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HOTでSWEETなパンケーキ♡(アリスちゃん腐女子)


「どうしよう、寝坊しちゃった!」

小走りで兵舎の階段を下りて行き、私はキッチンへと走った。

(今日、私が朝食の当番だったのに。

寝る前にちょっといろいろ妄想してたら、寝れなくなっちゃって…結局夜中の2時まで起きてた。

だって、あの二人ったら仲良すぎてなんだかまるで…っていけない! また妄想がスタートしちゃう!)

寝不足で逆に冴えた頭のままキッチンに滑り込もうとすると、5メートル前で私は気配に気づいて、立ち止まった。

(話声がする。もしかして、誰かいる? てか、この声は!!)

昨夜、妄想していたあの二人だと気付いて、一気に胸の鼓動が跳ね上がる。

(ど、どうしよう。心の準備が。ってなんの準備よ!でも、気になるし入るのは様子を見てからにしよう)

開いている扉からそっと中を伺う。
何かが焼け焦げた匂いがして、レイとフェンリルがコンロの前で軽口を言い合うのが見えた。

「なあ、お前マジでそれで火をつける気? つか、フライパン持ってる手をこっちに向けんな。危ねえだろ」

ボウルで生クリームを混ぜているレイが、肘でフェンリルの脇腹をこつく。



「おお、悪りー悪りー。って、火はもうついてるだろ? 違げ-よ。こいつはバーナーで上から焼くんだ」

「は? なんのために?」

「んなの、パンケーキに美味そうな焼き目をつけるために決まってんだろ、相棒。これでさらに美味くなるぜ。俺たちの[#dn=1#]にサプライズだ」

「はあ、焦がすの間違いだろ。失敗したら、ペナルティな」

レイにデコピンされて、フェンリルがきょとんと目を丸くする。

それから、二人は悪戯っぽい瞳で見つめ合うとくすくすと肩を揺らして笑い合った。

(な、な、なにこれーーー!! 仲良すぎるよもう! てか、全然、入れないんだけど!)

二人だけの世界をまき散らされて、私は一歩も入れなくなってしまった。完全に蚊帳の外だ。

(でも、二人は私が寝坊したから代わりにパンケーキを作ってくれてるんだよね? 優しいな)

キングとエースが張り切って朝食を作ってくれてるだなんて。黒の軍は本当に温かい。

涙がちょちょ切れるくらい。

(私が来る前は、きっとこんな風景が毎日繰り広げられていたのかな。

それにしても、レイとフェンリルは仲いいな。軽口を言い合っているけど、

一番一緒にいる時間が長いし。信頼し合ってるから。でも、それにしてもいつも一緒にいるよね…と、穿ったことを考えてしまう私!)

「なあ、フェンリル。クリーム味見する?」 

「ああ、もっちろん☆」

レイが混ぜ終えた生クリーム。
指先にちょっとつけると、それをレイはフェンリルの口元に近づけた。

(え? レイの指についたのをそのまま?)

私は二度見した。

なんでもないように、フェンリルはレイの指を舐めた。

「うーん、これ甘さ控えめ? もうちょっと甘いほうが俺は好みだけど。でも、空腹だからすげーうまく感じる。レイ、おかわりくれ」

「はいはい……シロップかけるからこのくらいの方がいいと思うけど」

「ああ、そうだな。さっすが、レイ」

またレイから生クリームをもらって舐めるフェンリル。

(ど、ど、どういう味見の仕方…! 見てるこっちが恥ずかしいよ!)

無駄に私が赤面してしまった。胸の鼓動が速くて困る。

「なあ、フェンリル」

「あ?」

「ついてる」

「どこに?」

「そこ」

「ここ?」 

「違う、こっち」

気まずい思いしてる私なんてそっちのけで、また二人の距離は友人としてはありえないほど近づいていた。

フェンリルの頬についてしまったクリーム。

(無防備にもほどがあるってやつ! 私にはできないよそれ!)

そして、案の定、自分じゃ取れなくて、結局…

フェンリルの肩を抱き寄せて(抱き寄せて!?)

レイが彼のほっぺにキスをした。(ように私の角度から見えた)


(ひゃああああああ!!!!)


見てはいけないものを見てしまったのに、目が離せない!どうしてくれるの!!!!

すると、私の気配を察しいたのか、レイが振り向いた。


「いつまでそこに突っ立ってる気?」

「えっ?」

「隠れてるつもりだったみてえだけど、バレバレ」

(ぎゃー! ますますいたたまれない!)

「あ、ごめん!」

急に二人の空間に私という存在(邪魔者)が認識されて、なんだか申し訳ない気持ちになる。

「邪魔してごめんね」という言葉を飲み込んで、覗いていたこともごめんねという顔でキッチンに入っていく。


(なに!? ただ見ていただけなのに、この背徳感は・・・!)

私の内面をも見透かした意地悪そうな笑みを浮かべたレイの隣で、見事に真っ黒に焦げたパンケーキだったものを見せてくれるフェンリル。

(フェンリル…料理のセンス壊滅的…!)

「グットモーニング、[#dn=1#]。ようやくお目覚めだな。いつも俺たちのために頑張ってくれてるお前に、最高の朝食を作ってやりたかったんだけどな。うーん、なんでこうなった?」

「お前のせいだろ」

「ふふふ」

思わず、笑い声が出てしまう。

「[#dn=1#]、笑うなって。さすがに傷つくぜ」

フェンリルが唇を尖らせた。こういうところは可愛いと思う。

そんなフェンリルの横で、面白そうに目を細めるレイ。

(いいな、こういうの。ちゃんと私のことも仲間に入れてくれるし…考えすぎだったのかな? はあ、朝から心臓に悪い。無駄にドキドキした!)

「私も手伝うよ。何をしたらいい?」

「じゃ、スープの味を見てくれねえ? あと塩コショウで整えるだけだから」

「わかった」

「[#dn=1#]になら安心して任せられるな」

と、フェンリルを流し目で見るレイ。

「おい、レイ。…ま、間違ってねーわ」

(フェンリル、ノリ良すぎ!)

こうして、レイとフェンリルと朝食を作り終えて、黒の軍の最高に美味しい?ブレイクファストが始まった。



おわり★




久しぶりの革命でしたー!アリスちゃん良い子(っ///◜௰◝///c)
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