二番煎じな内容が多いです。
門出ノ章
空欄の場合は「納豆」になります。
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夕飯は私の好きな天ぷら。お婆さんのご飯は絶品だから、お婆さんが作ってくれた天ぷらを食べられるとは…幸せすぎる。いち早く食事の席につき、早く食べたいな〜とソワソワしていたらそんな私を見て善逸と炭治郎は顔を見合わせて小さく笑いあった。何だか馬鹿にされたような気がする……。善逸と炭治郎を軽く睨むと二人はとぼけた顔をして顔をそらす。あれは絶対に私のこと馬鹿にしてたやつだ!!!
何か一言言ってやろうかと思ったら伊之助が「いただきます」も言わずにご飯を食べ始めた為、二人のことは放置して慌てて伊之助の手を制止させた。食事を邪魔された伊之助はとても不機嫌な顔で「なんだよ!」と、私を威嚇する。私は伊之助がこれ以上不機嫌にならないように優しく言葉をかける。
「せっかく皆で食べるんだから一緒にいただきますしよ?」
「なんでお前らをわざわざ待たなきゃなんだよ。それになんで食べるモンに『いただきます』なんざ言わねえとなんだ?」
「えっ!えっと、それはー……」
「なぁ、なんでだよ??」
「うーん…私達って生き物の命を貰ってるからご飯を食べられてるでしょ?だから、その命をいただくって意味と感謝の気持ちを表すので、いただきますって言うんだよ。み、皆を待たなきゃいけないっていうのは……。えー……絶対駄目って訳じゃないんだけど……なんて言えばいいんだろう」
改めて聞かれると説明に困る…と私が黙ってしまうと伊之助は尚更謎が深まってしまったようで眉間に皺を寄せて納得のいかない表情をしていた。うまく説明出来なくて申し訳ないです……。
このままだと伊之助が更に質問攻めをしてきそうだと悟った炭治郎と善逸は急いで座ると「待たせてごめんな!」「じゃあ食べようか!!」と言って再び伊之助の意識をご飯に向けさせた。『ありがとう』という気持ちを込めて二人に目配せをすると二人とも『どういたしまして』というように首を横に振って微笑んだ。それでは今度こそと手を合わせいただきますをしてご飯を食べ始める。
伊之助は山育ちのようで箸の使い方が分からないらしく手掴みでご飯を食べた。それなら箸の使い方を教えてあげようと伊之助に箸の持ち方のお手本を見せるも「そんなちまちましたことしたくねぇ」という伊之助の言葉に一蹴されてしまう。野生児というのも中々大変。
頬っぺたが落ちそうになるくらい美味しい天ぷらを頬張りジーッと伊之助を見つめる。顔は凄く良いのに中身が少し残念というか……。いやでもこれで中身も完璧だったら更に目の敵になってしまうか。ある意味この形が一番バランスをとれているのかもしれない。
するといきなり伊之助が炭治郎の分である天ぷらをすかさず奪い取り、それを食べてしまった。私と善逸の「あ!!」という声が重なる。ニヤニヤと意地の悪い笑みで伊之助が炭治郎を見るが炭治郎は全く怒る素振りを見せず、更に自分の分の料理を伊之助に差し出し「お腹が空いているのならこれも食べるといい!」と、そのお兄ちゃん力を存分に見せつけた。想像と違った炭治郎の反応が気に食わないのかウガァアアア!と悔しがった伊之助が、八つ当たりをするかのように今度は私のさつまいもの天ぷらに手を伸ばしてきた。いや私のに手を出さないでよ!?!?天ぷら好物なんだから!!!
その天ぷらに伸ばされた手を叩き落とそうとした瞬間、私よりも速く炭治郎が伊之助の手を掴みあげ「こら!」と伊之助に
「俺の分は食べても良いが嫌がる子の分を取り上げるのはやっちゃ駄目だ伊之助!特に納豆は昔から天ぷらが大好物なんだ。俺の分は好きなだけ食べてもいいから、納豆から取り上げるのはやめてあげてくれ」
「ゔっ……」
「炭治郎……!」
「お前……もう完全にお兄ちゃんじゃん……」
炭治郎のお兄ちゃん力に感動する私と善逸。伊之助はあまりの炭治郎のお兄ちゃん力にたじろいでしまう。本当にいつも思うけど、炭治郎はやっぱり優しすぎる……。長男だからと言うけど、よその家だったら長男次男関係なく喧嘩は起こるよ……。人間出来すぎてるよこの人。家族が傷つけられること以外で本気で怒ることってあるのかな炭治郎は。うーん、気になる……。
伊之助の手はしばらく宙をさまよった後、静かに自分のご飯へと戻って行ったのを最後に伊之助が私達のご飯を狙うことは無かった。
「そういえば納豆は今日の夜どこで寝るんだ?」
大騒ぎな食事を終え、皆で駄弁りながら
「え、一緒の部屋で寝ないの!?」
「いや寝るわけないじゃん。男子三人の中に女子が一人って色々と問題だよ」
「ゔっ!で、でもでも!納豆ちゃん一人で寝るなんて寂しくないの!?」
「……特には?」
「まじかっ!!!…………ハッ!だけどさ、た…炭治郎は納豆ちゃんも一緒の部屋で寝たいんじゃな〜い?」
変に必死な善逸に若干呆れつつ、話をふられた炭治郎を見る。炭治郎はキョトンとした表情をしていたが、すぐにう〜ん…と悩みだす。まあ常識人の炭治郎のことだから「嫁入り前の娘がー!」とか言うんだろうなと高を括っていると、炭治郎が「俺は…」と口を開く。
「もし納豆が俺達と一緒に寝るなら、昔妹や弟達と一緒に寝ていた時みたいで嬉しいと思っていたけど……。確かに納豆の言う通りだよな。納豆も俺達のような男だらけの部屋じゃ満足に休息できないかもしれないし、納豆が嫌なら仕方が」
「あ゙ー!分かった!分かったよ!私も皆と同じ部屋で寝るよ!!」
「いよ゙っし!!!」
「えっ!本当に良いのか……?」
「俺もう眠てえ…」
「……そもそもこの
眠たそうにうつらうつらとしている伊之助にガッツポーズをして大喜びしている善逸。そして私が「分かった」と言った瞬間にそれはもう嬉しそうに目が輝いた炭治郎。唯一危険だとするなら善逸だけど、もし何かあったら炭治郎に言えば何とかしてもらえるだろう。とにかく炭治郎の隣にいたら安全か。
少し気掛かりな部分はあるものの、一緒の部屋で寝るだけでそんな風に喜んでもらえるのならまあ良いか、と私は自分を納得させることにした。
ちなみにこの話をし終わった途端、私の布団一式を持ったお婆さんが部屋に突入してきたのはここだけのお話。