芋惚れわんわん
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そんな泥だらけでどうしたの、ワンコくん? 泥遊びでもしたの?」
「っ、るせえ」
「――犬千代!?」
炊事場にどさっと音がしたと思ったら、秀吉様の言葉通り泥まみれの犬千代がいた。手にひっこ抜いて来たばかりの薩摩芋をぶら下げて。
「すみれ、見ろ。今年は豊作だ」
強気に微笑んだ犬千代に、こんなときでもドキっとしてしまう。
「こんなに沢山のお芋、いったいどうしたの?」
「親父殿と芋掘り鍛錬してきたんだ。まあ、俺の圧勝だったけどな」
「勝家様と芋堀り鍛錬?」
勝家様と犬千代が綱引きみたいにお芋を引っ張り合ってる絵を想像したら、なんだか笑えてしまった。
「へえ、まさに芋掘れわんわんだね」と、秀吉様がにっこり笑顔で揶揄すると、
「てめ、秀吉、まだ居たのかよ」
秀吉様を追い払おうとした犬千代を私は止めた。
「待って、犬千代、顔にまで土がついてるよ!?」
「ああ、こんなの、あとで拭くからいいって」
「すぐだから、私が拭いてあげるよ」
私は手拭いで犬千代の鼻の頭を拭ってあげた。
そういえば、子供の頃もよくこんなことしてあげたな。鍛錬中に転んだ犬千代の怪我の手当てをしたり……汚れた手や顔を拭いてあげたり……
「もう、変わらず泥だらけなんだから……あ……」
背伸びをしたせいで、不意に犬千代の顔に近づいてしまった。
(あ、あれ……近い!?)
子供の頃とは全く違う距離感。思わず、口づけを意識してしまう――
目の前に迫った私に犬千代のほうが先に頬を染める。
「お、おう……悪いな……って、ガキ扱いすんじゃねえ」
「だ、だって……犬千代が……! ううん、ごめん、もう拭けたよ」
「おお……(ほっぺポリポリ)」
気恥ずかしい空気になってしまって、慌てて身体を離す。
「あー、なんか俺、お邪魔だったみたいだね」
「……っ」
秀吉様に改めてそう言われて、赤面する私と犬千代。
「それじゃ、覗いてた大鼠と一緒に邪魔者は退散するね」
「大鼠?」
「あー、ちょっとバラさないでよ〜。ここからが面白いところだったのに〜」
その能天気な声に、私と犬千代はぎょっとした。炊事場の戸からぬっと顔を出したのは、大鼠……じゃなくて、慶次さんだった。
「おい、てめ、慶次! んなところで何してやがる」
「すみれ〜。夕餉にとっておきの芋料理を作ってよ~。あ、でも俺、やっぱり焼き芋がいいな〜。腹がはち切れる程、食べるのが子供の頃からの夢だったんだよね」
「おい、無視すんな! お前の夢なんてどうだっていいんだよ」
「すみれ~、芋宴、楽しみに待ってるね〜」
犬千代をまったく眼中に入れずに、にこにこと手を振る慶次さん。
「はいはい、じゃ、お邪魔しました。またね、すみれちゃん、わんこくん」
空気を読んだ(?)秀吉様が巨体の慶次さんを引きずって行ってくれた。
「ったく、なんなんだ。あいつら」
二人きりになって私と犬千代は顔を見合わせると、なんだかおかしくなって「ぷっ」と吹き出した。
「っ、るせえ」
「――犬千代!?」
炊事場にどさっと音がしたと思ったら、秀吉様の言葉通り泥まみれの犬千代がいた。手にひっこ抜いて来たばかりの薩摩芋をぶら下げて。
「すみれ、見ろ。今年は豊作だ」
強気に微笑んだ犬千代に、こんなときでもドキっとしてしまう。
「こんなに沢山のお芋、いったいどうしたの?」
「親父殿と芋掘り鍛錬してきたんだ。まあ、俺の圧勝だったけどな」
「勝家様と芋堀り鍛錬?」
勝家様と犬千代が綱引きみたいにお芋を引っ張り合ってる絵を想像したら、なんだか笑えてしまった。
「へえ、まさに芋掘れわんわんだね」と、秀吉様がにっこり笑顔で揶揄すると、
「てめ、秀吉、まだ居たのかよ」
秀吉様を追い払おうとした犬千代を私は止めた。
「待って、犬千代、顔にまで土がついてるよ!?」
「ああ、こんなの、あとで拭くからいいって」
「すぐだから、私が拭いてあげるよ」
私は手拭いで犬千代の鼻の頭を拭ってあげた。
そういえば、子供の頃もよくこんなことしてあげたな。鍛錬中に転んだ犬千代の怪我の手当てをしたり……汚れた手や顔を拭いてあげたり……
「もう、変わらず泥だらけなんだから……あ……」
背伸びをしたせいで、不意に犬千代の顔に近づいてしまった。
(あ、あれ……近い!?)
子供の頃とは全く違う距離感。思わず、口づけを意識してしまう――
目の前に迫った私に犬千代のほうが先に頬を染める。
「お、おう……悪いな……って、ガキ扱いすんじゃねえ」
「だ、だって……犬千代が……! ううん、ごめん、もう拭けたよ」
「おお……(ほっぺポリポリ)」
気恥ずかしい空気になってしまって、慌てて身体を離す。
「あー、なんか俺、お邪魔だったみたいだね」
「……っ」
秀吉様に改めてそう言われて、赤面する私と犬千代。
「それじゃ、覗いてた大鼠と一緒に邪魔者は退散するね」
「大鼠?」
「あー、ちょっとバラさないでよ〜。ここからが面白いところだったのに〜」
その能天気な声に、私と犬千代はぎょっとした。炊事場の戸からぬっと顔を出したのは、大鼠……じゃなくて、慶次さんだった。
「おい、てめ、慶次! んなところで何してやがる」
「すみれ〜。夕餉にとっておきの芋料理を作ってよ~。あ、でも俺、やっぱり焼き芋がいいな〜。腹がはち切れる程、食べるのが子供の頃からの夢だったんだよね」
「おい、無視すんな! お前の夢なんてどうだっていいんだよ」
「すみれ~、芋宴、楽しみに待ってるね〜」
犬千代をまったく眼中に入れずに、にこにこと手を振る慶次さん。
「はいはい、じゃ、お邪魔しました。またね、すみれちゃん、わんこくん」
空気を読んだ(?)秀吉様が巨体の慶次さんを引きずって行ってくれた。
「ったく、なんなんだ。あいつら」
二人きりになって私と犬千代は顔を見合わせると、なんだかおかしくなって「ぷっ」と吹き出した。
1/3ページ