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<彼とお目覚めシリーズ1 アズ監>
僕は深海出身ということもあって、割と光に敏感だ。
オクタヴィネル寮は故郷よりは陸に近い場所にあるので、時間帯によっては薄らと日の光が差し込む。
この二年でいくらか慣れたとはいえ、随分早い時刻に目が醒めることはそれなりにあった。
今日もそんな理由で少し早く目覚めた僕は、隣で眠る彼女の顔を飽きることなく見つめている。
昨晩、甘く僕の名前を呼んだ唇からはすぅすぅと小さな吐息がこぼれ落ちるのみ。
僕を見つめた蕩けた瞳は今、瞼に隠されて見ることは叶わない。
思い出されるそれらのことを脳裏に描くと、反射的に身体が疼く。
目に毒だな、との考えに至って、僕はもう一度瞳を閉じた。
が、それに反応したかのように、今度は彼女が身じろぐ。
「ん…」
(…珍しい…もう目が覚めたのか?)
今目を閉じたところだった僕は逆に起き辛くなって、そのまま静かに狸寝入り。
すると、彼女が僕の名前を控えめに呼んだ。
「アズール先輩、先輩…?起きてます…?」
「…」
「寝てる、よね…?私の方が先に起きるなんて、珍しいな…」
ふふ、と笑ったと思えば、もぞもぞと動いた気配がして、僕にすり寄って来た彼女は、胸あたりでスンと一つ呼吸をしてから、こう言った。
「アズール、さん」
「!?」
「ふふ…アズールさん、かぁ…へへ…恥ずかしい…っ…でも、いつかこんな風に呼べたらいいな」
とんでもない爆弾を落とされて、ドキドキと心音が伝わっていないか心配になる。
なんだその可愛い呟きは。それに、それが意味する「いつか」は、きっと。
彼女の方もそういうつもりでいたのかと頬が緩むのを抑えられず、もぞ、と動いたところで、彼女がびくりと肩を震わせた。
「…せんぱい」
「っ、」
「起きてるでしょう」
「……」
「聞いてましたね!?」
「…おはよう、ございます」
観念して声を発すると、ぎゅっと腕が回ってきたが、これは多分照れ隠し。
だから僕からも彼女を抱きしめれば、『こんなの怒れない…!』と声がした。
いつでもそう呼んでもらって構わないんですけどね、との気持ちを込めて、そっと髪にキスを一つ。
ずっとこんな朝が続けばいいのにと、僕はひっそり微笑んだ。
ーーー
<彼とお目覚めシリーズ2 ジェイド>
僕が『面白いことが好き』ということは、もう随分前から彼女に知られていると思ってたが、それでもいつも騙されてしまう彼女。それが面白くて、だから愛おしい。
「ジェイド先輩がこんなに寝入ってるところ初めて見た…」
今もほら。狸寝入りに気づかない彼女は、僕の顔をまじまじと見つめているようだ。
髪がサラサラだ、色が綺麗だ、手が大きいのだと、誉め殺しが続いていてついに無表情を保っているのが難しくなってきた。
なので僕の髪を弄んでいたその手をグッと掴んで引き寄せる。
倒れこんできたその小さな身体を自身の身体で受け止めて、拘束。
「、わ!え!?」
「おはようございます。朝から大胆ですね」
「ふぇ?」
「おや、朝の戯れのお誘いかと思ったのですが、違いましたか?」
「!?っ、そんなわけないでしょう!今から学校ですよ!」
「ふふっ、そうですよね。『今は』お預け、ですね」
身体を起こしてチュッと頬にキスを一つ。
それから『さて、準備をしましょうか』と腕を緩めたが、彼女が起き上がる気配は一向にない。
疑問に思いその顔を覗き込もうとした刹那。
彼女の方からギュゥと首に縋られて、『おや、これは』と目を見開いた。
「どうしましたか?」
「…もうちょっとだけ」
「はい」
「あと、少しだけでいいから、このまま、」
やはり、想定外のことは僕の心を躍らせる。
彼女を抱えたまま上半身をまたベッドへ沈めて、それからそっと囁いた。
「今日はおやすみ、しましょうか」
柔らかい朝日に包まれて二人でもう一度夢の中へ。
甘えたな彼女は僕がしっかり抱きしめていてあげましょう。
ーーー
<彼とお目覚めシリーズ3 フロイド>
『本日のフロイドは機嫌が悪いようで。ですが貴女が起こしてくれたら、きっとすんなり起きてくれるんじゃないでしょうか』
先輩と街へ遊びに出る約束をしていたある日、オクタヴィネルにお迎えに上がると、部屋の前でジェイド先輩にそんなことを言われた。
フロイド先輩は気分屋だ。ただ、人に対して気分で当たり散らすことはない。
「オレ今そういう気分じゃない」「飽きたからやりたくない」「イライラしてっからあっちいって」
そんな言葉を聞く限り、フロイド先輩は自分の情緒を自分で把握し、コントロールしているだけなのだと思う。
そういう情緒のときに人を遠ざける傾向にあるだけだ。
つまり、ジェイド先輩が起こした時に機嫌が悪いように見えたのなら、起きたくない理由があって起きてこないだけなのではないか。誰が起こしたってその事実は変わらないんじゃないか。と、そう考える。
「…困ったな…でも本人に聞かないまま帰るわけにもいかないし…」
私としては、フロイド先輩と居られれば、別に買い物にいかなくたって問題はない。
モストロ・ラウンジでお茶をするだけでも、オンボロ寮でまったり過ごすだけでも、全然いいのだ。
とにかく先輩に一声かけてみようと、片割れが出て行った扉をノックした。
「フロイド先輩、入りますよ」
もちろん返事はない。けれど拒まれる要素もなかったので、かちゃりと扉を開けてみる。
中はシンと静まり返っていて、左側のベッドがこんもり膨らんでいた。
そちらに寄って行って、ちょんちょんと膨らみをつついてみる。
「せーんぱい。今日はどんな感じですか?また日を改めます?」
「……だ」
「へ?」
「…やだ…」
「えっと、何がやなんです?」
「…やめるのは、いや」
返事を聞く限り、行く気持ちはあるようだ。
じゃあどうしようかと悩み始めた時だった。
布団がもぞもぞと動いて、中から手が伸びてきて。
私は簡単に布団の中に…フロイド先輩の腕の中に引きずり込まれてしまった。
息が苦しいと、一生懸命顔を布団の外に出して先輩を呼ぶ。
「ん、わぷっ!フロイド先輩!?どうしたんですか!?」
「…小エビちゃんと遊びに行きたい…でもねみぃ…」
『だから、あと5分だけ、抱き枕させて』と言われ、思わず苦笑が漏れる。
仕方ないですね。貴方の小エビですから、言う通り、何なりと。
ぽんぽん、と背中を撫でてあげたら、先輩の腕がキュッとしまって心地よい。
そのまま二人してぐっすり眠ってしまったなんて、言うまでもない。
僕は深海出身ということもあって、割と光に敏感だ。
オクタヴィネル寮は故郷よりは陸に近い場所にあるので、時間帯によっては薄らと日の光が差し込む。
この二年でいくらか慣れたとはいえ、随分早い時刻に目が醒めることはそれなりにあった。
今日もそんな理由で少し早く目覚めた僕は、隣で眠る彼女の顔を飽きることなく見つめている。
昨晩、甘く僕の名前を呼んだ唇からはすぅすぅと小さな吐息がこぼれ落ちるのみ。
僕を見つめた蕩けた瞳は今、瞼に隠されて見ることは叶わない。
思い出されるそれらのことを脳裏に描くと、反射的に身体が疼く。
目に毒だな、との考えに至って、僕はもう一度瞳を閉じた。
が、それに反応したかのように、今度は彼女が身じろぐ。
「ん…」
(…珍しい…もう目が覚めたのか?)
今目を閉じたところだった僕は逆に起き辛くなって、そのまま静かに狸寝入り。
すると、彼女が僕の名前を控えめに呼んだ。
「アズール先輩、先輩…?起きてます…?」
「…」
「寝てる、よね…?私の方が先に起きるなんて、珍しいな…」
ふふ、と笑ったと思えば、もぞもぞと動いた気配がして、僕にすり寄って来た彼女は、胸あたりでスンと一つ呼吸をしてから、こう言った。
「アズール、さん」
「!?」
「ふふ…アズールさん、かぁ…へへ…恥ずかしい…っ…でも、いつかこんな風に呼べたらいいな」
とんでもない爆弾を落とされて、ドキドキと心音が伝わっていないか心配になる。
なんだその可愛い呟きは。それに、それが意味する「いつか」は、きっと。
彼女の方もそういうつもりでいたのかと頬が緩むのを抑えられず、もぞ、と動いたところで、彼女がびくりと肩を震わせた。
「…せんぱい」
「っ、」
「起きてるでしょう」
「……」
「聞いてましたね!?」
「…おはよう、ございます」
観念して声を発すると、ぎゅっと腕が回ってきたが、これは多分照れ隠し。
だから僕からも彼女を抱きしめれば、『こんなの怒れない…!』と声がした。
いつでもそう呼んでもらって構わないんですけどね、との気持ちを込めて、そっと髪にキスを一つ。
ずっとこんな朝が続けばいいのにと、僕はひっそり微笑んだ。
ーーー
<彼とお目覚めシリーズ2 ジェイド>
僕が『面白いことが好き』ということは、もう随分前から彼女に知られていると思ってたが、それでもいつも騙されてしまう彼女。それが面白くて、だから愛おしい。
「ジェイド先輩がこんなに寝入ってるところ初めて見た…」
今もほら。狸寝入りに気づかない彼女は、僕の顔をまじまじと見つめているようだ。
髪がサラサラだ、色が綺麗だ、手が大きいのだと、誉め殺しが続いていてついに無表情を保っているのが難しくなってきた。
なので僕の髪を弄んでいたその手をグッと掴んで引き寄せる。
倒れこんできたその小さな身体を自身の身体で受け止めて、拘束。
「、わ!え!?」
「おはようございます。朝から大胆ですね」
「ふぇ?」
「おや、朝の戯れのお誘いかと思ったのですが、違いましたか?」
「!?っ、そんなわけないでしょう!今から学校ですよ!」
「ふふっ、そうですよね。『今は』お預け、ですね」
身体を起こしてチュッと頬にキスを一つ。
それから『さて、準備をしましょうか』と腕を緩めたが、彼女が起き上がる気配は一向にない。
疑問に思いその顔を覗き込もうとした刹那。
彼女の方からギュゥと首に縋られて、『おや、これは』と目を見開いた。
「どうしましたか?」
「…もうちょっとだけ」
「はい」
「あと、少しだけでいいから、このまま、」
やはり、想定外のことは僕の心を躍らせる。
彼女を抱えたまま上半身をまたベッドへ沈めて、それからそっと囁いた。
「今日はおやすみ、しましょうか」
柔らかい朝日に包まれて二人でもう一度夢の中へ。
甘えたな彼女は僕がしっかり抱きしめていてあげましょう。
ーーー
<彼とお目覚めシリーズ3 フロイド>
『本日のフロイドは機嫌が悪いようで。ですが貴女が起こしてくれたら、きっとすんなり起きてくれるんじゃないでしょうか』
先輩と街へ遊びに出る約束をしていたある日、オクタヴィネルにお迎えに上がると、部屋の前でジェイド先輩にそんなことを言われた。
フロイド先輩は気分屋だ。ただ、人に対して気分で当たり散らすことはない。
「オレ今そういう気分じゃない」「飽きたからやりたくない」「イライラしてっからあっちいって」
そんな言葉を聞く限り、フロイド先輩は自分の情緒を自分で把握し、コントロールしているだけなのだと思う。
そういう情緒のときに人を遠ざける傾向にあるだけだ。
つまり、ジェイド先輩が起こした時に機嫌が悪いように見えたのなら、起きたくない理由があって起きてこないだけなのではないか。誰が起こしたってその事実は変わらないんじゃないか。と、そう考える。
「…困ったな…でも本人に聞かないまま帰るわけにもいかないし…」
私としては、フロイド先輩と居られれば、別に買い物にいかなくたって問題はない。
モストロ・ラウンジでお茶をするだけでも、オンボロ寮でまったり過ごすだけでも、全然いいのだ。
とにかく先輩に一声かけてみようと、片割れが出て行った扉をノックした。
「フロイド先輩、入りますよ」
もちろん返事はない。けれど拒まれる要素もなかったので、かちゃりと扉を開けてみる。
中はシンと静まり返っていて、左側のベッドがこんもり膨らんでいた。
そちらに寄って行って、ちょんちょんと膨らみをつついてみる。
「せーんぱい。今日はどんな感じですか?また日を改めます?」
「……だ」
「へ?」
「…やだ…」
「えっと、何がやなんです?」
「…やめるのは、いや」
返事を聞く限り、行く気持ちはあるようだ。
じゃあどうしようかと悩み始めた時だった。
布団がもぞもぞと動いて、中から手が伸びてきて。
私は簡単に布団の中に…フロイド先輩の腕の中に引きずり込まれてしまった。
息が苦しいと、一生懸命顔を布団の外に出して先輩を呼ぶ。
「ん、わぷっ!フロイド先輩!?どうしたんですか!?」
「…小エビちゃんと遊びに行きたい…でもねみぃ…」
『だから、あと5分だけ、抱き枕させて』と言われ、思わず苦笑が漏れる。
仕方ないですね。貴方の小エビですから、言う通り、何なりと。
ぽんぽん、と背中を撫でてあげたら、先輩の腕がキュッとしまって心地よい。
そのまま二人してぐっすり眠ってしまったなんて、言うまでもない。