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Azul
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夜も更けて、日付けが変わりそうな時分。
久しぶりにリビングで映画を見ていたら、隣にアズールさんがやってきてぽすんと腰を下ろした。
無言でやってくるケースは割と少ないので、はて、何かあったかなと思考をめぐらすが、特に思い当たることがない。
こういうときは考えるよりも聞いたほうが早いのは百も承知と声をかけた。
「アズールさん?どうしました?」
「…」
返事はない。けれど、声掛けに反応して腰に腕が回ってきたので、お疲れ甘えたモードかしらと首を傾けた。
「お疲れですか?寝ます?」
「……いなくなってなくてよかったです」
「え…?ああ…うふふっ、いなくなるはずないでしょう?ここには鏡もないですし」
「でも、昔は水鏡が原因でした。いつどうなるかわからない…」
どうやらアズールさんは私がどこかへ行っていないか不安で見に来たようだ。
たしかに学生の頃に姿を消したときには本当に突然のことだったけれど、今は原因も方法も明確なんだから心配することはないのに、と思う。
でも、そうやって心配に思ってもらえるのは嬉しくもあって、つい微笑みが溢れる。
「大丈夫ですよ。ほら見て?」
そう言ってアズールさんの膝の上に乗っていた左手に私の左手を絡めた。テレビから発される色とりどりの光を反射してきらりと光ったのは結婚指輪。
「一緒にいるって約束したじゃないですか。ね?」
「……そう、ですけど…」
「もー!ほら!落ち込まないでくださいっ!大丈夫、ね、ここにいますから!」
夜の闇にふさわしくない明るい声をわざと出して、彼の不安を吹き飛ばそうと、二本の腕でその身体を引き寄せる。
一瞬の間のあと、向こうからも柔く抱きしめられて、ふふ、と息を吐いた。
「アズールさんが何を思っているのか、教えてもらえて嬉しいです」
「嬉しい?…こんなの、かっこ悪いの間違いでしょう」
「思っていることを素直に伝えるって難しいことだから、それができるアズールさんはむしろかっこいいと思いますよ?」
「…貴女、やっぱり変わってますね」
「そうですか?んー、でもそのくらいでないとアズールさんのお嫁さんにしてもらえなかったかもだから、それも誉め言葉ですね!」
「ふは…!ほんと、ポジティブですねぇ」
「あれ?支配人、ご存じないんですか?大事なんですよ、ポジティブシンキングって」
「…ほぉ?僕をバカにするのはこの口ですか?」
「!」
少し身体が離れたと思ったら、アズールさんの手が私の顔に伸びてきたから、『うわ、頬っぺたつままれる!』と目を閉じた直後。触れたのは別の感触だった。
「んむ、」
「ンっ」
はむ、と私の唇を塞いだのは、アズールさんの唇。
からかわれるかと思ったが、どうやら甘えたはまだ続いているようだ。
そのまま体重をかけられるものだから、アズールさんにしがみつくしかなくなって、ゆっくりとソファーにおちていく私の身体。
息が苦しくなったころを見計らって、ペロリと私の唇をなぞってから彼の舌は潔く離れた。
「ふふ、想定外だったでしょう」
「ん…っもぅ!なんでっ、」
「キスは僕がしたいときにします。いつものことでしょう?」
「っでも、」
「おや、僕の妻はまだ物足りないようですね。もう一度塞ぎましょうか」
「っちょ、た、たんま、まってください!」
にこにこと嬉しそうな顔がまた近づいてきたので、両手で顔を覆って抵抗の意を示すと、くすくす笑い声が聞こえて、今度こそからかわれたとバッと手を外したところで、額におくられた口付け。
「ひゃ、」
「映画なんていつでも観られるじゃないですか。それよりも、貴女の夫…僕を励ますために愛を語らうほうが重要だと思いませんか?」
「っ…そ、それは、まぁ…なんて、いうか…」
それを認めてしまったら、同意したということで。
アズールさんと私の恥ずかしいポイントは全く異なっているんだからどうしようもない。
だけれどこの差に、今日も私は溺れてしまうんだ。
「イエス?」
「っ…ソファーは、NO!」
最後の抵抗に、ぽかんと呆けたアズールさんは、その意図をくみ取って『それでは僕らの寝室へ』と、それはそれは美しく笑った。
久しぶりにリビングで映画を見ていたら、隣にアズールさんがやってきてぽすんと腰を下ろした。
無言でやってくるケースは割と少ないので、はて、何かあったかなと思考をめぐらすが、特に思い当たることがない。
こういうときは考えるよりも聞いたほうが早いのは百も承知と声をかけた。
「アズールさん?どうしました?」
「…」
返事はない。けれど、声掛けに反応して腰に腕が回ってきたので、お疲れ甘えたモードかしらと首を傾けた。
「お疲れですか?寝ます?」
「……いなくなってなくてよかったです」
「え…?ああ…うふふっ、いなくなるはずないでしょう?ここには鏡もないですし」
「でも、昔は水鏡が原因でした。いつどうなるかわからない…」
どうやらアズールさんは私がどこかへ行っていないか不安で見に来たようだ。
たしかに学生の頃に姿を消したときには本当に突然のことだったけれど、今は原因も方法も明確なんだから心配することはないのに、と思う。
でも、そうやって心配に思ってもらえるのは嬉しくもあって、つい微笑みが溢れる。
「大丈夫ですよ。ほら見て?」
そう言ってアズールさんの膝の上に乗っていた左手に私の左手を絡めた。テレビから発される色とりどりの光を反射してきらりと光ったのは結婚指輪。
「一緒にいるって約束したじゃないですか。ね?」
「……そう、ですけど…」
「もー!ほら!落ち込まないでくださいっ!大丈夫、ね、ここにいますから!」
夜の闇にふさわしくない明るい声をわざと出して、彼の不安を吹き飛ばそうと、二本の腕でその身体を引き寄せる。
一瞬の間のあと、向こうからも柔く抱きしめられて、ふふ、と息を吐いた。
「アズールさんが何を思っているのか、教えてもらえて嬉しいです」
「嬉しい?…こんなの、かっこ悪いの間違いでしょう」
「思っていることを素直に伝えるって難しいことだから、それができるアズールさんはむしろかっこいいと思いますよ?」
「…貴女、やっぱり変わってますね」
「そうですか?んー、でもそのくらいでないとアズールさんのお嫁さんにしてもらえなかったかもだから、それも誉め言葉ですね!」
「ふは…!ほんと、ポジティブですねぇ」
「あれ?支配人、ご存じないんですか?大事なんですよ、ポジティブシンキングって」
「…ほぉ?僕をバカにするのはこの口ですか?」
「!」
少し身体が離れたと思ったら、アズールさんの手が私の顔に伸びてきたから、『うわ、頬っぺたつままれる!』と目を閉じた直後。触れたのは別の感触だった。
「んむ、」
「ンっ」
はむ、と私の唇を塞いだのは、アズールさんの唇。
からかわれるかと思ったが、どうやら甘えたはまだ続いているようだ。
そのまま体重をかけられるものだから、アズールさんにしがみつくしかなくなって、ゆっくりとソファーにおちていく私の身体。
息が苦しくなったころを見計らって、ペロリと私の唇をなぞってから彼の舌は潔く離れた。
「ふふ、想定外だったでしょう」
「ん…っもぅ!なんでっ、」
「キスは僕がしたいときにします。いつものことでしょう?」
「っでも、」
「おや、僕の妻はまだ物足りないようですね。もう一度塞ぎましょうか」
「っちょ、た、たんま、まってください!」
にこにこと嬉しそうな顔がまた近づいてきたので、両手で顔を覆って抵抗の意を示すと、くすくす笑い声が聞こえて、今度こそからかわれたとバッと手を外したところで、額におくられた口付け。
「ひゃ、」
「映画なんていつでも観られるじゃないですか。それよりも、貴女の夫…僕を励ますために愛を語らうほうが重要だと思いませんか?」
「っ…そ、それは、まぁ…なんて、いうか…」
それを認めてしまったら、同意したということで。
アズールさんと私の恥ずかしいポイントは全く異なっているんだからどうしようもない。
だけれどこの差に、今日も私は溺れてしまうんだ。
「イエス?」
「っ…ソファーは、NO!」
最後の抵抗に、ぽかんと呆けたアズールさんは、その意図をくみ取って『それでは僕らの寝室へ』と、それはそれは美しく笑った。