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『あれっ雨だ…』
梓くんの部活が終わる頃合いを見計らって、校舎を出れば、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。
持っていた折りたたみ傘をぱんっと開け、弓道場へと道を急ぐ。
少しの間に、小さな水たまりができるほどに、雨足が強まる。
『着いた頃には、弱まればい…くしゅっ』
ふと呟いた願いはしかし、寒さのために出たくしゃみに消えた。
ぱしゃんぱしゃん
後ろで誰かがさっき見た水たまりを踏む音がして
そしたら愛しい声が耳に届いた。
「せんぱーいっ」
『え』
まさか後ろから駆けてくるとは思いもよらず、パッと振り向くと、その声を間違えるはずもなく、やっぱり梓くんがいた。
「今日は早く終わったので、飲み物買いに行ったんですが、先輩のが早く着いたみたいですね」
『あ、うん』
梓くんは、傘を持って出なかったのか、髪が濡れていた。
「はいっ、先輩、甘いココアが好きでしたよね?」
そんな言葉は耳に遠く、私はその姿に目を惹かれ
なんでだろう
いつものかわいかったり、かっこよかったりする梓くんじゃなくて、色気、が
どきどき どきどき
私の心臓がいつになく跳ねている。
どうしよう
その、全てがほしい、だなん て―
捕らえた梓くんの姿が近づくことすら、
『―あ』
ちゅ
と、微かに感じたのは唇の温もりで
「先輩に、ほしいって目をされたら、応えないわけにはいかないし」
それに
赤くなることすら忘れた、私の頬に触れて、彼は言う。
ほっぺを暖かくするなら、ココアよりもこっちのがいいですしね、と。
梓君の一言はいつでも甘く、いつも暖かく。
そして私は、また彼を羨望するんだ。
その雨音は甘く響いて甘音
20100516UP
あまおと
梓くんの部活が終わる頃合いを見計らって、校舎を出れば、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。
持っていた折りたたみ傘をぱんっと開け、弓道場へと道を急ぐ。
少しの間に、小さな水たまりができるほどに、雨足が強まる。
『着いた頃には、弱まればい…くしゅっ』
ふと呟いた願いはしかし、寒さのために出たくしゃみに消えた。
ぱしゃんぱしゃん
後ろで誰かがさっき見た水たまりを踏む音がして
そしたら愛しい声が耳に届いた。
「せんぱーいっ」
『え』
まさか後ろから駆けてくるとは思いもよらず、パッと振り向くと、その声を間違えるはずもなく、やっぱり梓くんがいた。
「今日は早く終わったので、飲み物買いに行ったんですが、先輩のが早く着いたみたいですね」
『あ、うん』
梓くんは、傘を持って出なかったのか、髪が濡れていた。
「はいっ、先輩、甘いココアが好きでしたよね?」
そんな言葉は耳に遠く、私はその姿に目を惹かれ
なんでだろう
いつものかわいかったり、かっこよかったりする梓くんじゃなくて、色気、が
どきどき どきどき
私の心臓がいつになく跳ねている。
どうしよう
その、全てがほしい、だなん て―
捕らえた梓くんの姿が近づくことすら、
『―あ』
ちゅ
と、微かに感じたのは唇の温もりで
「先輩に、ほしいって目をされたら、応えないわけにはいかないし」
それに
赤くなることすら忘れた、私の頬に触れて、彼は言う。
ほっぺを暖かくするなら、ココアよりもこっちのがいいですしね、と。
梓君の一言はいつでも甘く、いつも暖かく。
そして私は、また彼を羨望するんだ。
その雨音は甘く響いて甘音
20100516UP
あまおと