このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ダージリンの雫

僕らは、寝る場所を転々とした。



同じ場所にいると、大人に捕まって孤児院に詰め込まれる可能性が高いし、治安が悪いから、目をつけられる可能性がある、と僕がリアムに伝えたからだ。



孤児院は酷いところだと、孤児院を抜け出した子達から聞いた。



自分たちは抜け出したから、見つかったら酷い目にあわされると。



その子達と一緒に逃げた子が、目の前で殺された、と。



だから、大人に見つからないようにしないといけなかった。



ある時は、生ごみの、腐敗臭を放つごみ捨て場で、蝿と寝た。



またある時は、ドラム缶の中で凍えそうになりながら寝た。



マンホールの下に潜り込んで、生臭い水に吐き気を催しながら寝た。



そして、リアムが盗ってきたパンをふたりで分けた。



盗んできたことはわかってた。
払うお金なんて、持ってないんだから。
僕もこのパンを齧った時から共犯だ。



それでも生きるんだ、って、リアムを見て勇気づけられたんだ。



リアムの瞳が青い炎で燃えていたから。
4/16ページ
スキ