二番煎じな内容が多いです。
門出ノ章
空欄の場合は「納豆」になります。
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「カァーッカァーッ!納豆!南南西!南南西ニムカエ!ソコデハ毎夜子供ガ消エテイル!イソゲーッ!」
「……いよいよだな納豆」
「はい、師範」
隊服を着た上に
綺麗に澄み渡る空には雲一つない晴天で、今日のような門出の日には丁度良い。
お昼に食べろと師範が握ってくれたおにぎりを三つ持たされた。師範の大きな手で握られたおにぎりはどれも大きめのサイズで私は一つ食べるだけでもわりと満腹になってしまうというのに。心配性の師範はそれを三つも作ってしまったみたいだ。そんなところも師範らしいと言ったら師範らしい。
師範は入り口のすぐ側に立ち、任務へ向かう私を見送る。私を見つめる瞳はどこか寂しそう。
「元気でな」
「はい。師範もお元気で!」
「たまには手紙の一つや二つも寄越せよ」
「分かりました!なんなら道草ついでにふら~っと帰ってくるかもしれません」
「むしろそのぐらいで居てくれた方がこっちも心が楽だわ」
師範と向き合い、深く一礼をする。
「それでは行って参ります」
そして外へ一歩踏み出したとき、私の鬼殺隊としての人生が始まりを告げた。
私の鎹鴉の
全集中の呼吸を覚えてからというもの走る事が前よりも楽になった。私自身はもう「極めたぁ…」みたいな気分なんだけど、師範曰く「全集中の呼吸には四六時中呼吸をし続ける『常中』というものがある」とのこと。今の私では常中を使うにはまだ肺が弱いようで、更に鍛えないと常中は修得できないと言われてしまった。常中が使えると使えないのとではかなり差があるらしく、どれほど時間が掛かったとしても必ず修得しなければならない。でなければ、仇である『十二鬼月』を倒すことは夢のまた夢らしい……。
日が暮れ始めた頃、ようやく目的の町に着いた。気落ちするようなどんよりとした雰囲気が町を覆っている。町の人達はお互い疑心暗鬼になっている様子で、豆太郎から町の人達から話を聞くようにと言われて聞き込みをしようとしたら、町の人達は町を訪れた私に不信感を抱いているらしく、あからさまに私を煙たがり遠ざかって行ってしまう。主に次は自分の子供が消えてしまうかも知れないと不安になった親達が他人に敏感になっているみたい。仕方のないことだけど地味に傷つく……。夜が来る前に少しでも多くの情報を知りたかったが、この分だと難しいかも。これはもう夜に鬼が自ら現れる所を待ってそこを討ち取るしかない。
「……今夜、必ず仕留めなきゃ」
羽織の中に隠した刀がその存在を異様に主張しているように感じた。
そして夜が来た。ただでさえどんよりとした雰囲気の町なのに夜になるとそこに不気味さも加わりとても気味が悪い。鬼の気配を感じとる為に目を閉じて感覚を研ぎ澄ませる。町の空気は把握した。鬼が現れた場合は必ずこの空気に淀みが生まれるはずだ。一秒、一分、三十分、と時間が経っていくにも関わらず一向に鬼の気配は感じられない。
豆太郎の情報によるとこの頃は毎晩のように子供が消えていくと聞いていたからきっと今日も現れると思うんだけど……。もしかして
再び感覚を研ぎ澄ませたとき、ついに
「……来た」
空気の淀み。人とは違う空気を纏った者。最終選別で実際に鬼と対峙し続けたお陰で離れていても鬼がどこにいるか察知できるようになった。実践経験って大事。
鬼は人とは違ってとてもドス黒い空気を纏っているのが特徴。あくまで私のイメージだから実際に見えるよりかは感覚的な話になってしまうけど。
鬼の気配はとある家屋から感じる。たった今子供を拐おうとしている段階なのかもしれない……。速く行かなきゃ……!!!
鬼の気配のする家屋の前まで来ると、丁度その家から気絶した少年を抱えた一体の鬼が出てくるところだった。今にも立ち去ろうとする鬼に私は「ちょっと!!」と声を荒げ、呼び止める。
「なんだァ、お前は」
「あなたが今までこの町の子供を拐ってるっていう鬼なの?」
鬼は案外すんなりと止まり、私の方を振り返ってきた。
……かなり人を食べてる、この鬼。
恐らく八十人前後は人を食べているであろう鬼の気配はかなり気持ち悪い。禍々しいものを感じる。刀を持った私を見ても動じないから今までにも鬼殺隊の人と戦ったことがあるのかもしれない。
「あぁ、確かにそれは俺だな。かなりの数の子供を喰って来たなぁ……。子供は良い!身も心も清く澄んでいて食欲も進む。だが大人は汚い。穢れている存在だ!身も汚ければ、心も汚れている。見ているだけで吐き気がする……。俺は綺麗な子供達が汚い大人になっていくのを見ていられない……。綺麗な存在で人生を終わらせてやりたいんだ。これは俺の優しさだ。俺は救世主だ!俺は子供を喰えて、子供は綺麗なまま死ねる!!お互い良いことづくしじゃないか!!!」
「は?なにそれ意味分からない……」
鬼の紅い目が暗闇の中で爛々と光る。勝手に自分を『救世主』と言って自己満足している鬼に純粋な殺意を抱く。
「……お前みたいな勝手に奴に喰われた子達に心底同情するよ」
「あ?」
「お前は救世主でもなんでもない。人の幸せな生活をぶち壊しておいて救世主ヅラしないで……。お前のせいでどれだけの人が悲しんだか分かるの!?」
「悲しむ??俺は救っただけだろォ?俺が恨まれるのは可笑しい!」
「っ、ふざけんな!!!!」
全く悪びれた様子もない鬼に私の中で何がキレた。感情任せに怒鳴ったのを合図に私は刀を鞘から抜き、鬼に向かって走り出す。鬼は乱暴に抱えていた少年を道に転がすと私を迎え撃つ体制を構える。
「藤の呼吸 参ノ型
グッと足に力をため、力強く地を蹴った。閃光藤月下は藤の呼吸の中で一番速い技。一撃必殺でこの技を使うと足に極度の負担が掛かるため、一度使うと次に使うまで時間を置かないといけない。私の足の筋肉量だと負担に耐えきれないのだ。ちなみに師範はこの閃光藤月下を連続で使うことができるらしい。
──確実に鬼の頸を捉えたと思った。この速さについてこれる鬼はあまりいないと思っていたから。
しかし、鬼に刃を振るい通りすぎたとき、鬼の頸を斬った時のとは
違和感を覚え、鬼の方を振り向くとそこには
「な……っ!」
「速いなぁ、お嬢ちゃんは。でもこの速さなら問題ないなァ……。って、どうしてそんなに驚いた
「お嬢ちゃんに、俺は倒せねぇなア?」
ズズ…と、鬼の切り落とされた手首から先が再生した。
「……絶対に負けない」
震える手を抑え、私は鬼に向き直った。