「………」
「…」
「な、」
「……」
「え?」
書かれた文字は五文字。考えていたどの言葉とも違って驚きでバッと振り返る。
そこには返答を待って頬を染めているあなたがいて、ああこれは、正解を言い当てられるなと思った。
「あの、」
「…わかりました?」
「たぶん…」
「じゃあ答え、教えてください」
「せっかくなので、同時に答え合わせしてもらえたらと思うのですが」
「えっ!?」
「いいですか?」
「っ…いい、ですけど…間違ってたら、どうしますか」
「自信があります。なので、大丈夫です」
目を見開いた彼女は一瞬視線を逸らした後、『それなら、せーので、ですよ』と呟いて、僕を見つめる。
「せーの…だっ!?」
ふわり
なるべく優しく、けれどしっかりとあなたの身体を引き寄せて、腕に抱く。
少しして僕の背に回ってきた手を感じれば、答えは明白だった。
「だ・き・し・め・て…そうでしょう?」
「せいかい、です…けど、もう!答え合わせもなにもないじゃないですか!」
「ですが正解は正解です」
「それはそうですけど」
自分から求めておいて何が恥ずかしいのか、ぐりぐりと僕の胸板に額を擦りつけるあなたの可愛さと言ったらない。
でも不思議ではあったので、疑問をそのまま口にする。
「どうしたんです?珍しいじゃないですか」
「…んん」
「寂しくでもなりました?」
「…違います」
「ではそちらの回答を教えてもらえませんか?」
髪を撫でるとさらにギュッと力が込められて、知らず相貌が崩れた。
「不足しました」
「?」
「アズール先輩が不足したので、充電したかったんです」
「な、」
「先輩は、私が不足すること、ないでしょうけど、私は」
あまりの衝撃に脳が止まりかけたが、そんなことあるわけないと叫ぶのをすんでのところで止めたのは褒められてもよいだろう。
そんなこと雄の僕から口にできるわけもなかったのだけれど、もしかしなくても、あなたとしては言ってほしかったのかもしれないと。
だから意を決して『そんなわけないでしょう』と言えば、不思議な顔が僕の胸からぴょこんと覗いた。
「僕だって、毎日不足します」
「そんな、」
「嘘だと言いますか?言わなかった僕も悪いですが、余り甘えてもな、とそういう気持ちは男女で差はないでしょう。貴女が寂しいと思っているときは、恐らく僕も同じ気持ちですよ」
「いっしょ…」
ぽかんとしたあなたの唇をさっと奪ってチュッと音を立てると、ぱちぱち瞬きしたあと固まってしまったあなたをもう一度ぎゅぅっと抱きしめてから、真っ赤に染まるその耳に囁いた。
「きっといつも同じ気持ちなので、キスしたいときも言ってくださいね。何時でも大歓迎ですから」
それから今度からはぜひ言葉で伝えてほしいと、契約でもさせようか。