二番煎じな内容が多いです。
リベロな彼に私の才能発掘されました。
空欄の場合は「納豆」になります。
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「じゃあこの間分けた男女別チームになって7分間そのチームで練習。それが終わったらコート上手くローテしながら使って試合なー」
先生は一回教務室に忘れ物取りに行ってくるから、と言って体育館を出ていった体育教師。私達は先生から言われたように前回の授業で分けられたチーム同士で集まり、準備体操と軽いウォーミングアップを始めた。
ポンッと友達にオーバーでボールを上げる。
バレー部でもない私達でも中学の授業でも数回はやっている為、ラリーぐらいなら朝飯前だ。
「あっ、やっば!ごめん納豆……!」
「んー、いーよー別にー」
朝飯前だ、なんて考えていた途端にアンダーでミスった友達。私に向かう筈だったボールはかなり高く上がりながら私の位置から大きく反れていく。
だが、皆が苦手だというアンダーに不思議と苦手意識の無い私は軽く返事を返しながら、ボールの落下地点へと軽く走る。
そしてアンダーの体勢をとりながら後ろに居る友達の元へ、トンッとバックアンダーでボール返した。
「ナイスー!!」
「さっすがー!」
「バレー部入った方が良いんじゃないー?」
「やめてよ照れて禿げる」
「ちょっとやめてよ冗談きつい。まだまだフッサフサの年頃でしょーに」
再びポンッとラリーを始め出した友達のもとに小走りで戻り、冗談を交えながら楽しい7分間を過ごした。
…………最近起きると髪の毛抜けすぎてて本当に禿げるか心配になってきてるんだけどそれを友達に言うか言うまいか、私は未だに悩んでいる。
「んじゃ、はじめんぞー」
パパッとコートに入り、相手側のコートに居る普段見慣れた面子の友達と「お願いしまーす」と、改めて言い合うことに新鮮さを感じ、思わずニヤニヤとしながら相手を見てしまう。それは相手も同じようで、必死に隠そうとしているのだろうが隠しきれていないニヤニヤ顔にスパイクを決めたくなった。
ピーッと先生が笛を吹くと5分間の短い試合が始まった。
最初のサーブは向こうからだ。ポジションとかそういう専門的なのは無しで全員がボールに触れる、というのを目標にした一般的な授業内容。そっちのほうが単純だから有り難い。
「納豆、そっち行ったよ!」
「おっけー」
トンッとアンダーで上に上げると、隣にいた子が〇〇ちゃん!と言いながらその子にトスをあげ、それを不恰好ながらに打ち、こちらの得点。行ける、そう思った瞬間視界の端に映ったのは目を輝かせたあの人だった。
まただ、そう思いながらも『彼』の方は向かずに真っ直ぐと相手のチームを見据える。
ふいに友達から肩をつつかれ、それに ん? と返事を返すと、恐らく私を見ているであろう彼のことを横目で見ながら友達は私に話し出す。
「また納豆ちゃんのこと見てるね、
『西谷くん』」
「……うん、そうみたいだね」
「モテる女は大変ですなぁー!」
「違うから……」
私を見てきているのは、クラスの中でもかなり中心人物の『西谷夕』だ。嘘をつかなさそうな彼の言葉は今までに何度も沢山の人を救ってきた。……らしい。
らしいというのは実際に私は彼と話したことが無いため、彼のことを全然知らないのだ。
ま、まあ、今まで通りに行くのなら今日も多分授業が終われば視線は消えるだろうしね…。
多分きっと、この言葉がフラグだったんだ。
「いぇーい全勝ー」
「……納豆のレシーブが的確すぎて怖いわ」
「今日大活躍したんだから褒めてよ」
「今日も でしょ?」
前もそうだったじゃん、という友達はやれやれと首を横に振りながら教室へと歩き出した。私はその一連の行動をぼーっと眺めていたが、途中で我に返り友達を追おうとした。
そう、した のだ。
「なあ!」
後ろから大きな声で呼び止められる。
その声は、日頃教室で聞きなれている彼の声で────思わずビクッと肩を震わせた。ギギギ……と、ブリキのオモチャを動かしたように首だけを少しずつ後ろに向かせると案の定、そこにはさっきまで私を見つめていた彼がいた。
「朝霧さん、だよな」
「う、ん」
彼はスゥッと息を吸い上げ、フゥッと吐く。
まるで、何か大切なことを言おうとしているかのような動作に口元がひくつく。
そして彼は、もう一度息を吸うと私に向かって凛とした声でこう言った。
「レシーブ、凄いっすね」
「は?」
そういえば彼は……バレー部だったっけな。
私がその事実に気付いたのは明らかにもう遅いことだった。
目を反らしたくなるほどの真っ直ぐな彼の目に私の視界はグラリ、と揺れる。
これはなんとなく、なんとなくだが……
なぜか、今までの生活には戻れなくなったような気がした。
それもこれもきっと全部、今目の前に居る彼のせいなんだろうな。
無駄な確信だけを得て、予想通り私の生活はこの日を境に大きく変わってしまった。
「朝霧さん!!」
「うわっ」
あの日から彼は毎日私に関わってくるようになった。正直な話、彼のような真っ直ぐなタイプは私のような人間からしてみれば目に毒なのだ。けして嫌いでは無いのだけれど、彼の目を見るといつも視界が揺らぐ。
そもそも彼は「レシーブ、凄いっすね」と、言ってきたが私からすればごく一般的で彼の方が断然上手いと思う。……いや、思うではなくそうなのだ。聞けばバレー部でリベロをしていると言う。なぜ、そんな彼が私に?
「ねぇ、西谷くん?」
「なんだ!」
「ずっと聞きたかったんだけどさ、私よりも西谷くんのレシーブの方が断然上手いと思うよ」
「知ってる!」
「はい??」
知ってる、と断言した彼。思わず間抜けな声で反応してしまった。自分でもう分かってるじゃん、なんて心の中で悪態をついていると彼は「でも」と、その言葉の続きを話しだす。
「でも、朝霧さんのが上だ」
「……ん?え、どういうことデスカ?」
「だから、俺より朝霧さんのが上!!」
「え、でもさっき私よりも上手いって……」
「あぁ、今はな!」
ますます彼の言いたいことが分からなくなってしまった。「今はな」とは、どういうことなんだろう。まさか彼は私がいつか彼をも超える人間になるとでも思っているのか。だとしたらそれは残念ながら勘違いだ。私にはそんな才能なんて無い。あったら今頃大活躍しているだろう。それなのに、彼の目を見ていると彼が本気なのが痛いくらいに伝わってくるから、口から否定する言葉が出ないんだ。……あぁ、やっぱり、彼の目は苦手だな。
「来い!朝霧!」
「え、ちょっ、はっ!?」
キーンコーンカーンコーンと、放課後のチャイムが鳴ると西谷くんは真っ先に私の手を掴み、教室から連れ出した。教室に居る私の友達がぽかーんとしながら私達を見ていたのが一瞬視界に映る。皆さん、できればぽかーんとしていないで助けてほしいかな!!!
私の抵抗も虚しく、行く先も分からぬまま私は彼に手を引っ張られ続けるのだった。あぁもう……茶碗蒸しが食べたいな。
先生は一回教務室に忘れ物取りに行ってくるから、と言って体育館を出ていった体育教師。私達は先生から言われたように前回の授業で分けられたチーム同士で集まり、準備体操と軽いウォーミングアップを始めた。
ポンッと友達にオーバーでボールを上げる。
バレー部でもない私達でも中学の授業でも数回はやっている為、ラリーぐらいなら朝飯前だ。
「あっ、やっば!ごめん納豆……!」
「んー、いーよー別にー」
朝飯前だ、なんて考えていた途端にアンダーでミスった友達。私に向かう筈だったボールはかなり高く上がりながら私の位置から大きく反れていく。
だが、皆が苦手だというアンダーに不思議と苦手意識の無い私は軽く返事を返しながら、ボールの落下地点へと軽く走る。
そしてアンダーの体勢をとりながら後ろに居る友達の元へ、トンッとバックアンダーでボール返した。
「ナイスー!!」
「さっすがー!」
「バレー部入った方が良いんじゃないー?」
「やめてよ照れて禿げる」
「ちょっとやめてよ冗談きつい。まだまだフッサフサの年頃でしょーに」
再びポンッとラリーを始め出した友達のもとに小走りで戻り、冗談を交えながら楽しい7分間を過ごした。
…………最近起きると髪の毛抜けすぎてて本当に禿げるか心配になってきてるんだけどそれを友達に言うか言うまいか、私は未だに悩んでいる。
「んじゃ、はじめんぞー」
パパッとコートに入り、相手側のコートに居る普段見慣れた面子の友達と「お願いしまーす」と、改めて言い合うことに新鮮さを感じ、思わずニヤニヤとしながら相手を見てしまう。それは相手も同じようで、必死に隠そうとしているのだろうが隠しきれていないニヤニヤ顔にスパイクを決めたくなった。
ピーッと先生が笛を吹くと5分間の短い試合が始まった。
最初のサーブは向こうからだ。ポジションとかそういう専門的なのは無しで全員がボールに触れる、というのを目標にした一般的な授業内容。そっちのほうが単純だから有り難い。
「納豆、そっち行ったよ!」
「おっけー」
トンッとアンダーで上に上げると、隣にいた子が〇〇ちゃん!と言いながらその子にトスをあげ、それを不恰好ながらに打ち、こちらの得点。行ける、そう思った瞬間視界の端に映ったのは目を輝かせたあの人だった。
まただ、そう思いながらも『彼』の方は向かずに真っ直ぐと相手のチームを見据える。
ふいに友達から肩をつつかれ、それに ん? と返事を返すと、恐らく私を見ているであろう彼のことを横目で見ながら友達は私に話し出す。
「また納豆ちゃんのこと見てるね、
『西谷くん』」
「……うん、そうみたいだね」
「モテる女は大変ですなぁー!」
「違うから……」
私を見てきているのは、クラスの中でもかなり中心人物の『西谷夕』だ。嘘をつかなさそうな彼の言葉は今までに何度も沢山の人を救ってきた。……らしい。
らしいというのは実際に私は彼と話したことが無いため、彼のことを全然知らないのだ。
ま、まあ、今まで通りに行くのなら今日も多分授業が終われば視線は消えるだろうしね…。
多分きっと、この言葉がフラグだったんだ。
「いぇーい全勝ー」
「……納豆のレシーブが的確すぎて怖いわ」
「今日大活躍したんだから褒めてよ」
「今日
前もそうだったじゃん、という友達はやれやれと首を横に振りながら教室へと歩き出した。私はその一連の行動をぼーっと眺めていたが、途中で我に返り友達を追おうとした。
そう、
「なあ!」
後ろから大きな声で呼び止められる。
その声は、日頃教室で聞きなれている彼の声で────思わずビクッと肩を震わせた。ギギギ……と、ブリキのオモチャを動かしたように首だけを少しずつ後ろに向かせると案の定、そこにはさっきまで私を見つめていた彼がいた。
「朝霧さん、だよな」
「う、ん」
彼はスゥッと息を吸い上げ、フゥッと吐く。
まるで、何か大切なことを言おうとしているかのような動作に口元がひくつく。
そして彼は、もう一度息を吸うと私に向かって凛とした声でこう言った。
「レシーブ、凄いっすね」
「は?」
そういえば彼は……バレー部だったっけな。
私がその事実に気付いたのは明らかにもう遅いことだった。
目を反らしたくなるほどの真っ直ぐな彼の目に私の視界はグラリ、と揺れる。
これはなんとなく、なんとなくだが……
なぜか、今までの生活には戻れなくなったような気がした。
それもこれもきっと全部、今目の前に居る彼のせいなんだろうな。
無駄な確信だけを得て、予想通り私の生活はこの日を境に大きく変わってしまった。
「朝霧さん!!」
「うわっ」
あの日から彼は毎日私に関わってくるようになった。正直な話、彼のような真っ直ぐなタイプは私のような人間からしてみれば目に毒なのだ。けして嫌いでは無いのだけれど、彼の目を見るといつも視界が揺らぐ。
そもそも彼は「レシーブ、凄いっすね」と、言ってきたが私からすればごく一般的で彼の方が断然上手いと思う。……いや、思うではなくそうなのだ。聞けばバレー部でリベロをしていると言う。なぜ、そんな彼が私に?
「ねぇ、西谷くん?」
「なんだ!」
「ずっと聞きたかったんだけどさ、私よりも西谷くんのレシーブの方が断然上手いと思うよ」
「知ってる!」
「はい??」
知ってる、と断言した彼。思わず間抜けな声で反応してしまった。自分でもう分かってるじゃん、なんて心の中で悪態をついていると彼は「でも」と、その言葉の続きを話しだす。
「でも、朝霧さんのが上だ」
「……ん?え、どういうことデスカ?」
「だから、俺より朝霧さんのが上!!」
「え、でもさっき私よりも上手いって……」
「あぁ、今はな!」
ますます彼の言いたいことが分からなくなってしまった。「今はな」とは、どういうことなんだろう。まさか彼は私がいつか彼をも超える人間になるとでも思っているのか。だとしたらそれは残念ながら勘違いだ。私にはそんな才能なんて無い。あったら今頃大活躍しているだろう。それなのに、彼の目を見ていると彼が本気なのが痛いくらいに伝わってくるから、口から否定する言葉が出ないんだ。……あぁ、やっぱり、彼の目は苦手だな。
「来い!朝霧!」
「え、ちょっ、はっ!?」
キーンコーンカーンコーンと、放課後のチャイムが鳴ると西谷くんは真っ先に私の手を掴み、教室から連れ出した。教室に居る私の友達がぽかーんとしながら私達を見ていたのが一瞬視界に映る。皆さん、できればぽかーんとしていないで助けてほしいかな!!!
私の抵抗も虚しく、行く先も分からぬまま私は彼に手を引っ張られ続けるのだった。あぁもう……茶碗蒸しが食べたいな。