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「小夏~!!」
『あっ、一樹!こっちだよ~!』
ぼんやりぼんやりと浮かぶ提灯は、暗闇をものともせず明かりを灯す。
「おぅ!遅くなってごめんな」
『ううん、むしろお疲れ様なのに、無理言ってごめんね』
「小夏はまた…ってい!」
『っぎゃ!』
色気ない声が出たのは、一樹がシートに腰を下ろしたと同時におでこに走った衝撃のせい。
デコピンされたのだと気づいて、キッと睨むと、へらりと笑う一樹。
『もう!びっくりするじゃん!』
「小夏は謝りすぎだ。別に俺は小夏に何言われたって、小夏のこと嫌ったりしないから」
『!』
「遅い!、って怒ってもらったほうが気が楽なこともある」
『あ……ごめ、!』
「ほ・ら!また!話はもう終わりだ!花見酒~」
『っ、…ふふっ』
一樹がわざとおどけた風に言うのを見て心がほわっと暖かくなる。こういう瞬間、あぁ私はこの優しさの代わりに、一生をかけてこの人につくそうと、そう思って止まないのだ。
『今年は遅咲きでよかったねぇ』
「あぁ、長く待てば待つほど綺麗に見えるってもんだ」
ふと訪れた柔らかな沈黙に二人寄り添って、ピンクの花弁を見上げる。桜の下でお弁当とお酒、それに大事な人。なんという贅沢。
そんな贅沢を堪能して少し。
ちょっと今更ながらでも、出会ってから毎年続いている私たちだけの行事に移ってみる。
『あ、のさっ』
「ん?」
『そうえば、今日ってさ、』
「今日?」
わかっているんだろう一樹は、目だけで笑って私を見る。こういうとこ、本当意地悪。
『一樹、誕生日だったよね』
「、あぁ!そうだったな!」
『た、たまたま思い出したから、ケーキ買った!あと、プレゼントっ』
素直にずっと用意して待ってました、と言えない悲しさ。性格をどうにかしないと、と思う。
けど、それすらもバレてるんだからいいか・と甘えゆえに、ぎゅむ、とプレゼントを押し付けた。
「ありがとな!」
『っ…気に入って、もらえるかわかんないけどっ…』
「小夏が俺のこと想って選んでくれたんだろ、気に入らないわけがないさ」
『!、っ、そ…かなっ…』
毎年のようにそう言ってくれる一樹に、今年もまた恥ずかしくて頬を染める自分。そんな嬉しいこと言われ慣れてないから、ソワソワする。
ガサガサと包みを開けられて、出てきたキーケースには、私の部屋のスペアキーをつけておいた。
それを見つけてまた破顔する一樹。自分からしたことだけど、さらに羞恥が増す。
もじもじ。
「ありがとう。大・切・に、使わせていただきますっ」
『っ…ふぁぃ……』
「…ん?…ははっ、気になるか?それ」
『へ?』
恥ずかしさに俯いていた私は、そう言われて初めて、一樹の視線が私の指にあったことに気づく。そこには最近もらったばかりエンゲージリング。薬指のその重さにはまだ慣れず、つい指で弄ってしまう。
苦笑する一樹は、気になるなら取っておいていいんだぞ?と私の頭を撫でた。
『やだっ!』
「お?」
『絶対外さない!一樹が私のこと嫌いになってもこれだけは外さない!』
「…っ」
一瞬フリーズしたあと、一樹は、また、はははっ、と軽快に笑う。
それからふと、真剣な顔になるからドキっと心臓が跳ねた。
一樹の手が私の左手をとって、びくっとして顔を上げると
ちゅ
極自然に唇を奪われた。
『……、 、…っ?!!!!』
「やっぱプレゼントに必須なのはコレだよな!」
そう言って私を抱きしめる一樹の声は至極嬉しそう。
けど私は人目が気になって爆発必至だ。
『っちょ…!人、がっ』
「だーいじょぶだって!みんな自分自分の花見に必至さ…オレらのことなんか気にもされないよ」
『でもっ』
「ってか、キスは俺がしたいときにする、」
『ッ!』
「最初にそう言っただろ?」
ニッ、と自信満々に笑んだ一樹は、心なしか顔を朱く染めていた。
だから私は、突っ込みも愛だと言い聞かせて、一樹を小突いた。
『そんな昔のこと、…しっかり覚えてるよっばかずきっ!』
「じゃあ、これ、渡したときのことだって…しっかり覚えててる、そうだろ?」
『……っ…ごめんなさぃ…』
「今のごめんなさい、は正解!で、だから許す!」
俺のこと、信じてくれよ。小夏を嫌いになることなんて今までもこれからも、絶対ないから。
再び、プロポーズの言葉をもらっては、また泣きそうになる。
The Lovable CherryBlossom Season
こんなにも日常な風景も一つ一つが煌めく過去になる。
その過去を大切に保存して、いくつになってもこうして二人で、想って生きたい。
あなたと。
20120419 nagi
今年もぬいを祝える幸せに、ありがとう。
『あっ、一樹!こっちだよ~!』
ぼんやりぼんやりと浮かぶ提灯は、暗闇をものともせず明かりを灯す。
「おぅ!遅くなってごめんな」
『ううん、むしろお疲れ様なのに、無理言ってごめんね』
「小夏はまた…ってい!」
『っぎゃ!』
色気ない声が出たのは、一樹がシートに腰を下ろしたと同時におでこに走った衝撃のせい。
デコピンされたのだと気づいて、キッと睨むと、へらりと笑う一樹。
『もう!びっくりするじゃん!』
「小夏は謝りすぎだ。別に俺は小夏に何言われたって、小夏のこと嫌ったりしないから」
『!』
「遅い!、って怒ってもらったほうが気が楽なこともある」
『あ……ごめ、!』
「ほ・ら!また!話はもう終わりだ!花見酒~」
『っ、…ふふっ』
一樹がわざとおどけた風に言うのを見て心がほわっと暖かくなる。こういう瞬間、あぁ私はこの優しさの代わりに、一生をかけてこの人につくそうと、そう思って止まないのだ。
『今年は遅咲きでよかったねぇ』
「あぁ、長く待てば待つほど綺麗に見えるってもんだ」
ふと訪れた柔らかな沈黙に二人寄り添って、ピンクの花弁を見上げる。桜の下でお弁当とお酒、それに大事な人。なんという贅沢。
そんな贅沢を堪能して少し。
ちょっと今更ながらでも、出会ってから毎年続いている私たちだけの行事に移ってみる。
『あ、のさっ』
「ん?」
『そうえば、今日ってさ、』
「今日?」
わかっているんだろう一樹は、目だけで笑って私を見る。こういうとこ、本当意地悪。
『一樹、誕生日だったよね』
「、あぁ!そうだったな!」
『た、たまたま思い出したから、ケーキ買った!あと、プレゼントっ』
素直にずっと用意して待ってました、と言えない悲しさ。性格をどうにかしないと、と思う。
けど、それすらもバレてるんだからいいか・と甘えゆえに、ぎゅむ、とプレゼントを押し付けた。
「ありがとな!」
『っ…気に入って、もらえるかわかんないけどっ…』
「小夏が俺のこと想って選んでくれたんだろ、気に入らないわけがないさ」
『!、っ、そ…かなっ…』
毎年のようにそう言ってくれる一樹に、今年もまた恥ずかしくて頬を染める自分。そんな嬉しいこと言われ慣れてないから、ソワソワする。
ガサガサと包みを開けられて、出てきたキーケースには、私の部屋のスペアキーをつけておいた。
それを見つけてまた破顔する一樹。自分からしたことだけど、さらに羞恥が増す。
もじもじ。
「ありがとう。大・切・に、使わせていただきますっ」
『っ…ふぁぃ……』
「…ん?…ははっ、気になるか?それ」
『へ?』
恥ずかしさに俯いていた私は、そう言われて初めて、一樹の視線が私の指にあったことに気づく。そこには最近もらったばかりエンゲージリング。薬指のその重さにはまだ慣れず、つい指で弄ってしまう。
苦笑する一樹は、気になるなら取っておいていいんだぞ?と私の頭を撫でた。
『やだっ!』
「お?」
『絶対外さない!一樹が私のこと嫌いになってもこれだけは外さない!』
「…っ」
一瞬フリーズしたあと、一樹は、また、はははっ、と軽快に笑う。
それからふと、真剣な顔になるからドキっと心臓が跳ねた。
一樹の手が私の左手をとって、びくっとして顔を上げると
ちゅ
極自然に唇を奪われた。
『……、 、…っ?!!!!』
「やっぱプレゼントに必須なのはコレだよな!」
そう言って私を抱きしめる一樹の声は至極嬉しそう。
けど私は人目が気になって爆発必至だ。
『っちょ…!人、がっ』
「だーいじょぶだって!みんな自分自分の花見に必至さ…オレらのことなんか気にもされないよ」
『でもっ』
「ってか、キスは俺がしたいときにする、」
『ッ!』
「最初にそう言っただろ?」
ニッ、と自信満々に笑んだ一樹は、心なしか顔を朱く染めていた。
だから私は、突っ込みも愛だと言い聞かせて、一樹を小突いた。
『そんな昔のこと、…しっかり覚えてるよっばかずきっ!』
「じゃあ、これ、渡したときのことだって…しっかり覚えててる、そうだろ?」
『……っ…ごめんなさぃ…』
「今のごめんなさい、は正解!で、だから許す!」
俺のこと、信じてくれよ。小夏を嫌いになることなんて今までもこれからも、絶対ないから。
再び、プロポーズの言葉をもらっては、また泣きそうになる。
The Lovable CherryBlossom Season
こんなにも日常な風景も一つ一つが煌めく過去になる。
その過去を大切に保存して、いくつになってもこうして二人で、想って生きたい。
あなたと。
20120419 nagi
今年もぬいを祝える幸せに、ありがとう。