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朝一番、お昼休み、帰り前、私が必ず寄り道する場所がある。
『せーんせ!!琥太センセ~!!』
「……小夏…お前は本当に…俺の睡眠時間を狙ったように現れるな…はぁ…」
『えっへへ~』
「えへへ、じゃないだろう…仕方ない、こっちに来なさい」
『は~いっ』
その手が招く方へふわふわと。
近づく距離は胸を高鳴らせる。
普段はこんなに近づけないから、だからわざわざ二人きりになれる時間を見計らってるんだよ、ごめんね先生。
でも、二人の時間は案外少ないから、さ。
「はい、今日はなんだ?」
『今日はリボン!』
「小夏なぁ…不器用を直してからにしなさい…こういうのは」
『うっ…そ、そんなハッキリ言わなくてもっ……』
「はは、冗談だよ…けど、こうでもしないとお前、練習しようとしないだろう?」
そう言いながらも、私の長い髪に触れる琥太先生の指は優しい。
スルリスルリと、手櫛を入れながら、綺麗にまとまっていく髪を、俯き加減の琥太先生を、鏡ごしに見つめる。
しないんじゃないよ、したくないんだよ・なんていう言い訳は心にしまって。
そのたかだか数分のことすら愛しいと思うから。
「はい、終わったぞ?」
『わぁ…また、綺麗な、』
あぁ、今日も早い、なぁ…少し残念な気持ちもあるけど、忙しい先生の手をこれ以上煩わしたらいけない・と。
これでも自分の立ち位置は間違えてないつもり。
付き合っていようとも、学校内では生徒と教師、大丈夫。
すっ、と立ち上がって、身体を反転。琥太先生にぺこりと頭を下げた。
『ありがとう先生っ』
「保健室はな、一応病人が寝るところなんだからな?」
『え、先生だっていつも寝てるじゃないですか!そんな言い訳、聞けません、よ~だっ』
「小夏、俺はな、一生治らない病を抱えてるんだぞ…そういう言い方は、よくない」
『、 え?』
目の前が真っ暗になった。
え?先生、今なんて?
『せ、んせ、は、病気、なの…?』
「あぁ、治る見込みは、ないな」
『えっ、や、やだっ…!やだ!』
出て行こうとした足を戻して、琥太先生の白衣にしがみついた。なりふり構っていられない。いつもと違う心臓の音。
『うそ、だよね?嘘でしょ、ねぇ、先生っ!』
「いや…残念ながら、本当だ。病名はな、」
『っや、聴きたくないっ!!やだっ!』
「小夏、」
『やだ、よ…先生がいない日常なんて…っ、こんなに好きな気持ち…どこにやればい……っン、んっ』
「、っ」
最後まで言わせてもらえなかったその言葉は、琥太先生の咥内に響いて消えた。
塞がれた唇。
息が続かず、苦しくて、霞む目に、相変わらず綺麗な顔がこちらを見つめてるのを捉えた。
『、っ、はっ、ハ…!』
「、っは、…人の話を、最後まで聞かないから、だぞ、っ」
『、だ、ってっ…!』
「いいか小夏。俺の病名はな、恋の病…所謂、恋煩い、だぞ?」
『………、へ?』
くしゃり、瞬間に崩れた先生の顔には、私の大好きな、琥太郎先生の微笑み。
「俺が恋煩いなんて、笑っちゃうだろ?……小夏が、ここに…俺の腕の中にいない間は、ずっとずーっと、いたたまれないんだぞ?だから、病人は、寝てるんだ。お姫様が逢いに来てくれるまで…ずっと、な。」
『っ……、そんな、のは、卑怯、ですっ……!』
「なにがだ?」
頬に触れた暖かい温もりに、あぁ、何もかも、浚われる。
『そんな、風に言われたら、許さなきゃならないです…、それに、それなら私だって…一緒に寝てなきゃ、いけないですっ…!』
「…そうだな、じゃあっ、」
『わっ!』
ひょ、と私の身体を抱き上げて、気づけば背中には、ベッドの感触。少し固くて、ひんやりしてて。
そして目の前には、天井…ではなくて、どうやら手で目隠しをされているようで、何も見えない。
『せ、んせ?!、ッ、』
「ンッ………」
柔らかい感触を唇に。
パッと開けた視界一杯に広がったのは、もちろん。
「さ、しばし二人で、眠ろうか…俺の病気を治せるのは、お前のキス、だけだ…」
最高級に甘い言葉を残し、隣に寝転がった琥太郎先生は。
瞬間的に寝息を立て始めた。
『…も…、ほんと…かなわないっ…』
くすり、小さく笑って、投げ出された手に、私の手を重ねたら
心地よい心音に誘われて
夢の中でも、愛しい貴方と二人きり
俺が恋煩いなんて、笑うだろ?
笑うどころかむしろ
嬉しすぎて涙が出るよ
20100712
Dear KAWORUSHINONOME
Thanks request!
『せーんせ!!琥太センセ~!!』
「……小夏…お前は本当に…俺の睡眠時間を狙ったように現れるな…はぁ…」
『えっへへ~』
「えへへ、じゃないだろう…仕方ない、こっちに来なさい」
『は~いっ』
その手が招く方へふわふわと。
近づく距離は胸を高鳴らせる。
普段はこんなに近づけないから、だからわざわざ二人きりになれる時間を見計らってるんだよ、ごめんね先生。
でも、二人の時間は案外少ないから、さ。
「はい、今日はなんだ?」
『今日はリボン!』
「小夏なぁ…不器用を直してからにしなさい…こういうのは」
『うっ…そ、そんなハッキリ言わなくてもっ……』
「はは、冗談だよ…けど、こうでもしないとお前、練習しようとしないだろう?」
そう言いながらも、私の長い髪に触れる琥太先生の指は優しい。
スルリスルリと、手櫛を入れながら、綺麗にまとまっていく髪を、俯き加減の琥太先生を、鏡ごしに見つめる。
しないんじゃないよ、したくないんだよ・なんていう言い訳は心にしまって。
そのたかだか数分のことすら愛しいと思うから。
「はい、終わったぞ?」
『わぁ…また、綺麗な、』
あぁ、今日も早い、なぁ…少し残念な気持ちもあるけど、忙しい先生の手をこれ以上煩わしたらいけない・と。
これでも自分の立ち位置は間違えてないつもり。
付き合っていようとも、学校内では生徒と教師、大丈夫。
すっ、と立ち上がって、身体を反転。琥太先生にぺこりと頭を下げた。
『ありがとう先生っ』
「保健室はな、一応病人が寝るところなんだからな?」
『え、先生だっていつも寝てるじゃないですか!そんな言い訳、聞けません、よ~だっ』
「小夏、俺はな、一生治らない病を抱えてるんだぞ…そういう言い方は、よくない」
『、 え?』
目の前が真っ暗になった。
え?先生、今なんて?
『せ、んせ、は、病気、なの…?』
「あぁ、治る見込みは、ないな」
『えっ、や、やだっ…!やだ!』
出て行こうとした足を戻して、琥太先生の白衣にしがみついた。なりふり構っていられない。いつもと違う心臓の音。
『うそ、だよね?嘘でしょ、ねぇ、先生っ!』
「いや…残念ながら、本当だ。病名はな、」
『っや、聴きたくないっ!!やだっ!』
「小夏、」
『やだ、よ…先生がいない日常なんて…っ、こんなに好きな気持ち…どこにやればい……っン、んっ』
「、っ」
最後まで言わせてもらえなかったその言葉は、琥太先生の咥内に響いて消えた。
塞がれた唇。
息が続かず、苦しくて、霞む目に、相変わらず綺麗な顔がこちらを見つめてるのを捉えた。
『、っ、はっ、ハ…!』
「、っは、…人の話を、最後まで聞かないから、だぞ、っ」
『、だ、ってっ…!』
「いいか小夏。俺の病名はな、恋の病…所謂、恋煩い、だぞ?」
『………、へ?』
くしゃり、瞬間に崩れた先生の顔には、私の大好きな、琥太郎先生の微笑み。
「俺が恋煩いなんて、笑っちゃうだろ?……小夏が、ここに…俺の腕の中にいない間は、ずっとずーっと、いたたまれないんだぞ?だから、病人は、寝てるんだ。お姫様が逢いに来てくれるまで…ずっと、な。」
『っ……、そんな、のは、卑怯、ですっ……!』
「なにがだ?」
頬に触れた暖かい温もりに、あぁ、何もかも、浚われる。
『そんな、風に言われたら、許さなきゃならないです…、それに、それなら私だって…一緒に寝てなきゃ、いけないですっ…!』
「…そうだな、じゃあっ、」
『わっ!』
ひょ、と私の身体を抱き上げて、気づけば背中には、ベッドの感触。少し固くて、ひんやりしてて。
そして目の前には、天井…ではなくて、どうやら手で目隠しをされているようで、何も見えない。
『せ、んせ?!、ッ、』
「ンッ………」
柔らかい感触を唇に。
パッと開けた視界一杯に広がったのは、もちろん。
「さ、しばし二人で、眠ろうか…俺の病気を治せるのは、お前のキス、だけだ…」
最高級に甘い言葉を残し、隣に寝転がった琥太郎先生は。
瞬間的に寝息を立て始めた。
『…も…、ほんと…かなわないっ…』
くすり、小さく笑って、投げ出された手に、私の手を重ねたら
心地よい心音に誘われて
夢の中でも、愛しい貴方と二人きり
俺が恋煩いなんて、笑うだろ?
笑うどころかむしろ
嬉しすぎて涙が出るよ
20100712
Dear KAWORUSHINONOME
Thanks request!