アトリ夢
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悪意の衝動を抑えられない私は、幼い頃から家族に疎まれ、孤独を強いられてきた。そんな私を拾い上げてくれたのは、魔界の頂点に君臨する「13冠」のひとり、バール様。
彼の誘いを受け、元祖返りの集団「六指衆」に加わった。
私はもう、昔の私じゃない。魔界を掻き回す道化に成り下がった私に、別の生き方なんてないのだ。平凡な日々とは、もう一生無縁だ。そう思っていた。
アトリはいつも、私にまとわりついてくる。
ウォルターパークに潜入した時も、用もないのに声をかけてきたり、私の持ち場をのぞきに来たり。
しかも、わざわざパークスタッフの演技をしながら。
ついには、私が担当していたアトラクションの先輩スタッフに「君、射的屋の彼と付き合ってるの?」と尋ねられ、慌てて否定せざるを得なかった。
こいつは軽佻浮薄で、享楽主義の塊だ。ウー兄が召喚した大型魔獣が学園の生徒たちに倒された時だって、撤収しながらヘラヘラと笑ってこう言った。
「やられちまったもんは仕方ねえよなぁ〜」
「何が『仕方ねえ』よ! キリヲ君を脱獄させるまでは順調だったじゃない! あと少しだったのに……!」
私は声を荒げて反論する。
「スタッフ役してる🌸ちゃん可愛かったなぁ〜♡」
アトリは私の苛立ちを無視して、にやけた笑顔を向けてきた。
「ふざけないで! 作戦が台無しになったのよ! あんなに準備したのに!」
「今度、俺とも遊んでよぉ〜」
「だれが遊ぶか!」
噛み合わない会話に、心の底から苛烈な不快感が募った。こいつのこういうところが、どうしようもなく苦手だ。
あの時の作戦は、完璧だったはずなのに。多くの来場客がパニックを起こし、パークが崩壊する──その理想が目の前だったのに、学園の連中も、平和ボケした来園者 も、アトリも、すべてが邪魔をした。
苛立ちと悔しさで、部屋に戻ってからも感情が収まらない。自分の不甲斐なさに、拳を握りしめながら涙がこぼれ落ちた。
そんな時、シィちゃんはいつもそばにいてくれた。何も言わず、ただじっと私が落ち着くのを待ってくれる。情緒が揺らぐ時には、そっと寄り添って添い寝をしてくれることもあった。
そうすると、不思議と心のざわめきが静まるのだ。シィちゃんがいないと、私はだめになってしまいそうだ。
そういえば、ウォルターパークから逃げるとき、シィ
ちゃんの様子がおかしかった気がする……。
◇◇◇
バビルスの教師として潜入したアトリとシィちゃん。でも任務を終えて帰ってきたのは、アトリだけだった。
「シィちゃんが……俺を、蹴った」
床にへばりついて泣きじゃくるアトリの姿を見て、それが紛れもない真実だと悟った。
「任務を遂行するため」だとバール様は言ったけれど、彼女の本心なんて知りたくもない。どうせ泣いても叫んでも、何も変わらない。私はもう、なにも信じたくなかった。
部屋に引きこもって塞ぎ込んでしまった私を、アトリは無断で訪ねてきた。私はベッドの上で、泣き腫らした顔を晒していた。悪周期の一歩手前で、荒れ狂うような気分が渦巻いている。
「よォ、🌸ちゃ〜ん。任務頑張ったから労ってよぉ〜」
そう言いながら、アトリがベッドに近づいてくる。
「出ていって」
「つれないこと言うなよぉ〜」
「イライラしてるの。これ以上近づいたらぶん殴るから」
苛立ちに任せて吐き捨てた言葉を、アトリはニヤリと笑って受け流す。
「…寂しいの間違いじゃねえのォ?」
アトリは私の言葉を軽くあしらうように、間延びした声で呟いた。その響きに、私の内側でくすぶっていた感情が揺さぶられる。
「イライラじゃなくて、寂しいんだろ? 🌸ちゃんは、シィちゃんがいなくなって寂しいから泣いてんでしょ〜」
図星を突かれて、思わずアトリの顔を見る。
「俺、知ってるんだぁ〜。🌸ちゃんが不安定なとき、シィちゃんが必ず部屋に入って行くの。……添い寝でもしてもらってたぁ?こんな風に〜♡」
アトリはそのままベッドに入ってきて横になり、ニヤニヤと私の顔を覗き込む。
彼の言葉で、シィちゃんの温もりを思い出してしまう。悔しさで背を向けても、涙は止まらない。こんな時、いつもシィちゃんがいてくれたのに。
「このまま塞ぎ込んでたら、🌸ちゃん、悪周期に飲まれて死ぬかもよォ?」
涙声になるのを必死に堪えて、私はポツリポツリと話し始めた。
「私の大事なシィちゃんが……いなくなっちゃった」
「うん」
「……あんたがヘマしたせいよ。どうしてくれるの」
「それは言い過ぎじゃね?蹴られたんだぜぇ?俺」
その瞬間、6本の腕が後ろから私を抱きしめた。
「じゃあ、俺がシィちゃんの代わりになったげる♡」
驚いて抵抗しようとするが、絡みついた細長い腕は離れない。あんなに細身の体なのに、信じられないくらい力が強い。彼女との違いを感じて、心臓が激しく鼓動を打つ。
こんなやつなのに、なぜか安心してしまう自分がいる。結局のところ、私は誰かの温もりが欲しかっただけなのだろうか。ああ、なんて愚かで、苦しくて、惨めなんだろう。
「🌸ちゃん、柔らかくて暖か〜い」
へらへらと笑いながら私を抱き締めるアトリ。
私はもう抵抗する気力もなく、アトリの腕の中で瞼が重くなるのを感じていた。シィちゃんとは違う、けれど確かに温かなその体温が、冷え切った私の胸の奥を、少しずつ溶かしていく。
「おやすみ、🌸ちゃん」
アトリは私の寝顔を見ながら、うっとりとした笑みを浮かべる。
(俺、シィちゃんの大事なもの、奪っちゃった♡)
その目には、一瞬のぞかせた暗い光が宿っていた。
彼の誘いを受け、元祖返りの集団「六指衆」に加わった。
私はもう、昔の私じゃない。魔界を掻き回す道化に成り下がった私に、別の生き方なんてないのだ。平凡な日々とは、もう一生無縁だ。そう思っていた。
アトリはいつも、私にまとわりついてくる。
ウォルターパークに潜入した時も、用もないのに声をかけてきたり、私の持ち場をのぞきに来たり。
しかも、わざわざパークスタッフの演技をしながら。
ついには、私が担当していたアトラクションの先輩スタッフに「君、射的屋の彼と付き合ってるの?」と尋ねられ、慌てて否定せざるを得なかった。
こいつは軽佻浮薄で、享楽主義の塊だ。ウー兄が召喚した大型魔獣が学園の生徒たちに倒された時だって、撤収しながらヘラヘラと笑ってこう言った。
「やられちまったもんは仕方ねえよなぁ〜」
「何が『仕方ねえ』よ! キリヲ君を脱獄させるまでは順調だったじゃない! あと少しだったのに……!」
私は声を荒げて反論する。
「スタッフ役してる🌸ちゃん可愛かったなぁ〜♡」
アトリは私の苛立ちを無視して、にやけた笑顔を向けてきた。
「ふざけないで! 作戦が台無しになったのよ! あんなに準備したのに!」
「今度、俺とも遊んでよぉ〜」
「だれが遊ぶか!」
噛み合わない会話に、心の底から苛烈な不快感が募った。こいつのこういうところが、どうしようもなく苦手だ。
あの時の作戦は、完璧だったはずなのに。多くの来場客がパニックを起こし、パークが崩壊する──その理想が目の前だったのに、学園の連中も、平和ボケした
苛立ちと悔しさで、部屋に戻ってからも感情が収まらない。自分の不甲斐なさに、拳を握りしめながら涙がこぼれ落ちた。
そんな時、シィちゃんはいつもそばにいてくれた。何も言わず、ただじっと私が落ち着くのを待ってくれる。情緒が揺らぐ時には、そっと寄り添って添い寝をしてくれることもあった。
そうすると、不思議と心のざわめきが静まるのだ。シィちゃんがいないと、私はだめになってしまいそうだ。
そういえば、ウォルターパークから逃げるとき、シィ
ちゃんの様子がおかしかった気がする……。
◇◇◇
バビルスの教師として潜入したアトリとシィちゃん。でも任務を終えて帰ってきたのは、アトリだけだった。
「シィちゃんが……俺を、蹴った」
床にへばりついて泣きじゃくるアトリの姿を見て、それが紛れもない真実だと悟った。
「任務を遂行するため」だとバール様は言ったけれど、彼女の本心なんて知りたくもない。どうせ泣いても叫んでも、何も変わらない。私はもう、なにも信じたくなかった。
部屋に引きこもって塞ぎ込んでしまった私を、アトリは無断で訪ねてきた。私はベッドの上で、泣き腫らした顔を晒していた。悪周期の一歩手前で、荒れ狂うような気分が渦巻いている。
「よォ、🌸ちゃ〜ん。任務頑張ったから労ってよぉ〜」
そう言いながら、アトリがベッドに近づいてくる。
「出ていって」
「つれないこと言うなよぉ〜」
「イライラしてるの。これ以上近づいたらぶん殴るから」
苛立ちに任せて吐き捨てた言葉を、アトリはニヤリと笑って受け流す。
「…寂しいの間違いじゃねえのォ?」
アトリは私の言葉を軽くあしらうように、間延びした声で呟いた。その響きに、私の内側でくすぶっていた感情が揺さぶられる。
「イライラじゃなくて、寂しいんだろ? 🌸ちゃんは、シィちゃんがいなくなって寂しいから泣いてんでしょ〜」
図星を突かれて、思わずアトリの顔を見る。
「俺、知ってるんだぁ〜。🌸ちゃんが不安定なとき、シィちゃんが必ず部屋に入って行くの。……添い寝でもしてもらってたぁ?こんな風に〜♡」
アトリはそのままベッドに入ってきて横になり、ニヤニヤと私の顔を覗き込む。
彼の言葉で、シィちゃんの温もりを思い出してしまう。悔しさで背を向けても、涙は止まらない。こんな時、いつもシィちゃんがいてくれたのに。
「このまま塞ぎ込んでたら、🌸ちゃん、悪周期に飲まれて死ぬかもよォ?」
涙声になるのを必死に堪えて、私はポツリポツリと話し始めた。
「私の大事なシィちゃんが……いなくなっちゃった」
「うん」
「……あんたがヘマしたせいよ。どうしてくれるの」
「それは言い過ぎじゃね?蹴られたんだぜぇ?俺」
その瞬間、6本の腕が後ろから私を抱きしめた。
「じゃあ、俺がシィちゃんの代わりになったげる♡」
驚いて抵抗しようとするが、絡みついた細長い腕は離れない。あんなに細身の体なのに、信じられないくらい力が強い。彼女との違いを感じて、心臓が激しく鼓動を打つ。
こんなやつなのに、なぜか安心してしまう自分がいる。結局のところ、私は誰かの温もりが欲しかっただけなのだろうか。ああ、なんて愚かで、苦しくて、惨めなんだろう。
「🌸ちゃん、柔らかくて暖か〜い」
へらへらと笑いながら私を抱き締めるアトリ。
私はもう抵抗する気力もなく、アトリの腕の中で瞼が重くなるのを感じていた。シィちゃんとは違う、けれど確かに温かなその体温が、冷え切った私の胸の奥を、少しずつ溶かしていく。
「おやすみ、🌸ちゃん」
アトリは私の寝顔を見ながら、うっとりとした笑みを浮かべる。
(俺、シィちゃんの大事なもの、奪っちゃった♡)
その目には、一瞬のぞかせた暗い光が宿っていた。
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