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『 』
なにかの音に浅い眠りの底から引き上げられた意識。眠気眼であたりを見回し、状況を確認。
……そうか…図書室…
もうすぐ期末試験だから、先輩と待ち合わせしていたんだった。
隣を見やれば、かわいらしい寝顔がそこに。
いつ、眠ってしまったんだろう。先輩が来たのを、僕は確認したっけ?
そんなことを考えながらも、そのサラサラな髪を指で弄ぶ。かわいい。かわいい僕だけの先輩。
大好きなんて言葉じゃくくれないほど気持ちがあふれて止まらない。
「せーんぱー…」
寝顔だけでは足りなくて、先輩を起こしにかかろうと、した、その瞬間
『ん…に…かな、た…す、ずや…』
漏らされたその一言はたちまち僕を不安にさせる。
「僕は……誰かの、 ?」
信じたくない考えが胸をよぎる。
ふと、先輩が身じろぎし、その目が僕を捉える。
『梓…くん、どうしたの…?何か苦しいの…?』
「ーっ」
つい、と先輩をこの腕に閉じ込め、ぎゅっと抱きしめる。その存在を確かめたくて。僕の腕の中にいる存在を信じたくて。
『どうしたの…?大丈夫?』
「先輩っ…先輩…」
『うん?』
いつもとは反対に頭を撫でてくれる小さな温もりがひどく儚く感じる。
「…僕は、誰かの、にせものですか」
『…』
「僕は、僕で、僕は……誰ですか…?」
我ながら混乱したことを言ってるとは理解していても判っていない。
『梓くんは、私にとって大切な、たった一人の、木ノ瀬梓だよ。他の誰でもない。代わりなんて、いないよ。木ノ瀬梓は私にとって、君一人。』
「一人…」
『そう。悲しいこと言わないで?私が大好きなのは、他の誰かでもない。この木ノ瀬梓くん。』
「…」
答える代わりに抱きしめる腕の力を強くして。
僕の代わりはいなくても、言葉の代わりになるものはいくらでもある。
先輩に認めてもらえないなら、僕がこの場所にいるという事実はあってないようなものだ。
「もう少し、このままでもいいですか…?」
『くすっ…もちろんだよ。梓くんに抱きしめられるなら、いつでも大歓迎』
「…じゃあ一生このままで」
『それなら私は一生幸せだね』
ふわふわふわり
先輩の言葉は僕の中に降り積もり、僕という存在を本物にしてくれる。
だからずっと、離さない。
-僕は誰の偽物ですか-
(あぁなんて 儚い 存在
とても 深い 想い)
2009.11
*企画:射手座に恋をする様へ
なにかの音に浅い眠りの底から引き上げられた意識。眠気眼であたりを見回し、状況を確認。
……そうか…図書室…
もうすぐ期末試験だから、先輩と待ち合わせしていたんだった。
隣を見やれば、かわいらしい寝顔がそこに。
いつ、眠ってしまったんだろう。先輩が来たのを、僕は確認したっけ?
そんなことを考えながらも、そのサラサラな髪を指で弄ぶ。かわいい。かわいい僕だけの先輩。
大好きなんて言葉じゃくくれないほど気持ちがあふれて止まらない。
「せーんぱー…」
寝顔だけでは足りなくて、先輩を起こしにかかろうと、した、その瞬間
『ん…に…かな、た…す、ずや…』
漏らされたその一言はたちまち僕を不安にさせる。
「僕は……誰かの、 ?」
信じたくない考えが胸をよぎる。
ふと、先輩が身じろぎし、その目が僕を捉える。
『梓…くん、どうしたの…?何か苦しいの…?』
「ーっ」
つい、と先輩をこの腕に閉じ込め、ぎゅっと抱きしめる。その存在を確かめたくて。僕の腕の中にいる存在を信じたくて。
『どうしたの…?大丈夫?』
「先輩っ…先輩…」
『うん?』
いつもとは反対に頭を撫でてくれる小さな温もりがひどく儚く感じる。
「…僕は、誰かの、にせものですか」
『…』
「僕は、僕で、僕は……誰ですか…?」
我ながら混乱したことを言ってるとは理解していても判っていない。
『梓くんは、私にとって大切な、たった一人の、木ノ瀬梓だよ。他の誰でもない。代わりなんて、いないよ。木ノ瀬梓は私にとって、君一人。』
「一人…」
『そう。悲しいこと言わないで?私が大好きなのは、他の誰かでもない。この木ノ瀬梓くん。』
「…」
答える代わりに抱きしめる腕の力を強くして。
僕の代わりはいなくても、言葉の代わりになるものはいくらでもある。
先輩に認めてもらえないなら、僕がこの場所にいるという事実はあってないようなものだ。
「もう少し、このままでもいいですか…?」
『くすっ…もちろんだよ。梓くんに抱きしめられるなら、いつでも大歓迎』
「…じゃあ一生このままで」
『それなら私は一生幸せだね』
ふわふわふわり
先輩の言葉は僕の中に降り積もり、僕という存在を本物にしてくれる。
だからずっと、離さない。
-僕は誰の偽物ですか-
(あぁなんて 儚い 存在
とても 深い 想い)
2009.11
*企画:射手座に恋をする様へ