芋惚れわんわん
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灰から掘り出すと、
軽くおこげがついた香ばしい焼き芋が完成していた。
冷たい風の中、私と犬千代はホクホクのお芋を一緒に頬張った。
「うお、あっつ、うっま」
「熱々だけど甘くて美味しいね」
「おう、うまく出来たのは、すみれのおかげだ。親父殿にも分けてやらねえとな」
するとそのとき、
「焼き芋、焼けたの?」
飄々と現れたのは、秀吉様と……
「あー、先に食うなんて狡い~。俺にもちょーだいよ」
食い意地の張った慶次さんだった。
「ねえ、すみれちゃん、俺の分は?」
「てめえはこっちだ」
まるで餌やりみたいに、犬千代はお芋を投げてよこした。
「おっと、投げるなんて酷いな。あちち……でも美味しそう」
「俺とすみれが、じっくり焼いて作ったんだ。有難く食えよ」
自慢げに言って犬千代が唇の端を釣り上げる。
楽しい焼き芋祭りの始まり。
慶次さんは「はふはふ」言いながら両手の焼き芋に食らいついてる。
束の間の穏やかな時間に、ふっと笑みが溢れてしまう。
「すみれ」
ふと、犬千代は私に耳打ちした。
「さっきの忘れてねえだろな」
「え……」
繋ぎ直した手と手。焼き芋を食べたおかげでさっきよりも温かくなっていた。
でも、このじんわりくる温もりを、犬千代の温もりを、
身体の芯からもっと欲しいと思った。
(犬千代……)
「俺はあれだけじゃ、全然、足んねえから」
「……っ」
「今のうちに行くぞ」
「……うん」
私と犬千代の甘くてほくほくな時間は、
きっとこれから――
おわり
軽くおこげがついた香ばしい焼き芋が完成していた。
冷たい風の中、私と犬千代はホクホクのお芋を一緒に頬張った。
「うお、あっつ、うっま」
「熱々だけど甘くて美味しいね」
「おう、うまく出来たのは、すみれのおかげだ。親父殿にも分けてやらねえとな」
するとそのとき、
「焼き芋、焼けたの?」
飄々と現れたのは、秀吉様と……
「あー、先に食うなんて狡い~。俺にもちょーだいよ」
食い意地の張った慶次さんだった。
「ねえ、すみれちゃん、俺の分は?」
「てめえはこっちだ」
まるで餌やりみたいに、犬千代はお芋を投げてよこした。
「おっと、投げるなんて酷いな。あちち……でも美味しそう」
「俺とすみれが、じっくり焼いて作ったんだ。有難く食えよ」
自慢げに言って犬千代が唇の端を釣り上げる。
楽しい焼き芋祭りの始まり。
慶次さんは「はふはふ」言いながら両手の焼き芋に食らいついてる。
束の間の穏やかな時間に、ふっと笑みが溢れてしまう。
「すみれ」
ふと、犬千代は私に耳打ちした。
「さっきの忘れてねえだろな」
「え……」
繋ぎ直した手と手。焼き芋を食べたおかげでさっきよりも温かくなっていた。
でも、このじんわりくる温もりを、犬千代の温もりを、
身体の芯からもっと欲しいと思った。
(犬千代……)
「俺はあれだけじゃ、全然、足んねえから」
「……っ」
「今のうちに行くぞ」
「……うん」
私と犬千代の甘くてほくほくな時間は、
きっとこれから――
おわり