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夜中0時を回った。
(おめでとう、オレ)
心の中で呟いて、隣に眠る人をそっと見る。
去年も一昨年も、誕生日になった瞬間に何かサプライズを仕掛けてきた妻は今日は何もする気がないのかあるのか。
ドキドキしながら、そんな自分に苦笑する。
昔はこういうイベント事は全部全部嫌いだった。自分には家族がなかったし、無理にでも家族を思い出させるから。
でも今は違う。
寄り添って、一緒に暮らす、その幸せを手放したくないし、家族を大切にしたいと思う。
そこまで考えて、ふ、と現実に戻った思考。特になんの動きも見せない妻の背中を見て数秒。今回は日付と同時じゃないのかな、なんて期待半分残念な気持ち半分をかきけすようにその背中に擦りよった。
次の日。
仕事を見送られるまでも特にいつもと変わらない日常に、会社について少し疑心暗鬼する。もしかして忘れられたんじゃないか、なんて嫌な感情が湧き上がっては、小夏に限ってそんなことはない、と振り払う。
自分の周りでもだんだんと仲が冷めゆく夫婦はたくさんいた。自分がそうじゃないとは言えないけれど、毎日会話もするし笑顔も交わしあう。夜の営みだって、付き合い始めよりは減ったものの、少ないわけではない。夫婦仲はむしろよすぎると言っても過言じゃないはず。
(よし!今日はマッハで帰ろう!)
自分の誕生日にこんなに期待する大人もどうなんだ、って思われようが関係ない。不安を吹き飛ばすように頭を振って目の前の仕事に集中した。
そして――
予告通り、普段よりだいぶ早い時間に自宅に到着した俺は、家の扉を開けて驚愕した。
「、小夏……?」
真っ暗な部屋。
返事のない場所。
人の気配のない、ここ。
本格的に不安になってきて、家中の灯りをつけて、と言ってもたかだかマンションの一室だからそう時間もかからない。
「いない…」
誰もいない空間は酷く滑稽で、両親を失ったあの日を彷彿させる。
「小夏っ…!」
イスに座って真っ白になる頭。
そんな、まさか
どれくらいそうしていただろうか
突然、ガチャガチャと玄関でした音に、ハッと意識が浮上して、次に、鍵閉めたか?と最もすぎる事態に気づく。
『ちょ…鍵あけっぱ』
「っ、だれだっ!?」
『っひ?!…………って、わ、え、なんで、一樹っ?!』
「……小夏っ…」
小夏の顔を見た瞬間、張り詰めていた糸がプツンと途切れて体重比も考えず、小夏にもたれ掛かった。
『え、あ、わ、』
「…っは……よかった…」
『どしたの…?大丈…っわああああ?!』
「ん?」
突然叫んだ小夏に驚いて身体を離すと、床に白い箱が見えて、それをそっと包み込む小夏。
俺に触れるより優しいその手つきに、嫉妬したのは秘密だ。
「なんだ?」
『「なんだ」じゃないよ~!!あーん…せっかく買ったのにぃぃ…』
「?」
ひょぃと後ろから覗き込むと、そこにあったのは少し形が崩れたホールケーキ。
上には「ハッピーバースデー☆一樹」と書かれたクッキー生地のメッセージプレートが乗せられている。
「オレの…」
『そうだよ?自分で焼くつもりだったけど、この間からオープンの調子がおかしかったでしょ?だから買いに行ったの!』
「…」
『も~…せっかくのサプライズ計画が台無し!一樹も!こういう日は早く帰ったらだめだよ!いつも遅いからゆったりしちゃったじゃん!』
若干ひどいことを言われた気がしなくもないが、そこは都合のいい脳に忘れてもらうとしよう。
「そっか…サプライズ、…」
『ケーキ崩れちゃったけど…味は変わらないから食べるしかないかぁ…』
そうだ。小夏が俺を見捨てるわけない。俺が小夏を嫌いになんてなれないように。
あたりまえがあたりまえのように存在する幸せに感謝。
フワリ引き上げられた心のままに、また小夏を抱きしめる。
「ありがと」
『、っ…、おめでとうっ!』
静かに静かに
唇が触れ合って
少し形が崩れてしまったケーキはそっと冷蔵庫の中へ。
俺だけのお菓子は…こいつは、そっとベッドの上へ。
- 変わらぬ愛を永遠に -
この温もりが一番のプレゼント。
(おめでとう、オレ)
心の中で呟いて、隣に眠る人をそっと見る。
去年も一昨年も、誕生日になった瞬間に何かサプライズを仕掛けてきた妻は今日は何もする気がないのかあるのか。
ドキドキしながら、そんな自分に苦笑する。
昔はこういうイベント事は全部全部嫌いだった。自分には家族がなかったし、無理にでも家族を思い出させるから。
でも今は違う。
寄り添って、一緒に暮らす、その幸せを手放したくないし、家族を大切にしたいと思う。
そこまで考えて、ふ、と現実に戻った思考。特になんの動きも見せない妻の背中を見て数秒。今回は日付と同時じゃないのかな、なんて期待半分残念な気持ち半分をかきけすようにその背中に擦りよった。
次の日。
仕事を見送られるまでも特にいつもと変わらない日常に、会社について少し疑心暗鬼する。もしかして忘れられたんじゃないか、なんて嫌な感情が湧き上がっては、小夏に限ってそんなことはない、と振り払う。
自分の周りでもだんだんと仲が冷めゆく夫婦はたくさんいた。自分がそうじゃないとは言えないけれど、毎日会話もするし笑顔も交わしあう。夜の営みだって、付き合い始めよりは減ったものの、少ないわけではない。夫婦仲はむしろよすぎると言っても過言じゃないはず。
(よし!今日はマッハで帰ろう!)
自分の誕生日にこんなに期待する大人もどうなんだ、って思われようが関係ない。不安を吹き飛ばすように頭を振って目の前の仕事に集中した。
そして――
予告通り、普段よりだいぶ早い時間に自宅に到着した俺は、家の扉を開けて驚愕した。
「、小夏……?」
真っ暗な部屋。
返事のない場所。
人の気配のない、ここ。
本格的に不安になってきて、家中の灯りをつけて、と言ってもたかだかマンションの一室だからそう時間もかからない。
「いない…」
誰もいない空間は酷く滑稽で、両親を失ったあの日を彷彿させる。
「小夏っ…!」
イスに座って真っ白になる頭。
そんな、まさか
どれくらいそうしていただろうか
突然、ガチャガチャと玄関でした音に、ハッと意識が浮上して、次に、鍵閉めたか?と最もすぎる事態に気づく。
『ちょ…鍵あけっぱ』
「っ、だれだっ!?」
『っひ?!…………って、わ、え、なんで、一樹っ?!』
「……小夏っ…」
小夏の顔を見た瞬間、張り詰めていた糸がプツンと途切れて体重比も考えず、小夏にもたれ掛かった。
『え、あ、わ、』
「…っは……よかった…」
『どしたの…?大丈…っわああああ?!』
「ん?」
突然叫んだ小夏に驚いて身体を離すと、床に白い箱が見えて、それをそっと包み込む小夏。
俺に触れるより優しいその手つきに、嫉妬したのは秘密だ。
「なんだ?」
『「なんだ」じゃないよ~!!あーん…せっかく買ったのにぃぃ…』
「?」
ひょぃと後ろから覗き込むと、そこにあったのは少し形が崩れたホールケーキ。
上には「ハッピーバースデー☆一樹」と書かれたクッキー生地のメッセージプレートが乗せられている。
「オレの…」
『そうだよ?自分で焼くつもりだったけど、この間からオープンの調子がおかしかったでしょ?だから買いに行ったの!』
「…」
『も~…せっかくのサプライズ計画が台無し!一樹も!こういう日は早く帰ったらだめだよ!いつも遅いからゆったりしちゃったじゃん!』
若干ひどいことを言われた気がしなくもないが、そこは都合のいい脳に忘れてもらうとしよう。
「そっか…サプライズ、…」
『ケーキ崩れちゃったけど…味は変わらないから食べるしかないかぁ…』
そうだ。小夏が俺を見捨てるわけない。俺が小夏を嫌いになんてなれないように。
あたりまえがあたりまえのように存在する幸せに感謝。
フワリ引き上げられた心のままに、また小夏を抱きしめる。
「ありがと」
『、っ…、おめでとうっ!』
静かに静かに
唇が触れ合って
少し形が崩れてしまったケーキはそっと冷蔵庫の中へ。
俺だけのお菓子は…こいつは、そっとベッドの上へ。
- 変わらぬ愛を永遠に -
この温もりが一番のプレゼント。