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庭球
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ピルルルピピルルル……
ポッ
「はいもしもし。南で『おはこんっ!ななみっ!ねー今日さ、高鳥屋でバーゲンやっ』断る」
プツッ
ツーッツーッッ
『……ちっ』
ハローハロー。こちら小夏です。
冬休みも今日で終了。
とても暇で仕方ないし、最後の一日だし、お年玉ももらえたからバーゲンに行くんだ~…って張り切ってたのに…
相手がいなかったっていう
悲しいかな、頼みの綱のななみにも断られ、仕方なく一人トボトボ歩いている訳であります。
なんで誰か誘わないのかって?
それは去年の二の舞を食わないためと、なんとなく先が予想出来るからであります。
ひどかった去年のことが…
あたしが買い物して荷物持ちさせるはずが、なぜか振り回された貴重な一日。
最初に精市を誘ったら普通に断られた。
何?バカなの?新年早々あんな人ゴミの中に自分から飛び込みに行くなんてバカだろ。
次に柳にかけた。
今真田と将棋をさしている。柳生とジャッカルも来るようだが小夏も来るか?
丁重にお断りした。
その次にブン太にかけてみた。いいっていってくれたから、一緒に出掛けた。
途中で赤也と仁王にも会ったからご一行様になった。
『よしっ着いた!まずは四階のe.a.ピ「新作ゲームチェックっスね!」は?』
「今年は格ゲーから音ゲーまで種類あるからよ!選びたい放題だな!」
『え、ちょ』
「さ、もう行くしかないぜよ」
みたいな感じで、ゲームコーナーを二時間近くつれ回され、
『よし!じゃあ次こそ!』
「おぅ!お前何階見たいんだっけ?」
『四階!』
「じゃあ行ってこい!」
『うん行ってく…ってえ!?』
「?なんだよぃ」
「俺らここでゲームやってるッス!」
『…着いてきてくれるんじゃ「俺らが女モンの服見てどうすんじゃい。」
そんな感じで結局一人で回った。
帰ってからアイツら、なんて言ったと思う!!?
『お待たせ!』
「おっせぇ」
『ア゛―ン!!?たった一時間くらいじゃんっ!』
「一時間だぜぃ?!一時間!一時間あればテニスの試合何回できると思ってんだ」
『なぜそこでテニス!』
「ったくよー…まぁいいや。とりあえずお前の買い物は終わったんだな?」
『ムカッチーン…はいはい!終わりましたよっ!』
待たせてるの気になってニットとハーフパンツしか買えなかったけどねっ!!
「んじゃ最後に」
と、あたしの気持ちも知らず連れていかれたのが
デパ地下。
つまり食料品。
この時期は里帰りとかで人がくるのはわかりきっているのか、大盤振る舞いで食べ物を出してくれる売場の店員。
特に仁王ブン太赤也がそろっているせいもあるのだろう。
おばちゃん・お姉さんが私のところにこい!とばかりに試食で三人を誘い込む。
仁王は偏食家なのであまり手は出さないけど、赤也と、特にブン太は節操なく食べまくる。
もう本当に
恥。
そんなこんなな去年の思い出があって、やっぱり一人のがいいかな、と腹をくくった午後1:28分。
(家を出て7分)
道で出会ったのは、
仁王と精市というなんとも奇妙な組み合わせ。
『………』
「やぁ小夏。」
「あけおめなり。」
『……………………………………………おめでと…』
「なんじゃその溜めと嫌そうな顔…」
「ったく新年から福が逃げるよ?あ、そっか。逃げる福もなかったね!御神籤、大きょ『黙れ精市!』
くっそぅ……!コイツいつ引いても大吉とかありえねぇぇ…!
「…そんなに地獄がみたいかい?」
『いえ!滅相もありません!』
「そう言うのは口に出すのがバカなんじゃ。」
『うっせぇ仁王。』
「はいはい…小夏は出掛けるんかの?」
『え゛っっ!!?いや、その、ちょっとコンビニに…ι』
「家から数十mのところにあるコンビニには行かずに?いつもはパジャマ代わりのスエットで出歩く小夏がちょっと綺麗な服きて遠くのコンビニまで?ありえない。」
……なぜ知って…
誰にも見られてないと思ってたのは自分だけだってか?
『べっ別にいいじゃん……!飽きちゃったんだもん!たまには違うコンビニ行きたかったのっ!』
「……ふぅーん……」
『な、何さ…』
「ほぉ…」
『…じゃ、じゃあね!』
歩き始めたあたしの背中を精市の的確な一言があたしを引き留める。
「……大方バーゲンでも行くんだろ?」
『!』
「去年散々な思い出があるから今年は初めから一人でって感じかの?」
『…』
「去年?」
「あぁ?幸村はおらんかったか。去年はブン太と赤也に引きずられとったんじゃ。」
『……わかってたんならなんで止めてくれなかったの…』
「面倒じゃから。」
『あぁ知ってたさっ!!!!』
みんなあたしをなんだと思ってやがる!
今年はっ!今年こそはっ!狙ってたダッフルコートをゲットするんだからっっ…!!!!
思いを胸に再び歩き出すと、自分の隣に人影が増えた。
「じゃあ行こう」
『はい?』
「だから、バーゲン。」
『いやいやいや!去年あんだけスッパリ断ったくせに。精市は仁王と遊んでればいいよ。』
「仁王?」
くるっと仁王のほうをむいたと思えば、仁王はヤレヤレといった面持ちでため息をついた。
「俺も着いていくぜよ。ちょうど服が買いたかった所じゃ。」
『……………本当?』
素直に信じられなくて、見返す。
「本当じゃ。一緒に行ったる。」
『ちゃんと着いてきてくれる?』
「もちろん。」「ぷりっ」
『一緒に買い物してくれる?』
「いい加減信じなよ」「そうぜよ」
『じゃあ……行こっっっ!』
あたしは二人の手をとってルンルン歩き出した。
「で?何が目当てなの?」
もうすぐ着くというところで精市から素朴な疑問が投げ掛けられた。
『うん?今日はね、コート!あとは安いものを手当たり次第って感じ!』
「ふーん」
「女子はたくさんバリエーション持っとるからのぅ。うちの姉ちゃんもクロゼットから溢れるほど服持っとうよ。」
『かわいくするには努力は惜しめないんだよ!』
「……………」
『精市?何なのその間は』
「別に?あ、小夏?」
『何よ!!?』
「高鳥屋なら今通りすぎたけど?」
『それは早く言えよっっ!』
あたふたして戻り中に入る。お客はやっぱり多かったけど、目当てのコートのためだもん!がんばるぞっ!
しかし
『………』
「ひどいね」「女は怖いなり」
あたしが狙っていたそのコートがあるフロア。
そこはもはや戦場と化していた。
見渡す限り、人人―人。
初めてのバーゲンデビューのはずだったのに。
あたしの敗因はなに?
朝一で来なかったこと?
『………』
「小夏帰ろう。こんな所、居たって疲れるだけだよ。」
「これじゃあ買い物どころじゃないぜよ。」
『………や』
「何?ほら、行くよ」
手を引っ張る精市を勢いよく振りはらって先を睨み付ける。
『あたしはあのコートを手に入れるまで帰らないんだからぁぁぁあ!!!負けるなんてありえない!常―勝―立海大ぃぃい!!!!』
「「使い方が違う(ぜよ)!」」
今日はコートが手に入ればいいんだ!それまで帰ってやるもんか!!!!
行くぜ常勝決めるまでぇぁぁぁあ!
店の場所はわかってるんだ!あそこ!
人ごみをかき分け、店の前になんとか辿り着いたあたし。
コートをロックオン☆して気づく。
《現品限り!お早めに!》
死ぬ気で伸ばした手が、コートを掴んだ、その時だった。
『!』「!」
もう一つの手が、コートの逆端を掴んでいる。
しかもその手の先にいたのは
昨年まであたしをいびっていた先輩だった。
「あら?あんた…こんな所で何してるの?」
『せ…先輩こそっっ!あたしは買い物に来ただけですがっ?』
この喧騒の中なのに、相手の声だけは極めてはっきり聞こえた。
「私だってショッピングよ?ていうかあなた、フロア間違えているんじゃないの?子供服は一階下、男性服は一階上よ!」
『先輩こそ間違えてるんじゃない?オバサン用の服は七階ですよっっ…!?』
「言うわね…」
『はっ!負ける気はしないですね!』
「…っ小夏!」
『うげぁっ!』
「幸村くんと仁王くん!」
名前を呼ばれ、振り向く前にマフラーで首を絞められた。
「小夏勝手にいなくなるな!奇声が聞こえたからよかったものの『聞き捨てならないんですが』
「幸村くん!ひ、久しぶり」
「え?……誰?」
「!!?」
「…?てゆうかそれが欲しかったコート?」
『うん!かわいいでしょっ!』
先輩が精市の一言で怯んだ隙に自分の胸に抱き締めたあたしのコート!誰にも渡さない!
「……広げてみせて?」
『うん?』
ぱっと全体を精市に見せびらかした。
ばっと取り上げられた。
「はい。これ、あげますよ。」
「へ?あ、ありがとう!」
「行くよ小夏」
『ちょっ!何すんの精市!せっかく奪い取ったのにっ!』
精市から手渡されたコートと精市の最高級と書いて「よそゆき」と読むスマイルを受けて、悦に入っている先輩を残し、お店どころかフロア自体から連れ出されたあたし。
暴れても騒いでも精市は離してくれないし、仁王が真後ろに張り付いていて逃げれない。
何かわからないけど、違うフロアの知らないお店に連れていかれて、ちょっと待ってて、と放置された。
『仁王…』
「唐突だったが、俺も幸村と同じ気持ちぜよ。まぁ、ちと待ってみんしゃい」
意図するところがわからず、しかたなく待つこと10分。
優雅に歩いて来た精市の手には、知らないブランドの紙袋が一つ。
「すまなかった仁王。はいこれ。」
『へ?あたし?』
「うん。開けてみて」
渡された紙袋を開けて中身を取り出すと
『コート…?』
「着てみて。」
『え?あ、うん。』
ぱぱっと今着ているものを脱いで新しいのを合わせる。
「うんぴったりだ。」
「似合ってるぜよ」
それはほしかったダッフルコートじゃないピーコートだったけど、すごくあたし好みのコート。
『精市が選んだの?』
「そうだけど?気に入らないとか言うつもり?」
『ちっ違う!』
「だいたいさ、趣味悪いんじゃない?」
『な゛!!?』
「同意。お前しゃん、自分の歳を考えたほうがいいぜよ」
「あんなの、あそこにいたオバサンが着るようなもんだろ?」
『お姉さんだよ』
「背伸びしなくたって小夏は小夏に似合ってるのを着ればいいんじゃない?大方なんかの雑誌に載ってたモデルにでも憧れたんだろ?」
『……む』
見抜かれてる自分が恥ずかしい。
「素材を活かした服が一番なり。」
「何着ても似合っちゃう俺たちとは違うんだから。」
『一言余計!』
怒ってたハズなのに、なぜか吹き出しちゃって。
結局、そのままデパートを出てきた。
精市が選んでくれたたコートは、みんなと出掛けるようなおめかしデーに着ていこうと思う。
end
(でも精市、よくあたしのサイズわかったね)
(まぁね(どれだけ一緒にいたと思ってるの))
(これ、いくらしたの?)
(え?あぁ、一万くらい?返してね)
(は?!値段あれの3倍じゃん!てかくれるんじゃないの?!)
(誰があげるなんて言った?)
ポッ
「はいもしもし。南で『おはこんっ!ななみっ!ねー今日さ、高鳥屋でバーゲンやっ』断る」
プツッ
ツーッツーッッ
『……ちっ』
ハローハロー。こちら小夏です。
冬休みも今日で終了。
とても暇で仕方ないし、最後の一日だし、お年玉ももらえたからバーゲンに行くんだ~…って張り切ってたのに…
相手がいなかったっていう
悲しいかな、頼みの綱のななみにも断られ、仕方なく一人トボトボ歩いている訳であります。
なんで誰か誘わないのかって?
それは去年の二の舞を食わないためと、なんとなく先が予想出来るからであります。
ひどかった去年のことが…
あたしが買い物して荷物持ちさせるはずが、なぜか振り回された貴重な一日。
最初に精市を誘ったら普通に断られた。
何?バカなの?新年早々あんな人ゴミの中に自分から飛び込みに行くなんてバカだろ。
次に柳にかけた。
今真田と将棋をさしている。柳生とジャッカルも来るようだが小夏も来るか?
丁重にお断りした。
その次にブン太にかけてみた。いいっていってくれたから、一緒に出掛けた。
途中で赤也と仁王にも会ったからご一行様になった。
『よしっ着いた!まずは四階のe.a.ピ「新作ゲームチェックっスね!」は?』
「今年は格ゲーから音ゲーまで種類あるからよ!選びたい放題だな!」
『え、ちょ』
「さ、もう行くしかないぜよ」
みたいな感じで、ゲームコーナーを二時間近くつれ回され、
『よし!じゃあ次こそ!』
「おぅ!お前何階見たいんだっけ?」
『四階!』
「じゃあ行ってこい!」
『うん行ってく…ってえ!?』
「?なんだよぃ」
「俺らここでゲームやってるッス!」
『…着いてきてくれるんじゃ「俺らが女モンの服見てどうすんじゃい。」
そんな感じで結局一人で回った。
帰ってからアイツら、なんて言ったと思う!!?
『お待たせ!』
「おっせぇ」
『ア゛―ン!!?たった一時間くらいじゃんっ!』
「一時間だぜぃ?!一時間!一時間あればテニスの試合何回できると思ってんだ」
『なぜそこでテニス!』
「ったくよー…まぁいいや。とりあえずお前の買い物は終わったんだな?」
『ムカッチーン…はいはい!終わりましたよっ!』
待たせてるの気になってニットとハーフパンツしか買えなかったけどねっ!!
「んじゃ最後に」
と、あたしの気持ちも知らず連れていかれたのが
デパ地下。
つまり食料品。
この時期は里帰りとかで人がくるのはわかりきっているのか、大盤振る舞いで食べ物を出してくれる売場の店員。
特に仁王ブン太赤也がそろっているせいもあるのだろう。
おばちゃん・お姉さんが私のところにこい!とばかりに試食で三人を誘い込む。
仁王は偏食家なのであまり手は出さないけど、赤也と、特にブン太は節操なく食べまくる。
もう本当に
恥。
そんなこんなな去年の思い出があって、やっぱり一人のがいいかな、と腹をくくった午後1:28分。
(家を出て7分)
道で出会ったのは、
仁王と精市というなんとも奇妙な組み合わせ。
『………』
「やぁ小夏。」
「あけおめなり。」
『……………………………………………おめでと…』
「なんじゃその溜めと嫌そうな顔…」
「ったく新年から福が逃げるよ?あ、そっか。逃げる福もなかったね!御神籤、大きょ『黙れ精市!』
くっそぅ……!コイツいつ引いても大吉とかありえねぇぇ…!
「…そんなに地獄がみたいかい?」
『いえ!滅相もありません!』
「そう言うのは口に出すのがバカなんじゃ。」
『うっせぇ仁王。』
「はいはい…小夏は出掛けるんかの?」
『え゛っっ!!?いや、その、ちょっとコンビニに…ι』
「家から数十mのところにあるコンビニには行かずに?いつもはパジャマ代わりのスエットで出歩く小夏がちょっと綺麗な服きて遠くのコンビニまで?ありえない。」
……なぜ知って…
誰にも見られてないと思ってたのは自分だけだってか?
『べっ別にいいじゃん……!飽きちゃったんだもん!たまには違うコンビニ行きたかったのっ!』
「……ふぅーん……」
『な、何さ…』
「ほぉ…」
『…じゃ、じゃあね!』
歩き始めたあたしの背中を精市の的確な一言があたしを引き留める。
「……大方バーゲンでも行くんだろ?」
『!』
「去年散々な思い出があるから今年は初めから一人でって感じかの?」
『…』
「去年?」
「あぁ?幸村はおらんかったか。去年はブン太と赤也に引きずられとったんじゃ。」
『……わかってたんならなんで止めてくれなかったの…』
「面倒じゃから。」
『あぁ知ってたさっ!!!!』
みんなあたしをなんだと思ってやがる!
今年はっ!今年こそはっ!狙ってたダッフルコートをゲットするんだからっっ…!!!!
思いを胸に再び歩き出すと、自分の隣に人影が増えた。
「じゃあ行こう」
『はい?』
「だから、バーゲン。」
『いやいやいや!去年あんだけスッパリ断ったくせに。精市は仁王と遊んでればいいよ。』
「仁王?」
くるっと仁王のほうをむいたと思えば、仁王はヤレヤレといった面持ちでため息をついた。
「俺も着いていくぜよ。ちょうど服が買いたかった所じゃ。」
『……………本当?』
素直に信じられなくて、見返す。
「本当じゃ。一緒に行ったる。」
『ちゃんと着いてきてくれる?』
「もちろん。」「ぷりっ」
『一緒に買い物してくれる?』
「いい加減信じなよ」「そうぜよ」
『じゃあ……行こっっっ!』
あたしは二人の手をとってルンルン歩き出した。
「で?何が目当てなの?」
もうすぐ着くというところで精市から素朴な疑問が投げ掛けられた。
『うん?今日はね、コート!あとは安いものを手当たり次第って感じ!』
「ふーん」
「女子はたくさんバリエーション持っとるからのぅ。うちの姉ちゃんもクロゼットから溢れるほど服持っとうよ。」
『かわいくするには努力は惜しめないんだよ!』
「……………」
『精市?何なのその間は』
「別に?あ、小夏?」
『何よ!!?』
「高鳥屋なら今通りすぎたけど?」
『それは早く言えよっっ!』
あたふたして戻り中に入る。お客はやっぱり多かったけど、目当てのコートのためだもん!がんばるぞっ!
しかし
『………』
「ひどいね」「女は怖いなり」
あたしが狙っていたそのコートがあるフロア。
そこはもはや戦場と化していた。
見渡す限り、人人―人。
初めてのバーゲンデビューのはずだったのに。
あたしの敗因はなに?
朝一で来なかったこと?
『………』
「小夏帰ろう。こんな所、居たって疲れるだけだよ。」
「これじゃあ買い物どころじゃないぜよ。」
『………や』
「何?ほら、行くよ」
手を引っ張る精市を勢いよく振りはらって先を睨み付ける。
『あたしはあのコートを手に入れるまで帰らないんだからぁぁぁあ!!!負けるなんてありえない!常―勝―立海大ぃぃい!!!!』
「「使い方が違う(ぜよ)!」」
今日はコートが手に入ればいいんだ!それまで帰ってやるもんか!!!!
行くぜ常勝決めるまでぇぁぁぁあ!
店の場所はわかってるんだ!あそこ!
人ごみをかき分け、店の前になんとか辿り着いたあたし。
コートをロックオン☆して気づく。
《現品限り!お早めに!》
死ぬ気で伸ばした手が、コートを掴んだ、その時だった。
『!』「!」
もう一つの手が、コートの逆端を掴んでいる。
しかもその手の先にいたのは
昨年まであたしをいびっていた先輩だった。
「あら?あんた…こんな所で何してるの?」
『せ…先輩こそっっ!あたしは買い物に来ただけですがっ?』
この喧騒の中なのに、相手の声だけは極めてはっきり聞こえた。
「私だってショッピングよ?ていうかあなた、フロア間違えているんじゃないの?子供服は一階下、男性服は一階上よ!」
『先輩こそ間違えてるんじゃない?オバサン用の服は七階ですよっっ…!?』
「言うわね…」
『はっ!負ける気はしないですね!』
「…っ小夏!」
『うげぁっ!』
「幸村くんと仁王くん!」
名前を呼ばれ、振り向く前にマフラーで首を絞められた。
「小夏勝手にいなくなるな!奇声が聞こえたからよかったものの『聞き捨てならないんですが』
「幸村くん!ひ、久しぶり」
「え?……誰?」
「!!?」
「…?てゆうかそれが欲しかったコート?」
『うん!かわいいでしょっ!』
先輩が精市の一言で怯んだ隙に自分の胸に抱き締めたあたしのコート!誰にも渡さない!
「……広げてみせて?」
『うん?』
ぱっと全体を精市に見せびらかした。
ばっと取り上げられた。
「はい。これ、あげますよ。」
「へ?あ、ありがとう!」
「行くよ小夏」
『ちょっ!何すんの精市!せっかく奪い取ったのにっ!』
精市から手渡されたコートと精市の最高級と書いて「よそゆき」と読むスマイルを受けて、悦に入っている先輩を残し、お店どころかフロア自体から連れ出されたあたし。
暴れても騒いでも精市は離してくれないし、仁王が真後ろに張り付いていて逃げれない。
何かわからないけど、違うフロアの知らないお店に連れていかれて、ちょっと待ってて、と放置された。
『仁王…』
「唐突だったが、俺も幸村と同じ気持ちぜよ。まぁ、ちと待ってみんしゃい」
意図するところがわからず、しかたなく待つこと10分。
優雅に歩いて来た精市の手には、知らないブランドの紙袋が一つ。
「すまなかった仁王。はいこれ。」
『へ?あたし?』
「うん。開けてみて」
渡された紙袋を開けて中身を取り出すと
『コート…?』
「着てみて。」
『え?あ、うん。』
ぱぱっと今着ているものを脱いで新しいのを合わせる。
「うんぴったりだ。」
「似合ってるぜよ」
それはほしかったダッフルコートじゃないピーコートだったけど、すごくあたし好みのコート。
『精市が選んだの?』
「そうだけど?気に入らないとか言うつもり?」
『ちっ違う!』
「だいたいさ、趣味悪いんじゃない?」
『な゛!!?』
「同意。お前しゃん、自分の歳を考えたほうがいいぜよ」
「あんなの、あそこにいたオバサンが着るようなもんだろ?」
『お姉さんだよ』
「背伸びしなくたって小夏は小夏に似合ってるのを着ればいいんじゃない?大方なんかの雑誌に載ってたモデルにでも憧れたんだろ?」
『……む』
見抜かれてる自分が恥ずかしい。
「素材を活かした服が一番なり。」
「何着ても似合っちゃう俺たちとは違うんだから。」
『一言余計!』
怒ってたハズなのに、なぜか吹き出しちゃって。
結局、そのままデパートを出てきた。
精市が選んでくれたたコートは、みんなと出掛けるようなおめかしデーに着ていこうと思う。
end
(でも精市、よくあたしのサイズわかったね)
(まぁね(どれだけ一緒にいたと思ってるの))
(これ、いくらしたの?)
(え?あぁ、一万くらい?返してね)
(は?!値段あれの3倍じゃん!てかくれるんじゃないの?!)
(誰があげるなんて言った?)