二番煎じな内容が多いです。
リベロな彼に私の才能発掘されました。
空欄の場合は「納豆」になります。
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「「お願いしァーす!」」
準々決勝、相手は和久谷南高校。事前に行った調査だと和久谷南の主将のプレースタイルが日向くんが憧れている小さな巨人と似ていることが分かった。つまり、現段階だと最も小さな巨人に近い人ということになる。
それをまだ日向くんに伝えてはいないが、試合してみればすぐにわかるだろう。……それよりも昨日からずっと胸騒ぎが収まらない。集中しなきゃ…。
今日は上でいつも一緒に試合を見ているメンバーに見かけない人が交じっていた。その人はなんと龍のお姉さんらしく、確かに龍の面影があるお姉さん……冴子さんは人の良い笑顔で私と仁花ちゃんに接してくれた。なんか途中で仁花ちゃんが冴子さんと私の胸あたりを見てから自分の胸あたりを見て動揺していたのだが、お願いだから冴子さんのモノと比較するのはやめてくれ……。
試合はお互い一歩も譲らない転回で進んでいく。相手は日向くんを最初から警戒していたらしく一発目に変人速攻を決められても落ち着いて対処していた。……確かにこれは相性悪いや。
相手の主将さんはブロックアウトを狙う絶妙なスパイクをかましてくるので、さっきから良い流れを切るかのようにちょいちょい挟まれているのでとてもやりづらい。
「ひ、日向…いつにも増してスゴいですね!」
「うん、そうだね。小さな巨人に似ている相手の主将さんに感化されてるんじゃないかな?」
「おお……なるほど……」
「ふふっ、でも仁花ちゃん。ウチの王道エースも忘れちゃ駄目だよ?」
「…………あ!」
丁度思い出せた仁花ちゃんが声を上げた瞬間、まるで狙っていたかのようなタイミングで東峰先輩の強烈なスパイクが二枚ブロックをぶち抜き鋭い角度でコートに叩きつけられた。
そしてようやく和久谷南との点差が二点に開いた時、澤村先輩の声が響いた。
「ここがチャンスだ! 勢いにのるぞ!!」
やっぱり澤村先輩がいると空気が安定感がある。主将だからってのもあるけど、言葉に重みがあるというか、〝落ちた強豪〟時代を過ごした先輩達だからこそ今背負っている重荷がこっちにも伝わってくるんだ。
大丈夫、いつも通りやればきっと勝てる……。
だけど、だけどどうして、こんなに胸騒ぎがするのだろう。
「ラスト返せ!」
長いラリーを続ける先輩達のそんな声が聞こえる。
嫌な予感が最高潮に達したその瞬間、思わず耳を塞ぎたくなるような鈍い音が耳に届き──
「……大地さん?」
コートの中で澤村先輩が、倒れていたんだ。
「あ、ああ…! 納豆先輩どうしますか!?」
真っ青になった仁花ちゃんが震えながら私の方を見た。私は澤村先輩に駆け寄る先輩達を呆然と見下ろしながら「え、ぁ、う…」と歯切れの悪い言葉で仁花ちゃんへの返答に困っていた。
すると、下の方で潔子先輩が私達に手招きをしながら少し大きめの声で「ちょっと降りてきてもらえるかな」と、私達へ呼び掛けてきた。
「い、こう、仁花ちゃん」
「はい……!」
仁花ちゃんと二人で下へと向かう道を走り出すと、視界の隅に及川さんと岩泉さんが心配そうにこちらを見ているのが映る。及川さんは性格が悪いと聞いていたけど、普通にいい人そうじゃないか。ちょっとチャラいけど……。岩泉さんは安定に男前!!!
「というわけで、朝霧さんか谷地さんのどちらかに清水さんと一緒に澤村君のことを医務室に送って様子を見ていて欲しいんです。なので悪いのですが、片方が着いてきて、もう片方がここで清水さんの代わりにマネージャーとしてベンチに居て欲しいのですが…」
お願いします、と申し訳なさそうに言う武田先生の隣にいつもよりちょっと不安そうな顔をした潔子先輩が立っている。いち早く澤村先輩を医務室に連れていって診て貰いたいんだろうな。でもどうしようか。前回私がベンチに居たのだから今回は仁花ちゃんに譲るべきなのかな。けれど、澤村先輩が抜けるということは確実に守備力がダウンするというわけで、守備というか、レシーブ関係は私の得意分野でもあるわけだから何かあったときの対策の為に私が居た方が良いのかな、というのも本音。
なにも言えずに狼狽えていた私。それを見兼ねてか隣に居た仁花ちゃんが決意した声で私に意気揚々と告げてきた。
「私が着いていきます! 私よりも納豆先輩の方が専門的な分野に詳しいですしアドバイスもできます。私はまだまだ未熟なので、今この場ではあまり役に立てることが見つからないので……。烏野が、私達が、次に進むためにもここで残るべきなのは私じゃなくて納豆先輩だと思います!!」
「仁花ちゃん…」
その言葉を聞いたとき、一瞬本気で泣きそうになってしまった。本当に良い後輩を持った感動と、自分の事が認められていた事実と、仁花ちゃんの本気、全てに心を揺さぶられたのだ。
「仁花ちゃん、私、絶対に烏野を負けさせないから」
「はい!! よろしくお願いしますッ」
「……じゃあ納豆ちゃん、後はお願い」
「任せてください潔子先輩」
烏野の勝利、掴んでみせます。
澤村先輩と潔子先輩と仁花ちゃんと烏養さんの四人で医務室に行くことになり、サポート側に残されたのは私と武田先生の二人だけ。いつも頼りになる人大黒柱が居ないのは凄く不安で、いつかはそれが当たり前になる日が来るのだと思うとぞっとする。
「朝霧さん、とにかく澤村君の代わりに誰をいれますか?」
「──……それはもう決まってますね」
「……?」
「きっと彼しかいないと思います」
頼りになる人 が居なくなった後の烏野を背負うのも、今こうして居ない澤村先輩の代わりを担うのも、彼しかいないじゃん。多分三年生も二年生も、もしかしたら一年生も…澤村先輩の代わりは君しかいないと思ってるよ、────縁下くん。
菅原先輩に応援されながらコートに入っていく縁下くんの後ろ姿はまだ戸惑いが消えていないように見えた。……それもそうだ。今まで傍に居た大黒柱の前でプレイすることとその大黒柱になることとじゃ重みが全く違うのだから。だけど、勘違いしないでほしい。皆この場面では縁下くん以外は無いと、ちゃんと思っている。縁下くんはちゃんと皆に認められている。それに澤村先輩の代わりを完璧に担うことなんてできやしないのも皆分かっているんだ。だからそんなときは周りを頼りながら成長していくんだってことを分かって欲しい。
それで今度は──縁下くんがそれを伝えていかなきゃならないんだから。
「頑張れ、縁下くん……!」
だけど、いつだってそう簡単に世の中は回ってくれないんだ。
「中島ナイッサー!」
相手の主将さんの鋭いサーブが入ってきてばかりの縁下くんに向かってとんでいく。縁下くんは上手くそのサーブを捉えきれず本来上げる場所とは全く違う方向へボールは弾かれていった。
「……朝霧さん、ちょっといいかな!?」
「はい?」
二本目のサーブは縁下くんが見事にレシーブをし、それを影山くんがトスを上げて東峰先輩が強烈なスパイクを決めてこちら側の得点になった。そしてその勢いで今度は東峰先輩がサービスエースをとる。しかし二回目は上げられてしまい、ツーアタックで点をとられてしまう。コートにチラチラと目をやりつつ私はウォームアップゾーンにいる彼に向かって呼び掛けた。
「山口……朝霧が呼んでるぞ?」
「ヒィッ!?」
準々決勝、相手は和久谷南高校。事前に行った調査だと和久谷南の主将のプレースタイルが日向くんが憧れている小さな巨人と似ていることが分かった。つまり、現段階だと最も小さな巨人に近い人ということになる。
それをまだ日向くんに伝えてはいないが、試合してみればすぐにわかるだろう。……それよりも昨日からずっと胸騒ぎが収まらない。集中しなきゃ…。
今日は上でいつも一緒に試合を見ているメンバーに見かけない人が交じっていた。その人はなんと龍のお姉さんらしく、確かに龍の面影があるお姉さん……冴子さんは人の良い笑顔で私と仁花ちゃんに接してくれた。なんか途中で仁花ちゃんが冴子さんと私の胸あたりを見てから自分の胸あたりを見て動揺していたのだが、お願いだから冴子さんのモノと比較するのはやめてくれ……。
試合はお互い一歩も譲らない転回で進んでいく。相手は日向くんを最初から警戒していたらしく一発目に変人速攻を決められても落ち着いて対処していた。……確かにこれは相性悪いや。
相手の主将さんはブロックアウトを狙う絶妙なスパイクをかましてくるので、さっきから良い流れを切るかのようにちょいちょい挟まれているのでとてもやりづらい。
「ひ、日向…いつにも増してスゴいですね!」
「うん、そうだね。小さな巨人に似ている相手の主将さんに感化されてるんじゃないかな?」
「おお……なるほど……」
「ふふっ、でも仁花ちゃん。ウチの王道エースも忘れちゃ駄目だよ?」
「…………あ!」
丁度思い出せた仁花ちゃんが声を上げた瞬間、まるで狙っていたかのようなタイミングで東峰先輩の強烈なスパイクが二枚ブロックをぶち抜き鋭い角度でコートに叩きつけられた。
そしてようやく和久谷南との点差が二点に開いた時、澤村先輩の声が響いた。
「ここがチャンスだ! 勢いにのるぞ!!」
やっぱり澤村先輩がいると空気が安定感がある。主将だからってのもあるけど、言葉に重みがあるというか、〝落ちた強豪〟時代を過ごした先輩達だからこそ今背負っている重荷がこっちにも伝わってくるんだ。
大丈夫、いつも通りやればきっと勝てる……。
だけど、だけどどうして、こんなに胸騒ぎがするのだろう。
「ラスト返せ!」
長いラリーを続ける先輩達のそんな声が聞こえる。
嫌な予感が最高潮に達したその瞬間、思わず耳を塞ぎたくなるような鈍い音が耳に届き──
「……大地さん?」
コートの中で澤村先輩が、倒れていたんだ。
「あ、ああ…! 納豆先輩どうしますか!?」
真っ青になった仁花ちゃんが震えながら私の方を見た。私は澤村先輩に駆け寄る先輩達を呆然と見下ろしながら「え、ぁ、う…」と歯切れの悪い言葉で仁花ちゃんへの返答に困っていた。
すると、下の方で潔子先輩が私達に手招きをしながら少し大きめの声で「ちょっと降りてきてもらえるかな」と、私達へ呼び掛けてきた。
「い、こう、仁花ちゃん」
「はい……!」
仁花ちゃんと二人で下へと向かう道を走り出すと、視界の隅に及川さんと岩泉さんが心配そうにこちらを見ているのが映る。及川さんは性格が悪いと聞いていたけど、普通にいい人そうじゃないか。ちょっとチャラいけど……。岩泉さんは安定に男前!!!
「というわけで、朝霧さんか谷地さんのどちらかに清水さんと一緒に澤村君のことを医務室に送って様子を見ていて欲しいんです。なので悪いのですが、片方が着いてきて、もう片方がここで清水さんの代わりにマネージャーとしてベンチに居て欲しいのですが…」
お願いします、と申し訳なさそうに言う武田先生の隣にいつもよりちょっと不安そうな顔をした潔子先輩が立っている。いち早く澤村先輩を医務室に連れていって診て貰いたいんだろうな。でもどうしようか。前回私がベンチに居たのだから今回は仁花ちゃんに譲るべきなのかな。けれど、澤村先輩が抜けるということは確実に守備力がダウンするというわけで、守備というか、レシーブ関係は私の得意分野でもあるわけだから何かあったときの対策の為に私が居た方が良いのかな、というのも本音。
なにも言えずに狼狽えていた私。それを見兼ねてか隣に居た仁花ちゃんが決意した声で私に意気揚々と告げてきた。
「私が着いていきます! 私よりも納豆先輩の方が専門的な分野に詳しいですしアドバイスもできます。私はまだまだ未熟なので、今この場ではあまり役に立てることが見つからないので……。烏野が、私達が、次に進むためにもここで残るべきなのは私じゃなくて納豆先輩だと思います!!」
「仁花ちゃん…」
その言葉を聞いたとき、一瞬本気で泣きそうになってしまった。本当に良い後輩を持った感動と、自分の事が認められていた事実と、仁花ちゃんの本気、全てに心を揺さぶられたのだ。
「仁花ちゃん、私、絶対に烏野を負けさせないから」
「はい!! よろしくお願いしますッ」
「……じゃあ納豆ちゃん、後はお願い」
「任せてください潔子先輩」
烏野の勝利、掴んでみせます。
澤村先輩と潔子先輩と仁花ちゃんと烏養さんの四人で医務室に行くことになり、サポート側に残されたのは私と武田先生の二人だけ。いつも頼りになる人大黒柱が居ないのは凄く不安で、いつかはそれが当たり前になる日が来るのだと思うとぞっとする。
「朝霧さん、とにかく澤村君の代わりに誰をいれますか?」
「──……それはもう決まってますね」
「……?」
「きっと彼しかいないと思います」
菅原先輩に応援されながらコートに入っていく縁下くんの後ろ姿はまだ戸惑いが消えていないように見えた。……それもそうだ。今まで傍に居た大黒柱の前でプレイすることとその大黒柱になることとじゃ重みが全く違うのだから。だけど、勘違いしないでほしい。皆この場面では縁下くん以外は無いと、ちゃんと思っている。縁下くんはちゃんと皆に認められている。それに澤村先輩の代わりを完璧に担うことなんてできやしないのも皆分かっているんだ。だからそんなときは周りを頼りながら成長していくんだってことを分かって欲しい。
それで今度は──縁下くんがそれを伝えていかなきゃならないんだから。
「頑張れ、縁下くん……!」
だけど、いつだってそう簡単に世の中は回ってくれないんだ。
「中島ナイッサー!」
相手の主将さんの鋭いサーブが入ってきてばかりの縁下くんに向かってとんでいく。縁下くんは上手くそのサーブを捉えきれず本来上げる場所とは全く違う方向へボールは弾かれていった。
「……朝霧さん、ちょっといいかな!?」
「はい?」
二本目のサーブは縁下くんが見事にレシーブをし、それを影山くんがトスを上げて東峰先輩が強烈なスパイクを決めてこちら側の得点になった。そしてその勢いで今度は東峰先輩がサービスエースをとる。しかし二回目は上げられてしまい、ツーアタックで点をとられてしまう。コートにチラチラと目をやりつつ私はウォームアップゾーンにいる彼に向かって呼び掛けた。
「山口……朝霧が呼んでるぞ?」
「ヒィッ!?」