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Azul
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「アズール先輩」
と僕を呼ぶ、その声が好きだった。
帰したくない、ずっとそばにいてほしい、そう思って、意を決して彼女の卒業式の日にしたプロポーズ。
よろこんで、と応えてもらったのに『あれは少し気障すぎた』と後々笑われて。
それでも今日、この日を迎えることができたのだから、それも一つの思い出として語り継ぐべきなのかもしれない。
「あなた」
「アズールせんぱ…じゃなかった。アズール、さん。」
「ふ…、まだ慣れないんですか?たまに出ますよね。」
「だって…何年呼んできたと思ってるんですか?」
「たった四年、ですよ。」
「たった、じゃないですよ?その四年にアズールさんと私の全部の思い出が詰まってるんですから。」
開式まであと数十分というところでそわそわに耐えられなくなって彼女のところへ足を運んだ。
彼女は簡素な部屋でポツンと椅子に腰かけて、大きな窓から外を眺めていたけれど、僕が話しかけるとゆるりとこちらに顔を向ける。
外から差し込む陽の光がキラキラとまぶしいのか、彼女自身がまぶしいのかよくわからない、なんて言ったらまた笑われてしまうだろうか。
「アズールさんは…」
「はい?」
「……幸せ、ですか?」
少し不安に揺れた瞳が僕を見つめる。
いつか、幸せすぎて怖いと言った彼女は、今この時もそういった心境なんだろうか。
「そうですね…僕は、」
「はい」
「幸せ、ですよ。この上なく」
そう告げて、純白のドレスの上できゅ、と握られていた拳に柔らかく指を絡めて緊張を解した。恭しくその手を持ち上げて、ちゅ、とそこに一つキスを贈る。
それを受けた彼女は、一瞬ポカンとした後、徐々に頬を紅く染めて眉を下げた。
「こんなに幸せでいいのかなぁ私。」
「僕のお嫁さんなんですから、自信をもって幸せでいてくださらないと。」
「幸せすぎて、泣いちゃいそう。」
「涙は夜まで取っておいてください。」
「夜?」
「たくさん啼かせてあげます。」
「アズールさんがそういう冗談言うの、珍しい。」
「緊張しているのかもしれませんね。僕も。」
「アズールさんが?ありえない…。今日起こることは全て計画のうちでしょう?」
「どうでしょう?僕だって緊張くらい人並みにするかもしれませんよ。」
華々しい時間の前の、密やかで穏やかな二人きりの空間。
いつだって、彼女と過ごす時間は尊くて、くすぐったくて、愛おしい。
「さぁ、行きましょうか。こんなに美しい貴女を僕だけのものにしておくのは、少し惜しいかもしれません。皆にお披露目して、嫉妬でもしてもらわないと。」
「ふふ…人生に一度くらい、そういうのもいいかもしれないですね!」
行く先はウェディング・アイル。
祝福された二人は、そこで永遠の愛を誓う。
幸せだと、この世界中に見せつけよう。
「アズールさん、」
「なんです?」
「アズールさんとこの先も人生を共にできて、嬉しいです。私を選んでくれて、ありがとうございます。」
その言葉に、今度は僕がポカンとしてしまって決まりが悪い。
「…僕とあろうものが、決め台詞を取られてしまうなんて…」
「ふふ…だって今日はこれから、いいところ全部取られてしまうから。」
「そうですね、覚悟しておいて下さいよ?それから、」
『僕の隣に居てくれて、ありがとうございます。』
その一言は、胸につかえて声にならなかった。けれどあなたはその様子から何を口にしたかったのか汲み取ってくれたようで、重ねていた指先をそっと撫でて微笑んだ。
「そろそろ、行きましょう。」
「…ええ、そうですね。皆さんが待ちくたびれてしまう。」
未来は、きっと明るいから。
繋いだ手は離さないで。
何があっても、二人なら大丈夫。
と僕を呼ぶ、その声が好きだった。
帰したくない、ずっとそばにいてほしい、そう思って、意を決して彼女の卒業式の日にしたプロポーズ。
よろこんで、と応えてもらったのに『あれは少し気障すぎた』と後々笑われて。
それでも今日、この日を迎えることができたのだから、それも一つの思い出として語り継ぐべきなのかもしれない。
「あなた」
「アズールせんぱ…じゃなかった。アズール、さん。」
「ふ…、まだ慣れないんですか?たまに出ますよね。」
「だって…何年呼んできたと思ってるんですか?」
「たった四年、ですよ。」
「たった、じゃないですよ?その四年にアズールさんと私の全部の思い出が詰まってるんですから。」
開式まであと数十分というところでそわそわに耐えられなくなって彼女のところへ足を運んだ。
彼女は簡素な部屋でポツンと椅子に腰かけて、大きな窓から外を眺めていたけれど、僕が話しかけるとゆるりとこちらに顔を向ける。
外から差し込む陽の光がキラキラとまぶしいのか、彼女自身がまぶしいのかよくわからない、なんて言ったらまた笑われてしまうだろうか。
「アズールさんは…」
「はい?」
「……幸せ、ですか?」
少し不安に揺れた瞳が僕を見つめる。
いつか、幸せすぎて怖いと言った彼女は、今この時もそういった心境なんだろうか。
「そうですね…僕は、」
「はい」
「幸せ、ですよ。この上なく」
そう告げて、純白のドレスの上できゅ、と握られていた拳に柔らかく指を絡めて緊張を解した。恭しくその手を持ち上げて、ちゅ、とそこに一つキスを贈る。
それを受けた彼女は、一瞬ポカンとした後、徐々に頬を紅く染めて眉を下げた。
「こんなに幸せでいいのかなぁ私。」
「僕のお嫁さんなんですから、自信をもって幸せでいてくださらないと。」
「幸せすぎて、泣いちゃいそう。」
「涙は夜まで取っておいてください。」
「夜?」
「たくさん啼かせてあげます。」
「アズールさんがそういう冗談言うの、珍しい。」
「緊張しているのかもしれませんね。僕も。」
「アズールさんが?ありえない…。今日起こることは全て計画のうちでしょう?」
「どうでしょう?僕だって緊張くらい人並みにするかもしれませんよ。」
華々しい時間の前の、密やかで穏やかな二人きりの空間。
いつだって、彼女と過ごす時間は尊くて、くすぐったくて、愛おしい。
「さぁ、行きましょうか。こんなに美しい貴女を僕だけのものにしておくのは、少し惜しいかもしれません。皆にお披露目して、嫉妬でもしてもらわないと。」
「ふふ…人生に一度くらい、そういうのもいいかもしれないですね!」
行く先はウェディング・アイル。
祝福された二人は、そこで永遠の愛を誓う。
幸せだと、この世界中に見せつけよう。
「アズールさん、」
「なんです?」
「アズールさんとこの先も人生を共にできて、嬉しいです。私を選んでくれて、ありがとうございます。」
その言葉に、今度は僕がポカンとしてしまって決まりが悪い。
「…僕とあろうものが、決め台詞を取られてしまうなんて…」
「ふふ…だって今日はこれから、いいところ全部取られてしまうから。」
「そうですね、覚悟しておいて下さいよ?それから、」
『僕の隣に居てくれて、ありがとうございます。』
その一言は、胸につかえて声にならなかった。けれどあなたはその様子から何を口にしたかったのか汲み取ってくれたようで、重ねていた指先をそっと撫でて微笑んだ。
「そろそろ、行きましょう。」
「…ええ、そうですね。皆さんが待ちくたびれてしまう。」
未来は、きっと明るいから。
繋いだ手は離さないで。
何があっても、二人なら大丈夫。