第1話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
敦君──白虎は咆哮を上げ、治に襲い掛かる。それを避けると振り下ろされた爪は木箱を粉々にした。
次に白虎が目を付けたのは、ボクだ。飛び掛かってくるのを避ける。先刻ボクが居たところの地面は粉々に砕けていた。危なかった……。ッと悠長にしてる場合じゃない。
「こりゃ凄い力だ。人の首くらい簡単に圧し折れる」
『治、手助け要る?』
「大丈夫、花圃は離れてて」
『……、判った』
そう言って、治と白虎から距離を取る。これで、
白虎からの猛攻を避け続けていた治。しかし、ついには壁際まで追い込まれた。このままじゃ……!
「おっと」
『治!』
「大丈夫だって。獣に喰い殺される最期というのも、中々悪くはないが……君では私を殺せない」
「──異能力《人間失格》!」
治の左手に光が現れる。そして襲い掛かってきた白虎の眉間を左の指先で突く。
光の奔流が、白虎を包み込んでいく。
「私の能力は──あらゆる他の異能力を触れただけで無効化する」
そして光は収縮し、爆ぜる。光が消えると、中から人間に戻った敦君が現れた。そして、治の胸にもたれかかる。
『敦君!』
「男と抱き合う趣味はな『おっと、セーフ』……花圃」
治が敦君を床に投げつけた直後、ボクが彼を抱き留めた。これで激突は防いだ。
敦君をゆっくりと床に寝かせる。当分目は覚めないだろう。
『そういう趣味がないからって、投げるのはないだろう』
「花圃に変な虫が付いて欲しくないだけなのだよ」
「おい太宰、花圃!」
ボク達とは違う声がした。倉庫の入り口の方を振り向くと、国木田さんだった。
「あぁ、遅かったね、国木田君。虎は捕まえたよ」
治が敦君を指差す。それに驚いたのか、少し目を見張る国木田さん。最初はボクも驚いたよ。
「その小僧……じゃあ、そいつが」
『はい、虎の異能力者です。変身している間の記憶がなかったようで』
「全く──次から事前に説明しろ。なんだこのメモは、肝が冷えたぞ」
そう言って国木田さんが取り出したのは、茶屋で治が渡したモノだ。
それにはこう書いてある。
“十五番街の西倉庫に虎が出る。逃げられぬよう周囲を固めろ”
「おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。皆に酒でも奢れ」
国木田さんがそう云うと、倉庫の入り口から3人入ってきた。皆ボクたちの仕事仲間だ。
「なンだ、怪我人はなしかい?つまんないねェ」
大きな蝶の髪飾りを付けた、ボブカットの女性。
与謝野晶子──能力名《
「はっはっは、中々できるようになったじゃないか、太宰に花圃。まぁ僕には及ばないけどね!」
江戸川乱歩──能力名《超推理》
「でも、この人どうするんです?自覚はなかったわけでしょ?」
麦わら帽子に
宮沢賢治──能力名《雨ニモマケズ》
「そうだな……、どうする太宰?一応、区の災害指定猛獣だぞ」
国木田独歩──能力名《独歩吟客》
「うふふ……実はもう決めてある」
太宰治──能力名《人間失格》
「うちの社員にする」
治のその発言はまさに爆弾だった。
「おおーーー♡」
賢治君は目を輝かせ、
「なにそれ…」
与謝野
「やっぱり馬鹿だな、太宰は」
乱歩さんは面白がり、
「はああァア!!?何の権限があって貴様はァアア!!!!」
国木田さんはキレまくってた。
これが事の始まり──
怪奇ひしめくこの街で
変人揃いの探偵社でこれより始まる怪奇譚
これが先触れ、前兆し──
怪奇ひしめくこの街で
変人揃いの探偵社でこれより始まる怪奇譚
これが先触れ、前兆し──
「zzz……」
中島敦──能力名《月下獣》
そして──
『これから、楽しみだね♪』
三宅花圃──能力名《藪の鶯》・《二十四の瞳》
5/5ページ