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バレンタインデー。それは甘くて可愛いスイーツを公然と食べられる最高の一日。
その前日の今日。
私は、ここぞとばかりに色々なチョコレートを買い込んでほくほくとオンボロ寮に帰宅した。
しかし、私がそれを食べるのに夢中になるのはまだ早い。
理由は簡単。
私の恋人、ジェイド先輩に渡すチョコレートを作る時間が必要だからだ。
幸いにも今回のバレンタインは日曜日。
今日も休日なのでゆっくりと準備ができる。少し手の込んだものに挑戦してもいいだろう。
「ジェイド先輩の作るものには敵わないけど、喜んでくれるといいなぁ〜」
そう言いながらテンパリングのためのお湯を沸かし始めた時だった。
ギッとエントランスの扉が開く音がして、次いで「あなたさん」と私の名前を呼ぶ声がする。
それに反応して顔をのぞかせれば、そこにいたのは、まさに今顔を思い浮かべていた人物だった。
「ジェイド先輩!?」
「こんにちは。先ほどサムさんのお店から出てくるのを見かけたので、後を追いかけてきました」
「え?それなら声をかけてくれたらよかったのに」
「いえ、何やらお忙しそうだったので、約束でもあるのかと思ったのです。が、違ったんですね」
「あー…約束、と言うか、」
どうしようかな、チョコレートを作っているなんて話したら、サプライズができなくなる。
別にサプライズにしなくてもいいのだけど。
と言うかよく考えれば二月十四日だからって、チョコレートを渡すのがここでも習慣化しているのかわからない。
私ったらなんと言うミスを!説明すればいいことだけど、なんだか凹んでしまう。押し付けがましい!
「えっと、明日の準備を、」
「ああ、貴女も明日の準備ですか?」
「え?『も』って…」
「ええ、明日はバレンタインデーでしょう?」
「…!知ってるんですか?」
「もちろん。僕の故郷ではチョコレートを食べたりはしませんが、そう言う地域もあると伺ったもので。貴女は甘いものが好きでしょう?僕からも贈らせていただこうかと思いまして」
「わぁ…!本当ですか!?あの、実は私も、私からジェイド先輩にチョコレートを贈りたくて、今から作ろうとしていたんです」
ジェイド先輩は、いつでも知らないうちに私の心の迷いを汲み取って、その棘を溶かしてくれる。
同じことを思っていたなんて、嬉しいことこの上ない。
「ですがそれなら、チョコレートは一緒に作りましょうか」
「わぁ!本当ですか?嬉しいです!ハッピーが二倍のバレンタインデーになりますね!」
お湯が沸騰したので、火を止めに向かった私の背中を捕まえて、先輩はこう言った。
「ああ、ですが」
「へ、」
『僕がもらうのは、チョコレートを食べた後の貴女自身、ですけれどね』
スイートバレンタインの始まりは、たった今、この時から。
その前日の今日。
私は、ここぞとばかりに色々なチョコレートを買い込んでほくほくとオンボロ寮に帰宅した。
しかし、私がそれを食べるのに夢中になるのはまだ早い。
理由は簡単。
私の恋人、ジェイド先輩に渡すチョコレートを作る時間が必要だからだ。
幸いにも今回のバレンタインは日曜日。
今日も休日なのでゆっくりと準備ができる。少し手の込んだものに挑戦してもいいだろう。
「ジェイド先輩の作るものには敵わないけど、喜んでくれるといいなぁ〜」
そう言いながらテンパリングのためのお湯を沸かし始めた時だった。
ギッとエントランスの扉が開く音がして、次いで「あなたさん」と私の名前を呼ぶ声がする。
それに反応して顔をのぞかせれば、そこにいたのは、まさに今顔を思い浮かべていた人物だった。
「ジェイド先輩!?」
「こんにちは。先ほどサムさんのお店から出てくるのを見かけたので、後を追いかけてきました」
「え?それなら声をかけてくれたらよかったのに」
「いえ、何やらお忙しそうだったので、約束でもあるのかと思ったのです。が、違ったんですね」
「あー…約束、と言うか、」
どうしようかな、チョコレートを作っているなんて話したら、サプライズができなくなる。
別にサプライズにしなくてもいいのだけど。
と言うかよく考えれば二月十四日だからって、チョコレートを渡すのがここでも習慣化しているのかわからない。
私ったらなんと言うミスを!説明すればいいことだけど、なんだか凹んでしまう。押し付けがましい!
「えっと、明日の準備を、」
「ああ、貴女も明日の準備ですか?」
「え?『も』って…」
「ええ、明日はバレンタインデーでしょう?」
「…!知ってるんですか?」
「もちろん。僕の故郷ではチョコレートを食べたりはしませんが、そう言う地域もあると伺ったもので。貴女は甘いものが好きでしょう?僕からも贈らせていただこうかと思いまして」
「わぁ…!本当ですか!?あの、実は私も、私からジェイド先輩にチョコレートを贈りたくて、今から作ろうとしていたんです」
ジェイド先輩は、いつでも知らないうちに私の心の迷いを汲み取って、その棘を溶かしてくれる。
同じことを思っていたなんて、嬉しいことこの上ない。
「ですがそれなら、チョコレートは一緒に作りましょうか」
「わぁ!本当ですか?嬉しいです!ハッピーが二倍のバレンタインデーになりますね!」
お湯が沸騰したので、火を止めに向かった私の背中を捕まえて、先輩はこう言った。
「ああ、ですが」
「へ、」
『僕がもらうのは、チョコレートを食べた後の貴女自身、ですけれどね』
スイートバレンタインの始まりは、たった今、この時から。