二番煎じな内容が多いです。
後退ト前進ノ章
空欄の場合は「納豆」になります。
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全ての怪我が完治した私達に次の任務の伝令が届いた。善逸が嫌だ嫌だと腰辺りにすがりついてくるのを軽くあしらいながら私、炭治郎、伊之助はテキパキと屋敷を出る準備を進め、最終的には頑なに動こうとしない善逸に「じゃあ置いていくね。さよなら」と言って三人で出ようとしたら「行くよォ!行くから置いていかないでくれえぇぇ!!」と泣きながら物凄い速さで準備し始めた。最初からそのくらい早く動いてくれたら楽だけど……善逸は無理かなぁ。「嫌だよォ」「怖いよぉ」とブツブツ呟きながら準備する善逸を炭治郎が何とか落ち着かせようとしていたが、炭治郎が口を開く度に善逸が目をギッ!と鋭く吊り上げ「俺は炭治郎達とは違って凄く弱いんだからビビるのは当たり前だろ!!!」と先に喚き散らして炭治郎を黙らせていた。
そんなこんなで全員の準備が終わり、屋敷を出る。お世話になったお婆さんに「ありがとうございました!」と各々お礼を告げていき切り火をしてもらう。その際、山育ちの伊之助は切り火が何だか分からなかったらしくお婆さんに「何すんだ!!」と飛びかかろうとしたりなどハプニングが色々とあったが無事に屋敷を出て次の任務先へと向かうことが出来た。道中、伊之助による怒涛の質問攻めに炭治郎がむっ!として走るスピードを速めた時もあったので、そこらへんで私と善逸は二人に振り回されたりしたがそれは気合いで乗り越えた。
そしてようやく日が暮れ始めた頃、私達が向かっていた次の任務先──『那多蜘蛛山』付近に到着した。那多蜘蛛山からは前回の任務で十二鬼月の下弦と出会った時と同じくらいの『嫌な気』を感じる。むしろ……前回よりも酷いくらいに。鬼の数も多い。それに加え、気配から察するに個々の力もかなり強い。恐らく、この那多蜘蛛山に居る鬼の中には十二鬼月が居るはずだ。
十二鬼月でない鬼に対しても苦戦するような私たちが、この場で役に立てることはあるのかな。肉の壁となってより強い人たちを庇うことは出来る。でもまず、私達が十二鬼月を倒すようなことは──……。
蜜璃さんと任務を共にしたことによって、自分の弱さを実感させられてしまった。それはこれから私が成長していくにおいて良いことかもしれないが、その事実が自分の心を深く抉る。ズキリと胸に痛みが走るのを感じた。
さてあとは山の中に入るだけだというところでついに善逸が座り込み「待ってくれ!」と再び駄々を捏ね始めた。私達三人は屋敷の時のように何とかして善逸を連れていこうとするが、怖がるばかりで全く動く素振りを見せない。
どうしようかと炭治郎と顔を見合わせたとき
「うわあああああ!!」
「「!?」」
少し先の道から男の悲痛な叫び声が聞こえた。私達は急いで声のした方へ向かう。
そこにいたのは地面に倒れた男の人。鬼殺隊の隊服を着ている。つまりこの人もこの山に任務で来ていたということが分かった。
私達が「大丈夫ですか!?」と声を掛けるとその人は僅かにピクリと体を動かす。その瞬間、その人は糸のようなものに引っ張られて山の中に引き込まれていった。「繋がっていた!俺にも!」という言葉を残して。その光景を見て絶句してしまう善逸。顔色がさっきよりもかなり悪い。
そんな固まってしまった空気を壊したのは炭治郎。炭治郎が山に向かって走り出した後ろ姿をすかさず伊之助が追いかけていく。私も勿論その後を追おうと踏み出した途端、グイッと羽織の裾を後ろから引っ張られ邪魔をさてしまう。犯人は分かっている。後ろで顔を真っ青にして震えている善逸だ。
「善逸、離して。助けに行かなきゃ」
「いやいやいや……無理でしょ。無理すぎるでしょ。だってあんなあからさまに嫌な雰囲気醸し出してるんだよ?炭治郎や伊之助は強いし逞しいから良いかもしれないけど俺はこんなだよ??それに納豆ちゃんだってか弱い女の子なんだよ??どんなに呼吸の使い方が上手くても、きっとまた怪我をする……。君は怖くないの?もしかしたら死んでしまうかも知れないんだよ??」
善逸から放たれた『死』という単語にドキリと心臓が一際強く波打つ。
その気持ちは、今まで言葉に出したことは無かった。
言葉にしたら弱い自分は逃げ出してしまいそうだと怖くなったからだ。
私はずっと目を背け続けてきた。
────『死』という恐怖から。
「そんなことないよ」と、一言言ってしまえば話は終わる。そして早く二人の後を追いかけないといけないというのに。なぜか口が動かず声が出ない。冷や汗が背中を伝っていく感覚にゾワリと鳥肌がたつ。一向に定まらない視線や忙しなく羽織の袖を触ったりする私は善逸から見たら図星を突かれたようにしか見えないだろう。確かに図星ではあるのだけれど。
「……それを今口にしてどうするの?」
「え、ぁ、それは……」
「『死にたくない』なんて今更口にしたって、鬼殺隊である限り鬼と戦わないなんて選択肢は絶対にないじゃん」
「そう、なんだけど…さ」
「下手に覚悟が揺らぐようなこと言わないで欲しい。……私だって本当は、」
ギュッと手を握りしめる。
──それは善逸に対する八つ当たりだった。
たった一言が私の心の隙間と傷の間に滑り込んでジワリジワリ…と侵食してくるその感覚が気持ち悪くて仕方がない。まるで自分の中を土足で踏み荒らされたようだ。
善逸は、間違えたことは言っていない。『死』というものは、人である限り大半の人間の恐怖の対象となってしまう。当たり前のように今ここに存在しているのに、それが当たり前では無くなる。それを非日常を嫌うような人間の本能が理解の中から弾き飛ばしてしまうのは仕方の無いことなのかもしれない。
善逸は普通の人よりもとても素直だ。自分の気持ちに正直で、言い換えてしまうと自分のことをよく理解出来ている人間だと言ってもいい。しかし、そんな彼は自分が強い人であることを自覚していない。それは彼の本能がその事実を認識することを理解の中から弾き飛ばしたということなのか、否か。いくら考えても答えは出ないだろう。
とにかく今は、彼にこんな