名前変換は小説によってあったりなかったりします。
stsk
名前変換設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
この前梓くんにもらったお揃いのリストバンド。今日の朝もそれをして出てきたはずだった。
たしか、今日はテストがあったから、はずしたんだ。…でもどこではずしたっけ?それにはずしたそのあと…は…?
「先っぱーいっ!」
『っ!』
と、とりあえず平静を装っておかないと…。もらってすぐなくしたなんて言える訳ないし、探せばきっと見つかる…!
冬服になっても袖から覗くその細い腕には、リストバンドがあった。
『お疲れ様。今日は梓くんたち、一教科多いんだね』
「はいっ!おかげで一時間近く先輩に会えなくて最悪な気分でした。」
『全く…嬉しいけど、それじゃあテストに集中できてないんじゃないの?大丈夫?』
「僕を誰だと思ってるんですか先輩?テストなんか開始20分で終わらせたので心配はないです」
『………そうですか』
相変わらずというか、仕方ないのだろうけど、この呆れるほどの自信はどこからくるのだろう。
「さっ、とりあえず寮に戻りましょうか!」
『だね~。明日は最終日だからウエイトも心なしか重いし…あっ!!!ていうか明日、苦手科目ばかりだった!』
「先輩ーそれ昨日も言ってませんでした?」
『うっ、うるさいなぁっ!』
「じゃ、今日も一緒に勉強ですね!」
言うが早いか、私の手を取り歩き始めた梓くん。
あっあんまり引っ張ったら隠してた腕が…!
「あれ?先輩…今日はしてくれてないんですね…僕があげたリストバンド。」
『えっと…あの…』
嘘なんかつけるはずないのに。最初からその瞳に見つめられては、逃げ道なんてないのに。
『ごっ、ごめんなさいっ!』
「…」
『あのね、今日はテストだったでしょう?だから、汚したら嫌だなって思って置いてきたの。でも…どこではずしたか覚えてなくて…っ。大切にしすぎて、どこに仕舞ったのか…うそじゃないよ…信じて…?』
梓くんはずっと黙ったまま、どこか心ここにあらずな感じだ。
『だからね、今日は勉強会、中止でもいいかな…?絶対探すから…今から教室とか探して、家も探しすの…嫌いに…ならないで…』
次第に小さくなる声が、さらに私の気持ちを暗くさせる。
が
「せーんーぱいっ」
梓くんに無理矢理顔を上げさせられ、出かけた涙も止まってしまった。
「先輩?僕、そんな小さな男に見えますか?たしかに、もしなくなったのなら悲しいですけど、ないって決まったわけじゃないでしょう?それに」
ちゅ、と頬に唇を押し当て、続くのは優しい彼の言葉。
「それは僕があげたものだけど、僕の変わりじゃないんです。先輩は、本物の僕がいなくならないように、縛っておいてください?愛って名前の赤い糸でね。」
もちろん、僕からは絶対に離しませんけどね!
ふふっと笑う梓くんはとても綺麗で魅力的。私からだってその愛の赤い糸、離したりしないんだから。
-それは僕であり僕でない-
結局、もらったお揃いのリストバンドは、私の家にあった。
あろうことか、梓くんボックスと名付けた、思い出がぎっしり詰まった宝物箱のなかに、しっかりしまってあったのだ。
しかもそれを見つけたのは、当の梓くん本人だっていうね。
20091120UP
たしか、今日はテストがあったから、はずしたんだ。…でもどこではずしたっけ?それにはずしたそのあと…は…?
「先っぱーいっ!」
『っ!』
と、とりあえず平静を装っておかないと…。もらってすぐなくしたなんて言える訳ないし、探せばきっと見つかる…!
冬服になっても袖から覗くその細い腕には、リストバンドがあった。
『お疲れ様。今日は梓くんたち、一教科多いんだね』
「はいっ!おかげで一時間近く先輩に会えなくて最悪な気分でした。」
『全く…嬉しいけど、それじゃあテストに集中できてないんじゃないの?大丈夫?』
「僕を誰だと思ってるんですか先輩?テストなんか開始20分で終わらせたので心配はないです」
『………そうですか』
相変わらずというか、仕方ないのだろうけど、この呆れるほどの自信はどこからくるのだろう。
「さっ、とりあえず寮に戻りましょうか!」
『だね~。明日は最終日だからウエイトも心なしか重いし…あっ!!!ていうか明日、苦手科目ばかりだった!』
「先輩ーそれ昨日も言ってませんでした?」
『うっ、うるさいなぁっ!』
「じゃ、今日も一緒に勉強ですね!」
言うが早いか、私の手を取り歩き始めた梓くん。
あっあんまり引っ張ったら隠してた腕が…!
「あれ?先輩…今日はしてくれてないんですね…僕があげたリストバンド。」
『えっと…あの…』
嘘なんかつけるはずないのに。最初からその瞳に見つめられては、逃げ道なんてないのに。
『ごっ、ごめんなさいっ!』
「…」
『あのね、今日はテストだったでしょう?だから、汚したら嫌だなって思って置いてきたの。でも…どこではずしたか覚えてなくて…っ。大切にしすぎて、どこに仕舞ったのか…うそじゃないよ…信じて…?』
梓くんはずっと黙ったまま、どこか心ここにあらずな感じだ。
『だからね、今日は勉強会、中止でもいいかな…?絶対探すから…今から教室とか探して、家も探しすの…嫌いに…ならないで…』
次第に小さくなる声が、さらに私の気持ちを暗くさせる。
が
「せーんーぱいっ」
梓くんに無理矢理顔を上げさせられ、出かけた涙も止まってしまった。
「先輩?僕、そんな小さな男に見えますか?たしかに、もしなくなったのなら悲しいですけど、ないって決まったわけじゃないでしょう?それに」
ちゅ、と頬に唇を押し当て、続くのは優しい彼の言葉。
「それは僕があげたものだけど、僕の変わりじゃないんです。先輩は、本物の僕がいなくならないように、縛っておいてください?愛って名前の赤い糸でね。」
もちろん、僕からは絶対に離しませんけどね!
ふふっと笑う梓くんはとても綺麗で魅力的。私からだってその愛の赤い糸、離したりしないんだから。
-それは僕であり僕でない-
結局、もらったお揃いのリストバンドは、私の家にあった。
あろうことか、梓くんボックスと名付けた、思い出がぎっしり詰まった宝物箱のなかに、しっかりしまってあったのだ。
しかもそれを見つけたのは、当の梓くん本人だっていうね。
20091120UP