名前変換は小説によってあったりなかったりします。
stsk
名前変換設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
久しぶりの長期休暇。
私たち幼馴染は最近にしては珍しく、3人一緒に帰省していた。
『こんにちはー、まゆみさーん。哉太いますか?』
「あら!小夏ちゃんじゃないの!元気してたー?」
『お久しぶりです!』
勝手知ったる七海家の開放的な(あけっぱなしともいう)玄関から顔を覗かせて声をかければ、返ってきた懐かしいおばさんの声。相変わらずの明るい声色に、それだけのことでじーんと胸が熱くなる。地元って、やっぱり温かい。
「えっと、哉太、哉太だったわね!アイツたぶん部屋でゲームでもしてると思うわ。あー…呼ぶより行ったほうが早いと思うから、悪いけど上がってってくれる?ついでにゲームから引き剥がしてやって」
『あははっ!哉太らしいですね!わかりました、任せてくださいっ』
失礼しまーすと、哉太の部屋を一直線に目指す。
ノックは、なけなしの良心で一応。
とんとんとん、と軽く叩くが返事がない。
耳を澄ましても、機械音はおろか物音ひとつ、しない。
『さーては…』
お昼一番、突然寒くなったとはいえ、日差しは強いこの真昼間から寝ている、と。そういう。
『哉太?入るよ~…』
かちゃりと控え目に扉を開けて、やっぱり、と頬笑みが漏れた。
『熟睡ちゅーってか…まったくー…午後から宿題手伝ってと声をかけてきたのは、どっちだったでしょーかっ』
ベッドの淵に腰掛けて、哉太の寝顔を見やる。
こういうときでないと、哉太はこんなに近づかせてくれないもんね。
いつまで経っても恥ずかしがりで、でも背中で守ってくれたりして。
『頼りになるのかならないのか…ふふっ…』
ふわりふわりと、柔らかくて色素の薄いその髪を、梳くように、撫でる。
『でも、世界でいちばーん大好きだよ?』
そう呟いた瞬間、ビクリ、と撥ねた哉太の肩。
え?一瞬思考が止まりそうになるがしかし、この場合、考えられるのはただ一つ。
『……か、なた…起きてるでしょ…』
「…あー…小夏か…はよー」
『いかにも「今起きました」みたいな応対すんな馬鹿っ!!』
「なっ…!?起きぬけに馬鹿とはなんだ馬鹿とはっ!」
『馬鹿に馬鹿っていって何が悪いのっ!あーもー最悪…』
「なにが、だよっ」
『だって…』
付き合っても付き合う前とあまり変わらない関係。
哉太が恥ずかしがって言ってくれない「好き」って言葉。
まだ一度しか触れたことのない唇。
もどかしくて、でも私も意地張って。
『好きって…言ってよ』
「、は?」
『私だけ、言って、なんか、癪っ!』
「ちょ、小夏?」
『っ…言ってよぉ…不安になるときだって、ある、んだからぁ…』
突然溢れた感情に、自分で自分を抑えきれない、なんて、子供な。
顔が赤いのもわかる、呼吸が乱れてるのも、わかるのに。
あぁ、早く謝らなきゃ。違うの違うの、こんなこと、言いに来たんじゃ、ないの。
「っとに…、」
『!』
哉太のため息が聞こえた、次の瞬間、視界が反転して、目の前に哉太の顔。
私の背中に、柔らかい布団の感触。
これは、え、と。
「ありえねぇ…マジありえねぇ…。小夏、お前さ、ここが俺の部屋で、ここがベッドの上で、俺が男で、二人きりだってこと、わかってんのか?」
『え…?あ、うん?』
「なんで疑問形なんだよ、このバーカ」
『んなっ?!ば、馬鹿とは何よ!哉太のくせにっ!』
「馬鹿にバカって言って何が悪いんだよバーカっ」
『むっかー!そこどきなさいよばかなた!』
「あ?!お前、人の名前で遊んでんじゃねー!くそっ…一回黙れよっ、ンッ…」
『っ?!』
何かが自分の唇に触れたと気づくのに3秒。
キスをした、と気づくのに、さらに5秒。
時が止まったかと、そんな感覚。
「っ…責任、とれっ、この馬鹿…お前、危機感なさすぎっ…俺だって、我慢できなくなるとき、あんだぞ…」
珍しく、目線をそらさない哉太から、私も目がそらせない。
「男はなぁ…その…彼女を目の前にして、冷静でいられるようなヤツ、いねぇんだよっ!」
『…っじゃあ…、その、が、我慢なんか、しなくて、いいっ』
「っ~…!!小夏…可愛すぎ、だってのっ…!あーもー!!」
がしがしっと、頭をかきむしって呟かれた言葉に、なんとも心が満たされた。
すきだ…好きだ好きだっだいすき、だっ!
そんな秋も深まる、ある日の昼下がり。
負けないくらい、私も哉太が好き。
ありえねぇ、責任とれよ
20100925
私たち幼馴染は最近にしては珍しく、3人一緒に帰省していた。
『こんにちはー、まゆみさーん。哉太いますか?』
「あら!小夏ちゃんじゃないの!元気してたー?」
『お久しぶりです!』
勝手知ったる七海家の開放的な(あけっぱなしともいう)玄関から顔を覗かせて声をかければ、返ってきた懐かしいおばさんの声。相変わらずの明るい声色に、それだけのことでじーんと胸が熱くなる。地元って、やっぱり温かい。
「えっと、哉太、哉太だったわね!アイツたぶん部屋でゲームでもしてると思うわ。あー…呼ぶより行ったほうが早いと思うから、悪いけど上がってってくれる?ついでにゲームから引き剥がしてやって」
『あははっ!哉太らしいですね!わかりました、任せてくださいっ』
失礼しまーすと、哉太の部屋を一直線に目指す。
ノックは、なけなしの良心で一応。
とんとんとん、と軽く叩くが返事がない。
耳を澄ましても、機械音はおろか物音ひとつ、しない。
『さーては…』
お昼一番、突然寒くなったとはいえ、日差しは強いこの真昼間から寝ている、と。そういう。
『哉太?入るよ~…』
かちゃりと控え目に扉を開けて、やっぱり、と頬笑みが漏れた。
『熟睡ちゅーってか…まったくー…午後から宿題手伝ってと声をかけてきたのは、どっちだったでしょーかっ』
ベッドの淵に腰掛けて、哉太の寝顔を見やる。
こういうときでないと、哉太はこんなに近づかせてくれないもんね。
いつまで経っても恥ずかしがりで、でも背中で守ってくれたりして。
『頼りになるのかならないのか…ふふっ…』
ふわりふわりと、柔らかくて色素の薄いその髪を、梳くように、撫でる。
『でも、世界でいちばーん大好きだよ?』
そう呟いた瞬間、ビクリ、と撥ねた哉太の肩。
え?一瞬思考が止まりそうになるがしかし、この場合、考えられるのはただ一つ。
『……か、なた…起きてるでしょ…』
「…あー…小夏か…はよー」
『いかにも「今起きました」みたいな応対すんな馬鹿っ!!』
「なっ…!?起きぬけに馬鹿とはなんだ馬鹿とはっ!」
『馬鹿に馬鹿っていって何が悪いのっ!あーもー最悪…』
「なにが、だよっ」
『だって…』
付き合っても付き合う前とあまり変わらない関係。
哉太が恥ずかしがって言ってくれない「好き」って言葉。
まだ一度しか触れたことのない唇。
もどかしくて、でも私も意地張って。
『好きって…言ってよ』
「、は?」
『私だけ、言って、なんか、癪っ!』
「ちょ、小夏?」
『っ…言ってよぉ…不安になるときだって、ある、んだからぁ…』
突然溢れた感情に、自分で自分を抑えきれない、なんて、子供な。
顔が赤いのもわかる、呼吸が乱れてるのも、わかるのに。
あぁ、早く謝らなきゃ。違うの違うの、こんなこと、言いに来たんじゃ、ないの。
「っとに…、」
『!』
哉太のため息が聞こえた、次の瞬間、視界が反転して、目の前に哉太の顔。
私の背中に、柔らかい布団の感触。
これは、え、と。
「ありえねぇ…マジありえねぇ…。小夏、お前さ、ここが俺の部屋で、ここがベッドの上で、俺が男で、二人きりだってこと、わかってんのか?」
『え…?あ、うん?』
「なんで疑問形なんだよ、このバーカ」
『んなっ?!ば、馬鹿とは何よ!哉太のくせにっ!』
「馬鹿にバカって言って何が悪いんだよバーカっ」
『むっかー!そこどきなさいよばかなた!』
「あ?!お前、人の名前で遊んでんじゃねー!くそっ…一回黙れよっ、ンッ…」
『っ?!』
何かが自分の唇に触れたと気づくのに3秒。
キスをした、と気づくのに、さらに5秒。
時が止まったかと、そんな感覚。
「っ…責任、とれっ、この馬鹿…お前、危機感なさすぎっ…俺だって、我慢できなくなるとき、あんだぞ…」
珍しく、目線をそらさない哉太から、私も目がそらせない。
「男はなぁ…その…彼女を目の前にして、冷静でいられるようなヤツ、いねぇんだよっ!」
『…っじゃあ…、その、が、我慢なんか、しなくて、いいっ』
「っ~…!!小夏…可愛すぎ、だってのっ…!あーもー!!」
がしがしっと、頭をかきむしって呟かれた言葉に、なんとも心が満たされた。
すきだ…好きだ好きだっだいすき、だっ!
そんな秋も深まる、ある日の昼下がり。
負けないくらい、私も哉太が好き。
ありえねぇ、責任とれよ
20100925