秘密の好きをチョコにつめて
プリンセスの名前
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〈プリンセス目線〉
「あれ、おかしいな。ユーリが見つからない」
王宮のどこを探してもユーリにだけ会えなかった。
ジル、レオ、アラン、ルイ、ロベールさん、そしてシドには無事にチョコを渡すことができた。
あとは、ユーリだけ。
私が行く先々で「ユーリを見た」って、みんな口を揃えて言うのに、どうして会えないんだろう。これじゃまるで、鬼ごっこと隠れんぼみたい。
シドからは、ユーリは時計塔に向かったと教えてもらった。
「こいつの礼だ。今回だけは特別にタダで教えてやる。じゃあな、プリンセス」
そう不敵に笑って。
ユーリには、一番気合いを入れて作ったから、できれば目の前で食べてもらいたい。
それで、勇気を出して告白したい。
ユーリ、喜んでくれるかな。
ラッピングした箱を胸に抱いて、私は時計塔を登った。
階段を一段登るごとに、胸の鼓動が高鳴っていく。
カツカツカツ……と、ヒールの音がこだまする。
ユーリは本当にここにいるのかな?
不安と期待で胸がいっぱいになる。
最上階まであと少し、展望台からは夕暮れの空が見えた。
ピンクの花びらを散りばめたような雲を見上げていたのは、私が会いたかったその人だった。
「ユーリ!」
「クレア様?」
振り返ったユーリの甘いロゼ色の髪が風になびいた。
「やっと会えた」
ほっとしたけれど、いまからチョコを渡すという一大イベントが待ち構えている。
ドキドキと胸の高鳴りが最高潮に達する。
後ろ手に箱を隠して、私はユーリに走り寄った。
なんて言って渡そうかな。
ちゃんと考えてくればよかった。
でも、ユーリはなぜかいつもみたいな笑顔は見せてくれなかった。
「クレア様、こんなところに何しに来たの?」
一歩、ユーリが距離を詰めてくる。
私は恥ずかしくて、目を伏せた。
「ねえ、クレア様、今日ってなんの日だっけ?」
また一歩ユーリが歩を進めてくる。
「今日は、バレンタイン……だよ」
答える声が掠れてしまう。
「俺が教えてあげたんだもんね。バレンタインのこと」
目の前に影が落ちて、ユーリがさらに近づいてきたことを知る。
少し視線をあげると、目の前にユーリのシャツのキッチリとした襟元が見えた。
ち、近い!
「クレア様、顔が真っ赤だね。夕陽が当たってるから?」
「えっ……」
すっとユーリの指先に、顎を掬われた。
「もっとよく見せて」
いつもより低いユーリの声。
妖しく細められた瞳と視線が絡む。
好きな人に熱っぽく見つめられて、どきりとして呼吸が止まる。
「やっぱり、クレア様はズルい。こんなに可愛くて……俺のこと、こんな気持ちにさせて……」
切なそうに眉を寄せたあと、ユーリの指が離れていく。
それが寂しくて、私はユーリの胸に箱を勢いよく押し付けた。
「……ユーリ、 これを受け取って」
「クレア様?」
「ユーリのために作ったから食べて欲しいの」
あっけにとられたユーリ。
でも、すぐにとびきりの笑顔に変わる。
「やった!実はずっと待ってたんだよね、クレア様のチョコ」
ウキウキとラッピングのリボンを解いて、箱を開けて、中のチョコを摘むユーリ。
みんなにあげたチョコより三倍の大きさで作ったチョコトリュフ。
「って、随分おっきいトリュフだね。いただきま……」
「待ってユーリ!」
「え?」
「一口で食べて欲しいの」
「この大きさを一口で?!」
「うん……その……じゃないと、中から出ちゃうから」
恥じらいながら告げると、ユーリは何か察してくれたのか、男らしく口の中にトリュフを押し込んでくれた。
届け、私の気持ち。
ユーリに届いて。
「あれ、おかしいな。ユーリが見つからない」
王宮のどこを探してもユーリにだけ会えなかった。
ジル、レオ、アラン、ルイ、ロベールさん、そしてシドには無事にチョコを渡すことができた。
あとは、ユーリだけ。
私が行く先々で「ユーリを見た」って、みんな口を揃えて言うのに、どうして会えないんだろう。これじゃまるで、鬼ごっこと隠れんぼみたい。
シドからは、ユーリは時計塔に向かったと教えてもらった。
「こいつの礼だ。今回だけは特別にタダで教えてやる。じゃあな、プリンセス」
そう不敵に笑って。
ユーリには、一番気合いを入れて作ったから、できれば目の前で食べてもらいたい。
それで、勇気を出して告白したい。
ユーリ、喜んでくれるかな。
ラッピングした箱を胸に抱いて、私は時計塔を登った。
階段を一段登るごとに、胸の鼓動が高鳴っていく。
カツカツカツ……と、ヒールの音がこだまする。
ユーリは本当にここにいるのかな?
不安と期待で胸がいっぱいになる。
最上階まであと少し、展望台からは夕暮れの空が見えた。
ピンクの花びらを散りばめたような雲を見上げていたのは、私が会いたかったその人だった。
「ユーリ!」
「クレア様?」
振り返ったユーリの甘いロゼ色の髪が風になびいた。
「やっと会えた」
ほっとしたけれど、いまからチョコを渡すという一大イベントが待ち構えている。
ドキドキと胸の高鳴りが最高潮に達する。
後ろ手に箱を隠して、私はユーリに走り寄った。
なんて言って渡そうかな。
ちゃんと考えてくればよかった。
でも、ユーリはなぜかいつもみたいな笑顔は見せてくれなかった。
「クレア様、こんなところに何しに来たの?」
一歩、ユーリが距離を詰めてくる。
私は恥ずかしくて、目を伏せた。
「ねえ、クレア様、今日ってなんの日だっけ?」
また一歩ユーリが歩を進めてくる。
「今日は、バレンタイン……だよ」
答える声が掠れてしまう。
「俺が教えてあげたんだもんね。バレンタインのこと」
目の前に影が落ちて、ユーリがさらに近づいてきたことを知る。
少し視線をあげると、目の前にユーリのシャツのキッチリとした襟元が見えた。
ち、近い!
「クレア様、顔が真っ赤だね。夕陽が当たってるから?」
「えっ……」
すっとユーリの指先に、顎を掬われた。
「もっとよく見せて」
いつもより低いユーリの声。
妖しく細められた瞳と視線が絡む。
好きな人に熱っぽく見つめられて、どきりとして呼吸が止まる。
「やっぱり、クレア様はズルい。こんなに可愛くて……俺のこと、こんな気持ちにさせて……」
切なそうに眉を寄せたあと、ユーリの指が離れていく。
それが寂しくて、私はユーリの胸に箱を勢いよく押し付けた。
「……ユーリ、 これを受け取って」
「クレア様?」
「ユーリのために作ったから食べて欲しいの」
あっけにとられたユーリ。
でも、すぐにとびきりの笑顔に変わる。
「やった!実はずっと待ってたんだよね、クレア様のチョコ」
ウキウキとラッピングのリボンを解いて、箱を開けて、中のチョコを摘むユーリ。
みんなにあげたチョコより三倍の大きさで作ったチョコトリュフ。
「って、随分おっきいトリュフだね。いただきま……」
「待ってユーリ!」
「え?」
「一口で食べて欲しいの」
「この大きさを一口で?!」
「うん……その……じゃないと、中から出ちゃうから」
恥じらいながら告げると、ユーリは何か察してくれたのか、男らしく口の中にトリュフを押し込んでくれた。
届け、私の気持ち。
ユーリに届いて。