小さい彼と一緒
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いつものように生徒会室のドアを開けた私は、信じられない光景を目にした。
そこにいたのは、いつも頼りなくも真面目な彼──ヴィネくん……なのだが、なぜか小さな子供の姿になっている。
壁の隅にぴたりと体を寄せ、縮こまっている小さな背中。きょろきょろと不安そうに周囲を見回すその顔は、今にも泣き出しそうだ。
「ヴィネくん、大丈夫だよ。こっちおいで」
そっと声をかけると、震える肩がびくりと跳ねる。
「ここどこ……? 怖いよお……」
いつもよりずっと高い、か細い声に胸が締め付けられる。状況を理解できていない彼にとって、ここは見知らぬ場所でしかないのだ。
「困ったなあ。まず先生に報告して……。今日は生徒会の活動もあるから、アメリ会長にも連絡したほうがいいよね」
まずは落ち着いて状況を整理しようと、職員室の方へ一歩踏み出した、そのときだった。
「ふえええ、置いて行かないでええ!」
泣きそうな声と共に、服の裾を小さな手でぎゅっと掴まれた。振り向くと、瞳には涙がたまり、今にも決壊しそうだ。
「ごめんごめん!そうだ。怖くないように手繋ごっか」
ヴィネくんの小さい手を、そっと包むように握る。彼の顔がブワッと赤くなり、手が震えているのが伝わってくる。けれど、控えめに、でも確かにきゅっと握り返してくれた。それがなんだか嬉しくて、私も少し照れてしまう。いつもは彼の手に、こんな風に触れたことはなかったから。
二人でゆっくりと廊下を歩く。普段は見上げる彼のつむじが、今は私の目線の先にある。隣を歩いているとき、私はいつも彼の横顔を見つめていた。周りに振り回されがちな彼だけど、それでも一生懸命頑張っている姿が好きだ。優秀なんだから、もっと自信を持てばいいのに。
いつか彼が元に戻ったら、今日のことを覚えているだろうか。もしかしたら、都合よく忘れてくれるかもしれない。でも、この気持ちだけは伝えたい。
「大きくなっても、また手繋いでね」
そう言うと、ヴィネくんは一瞬きょとんとした顔をした後、私の手をさらに強く握りしめた。
「……?うん、おねえさんとならいいよ」
その無邪気な笑顔に、心が温かくなった。この小さな温もりを、いつまでも忘れたくない。
◇◇◇
夕暮れ時の帰り道、校門を出てしばらく歩いたところで、ヴィネくんがもじもじと口を開いた。
「その……この前はありがとう」
俯きがちにそう言う彼に、私はくすりと笑いかける。
「無事に戻れてよかったね。小さいヴィネくんも可愛かったよ」
冗談っぽく言うと、彼の顔はみるみるうちに赤くなる。
「や、やめてくれ! 恥ずかしさで死にそう……」
両手で顔を覆い、しゃがみこんでしまう勢いの彼に、私は笑いをこらえきれない。
「本当だよ。あのときはちょっと戸惑ったけど、すごく可愛かった」
そう言って笑うと、ヴィネくんは恥ずかしそうに顔を上げた。
「……僕、何か変なことしてなかった?」
その不安そうな瞳に、あの日の光景を思い出す。
壁の隅で縮こまっていた小さな彼、私の服を掴んで「置いていかないで」と泣きそうになっていた彼。そして、きゅっと握り返してくれた小さな手。
「ううん、全然。むしろ、ちょっと嬉しかったかも」
そう正直に答えると、ヴィネくんの顔がさらに赤くなる。
そして、彼は意を決したように、私を見つめ、遠慮がちに手を差し出してきた。
「あの……君さえ良ければ、手を繋いでいいかな」
その言葉に、私は驚きながらも、彼の勇気が嬉しかった。小さなヴィネくんと繋いだ手よりも、ずっと大きくて、少しだけ震えている彼の手に、私の指を絡める。
夕陽が二人の影を長く伸ばし、手と手が触れ合う瞬間、あの日の手のひらの感触が蘇る。
この温もりを、ずっと大切にしていこうと心に決めた。
そこにいたのは、いつも頼りなくも真面目な彼──ヴィネくん……なのだが、なぜか小さな子供の姿になっている。
壁の隅にぴたりと体を寄せ、縮こまっている小さな背中。きょろきょろと不安そうに周囲を見回すその顔は、今にも泣き出しそうだ。
「ヴィネくん、大丈夫だよ。こっちおいで」
そっと声をかけると、震える肩がびくりと跳ねる。
「ここどこ……? 怖いよお……」
いつもよりずっと高い、か細い声に胸が締め付けられる。状況を理解できていない彼にとって、ここは見知らぬ場所でしかないのだ。
「困ったなあ。まず先生に報告して……。今日は生徒会の活動もあるから、アメリ会長にも連絡したほうがいいよね」
まずは落ち着いて状況を整理しようと、職員室の方へ一歩踏み出した、そのときだった。
「ふえええ、置いて行かないでええ!」
泣きそうな声と共に、服の裾を小さな手でぎゅっと掴まれた。振り向くと、瞳には涙がたまり、今にも決壊しそうだ。
「ごめんごめん!そうだ。怖くないように手繋ごっか」
ヴィネくんの小さい手を、そっと包むように握る。彼の顔がブワッと赤くなり、手が震えているのが伝わってくる。けれど、控えめに、でも確かにきゅっと握り返してくれた。それがなんだか嬉しくて、私も少し照れてしまう。いつもは彼の手に、こんな風に触れたことはなかったから。
二人でゆっくりと廊下を歩く。普段は見上げる彼のつむじが、今は私の目線の先にある。隣を歩いているとき、私はいつも彼の横顔を見つめていた。周りに振り回されがちな彼だけど、それでも一生懸命頑張っている姿が好きだ。優秀なんだから、もっと自信を持てばいいのに。
いつか彼が元に戻ったら、今日のことを覚えているだろうか。もしかしたら、都合よく忘れてくれるかもしれない。でも、この気持ちだけは伝えたい。
「大きくなっても、また手繋いでね」
そう言うと、ヴィネくんは一瞬きょとんとした顔をした後、私の手をさらに強く握りしめた。
「……?うん、おねえさんとならいいよ」
その無邪気な笑顔に、心が温かくなった。この小さな温もりを、いつまでも忘れたくない。
◇◇◇
夕暮れ時の帰り道、校門を出てしばらく歩いたところで、ヴィネくんがもじもじと口を開いた。
「その……この前はありがとう」
俯きがちにそう言う彼に、私はくすりと笑いかける。
「無事に戻れてよかったね。小さいヴィネくんも可愛かったよ」
冗談っぽく言うと、彼の顔はみるみるうちに赤くなる。
「や、やめてくれ! 恥ずかしさで死にそう……」
両手で顔を覆い、しゃがみこんでしまう勢いの彼に、私は笑いをこらえきれない。
「本当だよ。あのときはちょっと戸惑ったけど、すごく可愛かった」
そう言って笑うと、ヴィネくんは恥ずかしそうに顔を上げた。
「……僕、何か変なことしてなかった?」
その不安そうな瞳に、あの日の光景を思い出す。
壁の隅で縮こまっていた小さな彼、私の服を掴んで「置いていかないで」と泣きそうになっていた彼。そして、きゅっと握り返してくれた小さな手。
「ううん、全然。むしろ、ちょっと嬉しかったかも」
そう正直に答えると、ヴィネくんの顔がさらに赤くなる。
そして、彼は意を決したように、私を見つめ、遠慮がちに手を差し出してきた。
「あの……君さえ良ければ、手を繋いでいいかな」
その言葉に、私は驚きながらも、彼の勇気が嬉しかった。小さなヴィネくんと繋いだ手よりも、ずっと大きくて、少しだけ震えている彼の手に、私の指を絡める。
夕陽が二人の影を長く伸ばし、手と手が触れ合う瞬間、あの日の手のひらの感触が蘇る。
この温もりを、ずっと大切にしていこうと心に決めた。
