未入力の場合は、あなた、が設定されます
other
名前変換設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「フロイド先輩!今日お誕生日なんですか!?」
「アレェ?どうして小エビちゃんがいるの」
とある筋から秘密情報をいただいて向かったのは、もちろんオクタヴィネル寮。
けれど、たどり着いた時にはすでにパーティーはお開きとなっており、談話室には本日の主役の一人であるフロイド先輩がポツンと座っているのみだった。
「他の人たちはどうしたんですか?!」
「え?ああ、部屋に戻ったやつとか、片付けとか色々…?」
「というかどうして黙ってたんですか!!今日が誕生日って!!」
「あーそれは…」
フロイド先輩ならいの一番に私に言ってくれると信じてたのに、という自分勝手な思いが顔を覗かせて、勢い詰め寄ってしまったが、言い淀むフロイド先輩を見て、そもそもお付き合いしているからと言って、全部相手が言ってくれるのを待つのもおかしな話だと自分で自分を恥ずかしく思い始めた。
「ご、めんなさい、言いたくないから言わなかったんですよね、あの、私ほんと、今更何て言ったら良いか…」
「は?ちが、」
「でも!おめでとうくらい言わせてくださいよぉ〜!フロイド先輩ったら、ほんと、」
ほんと、の続きは何と言いたかったんだろうか。自分自身でもわからなくて、お祝いを言いにきたはずなのに視界が滲む。
これでは本末転倒じゃないかと、無理矢理にでも口角を釣り上げた。うまく笑えているかな。
「たんま」
「へ?」
「なんか勘違いしてるでしょ小エビちゃん」
「かん、違い?」
「あのね、オレが小エビちゃんに今日誕生日って言わなかったのは、その…ねだってるみたいじゃん、プレゼントをさ」
「ねだる?どうして」
「誕生日って〜パーティーしてケーキ食べてプレゼントもらう、みたいな感じじゃん。だからさ、一緒にパーティーに出てもらうのは良いんだけど、最終的にお祝いしてよってねだってるみたいになるからさぁ…。野郎どもとワイワイすんのとはちょっと違うじゃん?小エビちゃんは彼女だし」
改めて『彼女』と口に出してもらえたことで、ぽぽぽと顔が赤くなる。
そもそも、お付き合いしているのになんで知らなかったの!と思って駆け込んだのは私なのに、何でこんな照れているの。
こっちきて、と手招きされたので、そのままフロイド先輩の横にちょこんと座ると、先輩は私の両手をひとまとめにぎゅっと握ってちょっとだけうな垂れてこう言った。
「小エビちゃん、いつも金欠って言ってるから言えるわけなくね?オレは…小エビちゃんに迷惑かけたくて一緒にいるわけじゃねぇし、プレゼントが欲しいわけでもないから」
それから『オレは確かに自由にしてるけど、迷惑はかけたくないんだよね』なんて言うものだからなんだか心がいっぱいになってしまった。
フロイド先輩がすることを、私が迷惑だなんて思うわけないのに。
でも言葉にして伝えなかったことで、そう思わせてしまっていたのなら、私にも非はあるのだろう。
だから、握られた手をこちらからもぎゅっと握り返して意思表示。
「じゃあ、逆に私がわがままを言っても良いですか?」
「小エビちゃんから言われるわがままなんて、わがままに入んねぇよ。なんでも言って欲しいに決まってんじゃん。なぁに?」
「あの…お祝い、したかったです。私も。大好きで、大事な、フロイド先輩の、生まれてきてくれた日を」
「!」
「フロイド先輩がお祝いしてよって言うのが『おねだり』だと思うなら、フロイド先輩をお祝いさせてほしいっていうのは私の『わがまま』になる気がするので…これなら、おあいこじゃないですか?」
いつもトロンとさせている目をまん丸に開けてから『あ〜…オレ、ダセェ』と呟いて、私を引き寄せたフロイド先輩は、いつもの絞めるタイプのぎゅーではなく、優しい抱擁をしてくれる。
とくんとくん
先輩の心音が耳に届いたことで、何だか安心してそっと瞳を閉じた。
「小エビちゃんってほんとずるい」
「?何がでしょう」
「…オレさ、楽しいこと好きだし、ジェイドのことも好きだし、誕生日って嫌いじゃない。なんかわーってして騒いでさ、明るくて良いじゃん」
「ふふっ、ですね」
「うん。…でもさ、双子だから一緒に祝うっての、結構…なんつか、寂しいじゃん。二人まとめてお祝いされるのは、嬉しくて、でもちょっと寂しいわけ。だから」
そこまで言ってパッと腕の檻を解いてくれたと思ったら、フロイド先輩は、にっこり満面の笑顔を見せてくれたので、まずはチューをプレゼント。
「ハッピーバースデーフロイド先輩!プレゼントは今日は用意できなかったので、私からの愛を先に贈ります!」
「小エビちゃんがオレのことを祝いにきてくれたの、めっちゃ嬉しい。オレ今日の主役だからさぁ、やっぱり、隣に小エビちゃんがいないと始まんねぇかも。それだけでプレゼントだよ、ありがとね」
なお、こうして脳内から花を散らしていたのが談話室で、この様子をみんなに見られていたのに私たちが気づいたのは、このあとすぐのことだった。
「アレェ?どうして小エビちゃんがいるの」
とある筋から秘密情報をいただいて向かったのは、もちろんオクタヴィネル寮。
けれど、たどり着いた時にはすでにパーティーはお開きとなっており、談話室には本日の主役の一人であるフロイド先輩がポツンと座っているのみだった。
「他の人たちはどうしたんですか?!」
「え?ああ、部屋に戻ったやつとか、片付けとか色々…?」
「というかどうして黙ってたんですか!!今日が誕生日って!!」
「あーそれは…」
フロイド先輩ならいの一番に私に言ってくれると信じてたのに、という自分勝手な思いが顔を覗かせて、勢い詰め寄ってしまったが、言い淀むフロイド先輩を見て、そもそもお付き合いしているからと言って、全部相手が言ってくれるのを待つのもおかしな話だと自分で自分を恥ずかしく思い始めた。
「ご、めんなさい、言いたくないから言わなかったんですよね、あの、私ほんと、今更何て言ったら良いか…」
「は?ちが、」
「でも!おめでとうくらい言わせてくださいよぉ〜!フロイド先輩ったら、ほんと、」
ほんと、の続きは何と言いたかったんだろうか。自分自身でもわからなくて、お祝いを言いにきたはずなのに視界が滲む。
これでは本末転倒じゃないかと、無理矢理にでも口角を釣り上げた。うまく笑えているかな。
「たんま」
「へ?」
「なんか勘違いしてるでしょ小エビちゃん」
「かん、違い?」
「あのね、オレが小エビちゃんに今日誕生日って言わなかったのは、その…ねだってるみたいじゃん、プレゼントをさ」
「ねだる?どうして」
「誕生日って〜パーティーしてケーキ食べてプレゼントもらう、みたいな感じじゃん。だからさ、一緒にパーティーに出てもらうのは良いんだけど、最終的にお祝いしてよってねだってるみたいになるからさぁ…。野郎どもとワイワイすんのとはちょっと違うじゃん?小エビちゃんは彼女だし」
改めて『彼女』と口に出してもらえたことで、ぽぽぽと顔が赤くなる。
そもそも、お付き合いしているのになんで知らなかったの!と思って駆け込んだのは私なのに、何でこんな照れているの。
こっちきて、と手招きされたので、そのままフロイド先輩の横にちょこんと座ると、先輩は私の両手をひとまとめにぎゅっと握ってちょっとだけうな垂れてこう言った。
「小エビちゃん、いつも金欠って言ってるから言えるわけなくね?オレは…小エビちゃんに迷惑かけたくて一緒にいるわけじゃねぇし、プレゼントが欲しいわけでもないから」
それから『オレは確かに自由にしてるけど、迷惑はかけたくないんだよね』なんて言うものだからなんだか心がいっぱいになってしまった。
フロイド先輩がすることを、私が迷惑だなんて思うわけないのに。
でも言葉にして伝えなかったことで、そう思わせてしまっていたのなら、私にも非はあるのだろう。
だから、握られた手をこちらからもぎゅっと握り返して意思表示。
「じゃあ、逆に私がわがままを言っても良いですか?」
「小エビちゃんから言われるわがままなんて、わがままに入んねぇよ。なんでも言って欲しいに決まってんじゃん。なぁに?」
「あの…お祝い、したかったです。私も。大好きで、大事な、フロイド先輩の、生まれてきてくれた日を」
「!」
「フロイド先輩がお祝いしてよって言うのが『おねだり』だと思うなら、フロイド先輩をお祝いさせてほしいっていうのは私の『わがまま』になる気がするので…これなら、おあいこじゃないですか?」
いつもトロンとさせている目をまん丸に開けてから『あ〜…オレ、ダセェ』と呟いて、私を引き寄せたフロイド先輩は、いつもの絞めるタイプのぎゅーではなく、優しい抱擁をしてくれる。
とくんとくん
先輩の心音が耳に届いたことで、何だか安心してそっと瞳を閉じた。
「小エビちゃんってほんとずるい」
「?何がでしょう」
「…オレさ、楽しいこと好きだし、ジェイドのことも好きだし、誕生日って嫌いじゃない。なんかわーってして騒いでさ、明るくて良いじゃん」
「ふふっ、ですね」
「うん。…でもさ、双子だから一緒に祝うっての、結構…なんつか、寂しいじゃん。二人まとめてお祝いされるのは、嬉しくて、でもちょっと寂しいわけ。だから」
そこまで言ってパッと腕の檻を解いてくれたと思ったら、フロイド先輩は、にっこり満面の笑顔を見せてくれたので、まずはチューをプレゼント。
「ハッピーバースデーフロイド先輩!プレゼントは今日は用意できなかったので、私からの愛を先に贈ります!」
「小エビちゃんがオレのことを祝いにきてくれたの、めっちゃ嬉しい。オレ今日の主役だからさぁ、やっぱり、隣に小エビちゃんがいないと始まんねぇかも。それだけでプレゼントだよ、ありがとね」
なお、こうして脳内から花を散らしていたのが談話室で、この様子をみんなに見られていたのに私たちが気づいたのは、このあとすぐのことだった。