二番煎じな内容が多いです。
門出ノ章
空欄の場合は「納豆」になります。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
鬼の吐いた鮮血が地面に飛び散る。苦しそうに胸元を抑えている鬼の額には血管が浮き出ており、体のあちらこちらが徐々に紫色に変色していく。
……藤の花の毒が回っているからだ。肆ノ型の
そんなことを考えている内にも鬼はもがき苦しんでいる。この技は鬼を完全に殺すまでに長い時間を費やす。つまり、鬼は藤の花の毒に長い時間苦しめられるということ。師範はこの型を使うことを酷く嫌っていた。どんなに鬼が憎くても鬼も元人間だったということを考えるとなるべく苦しませずに速く逝かせてあげたいと。勿論その中でも例外はあったし、実践で使うこともあったがやはりこの型は好んで使わないと、言っていた。
鬼は喉をかきむしり「ァ"ッ…ギ、ヴ、ぉえ"…ッ」と、言葉にならない声を上げている。かきむしられた喉は皮膚が剥げ、痛々しいことになっており、そこから血も滲んでいる。
そしてついに力なくダラリと腕を下ろすと、白目を向いて後ろにバタリと倒れた。ようやく力尽きたようだ。
鬼が死んだことにより体の力が戻ってくる。地面に放り出された刀を回収し、未だに震えながら怯えている少年の元に向かう。そして少年の目線に合わせるように膝をつく。
「君、大丈夫?」
「うん……。お姉ちゃん、あの怖い人倒したの……?」
「そうだよ。お姉ちゃんが倒したからもう大丈夫!」
「本当?もう怖くない?」
「もう怖くないよ。ごめんね、巻き込んじゃって。今日の事は誰にも言っちゃ駄目だよ。でももうこれから怖いことは起きないから安心して。じゃあ夜は寒いから自分の家の中に入ろうね」
「うん……分かった。ありがとうお姉ちゃん!!」
眩しい笑顔を浮かべ少年は自分の家へと帰っていった。今日の事は誰にも言わないように口止めをさせたが、まだ小さい子だったから口を滑らせてしまいそう。別に言っても大丈夫なんだけどね。周りを混乱させちゃうといけないから、念のための口止め。
今思えばあの鬼の言っていた言葉も少し分かるかもしれない。「身も心も清く澄んでいる」確かにそうだ。大人になるにつれて世の中の汚いことを覚えていってしまう。そして子供の頃の綺麗さなんてこれっぽっちの欠片も無くなってしまうのかもしれない。……でも世の中の汚いことを覚えた分、世の中の綺麗なことも覚えていく。あの鬼からしたら大人というのは穢らわしくて仕方がなかったかもしれないけど、世の中の色んな
きっとこの鬼はそれに気づくことができなかった。または人間の頃に大人に良い思い出が無かったか。どっちにしろ
──……あぁ、確かにこの型は使って心地の良い物じゃないや。
「……来世では今度こそ幸せになれるといいね」
あなたが鬼になる前に、助けてあげられなくてごめんなさい。
そして言い付けを守れなくてすみません、師範…。血を流したり、肆ノ型を使ったり。私は初任務だというのにすぐに言い付けを破ってしまったことへの罪悪感に苛まれる。
夜を明かすために借りていた宿に戻って眠りにつくまで私の後悔が止むことは一向に無かった。
夜が明け、綺麗な青空に眩しい太陽と小鳥のさえずりが朝を告げる。すっかり日課になっていた早起きの癖でろくな睡眠時間も取らずに起きてしまった。一度起きてしまうとまた寝付くのに時間のかかる私は仕方なく二度寝を諦め、素直に起きることにした。宿で出された朝御飯を食べ、代金を支払ってそそくさと宿を出る。次の任務に向かうためだ。
早々と町から出ていく。しばらく歩いてから後ろを振り返ると、あの町が小さく見える。鬼を倒したお陰か、私が最初に来た時のどんよりとした空気は消え失せている。だが、あの町の人達が前のように活気を取り戻すには時間がかかるだろう。本当の意味であの町が平和になるためには町の人達の気持ちが落ち着くのを待つしかない。
いつかあの町が再び元の活気を取り戻して皆が笑って暮らせるようになることを心から祈っていよう。私に出来ることはそれしか無いのだから。
頭上を飛ぶ豆太郎が「ガンバッタナ!」と、叫んでいた。