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「小夏せーんせー」
『ん?』
新しく作ったテキストを見ながら歩いていたせいで反応が遅れた
私の背中をとったのは。
「ぎゅっぎゅ~」
『ッッ?!!』
「だーれだー」
『那智っくんっ?!』
「あれぇ~ばれちゃったみたい~」
と、いつもの飄々とした感じで那智君は言う。
だけどこんなところをGTR、B6の先生方、ましてや理事長、それよりも生徒たちに見られるわけにはいかなくて、じたばた暴れるけど、びくともしないのはやっぱり那智君が男の子、だから。
那智君からみれば私はA4の補習パートナー。
ただそれだけ、なんだから。
突如私を襲った感情は、ぴた、と私の身体を止めた。
その様子に何かを感じたのか、那智君は私らの前にひょい・と顔を覗かせて。
「せ・ん・せ」
『ひぁ?!』
「まぁた、なんか考えてたでしょ~?だめだよ~……俺の前で、そんな不安そうな顔すんなよ」
『!!?』
「ふふ~せんせい…何がそんなに、不安なの?」
時折見せるブラック那智君にも、いつもの優しげな那智君にも、ドキドキしっぱなしってことに、なんで気づいてくれないの?
大好きだから、大嫌いになりたいとか、変なの。
『な、んでも、ないよっ!さ、今日もはりきって補習しよー!!アホサイユへれっつ…っ?!』
ぐい、と突然腕を引かれて、
教室へ引き込まれたと気づいたのは、那智君の顔が、唇が触れそうなくらいに近づいたとき。
逃がさないとばかりに那智君の腕が私を閉じ込めて、壁に縫い付ける。
『え、あのっ…!』
「小夏せんせーはさ~ぁ…ちょっと鈍感すぎだよ?」
『へ』
「むかーしむかし、ある村に、越してきたばかりの娘が一人、おりました。」
『那智く、』
「いいから聞けって…」
『…っ!』
こくこく、とうなづくしかない私に満足したのか、那智君はイイコイイコと頭をなでて、話を続ける。
「その娘は、これまで村に存在しなかった[学校]というものを青空のもとで始めることにしました…」
話の続きは簡単に言えば、学校で共に学んでいくうちに、生徒だった一人の男の子と恋に落ちてしまうというもの。
「そして、年は経ち、もう貴方達に教えることは何もない、と告げられたその日。男の子は言いました。『このときを待ってたんだ。先生は、みんなの先生だったけど。もう僕はただの男だから、その男が先生に結婚を申し込んでも、良いですよね』と。娘は戸惑いながらも、嬉しさのあまり涙を流しました。そうです。娘もその男の子を愛してしまっていたからです。」
『あ、あの…?』
静かに聴いていた私だけど、どうしてもどうしても。
その娘と男の子が、自意識過剰といわれても…私と那智君に酷似しすぎていて、胸が高鳴るのを抑えられない。
二人はどうなってしまったのか。それが私たちの運命を示すようで。
「いい…?小夏せんせい」
『あ、』
じっと、瞳を覗き込まれて、珍しく真剣なヒカリが灯る。
「だから、もう少し、待ってて。小夏先生を攫いに行くよ。王子という名の、どこかの男子生徒が、ねっ!那智文庫、今日はここまでっ」
にこり、微笑んだら瞬時にいつもの那智君がそこにいた。
囲われていた拘束が解けて、手を引かれる。
その手にちゅ、と一つキスを落として。
さぁ、アホサイユに行こう、と。今日もがんばろうね、と。
ねぇ那智君。
この手からどきどきが伝わってくれないかな。
そうしたら、私、卒業式まで待てないかもしれないけれど。
それでもいいかな、なんて思えちゃうんだ。
あ、と立ち止まった那智君に、心臓がドキリ。
もしかして、もしかして。
「小夏せんせー?」
『な、なぁに?』
わざとらしく耳許に唇を寄せて、囁くように一言。
「俺が、小夏せんせいのことどう思ってるか、わかってるよね?」
どこかの国の御伽噺
20101014UP
友達に捧げた誕生日夢を少し改め。
『ん?』
新しく作ったテキストを見ながら歩いていたせいで反応が遅れた
私の背中をとったのは。
「ぎゅっぎゅ~」
『ッッ?!!』
「だーれだー」
『那智っくんっ?!』
「あれぇ~ばれちゃったみたい~」
と、いつもの飄々とした感じで那智君は言う。
だけどこんなところをGTR、B6の先生方、ましてや理事長、それよりも生徒たちに見られるわけにはいかなくて、じたばた暴れるけど、びくともしないのはやっぱり那智君が男の子、だから。
那智君からみれば私はA4の補習パートナー。
ただそれだけ、なんだから。
突如私を襲った感情は、ぴた、と私の身体を止めた。
その様子に何かを感じたのか、那智君は私らの前にひょい・と顔を覗かせて。
「せ・ん・せ」
『ひぁ?!』
「まぁた、なんか考えてたでしょ~?だめだよ~……俺の前で、そんな不安そうな顔すんなよ」
『!!?』
「ふふ~せんせい…何がそんなに、不安なの?」
時折見せるブラック那智君にも、いつもの優しげな那智君にも、ドキドキしっぱなしってことに、なんで気づいてくれないの?
大好きだから、大嫌いになりたいとか、変なの。
『な、んでも、ないよっ!さ、今日もはりきって補習しよー!!アホサイユへれっつ…っ?!』
ぐい、と突然腕を引かれて、
教室へ引き込まれたと気づいたのは、那智君の顔が、唇が触れそうなくらいに近づいたとき。
逃がさないとばかりに那智君の腕が私を閉じ込めて、壁に縫い付ける。
『え、あのっ…!』
「小夏せんせーはさ~ぁ…ちょっと鈍感すぎだよ?」
『へ』
「むかーしむかし、ある村に、越してきたばかりの娘が一人、おりました。」
『那智く、』
「いいから聞けって…」
『…っ!』
こくこく、とうなづくしかない私に満足したのか、那智君はイイコイイコと頭をなでて、話を続ける。
「その娘は、これまで村に存在しなかった[学校]というものを青空のもとで始めることにしました…」
話の続きは簡単に言えば、学校で共に学んでいくうちに、生徒だった一人の男の子と恋に落ちてしまうというもの。
「そして、年は経ち、もう貴方達に教えることは何もない、と告げられたその日。男の子は言いました。『このときを待ってたんだ。先生は、みんなの先生だったけど。もう僕はただの男だから、その男が先生に結婚を申し込んでも、良いですよね』と。娘は戸惑いながらも、嬉しさのあまり涙を流しました。そうです。娘もその男の子を愛してしまっていたからです。」
『あ、あの…?』
静かに聴いていた私だけど、どうしてもどうしても。
その娘と男の子が、自意識過剰といわれても…私と那智君に酷似しすぎていて、胸が高鳴るのを抑えられない。
二人はどうなってしまったのか。それが私たちの運命を示すようで。
「いい…?小夏せんせい」
『あ、』
じっと、瞳を覗き込まれて、珍しく真剣なヒカリが灯る。
「だから、もう少し、待ってて。小夏先生を攫いに行くよ。王子という名の、どこかの男子生徒が、ねっ!那智文庫、今日はここまでっ」
にこり、微笑んだら瞬時にいつもの那智君がそこにいた。
囲われていた拘束が解けて、手を引かれる。
その手にちゅ、と一つキスを落として。
さぁ、アホサイユに行こう、と。今日もがんばろうね、と。
ねぇ那智君。
この手からどきどきが伝わってくれないかな。
そうしたら、私、卒業式まで待てないかもしれないけれど。
それでもいいかな、なんて思えちゃうんだ。
あ、と立ち止まった那智君に、心臓がドキリ。
もしかして、もしかして。
「小夏せんせー?」
『な、なぁに?』
わざとらしく耳許に唇を寄せて、囁くように一言。
「俺が、小夏せんせいのことどう思ってるか、わかってるよね?」
どこかの国の御伽噺
20101014UP
友達に捧げた誕生日夢を少し改め。