秘密の好きをチョコにつめて
プリンセスの名前
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バレンタイン当日〈ユーリ目線〉
自分からあんなこと言っといて、クレア様がもし俺にチョコをくれなかったら、すごい落ち込みそうだな。
クレア様は誰かに本命チョコを渡すのかな。
それを考えたら悶々としちゃう。
ふと廊下を歩いてると、
「珍しく難しい顔をしていますね、ユーリ」
「ジル様、それにレオ様も」
「ユーリ、もしかして、クレアちゃんからチョコまだ貰えてないの?」
ジル様とレオ様はそろって、ラッピングされた箱を持っていた。
「まさか、それって」
「ええ、先程プリンセスからいただきました。今日はバレンタインですからね」
「ひとつ食べたけど、すごく美味しかったよ。これ、クレアちゃんの手作りなんだって」
「全部食べてしまうのが惜しいくらいです」
どこか自慢げな二人に、俺はイラッとした。
でも、とびきりの笑顔を顔に貼り付ける。
「へえ、それはよかったですね〜」
全然よくないけど!
俺は貰ってないし。
「大丈夫ですよ、ユーリ。クレア様はお優しい方ですから、ちゃんと貴方の分も作ってくださっているはずです。私は一番に貰いましたが」
「そうそう、クレアちゃんの愛はみんなに平等だよ。俺は二番目に貰ったけど」
カッチーン!
貰えてない俺を哀れんでる言い方がむかつくんだけど。
鼻につく二人とすれ違って俺は柱を蹴って憂さを晴らした。
気持ちを切り替えるために中庭に訪れる。
すると、立ち話をしているアラン様とルイ様を見つけた。
二人がそれぞれ手にしているのは、あのラッピングの箱だった。
うわ、あの二人も俺より先にチョコ貰ってる。
ガーンと、ショックでうなだれそうになる。また自慢されるのが嫌で、俺はしゃがんで花に隠れた。
「……ねえ、アラン。このチョコ、アランが作り方をクレアに教えたの?」
「いや、俺はなにも。今回は自分の力で作りたいって言うから、騎士宿舎のキッチンを貸してやっただけ。で、もうルイは食った訳?」
「うん、ほら」
「って、全部かよ」
空の箱を見せたルイ様にツッコミながら笑うアラン様がチョコトリュフを頬張るのが見えた。
あんな美味しそうなのみんなに作ったの?
しかも、アラン様のアシストなしに自分だけの力でなんて。
クレア様、本気じゃん。
でもきっと気合い入れた義理チョコなんだよ。と、自分に必死に言い聞かせる。
「美味いな。あいつ、なかなかやるじゃん」
「そうだね」
普段は仏頂面なアラン様と無表情なルイ様がクレア様のチョコで珍しく柔らかい笑顔になってる。
これをクレア様に見せてあげたいような、見せてあげたくないような。
チョコを片手にいつもより眩しい二人を見ていられなくて俺は方向転換した。
足を向けた先で今度はロベールさんと出会う。
「ユーリ、なんだか浮かない顔だね。どうかしたのかな?」
「いや、訳は聞かないでください。ロベールさん」
苦笑いして、去ろうと手を振った俺にロベールさんは、なにかひらめく。
「待って。それなら、これをひとつあげるよ。とても美味しくて元気が出るかもしれないよ」
「まさか、それって……!?」
嫌な予感がして目線をあげると、ロベールさんが絵筆と一緒に小脇に抱えていたのは、もしかしなくてもあのラッピング箱だった。
「やっぱり〜! ロベールさんにまで先を越された〜」
打ちひしがれて、もう部屋に閉じこもりたい気分。
「このチョコはねクレアちゃんが忙しい公務の合間を縫って作ってくれたらしいよ。そうか、ユーリは(まだ)貰ってないんだね」
グサ、グサ、グサ!
傷ついた胸をおさえ、引きつった笑顔で俺は言った。
「あはは、おっちょこちょいのクレア様のことだから俺の分、忘れちゃったのかな!それはロベールさんの分ですし、大事に食べてあげてください。大 事 に !(←二回言う)」
「ユーリ、泣いているの?」
「いやだな、ロベールさん。全然、泣いてないですよ」
瞳を瞬かせるロベールさんを置いて、俺は悲しみのあまり逃げだした。
自分からあんなこと言っといて、クレア様がもし俺にチョコをくれなかったら、すごい落ち込みそうだな。
クレア様は誰かに本命チョコを渡すのかな。
それを考えたら悶々としちゃう。
ふと廊下を歩いてると、
「珍しく難しい顔をしていますね、ユーリ」
「ジル様、それにレオ様も」
「ユーリ、もしかして、クレアちゃんからチョコまだ貰えてないの?」
ジル様とレオ様はそろって、ラッピングされた箱を持っていた。
「まさか、それって」
「ええ、先程プリンセスからいただきました。今日はバレンタインですからね」
「ひとつ食べたけど、すごく美味しかったよ。これ、クレアちゃんの手作りなんだって」
「全部食べてしまうのが惜しいくらいです」
どこか自慢げな二人に、俺はイラッとした。
でも、とびきりの笑顔を顔に貼り付ける。
「へえ、それはよかったですね〜」
全然よくないけど!
俺は貰ってないし。
「大丈夫ですよ、ユーリ。クレア様はお優しい方ですから、ちゃんと貴方の分も作ってくださっているはずです。私は一番に貰いましたが」
「そうそう、クレアちゃんの愛はみんなに平等だよ。俺は二番目に貰ったけど」
カッチーン!
貰えてない俺を哀れんでる言い方がむかつくんだけど。
鼻につく二人とすれ違って俺は柱を蹴って憂さを晴らした。
気持ちを切り替えるために中庭に訪れる。
すると、立ち話をしているアラン様とルイ様を見つけた。
二人がそれぞれ手にしているのは、あのラッピングの箱だった。
うわ、あの二人も俺より先にチョコ貰ってる。
ガーンと、ショックでうなだれそうになる。また自慢されるのが嫌で、俺はしゃがんで花に隠れた。
「……ねえ、アラン。このチョコ、アランが作り方をクレアに教えたの?」
「いや、俺はなにも。今回は自分の力で作りたいって言うから、騎士宿舎のキッチンを貸してやっただけ。で、もうルイは食った訳?」
「うん、ほら」
「って、全部かよ」
空の箱を見せたルイ様にツッコミながら笑うアラン様がチョコトリュフを頬張るのが見えた。
あんな美味しそうなのみんなに作ったの?
しかも、アラン様のアシストなしに自分だけの力でなんて。
クレア様、本気じゃん。
でもきっと気合い入れた義理チョコなんだよ。と、自分に必死に言い聞かせる。
「美味いな。あいつ、なかなかやるじゃん」
「そうだね」
普段は仏頂面なアラン様と無表情なルイ様がクレア様のチョコで珍しく柔らかい笑顔になってる。
これをクレア様に見せてあげたいような、見せてあげたくないような。
チョコを片手にいつもより眩しい二人を見ていられなくて俺は方向転換した。
足を向けた先で今度はロベールさんと出会う。
「ユーリ、なんだか浮かない顔だね。どうかしたのかな?」
「いや、訳は聞かないでください。ロベールさん」
苦笑いして、去ろうと手を振った俺にロベールさんは、なにかひらめく。
「待って。それなら、これをひとつあげるよ。とても美味しくて元気が出るかもしれないよ」
「まさか、それって……!?」
嫌な予感がして目線をあげると、ロベールさんが絵筆と一緒に小脇に抱えていたのは、もしかしなくてもあのラッピング箱だった。
「やっぱり〜! ロベールさんにまで先を越された〜」
打ちひしがれて、もう部屋に閉じこもりたい気分。
「このチョコはねクレアちゃんが忙しい公務の合間を縫って作ってくれたらしいよ。そうか、ユーリは(まだ)貰ってないんだね」
グサ、グサ、グサ!
傷ついた胸をおさえ、引きつった笑顔で俺は言った。
「あはは、おっちょこちょいのクレア様のことだから俺の分、忘れちゃったのかな!それはロベールさんの分ですし、大事に食べてあげてください。大 事 に !(←二回言う)」
「ユーリ、泣いているの?」
「いやだな、ロベールさん。全然、泣いてないですよ」
瞳を瞬かせるロベールさんを置いて、俺は悲しみのあまり逃げだした。