2023 advent calendar
「最近ずっとみんなとブラッククリスマスの準備ばっかりしてるじゃん。だから今夜はぼくがあんたの時間独り占めするって決まったから」
そんなふうに直球で言われては断ることなんてできるはずはない。というか、ベルフェのお誘いを私が断るわけもないんだけど。
二つ返事でOKを出し、待ちに待った夜。
「じゃ、行こっか」
部屋まで迎えにきてくれたベルフェに手を引かれて二人きり。なんだか悪いことをしているようで気分が高揚する。もちろんみんなと一緒の時も忙しくも楽しい時間を過ごしているんだけど、こうやって二人だけの時間を満喫できるのは嬉しい。そして、一日が終わる最後の一秒までを大好きな人と過ごせることは、もっと嬉しい。
さて、ベルフェ連れて行かれたのは魔界の片隅にある湖のほとり。
「ここは来たことなかったよね」
「そう、だねぇ。初めて来た気がする」
「ふふ、じゃあぼく、あんたの初めてもらっちゃったってことだね」
「っ、」
「ふふ、何思い出したの?イケナイこと?」
「そ、そんな!」
「そっちはまた後で頂く予定だけど、先に。せっかくだからプレゼントを用意してるんだ。見ててね」
そこまで言うとベルフェはいかにもなジェスチャーで、えいっと小さなステッキを振った。
途端、どこからともなく星が目の前に集まってきて、出来上がったのは星の月。あまりにもロマンチックで感嘆の溜め息を漏らすことしかできずにいると、気に入ってくれた?と不安気なセリフが飛んできてハッとした。
「気に入らないわけないよ!すっごく素敵でびっくりしてたの……」
「それならよかった。さ、乗ろう」
「乗れるの!?」
「うん、もちろん。お手をどうぞ、なんてね」
先に星の月に乗っかったベルフェは、私に手を差し伸べてくれる。できすぎたシチュエーションに内心であわあわ、でも顔には出さないようにと気をつけても、くすくすと笑われてしまうとどうしようもなくなる。
「ううう……ベルフェがいつも以上にかっこいい……王子様みたい」
「あんたの王子様になれるなら、ぼく、なんでもしちゃうかも」
「なんでも!?」
「なんでも。なにがしてほしい?」
なんて、他愛も無い話をしながら水上に月を浮かべて二人ゆらゆら。気まぐれに揺れる星の月から落ちそうになってばかりなので、ベルフェがそれとなく腰を引き寄せて抱きしめてくれるのが優しくて嬉しくて。頬が緩みっぱなしのことをまた指摘されて笑い合う。
普段となんらかわりないことを非日常のシチュエーションでやっていると、逆にそれが一緒にいられることは当たり前のことじゃないんだ、この時間、一秒一秒を無駄にしないで大切にしなくちゃと思わせてくれて、なんだか涙が溢れてきた。視界が潤って下を向くと、それを雰囲気で感じたのか、ふわりふわりと頭を撫でられて、胸がはち切れちゃいそう。
「ベルフェ、だいすきだよ。世界で一番、ベルフェのことが好き」
なんとか絞り出した言葉に対し、ちゅっと髪に口付けられて、ああもう、どれだけ好きにさせたら気が済むんだろ。
「あんたはいつもぼくを幸せにしてくれるから、ぼくも毎日毎日あんたを幸せにするね。約束」
「わたし、ベルフェが幸せでいてくれたらそれだけでいい。でも、でも、二人で幸せなら、もっと嬉しい」
「うん。知ってる。この景色がぼくからのプレゼントだよ」
水面に浮かび上がるキラキラのメッセージは「Me and you. Always.」これは私の心の中のアルバムにしっかりしまっておこう。誰にも見せてあげないんだから。
「今日は本当にありがとう……今日だけは、今日が終わるまでは、私だけのベルフェでいてね」
「何言ってるの。ぼくはずっとあんただけのものなんだから、あんたもぼくだけのものって自覚持ってよね」
見つめあうと照れちゃうから、そっと瞼を閉じて。あとは彼の唇を受け取れるだけ。
きっとずっと、私たちは二人で幸せを育めるよね。
だいすきで、あいしてる君と、ずっと。
そんなふうに直球で言われては断ることなんてできるはずはない。というか、ベルフェのお誘いを私が断るわけもないんだけど。
二つ返事でOKを出し、待ちに待った夜。
「じゃ、行こっか」
部屋まで迎えにきてくれたベルフェに手を引かれて二人きり。なんだか悪いことをしているようで気分が高揚する。もちろんみんなと一緒の時も忙しくも楽しい時間を過ごしているんだけど、こうやって二人だけの時間を満喫できるのは嬉しい。そして、一日が終わる最後の一秒までを大好きな人と過ごせることは、もっと嬉しい。
さて、ベルフェ連れて行かれたのは魔界の片隅にある湖のほとり。
「ここは来たことなかったよね」
「そう、だねぇ。初めて来た気がする」
「ふふ、じゃあぼく、あんたの初めてもらっちゃったってことだね」
「っ、」
「ふふ、何思い出したの?イケナイこと?」
「そ、そんな!」
「そっちはまた後で頂く予定だけど、先に。せっかくだからプレゼントを用意してるんだ。見ててね」
そこまで言うとベルフェはいかにもなジェスチャーで、えいっと小さなステッキを振った。
途端、どこからともなく星が目の前に集まってきて、出来上がったのは星の月。あまりにもロマンチックで感嘆の溜め息を漏らすことしかできずにいると、気に入ってくれた?と不安気なセリフが飛んできてハッとした。
「気に入らないわけないよ!すっごく素敵でびっくりしてたの……」
「それならよかった。さ、乗ろう」
「乗れるの!?」
「うん、もちろん。お手をどうぞ、なんてね」
先に星の月に乗っかったベルフェは、私に手を差し伸べてくれる。できすぎたシチュエーションに内心であわあわ、でも顔には出さないようにと気をつけても、くすくすと笑われてしまうとどうしようもなくなる。
「ううう……ベルフェがいつも以上にかっこいい……王子様みたい」
「あんたの王子様になれるなら、ぼく、なんでもしちゃうかも」
「なんでも!?」
「なんでも。なにがしてほしい?」
なんて、他愛も無い話をしながら水上に月を浮かべて二人ゆらゆら。気まぐれに揺れる星の月から落ちそうになってばかりなので、ベルフェがそれとなく腰を引き寄せて抱きしめてくれるのが優しくて嬉しくて。頬が緩みっぱなしのことをまた指摘されて笑い合う。
普段となんらかわりないことを非日常のシチュエーションでやっていると、逆にそれが一緒にいられることは当たり前のことじゃないんだ、この時間、一秒一秒を無駄にしないで大切にしなくちゃと思わせてくれて、なんだか涙が溢れてきた。視界が潤って下を向くと、それを雰囲気で感じたのか、ふわりふわりと頭を撫でられて、胸がはち切れちゃいそう。
「ベルフェ、だいすきだよ。世界で一番、ベルフェのことが好き」
なんとか絞り出した言葉に対し、ちゅっと髪に口付けられて、ああもう、どれだけ好きにさせたら気が済むんだろ。
「あんたはいつもぼくを幸せにしてくれるから、ぼくも毎日毎日あんたを幸せにするね。約束」
「わたし、ベルフェが幸せでいてくれたらそれだけでいい。でも、でも、二人で幸せなら、もっと嬉しい」
「うん。知ってる。この景色がぼくからのプレゼントだよ」
水面に浮かび上がるキラキラのメッセージは「Me and you. Always.」これは私の心の中のアルバムにしっかりしまっておこう。誰にも見せてあげないんだから。
「今日は本当にありがとう……今日だけは、今日が終わるまでは、私だけのベルフェでいてね」
「何言ってるの。ぼくはずっとあんただけのものなんだから、あんたもぼくだけのものって自覚持ってよね」
見つめあうと照れちゃうから、そっと瞼を閉じて。あとは彼の唇を受け取れるだけ。
きっとずっと、私たちは二人で幸せを育めるよね。
だいすきで、あいしてる君と、ずっと。