名前変換は小説によってあったりなかったりします。
庭球
名前変換設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
だは――
海原祭が終わって一週間。
うちのクラスは結局賞はとれなかったけど(意外と普通な柳生&真田クラスが優勝してた)、クラスで一致団結できる最後のいい思い出だったな―
はぁ~もうすぐ冬休みか…
……その前にテストだけど。
「幸村部長ぉぉぉ…」
『精市…』
「………何…」
「『ヤマハリ手伝って(下さい)!!!!』」
「いい加減にヤマじゃなくて‘この問題がわからない’って言いにきてほしいものだよね。」
『あっあたしは』
「やらなくてもそこそこできるタイプ。でもうっかりミスが多すぎ。」
「お」
「赤也はもっと真剣に勉強に取り組まないと来年高等部に来られないかもね?」
「………小夏せんぱぁぁぁぁいっ…!」
『おぅっ!?よしよしよし~!ちょっと精市!赤也苛めないで!』
「本当のことじゃないか」
あぁもう!こいつらと勉強とか考えたのがいけなかった……!!
前途多難過ぎる…
赤也が抱きついてきて離れないし、精市はかなり頼み込まないと教えてくれないし!
『柳…!』
「生憎だがこれから生徒会だ。」
『柳生…!』
「すみません…今日は家の手伝いをしなければならないのです。」
『さな「それだけはダメッス!」……だよね…ι』
あぁあぁあああ……!
明日からテストっていうのに!
なんでこう、テニス部員は男のくせに才色兼備なわけ……っ?!
「ん?どーした?」
『!ブン太ぁ!』
「丸井センパァァア……ィ!」
掃除から戻ってきたブン太に二人して飛び付く。
「んあっ!!?なななんだなんだ!!?お前ら落ち着けよぃ!」
『ブン太…!勉強教え「お前も俺も同じ程度しかできねぇだろぃっ!」
『現代文だけでも……!ブン太のヤマを聞かせてほしいので候う!』
「………小夏…古典からやったほうがいいんじゃね?」
『やっぱりか!』
ぐいぐいひっぺがされながら、席に座らされ、三人で教科書とにらめっこ。
「…とりあえず現代文は教えてやるから落ち着けって。な?」
『っっ!ブン太……!あんたやっぱり素敵だっ!』
「帰りに肉まん奢れよ?赤也は…そうだな…今度バイキングな。」
「ちょ!!!!それ明らか贔屓じゃないスかぁぁ!?」
『んなことないよねぇブン太!』
「まぁな!」
ギャアギャアと言い合いしている二人を他所に精市がカタリと静かに立ち上がった。
『?精市?』
「…俺は用済みみたいだから帰らせてもらうよ」
『え?ちょっと…そんなこと言ってないじゃん!他教科教えてよ!お願いっ!』
「……ちょっとは人の気持ちも考えてほしいものだよね?鈍感もそこまでいくと犯罪だ。」
『え?』
「それじゃあお先に失礼するよ二人とも。」
「お、おぅ。気をつけてな幸村くん」
「あ、部長お疲れ様ッス」
精市が出ていったドアをポカンと見ながら精市の言葉の意味を考えてみた。
なんで怒ってたんだろ。
いつもと変わらなく見えたけど、あれは怒ってる顔だった。
もし頭がよかったら、人が悲しんでいる理由とか、怒ってる原因がわかるの?
あのあと戻ってきた柳に ここだけは! っていうポイントをきいてすぐにお開きになった勉強会。
これで乗り越えられればいいんだけど……
それより何より精市のことも…
どうしよ…
なにしたんだろあたし。
そうえば、海原祭のときも――
「セ―ン―パ―イ!」
『!!』
「も~どうしたんスかぁ?さっきからずっと呼んでるのに気づかないし。ねぇ丸井先輩?…丸井先輩?」
「…ん?あぁ、なんだった?」
「なんスか!丸井先輩も!」
『あ~ブン太も久しぶりに勉強して頭がショートしたんじゃないの?』
「あ~まぁ、そんな感じ、」
ふーん、と赤也は腑に落ちないような顔で言った。
『んで?どこの肉まんにすんの?』
「この前食ったやつ!」
『あぁ半分ずつしたやつね!えっと…セブンか!』
「そうそう!あそこはピザまんもかなりいけたろぃ!チーズ伸びて食いちぎったもんな」
『あれはひどいっしょ!あたしそのせいで半分以下だったし!』
「……センパイたちってやっぱり付き合ってるんスね」
「あ?まぁな。」
『そんな雰囲気ないけどね!お試しだし?』
「ちぇ。俺だってセンパイのこと好きだったんスよ?」
『え~もう赤也くん!お世辞うまい~!よし!奮発して赤也にも肉まん奢ろう!』
「…センパイ…こういうのもなんなんスけど、そうやってはぐらかすのがいいときと悪いときがあるって自覚したほうがいいと思うっスよ」
『え?』
「スミマセン!今日は帰るッス。明日からテストがんばりましょうね!じゃ!」
へ?と聞き返そうとした瞬間に赤也はサッと自転車で走っていってしまった。
は?どういうこと?赤也も精市もわけわかんない…
次から次へと悩みの種が!
しかも苦手な恋愛分野!つぅかテスト前にこんなのありえない!…なんかイライラしてきたぞ…
「…なぁ、小夏…」
『あん!?今ちょっと考えごとしてっ…んっ!』
正直、キス、されるかと思った。
振り向いたらそれほど近くにブン太の顔があったんだ。
だからびっくりして目を閉じた。
でも聞こえたのは
「……はぁ…」
というブン太のため息。
『…え』
考えていた感触がないので、目をあけると苦しそうに笑うブン太の顔があった。
『ぶ、ブン太?ブン太どうしたの?どっかで痛いの?大丈夫?』
突然黙ってしまったブン太を前に焦るしかないあたし。
「…バカみてぇ…こんなん、舞い上がった俺が…」
『ブン太?』
「ワリィ。肉まん、今日はやめとく。また今度奢ってれよな。」
『は?え?』
「…テスト勉強、サボんなよぃ?また明日な…」
『!』
反対方向へ走り去るブン太を追いたくても、足が動かない。視線も定まらない。
拒否された。
そんな感じの最後の言葉。
ポロ…と涙が頬を伝った。
大切なものを
失った気がした。
友達と恋人
その違いを100字以内で簡潔に述べよ。
そんな質問にあなたならどう答えますか?
期末テストは3日間で九科目。最終日からは部活がまた、始まる。
『あ。赤也だ。』
テスト終了とともに生徒がはけたこの教室から何気なく見ていたグラウンドに元気よく癖ッ毛が飛び出してきた。
ここ何日間か真面目に勉強していたからだろうか。凄く嬉しそう。
対するあたしは結局ロクに勉強もできなくて、今回ほど不味いのはないと思う……
『はぁぁ~……』
あの勉強会の日以来崩れ始めた何か。
見た目には解らないだろうけど、確実に変わってしまった関係。
あたしは答えを知っている。
ただ、それに気づきたくないだけ。
「お、小夏。」
『ん?あ、ジャッカルだ。』
「なんか元気よくないみたいだな。どうした?」
『あ~う~…説明しがたい。ボキャブラリが少ない自分が憎い。』
「はは!小夏らしいな!そういやブン太も暗かったな最近。前まですげ~幸せそうだったのによ」
『ブン太も?』
「あぁ。知ってるか?小夏とブン太が付き合い始めた頃アイツな、」
**
「なぁなぁジャッカル!俺、小夏と付き合えることになったんだぜ!」
「マジかよ。そりゃあよかったなぁ。お前ずっと好きだって言ってたもんな。」
「まぁ、まだ‘仮’だけどな」
「‘仮’?」
「でもぜってー俺のほう向かせてやるっ!」
**
「ってな、そりゃもう輝いてたんだが」
『ブン太が?』
「なんかお前ら、前みたいに喋らなくなった気がするんだが、俺の勘違いか?」
『うぅん。違いないよ…うん。ありがとうジャッカル。』
「ん?おぅ。あ、じゃあ俺行くとこあるからよ。あんまり考え込むなよ?」
『ん。じゃね』
ブン太があたしを好きだった?
赤也もあたしが好きだった。
モテ期…分けてこいよな…
じゃなくて!
あたしは、きっと気づいてた。
気づいてたけど、知らぬふりをしてた。
いつだって自信なんてないし、気づいたからってどうしろっていうの。
だけどそうやって蓋をした気持ちがみんなを傷つけて。
仁王だって赤也だってブン太だって……そしてたぶん精市だって…
幸せなクリスマスが待っているはずだったのに、なぁ…
ねぇサンタさん
サンタさんがいるなら
プレゼントはいらないから
幸せなあの時間に戻して下さい。
end
海原祭が終わって一週間。
うちのクラスは結局賞はとれなかったけど(意外と普通な柳生&真田クラスが優勝してた)、クラスで一致団結できる最後のいい思い出だったな―
はぁ~もうすぐ冬休みか…
……その前にテストだけど。
「幸村部長ぉぉぉ…」
『精市…』
「………何…」
「『ヤマハリ手伝って(下さい)!!!!』」
「いい加減にヤマじゃなくて‘この問題がわからない’って言いにきてほしいものだよね。」
『あっあたしは』
「やらなくてもそこそこできるタイプ。でもうっかりミスが多すぎ。」
「お」
「赤也はもっと真剣に勉強に取り組まないと来年高等部に来られないかもね?」
「………小夏せんぱぁぁぁぁいっ…!」
『おぅっ!?よしよしよし~!ちょっと精市!赤也苛めないで!』
「本当のことじゃないか」
あぁもう!こいつらと勉強とか考えたのがいけなかった……!!
前途多難過ぎる…
赤也が抱きついてきて離れないし、精市はかなり頼み込まないと教えてくれないし!
『柳…!』
「生憎だがこれから生徒会だ。」
『柳生…!』
「すみません…今日は家の手伝いをしなければならないのです。」
『さな「それだけはダメッス!」……だよね…ι』
あぁあぁあああ……!
明日からテストっていうのに!
なんでこう、テニス部員は男のくせに才色兼備なわけ……っ?!
「ん?どーした?」
『!ブン太ぁ!』
「丸井センパァァア……ィ!」
掃除から戻ってきたブン太に二人して飛び付く。
「んあっ!!?なななんだなんだ!!?お前ら落ち着けよぃ!」
『ブン太…!勉強教え「お前も俺も同じ程度しかできねぇだろぃっ!」
『現代文だけでも……!ブン太のヤマを聞かせてほしいので候う!』
「………小夏…古典からやったほうがいいんじゃね?」
『やっぱりか!』
ぐいぐいひっぺがされながら、席に座らされ、三人で教科書とにらめっこ。
「…とりあえず現代文は教えてやるから落ち着けって。な?」
『っっ!ブン太……!あんたやっぱり素敵だっ!』
「帰りに肉まん奢れよ?赤也は…そうだな…今度バイキングな。」
「ちょ!!!!それ明らか贔屓じゃないスかぁぁ!?」
『んなことないよねぇブン太!』
「まぁな!」
ギャアギャアと言い合いしている二人を他所に精市がカタリと静かに立ち上がった。
『?精市?』
「…俺は用済みみたいだから帰らせてもらうよ」
『え?ちょっと…そんなこと言ってないじゃん!他教科教えてよ!お願いっ!』
「……ちょっとは人の気持ちも考えてほしいものだよね?鈍感もそこまでいくと犯罪だ。」
『え?』
「それじゃあお先に失礼するよ二人とも。」
「お、おぅ。気をつけてな幸村くん」
「あ、部長お疲れ様ッス」
精市が出ていったドアをポカンと見ながら精市の言葉の意味を考えてみた。
なんで怒ってたんだろ。
いつもと変わらなく見えたけど、あれは怒ってる顔だった。
もし頭がよかったら、人が悲しんでいる理由とか、怒ってる原因がわかるの?
あのあと戻ってきた柳に ここだけは! っていうポイントをきいてすぐにお開きになった勉強会。
これで乗り越えられればいいんだけど……
それより何より精市のことも…
どうしよ…
なにしたんだろあたし。
そうえば、海原祭のときも――
「セ―ン―パ―イ!」
『!!』
「も~どうしたんスかぁ?さっきからずっと呼んでるのに気づかないし。ねぇ丸井先輩?…丸井先輩?」
「…ん?あぁ、なんだった?」
「なんスか!丸井先輩も!」
『あ~ブン太も久しぶりに勉強して頭がショートしたんじゃないの?』
「あ~まぁ、そんな感じ、」
ふーん、と赤也は腑に落ちないような顔で言った。
『んで?どこの肉まんにすんの?』
「この前食ったやつ!」
『あぁ半分ずつしたやつね!えっと…セブンか!』
「そうそう!あそこはピザまんもかなりいけたろぃ!チーズ伸びて食いちぎったもんな」
『あれはひどいっしょ!あたしそのせいで半分以下だったし!』
「……センパイたちってやっぱり付き合ってるんスね」
「あ?まぁな。」
『そんな雰囲気ないけどね!お試しだし?』
「ちぇ。俺だってセンパイのこと好きだったんスよ?」
『え~もう赤也くん!お世辞うまい~!よし!奮発して赤也にも肉まん奢ろう!』
「…センパイ…こういうのもなんなんスけど、そうやってはぐらかすのがいいときと悪いときがあるって自覚したほうがいいと思うっスよ」
『え?』
「スミマセン!今日は帰るッス。明日からテストがんばりましょうね!じゃ!」
へ?と聞き返そうとした瞬間に赤也はサッと自転車で走っていってしまった。
は?どういうこと?赤也も精市もわけわかんない…
次から次へと悩みの種が!
しかも苦手な恋愛分野!つぅかテスト前にこんなのありえない!…なんかイライラしてきたぞ…
「…なぁ、小夏…」
『あん!?今ちょっと考えごとしてっ…んっ!』
正直、キス、されるかと思った。
振り向いたらそれほど近くにブン太の顔があったんだ。
だからびっくりして目を閉じた。
でも聞こえたのは
「……はぁ…」
というブン太のため息。
『…え』
考えていた感触がないので、目をあけると苦しそうに笑うブン太の顔があった。
『ぶ、ブン太?ブン太どうしたの?どっかで痛いの?大丈夫?』
突然黙ってしまったブン太を前に焦るしかないあたし。
「…バカみてぇ…こんなん、舞い上がった俺が…」
『ブン太?』
「ワリィ。肉まん、今日はやめとく。また今度奢ってれよな。」
『は?え?』
「…テスト勉強、サボんなよぃ?また明日な…」
『!』
反対方向へ走り去るブン太を追いたくても、足が動かない。視線も定まらない。
拒否された。
そんな感じの最後の言葉。
ポロ…と涙が頬を伝った。
大切なものを
失った気がした。
友達と恋人
その違いを100字以内で簡潔に述べよ。
そんな質問にあなたならどう答えますか?
期末テストは3日間で九科目。最終日からは部活がまた、始まる。
『あ。赤也だ。』
テスト終了とともに生徒がはけたこの教室から何気なく見ていたグラウンドに元気よく癖ッ毛が飛び出してきた。
ここ何日間か真面目に勉強していたからだろうか。凄く嬉しそう。
対するあたしは結局ロクに勉強もできなくて、今回ほど不味いのはないと思う……
『はぁぁ~……』
あの勉強会の日以来崩れ始めた何か。
見た目には解らないだろうけど、確実に変わってしまった関係。
あたしは答えを知っている。
ただ、それに気づきたくないだけ。
「お、小夏。」
『ん?あ、ジャッカルだ。』
「なんか元気よくないみたいだな。どうした?」
『あ~う~…説明しがたい。ボキャブラリが少ない自分が憎い。』
「はは!小夏らしいな!そういやブン太も暗かったな最近。前まですげ~幸せそうだったのによ」
『ブン太も?』
「あぁ。知ってるか?小夏とブン太が付き合い始めた頃アイツな、」
**
「なぁなぁジャッカル!俺、小夏と付き合えることになったんだぜ!」
「マジかよ。そりゃあよかったなぁ。お前ずっと好きだって言ってたもんな。」
「まぁ、まだ‘仮’だけどな」
「‘仮’?」
「でもぜってー俺のほう向かせてやるっ!」
**
「ってな、そりゃもう輝いてたんだが」
『ブン太が?』
「なんかお前ら、前みたいに喋らなくなった気がするんだが、俺の勘違いか?」
『うぅん。違いないよ…うん。ありがとうジャッカル。』
「ん?おぅ。あ、じゃあ俺行くとこあるからよ。あんまり考え込むなよ?」
『ん。じゃね』
ブン太があたしを好きだった?
赤也もあたしが好きだった。
モテ期…分けてこいよな…
じゃなくて!
あたしは、きっと気づいてた。
気づいてたけど、知らぬふりをしてた。
いつだって自信なんてないし、気づいたからってどうしろっていうの。
だけどそうやって蓋をした気持ちがみんなを傷つけて。
仁王だって赤也だってブン太だって……そしてたぶん精市だって…
幸せなクリスマスが待っているはずだったのに、なぁ…
ねぇサンタさん
サンタさんがいるなら
プレゼントはいらないから
幸せなあの時間に戻して下さい。
end