盗・蜜・愛
PM18:53『部室』
「ジャン…おい、ちょっと…待てって…」
「んだよ、俺が嫌なのか?」
「違ぇーよ、場所考えろって言ってんだよ!」
サッカー部部室兼更衣室のロッカーを背に、エレンはジャンに迫られていた。
自分より少しだけ背のあるジャンの艶めいた表情を見上げ、エレンは戸惑いの色を隠しきれない。
「みんなもう帰っちまったし、いいだろ……?」
「ついさっきの話だろーが!忘れ物とかで誰か来たらどうす……んんッ!!」
一瞬の隙を狙われジャンに口唇を奪われる。
「ふっ……んん、んぅ……ッはぁ、…」
少し汗ばんだジャンの逞しい身体に抱き締められ、何度も何度もキスをされる。
エレンの1番好きな瞬間だった。
名残惜しそうに離れた口唇を目で追えば、ジャンの甘えたような笑顔が見えた。
「エレン、…すげぇ可愛い…」
ジャンに見つめられ可愛いと褒められると、エレンは何も言えなくなってしまう。
「今日、だけだからな…」
「一応覚えとく」
首筋に顔を埋めるジャンの嬉しそうな声色に、エレンは恥ずかしさと同時に諦めにも似たため息をつく。
エレンとジャンは小学校時代のクラスメイトだった。
2人ともサッカー部に所属していた事がキッカケで急速に仲良くなり、いつしか親友になっていた。
親友から恋人同士になったのは、つい最近のことである。
エレンがサッカーの試合中に足を怪我し、日常生活に支障はないもののボールを蹴る事は二度と出来ない身体になってしまった。
その際、絶望するエレンを献身的に支えたのがサッカー部のエースであり親友のジャンだった。
初めてジャンから想いの内を明かされた時、エレンは不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
むしろこれからもずっとジャンの側にいられるという嬉しさが、自然とエレンの心の中で湧き上がっていた。
「んッ、……はぁ、はぁ、…くぅ……ん、…!!」
「なんで声我慢すんだよ…もっとエロい声聞かせろよ」
「ば、ばかじゃねぇの……ここ、学校だっ、…ッあ、ぁあ!…ん…や、…」
立ったままロッカーに両手をつき、エレンは背後からジャンに乳首を弄られる。
シャツ越しにも分かるぷっくりと立ち上がったそれは、ジャンの愛撫に反応してエレンから喘ぎ声を引き出した。
「はぁ、はぁ、……ぁ、あぁ、…らめ……っ」
頬を紅潮させ気持ち良さそうに身体をビクビクと震わせるエレンを見て、ジャンの気持ちもさらに高ぶっていく。
「エレン……もっと気持ちよくさせてやるよ…」
ジャンはエレンのズボンとパンツを脱がすと、既に立ち上がったペニスをやんわりと握り締めた。
「ふぁ…ッ!」
強弱をつけて上下に動かすジャンの体温と手の感触が、エレンに痺れるような快感をもたらしていく。
「あ、あぁ、…っく、ふっ…ぅう……ッ!あ、….…!!」
ペニスから徐々に溢れ出すカウパーを潤滑油に、さらになめらかになったジャンの手の滑りにエレンはよがり声をあげた。
「あぁ、はぁ、…あぅ…っ…ジャ…ン、…」
「こっちもそろそろ良いんじゃねーか?」
ジャンはペニスを握り締めたまま、空いてる手をエレンの秘部に這わせ人差し指をゆっくりと差し込んだ。
「あんッ…!ふっ、…ぅあ、あ、…!!」
狭い秘部を押し広げながら挿入を繰り返し、同時にペニスへの愛撫も続けられる。
「いっ……あっ、あぁ、らめ、…らめ……っくぅ!…ぁ、はぁあ……っ!!」
頭の中に白い靄がかかり、ジャンから与えられる刺激で体内が甘い快楽で満たされていく。
エレンはガクガクと震える四肢を支える為、必死にロッカーに手を押し付けた。
「はぁ、はぁ、ジャン……っ…挿れて、ほしい……」
エレンが珍しく自らジャンを誘ってきた。
背中を向けたまま、潤んだ目線を送るエレンの痴態に、ジャンの身体がぞくぞくと震える。
「今日は…いつもと違ってやらしいな…」
ジャンは指を引き抜くと、自らのベルトとチャックを外してズボンをおろした。
そそり立つペニスをエレンの秘部に押し当てる。
「エレン、力抜いてろよ」
「ぅん……!っはぁ、あ、ぁあ、あ……っ!!」
ゆっくりと内側を擦りながら奥へと進むジャンの熱いペニスを感じて、エレンの口から堪えきれない喘ぎ声が零れる。
「くぅ…っ……ふぅ、ぅんん…!!」
「エレンのなか、…っ…すげぇあったかい……」
「!…ばっ、…恥ずかしい事ゆぅ、な……っ!!」
背後から耳元で囁くジャンの声に、エレンは切なくなるような胸の痛みを感じた。
互いの身体が密着し、ジャンは改めて強くエレンを抱き締める。
「エレン、好きだ…初めて会った時から、ずっと……」
「ん……」
「俺、今まで以上にサッカー頑張るからな…エレンの分まで走って、俺の足でお前にもう1度夢を見せてやる…」
「…ジャン…」
真っ直ぐで純粋なジャンの言葉に、エレンは照れ臭さと嬉しさに自然と顔が綻んでいく。
「ただ、」
「ん?」
「この流れで言うセリフじゃねーだろ、ばか」
「ん?そーか?別にいいじゃねーか…エレン、愛してるぜ♪」
「なっ、それ、軽すぎるだろ、待て……ッん!ぁあ、……あっ、あああっっ!!」
気持ちの切り替えが出来ないまま、ジャンに主導権を握られる。
どこにでもいる、普通の恋人同士のとりとめのない幸せな時間。
ジャンには恥ずかしくて言えないが、この先もずっと2人でいられたらとエレンは切に願っていた。
PM16:27『教室』
『イェーガー、友人であるお前にキルシュタインに関する大事な話があるので放課後残ってほしい……重要な話だから本人には内密にな』
担任のリヴァイにそう告げられたのは、朝の日直での仕事中だった。
リヴァイはエレンとジャンの担任教師である。
物静かで口は悪いが人望は厚く、その端正な顔立ちと華奢な容姿に女生徒のファンも多かった。
普段から教師と喋る気にはなれないが、元ヤンで高学歴のギャップを持つリヴァイはエレンやジャンを始め男子生徒からも人気があった。
先にサッカーの練習に向かったジャンを見送ると、エレンは1人教室に残った。
午後の日差しが熱く、思わず日よけカーテンで一部の窓を覆う。
少し薄暗くなった夕方の教室は、どこか哀愁を帯びていた。
「待たせたな」
程なくしてリヴァイが教室へ入ってきた。
「先生」
新学期が始まり担任のリヴァイと2人きりになるのは、今回が初めてだった。
三白眼で切れ長のリヴァイの瞳は、本人の意思とは関係なく相手を威圧させる。
(さすが、元ヤンキー…)
窓側1番奥に座るエレンの席に近づくと、リヴァイは手ごろな椅子に腰をかけた。
間近で見るリヴァイは先程の威圧感とは全く相反する妖艶な雰囲気を醸し出していた。
それは同性である事や教師である事を忘れてしまう程の魅力であり、一瞬にして人を惹きつけるとはこの事なんだなとエレンは素直に感心した。
リヴァイは上から下までゆっくりとエレンを眺めながら、おもむろに口を開いた。
「イェーガー、勿論だがお前1人か?」
「はい」
「キルシュタインに今日の事は?」
「大事な話と聞きましたので、一切話していません」
「そうか」
エレンの言葉を聞き終えると、リヴァイは安心したかのようににっこりと微笑んだ。
「では、今日からお前は俺の犬だ」
「は?」
エレンは一瞬聞き間違えたかと思った。
「あの、先生、もう1度…」
「お前は、犬だ」
「なっ」
リヴァイの口の悪さは有名だが、あまりの突拍子もない発言に思考が全くついていけない。
「え?え、どういう事ですか?何で先生に、そんなこと…」
「これ、見覚えあるだろ」
胸元のポケットから取り出した束を無造作に撒き散らされる。
「!?」
エレンは散乱した束の1枚を机から拾い上げ絶句した。
そこに写っていた被写体は、エレンとジャンの2人。
そして、昨日まさに部室でセックスをしていた時の写真だった。
濡れた瞳を向けるジャンの表情。
いやらしく喘ぐ自分自身。
口づけを交わし、抱き合い、繋がる、隠しておきたい情事の数々が数十枚に渡って写っていた。
「……なん、で……先生が、撮ったんですか……?」
「そうだ」
教師であるにも関わらず平然と語るリヴァイの態度にエレンは唖然とする。
「意味が、分かりません…」
「犬が理解しようとするな」
「!!」
既に人間として扱われていない発言に、エレンの怒りが爆発した。
「いい加減にして下さい、これが教師のやる事ですか?訴えますよ!!」
エレンはありったけの憎しみを込めてリヴァイを睨みつける。
しかし、リヴァイは動じる事なく、むしろエレンをなだめるように語りかけてきた。
「告訴するか、それも良いだろう……だが、キルシュタインはどうする?」
「え?」
「あいつはサッカーの才能があり将来を有望視されている、その芽をここで潰すのか?」
「………!!!」
悪魔の囁きは、エレンにこの状況の異常さを気づけなくさせつつあった。
「お前がこの事を誰かに話した瞬間に、先生もそれなりの対応をさせてもらう」
「そんな……!こんな事、許されるわけがない…っ……」
「現実を受け入れろ、イェーガー」
低く静かなその声は、ゆっくりと、確実に、エレンの心を蝕んでいく。
「キルシュタインは、お前にもう1度夢を見せてやると言ったんだろう?だったら、お前がすべき事は何だ」
リヴァイの言葉にエレンは茫然自失となる。
逃げ道はなく、黒く重たい何かに引きずり込まれていく感覚がエレンを襲った。
『エレン、好きだ…初めて会った時から、ずっと……』
『俺、今まで以上にサッカー頑張るからな…エレンの分まで走って、俺の足でお前にもう1度夢を見せてやる…』
脳裏に浮かぶジャンの笑顔に涙が溢れてきた。
「俺が、先生の言う事を聞けば、………ジャンを、巻き込まないって、約束してくれますか……?」
震える身体を必死に抑え、エレンは掠れる声でリヴァイに訴えかける。
「言う事を聞く、聞かないじゃない」
リヴァイは冷ややかな目で、エレンを見つめていた。
「お前は、犬だ」
リヴァイの言葉に悔しさを滲ませたエレンの目から、涙がゆっくりと頬を伝っていく。
「分かったか?」
「………はい」
少しずつエレンの思考はリヴァイに支配され、自分ではコントロールが出来なくなっていった。
PM12:10『資料室』
「……ふざけんなよ」
「ここは学校だ、教師に対する口を慎め」
「こんな昼時に呼び出すなんて、正気ですか!?」
緊急時の連絡網以外では使用されない筈のメールアドレスから送られてきたリヴァイの呼び出しに、エレンは怒りを露わにする。
人気のない資料室は、大量にある紙の匂いと密閉された埃っぽさで息が詰まりそうだった。
「キルシュタインはどうした?」
わざわざ神経を逆撫でするような質問をしてくるリヴァイに、エレンは眉をひそめる。
「……あいつには、用事があるって言ってきました…」
「当然だ、主人の言う事は絶対だからな」
「!!」
屈辱的な発言にプライドを傷つけられ、エレンは奥歯を強く噛みしめた。
「用件は、何ですか」
「そうだったな」
リヴァイは資料室の時計をチラリと確認した後、エレンに視線を向き直した。
「跪け」
静かに絶対的な服従を要求してくるその声に、エレンは抗う事が出来ない。
「…っ……」
エレンはゆっくりと腰を落としてその場に跪いた。
視線が逆転したからだろうか。
見上げた先にいるリヴァイは何も変わらない筈なのに、エレンの心の中で少しずつ不安と焦りが募っていく。
「イェーガー、この関係を早く終わらせたいか」
「え、……終われるんですか?」
いきなりの願ってもない話に、エレンの表情が明るくなった。
「そうだな…これから毎日先生とゲームをして、それに勝ったらお前を自由にしてやる」
「ゲーム?」
元サッカー少年のエレンにとってその言葉は、自由への褒賞として無意識に負けず嫌いの血を騒がせた。
「やります!俺、絶対に先生に負けませんから」
エレンの滾るような闘志を見て、リヴァイは不敵に微笑んだ。
「そうか……なら、さっさと咥えろ」
「!?」
突然後頭部の髪を掴まれ、リヴァイの股間に顔を押しつけられる。
「…やっ……何す…っ…」
布越しに伝わる生温かく硬い感触にエレンは顔をしかめた。
「今から5分以内に俺をイかせてみせろ」
「なッ…!そんなの、無理…」
「これでも余裕を持たせてやってるんだが……ゲームに勝てなきゃお前は犬のままだ」
「…っ……!!」
「どうせ、キルシュタインのものも咥えてるんだろ?犬なら大人しくしゃぶってろ」
いくら口が悪いとは言え、およそ教師とは思えない横暴な態度。
今朝のHRでは毎日見ているリヴァイと何一つ変わらないだけに、その変貌ぶりがエレンには未だ信じられずにいた。
(この人、……本当に、俺の知ってるリヴァイ先生、なのか……?)
解放を期待させておいて奈落へと突き落とされる感覚に、エレンは現実を受け止めきれず眩暈を覚える。
「早くしろ、昼休みが終わっちまうだろうが」
「?!ん、ぅうっっ!!!」
しかし、ゆっくりと考える余裕など与えられる筈もなく、エレンは無理矢理口をこじ開けられ強引にリヴァイのペニスを押し込まれた。
「…っ…ふぅ、んんぅ……ッは!、はぁ、あむ、……んむむ、…っ!!!」
「あと2分」
リヴァイの太腿に手を添え、エレンは必死に顔を前後に動かし続ける。
視姦するようにじっくりと眺めてくる冷めた視線を感じるが、エレンに睨み返す余裕などなかった。
「あと1分」
頭上から聞こえてくる刻一刻とタイムリミットを告げる声に、変化は何一つ感じられない。
「ちゅむ……むぅ、ぅんん…っん!、はぁ、はぅ、……んむむぅうう……っ!!!」
顔の動きに対し取り込む酸素の量が間に合わず、頭の中がぼうっとしてくる。
エレンは苦痛に顔を歪め、羞恥や屈辱を通り越し、ただひたすらリヴァイが早くイく事だけを願っていた。
そして、
「はい、終了」
気の遠くなるような、あっけない5分間が終わった。
「ぷはぁ……!!っ、はぁ、はぁ、げほっ…っ…あ、はぁあ……っっ!!!」
エレンはリヴァイのペニスから急いで口を離すと、時折咳き込みながら深呼吸を繰り返す。
唾液まみれになった口の周りを手で拭った瞬間、我に返ったエレンはリヴァイの方に視線を向けた。
「残念だが、時間切れだ」
「っ!!!」
あまりの悔しさに声が出ず、怒りに震える拳を強く握り締めた。
「今日はこれでお終いだが、安心しろ」
エレンとは対象的に、リヴァイは淡々とした口調で語りかける。
「これから毎日このゲームをすれば、いずれお前が勝つだろう」
「え……?」
当然の事のように言い放つリヴァイに対し、エレンは動揺を隠し切れない。
「ま、待って……!先生、待って下さい!!毎日って何ですか、冗談もほどほどに…」
「チッ…よく喋る犬だな」
「!?」
有無を言わせない低く静かな声に、エレンは思わずたじろいた。
「お前が俺を5分以内にイかせればいいだけの話だ……、写真をバラ撒かれないだけマシだと思え」
写真で揺すられ、責め立てられ、それでも言い返す事が出来ずエレンは俯き黙り込んだ。
「返事は?」
「うぁっ…!」
反応を示さないエレンの態度に苛立ちを募らせ、リヴァイは後頭部を掴むと無理矢理顔を上げさせた。
今は少しでもこの場から立ち去りたい気持ちに駆られ、エレンは気持ちを殺してリヴァイに同調する。
「わ、分かり、ました…」
「ごめんなさい、ご主人様……だろ?」
エレンが大人しくなった事につけ入り、リヴァイは服従の要求を強めてきた。
「……ご、…ごめんなさい……ご主人、さま……」
屈辱的な行為の数々を受け容れるしかない自分自身が、情けなくて許せなかった。
リヴァイはエレンの言葉に満足すると、目を細めてにっこりと微笑んだ。
「イェーガーは、聞き分けのいい子だな」
いつもの教師の表情に戻ったリヴァイに、エレンは胸を撫で下ろす。
「じゃ、じゃあ、もう帰って……」
「良いわけねぇだろ」
しかし、その微笑みの裏にあるもう1つの顔をエレンはまだ理解していなかった。
「んぐぅっっ!!」
隙をつかれ、半開きになったエレンの口へ再びリヴァイのペニスが問答無用で突っ込まれる。
勢いよく再奥まで挿入され、息苦しさと吐き気にエレンは眉間に皺を寄せ苦痛に顔を歪めた。
「主人を満足させられない犬には、躾をする必要がある」
優しく髪を撫でてくる細い指にエレンは怖気づき、リヴァイのペニスを咥え固定させられた頭を必死に左右に振って拒絶する。
「んぅう!…っふ、…ん!、んう、うーっうーっ!!」
目尻に涙を滲ませながら唸り声をあげるエレンを見つめ、リヴァイは薄く笑った。
「はっ……そんなに欲しいなら、たっぷりミルク飲ませてやるよ」
リヴァイはエレンの口内の温かさと感触を楽しむように、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「あいつのより、濃いやつをな」
PM19:42『保健室』
「…っ……はぁ、…ぁ、はぁ、ん、…んふっ……!!」
夜の色香を纏い始めた静かな保健室に、濡れた声が響き渡る。
戸棚に並べられた薬品の匂いがほんのりと鼻を掠める室内は、どこか悲現実感を漂わせていた。
「い、…いや、……はぁ、はぁ、…っ…せんせ……や、……」
真っ白なベッドに横たわり、エレンは身を捩らせる。
下腹部から聞こえてくる卑猥なバイブ音が、拒絶する気持ちとは裏腹に甘く痺れるような快楽をもたらしていく。
「あぁ、はぁ、…くぅ、……んっ!……ぃや、…はぁあ……ん、!!」
エレンの横でベッドに背をもたれながら、リヴァイは煙草を燻らせその姿をじっと眺めていた。
「せんせ、っ……抜いて、…ぁ、」
「それだけよがり声出して何言ってんだ、エロガキ」
リヴァイは煙草の煙をゆっくりと吐き出しながら、反対の手に持っていたリモコンボタンを最大まで押した。
「ひあっ…ぁあ!っ……く、ふぅう……ううううんっっっ!!!」
ローターから伝わる激しい振動が強烈な快感へと変わり、叫びそうになる声を抑える為にエレンは慌てて枕を抱きかかえ口元を覆った。
エレンの身体は一気に緊張感が高まり、額に汗を滲ませ力がこもる。
「お前、ローター好きだろ」
リヴァイは薄く笑いながら、リモコンボタンを弱にまで下げた。
「っーーーーーあぁ、…はぁ、あぅ、っく、…っ………!!!」
一瞬の激しい振動からまろやかな振動に切り替わると、同時にエレンの身体の緊張も解けていく。
余韻の残る身体を震わせながら、エレンは枕をぎゅっと強く抱きしめた。
「それにしても、よく似合ってるな」
適当に引っ張りだしておいた皿で煙草の火を消すと、リヴァイはエレンの首元に手を伸ばす。
そのバックルのついた革性の細い首輪は、リヴァイの所有物として降された事を証明しているようでエレンにとって不名誉なものでしかなかった。
「気に入ったか?」
「はぁ、…っ…いりませんよ、こんなの……」
屈辱への怒りを露わにし、エレンはリヴァイを睨みつける。
「ほぅ…」
「い、…や、ぁああああああ……!!」
再び襲ってきた強烈な快感の波に、エレンの身体が大きく波打つ。
「犬が主人に噛みつこうとするな」
「っーーーーあ、あぁ、…はぁ、はぁ、…ぅ…」
激しさと甘さを繰り返され、下腹部に蓄積される熱と股間が圧迫される苦しさにエレンの頭の中は真っ白になる。
どれだけ心で否定をし続けても、リヴァイの手1つで快楽に翻弄されてしまう自分が恥ずかしくて情けなかった。
「…はぁ、はぁ、……も、帰りたい…」
「俺を満足させたら帰してやる」
リヴァイは煙草とライターを取り出そうと胸ポケットに手をかけた。
その時、
「……ジャン……」
エレンの口から無意識に出てきたその名前に、リヴァイの眉がピクリと動いた。
「う、…….くっ、…はぁ、…」
リヴァイに見られないよう枕に顔を突っ伏し、声を殺してエレンは泣いていた。
「何で、あいつの名前を出すんだ?」
「やだっ…!」
リヴァイは怯えて抵抗する両腕を抑えつけ、エレンの鼻先まで顔を近づける。
「何故、キルシュタインの名前を出すのかと聞いている」
「な、何でって、……ジャンは、俺の恋人だから…」
感情が高ぶり、エレンはポロポロと泣き続ける。
「ジャンは、……っく…俺にこんな酷い事、絶対しない……」
「…………」
「お願いします……ジャンに、会いたい……っ…帰して下さい……!!」
嗚咽をまじえながら、興奮した口調でリヴァイに解放を求めるエレン。
その様子を微動だにせず見ていたリヴァイだったが、おもむろに口を開く。
「言いたい事はそれだけか」
リヴァイは舌打ちし、間髪を容れずエレンの下腹部からバイブ音が鳴り響いた。
「ぁああああっ!!!」
突然襲ってくる脳天を突き抜けるような快感に、エレンは矯声をあげた。
「黙って聞いてりゃくだらない事喋りやがって……」
リヴァイはエレンの下半身に手を伸ばすと、手際よくベルトを外しズボンとパンツをずらした。
「だ、だめ、………!…っ…あぅ……くぅうううんッ!!」
焦らされ続けたエレンの身体は、やんわりとペニスを握りしめてきたリヴァイの手の感触だけでイきそうになるほど限界に達していた。
「きっちり躾ないと分からねぇみたいだな」
ローターの振動を最大まで上げられた状態でペニスを擦られ、エレンは身を捩らせて快感に泣き叫ぶ。
「いや、はぁ、ーーーーーーぁ、ぁあ、らめ、ぁ…………ッく、はぁあああああぅんっっ!!!」
エレンはリヴァイの手の中で、あっという間に絶頂を迎えた。
四肢は緩み、放心状態で見開く目から涙がとめどなく流れ落ちていく。
「はぁ、はぁ、…」
エレンを見下ろすその瞳は、暗闇の中で一層冷たく鋭い印象を与えた。
「リヴァイ……せんせ……」
「お前の主人が誰なのか、身体で教えてやるよ」
リヴァイの低く艶めいた声に、エレンはぞくりと身を震わせた。
「……は、ーーーーぁ?ふ、……い、いや、待っ……ああああっ!!!」
絶頂を迎えたばかりで敏感になっている先端を擦られ、エレンの身体がビクンと弓なりに仰け反った。
必死にリヴァイを突き放そうとするが、身体が気怠く指先に力が入らない。
「気持ちいいのに拒絶したくなるだろ……?」
エレンの精液を塗りたくりながら、先端を中心に半ば強引に柔らかくなったペニスを扱き上げる。
「や……やだ、……はぁ、はぁ、せんせ、…っ…らめぇぇ……!!」
執拗にペニスを愛撫され、同時に、内側で振動し続けるローターが快感を呼び起こしてエレンの身体を高ぶらせていく。
「らめ、……あぅ、…っくぅ…ん……、いッ、ぁ、ぁああああ……ッッ!!!」
エレンは程なくして2度目の絶頂を迎えた。
しかし、達したのも束の間、手や衣服が体液で汚れるのもお構いなしに熱を持ち敏感なそこを弄られ続ける。
「これ位でへばるなよ、まだ終わりじゃねぇぞ」
「あぁッ、はぁ、…………ぁ、もぉ、らめ、……い、いやぁぁ……っ…!!!」
身体中に電流が走るような快感と苦痛に、エレンは喘ぎ悶える。
リヴァイから与えられる溺れるような快楽とジャンへの想いから拒絶しようとする理性に、身体と心がバラバラになりそうだった。
「はぁ、あぅ、……っふ、ぅぅ……あぁ、はぁ、……」
身体中がじっとりと汗ばみ、エレンの顔は涙でぐしょぐしょに濡れていた。
(おかしく、……なりそう……)
頭の中に靄がかかり、思考が働かなくなっていく。
感覚が麻痺し、どこか自分の身体ではないような浮いた心地になっていた。
(誰か……)
エレンは無意識に何もない天井に向かって手を伸ばす。
「ん……」
不意に口唇に触れてきた温かく優しいキスに、エレンの不安と緊張が和らいだ。
(ぁ……ジャン、……?)
エレンの伸ばした手に指が絡み、その甲にもキスをされる。
(来て、くれたのか……)
汗で顔に張り付いた髪を取り除き、頭や頬を撫でてくる安らぎに、エレンは小さく息を吐いた。
(気持ちいい……)
エレンはうっすらと目を開け、その人物に焦点をあてた。
薄暗い部屋でも分かるその陰湿な微笑みに、エレンの目に涙が滲む。
「エレン、……お前の主人は誰だ?」
何も変わらない状況に、諦めと順応しようとする本能が働く。
「ぁ、…リヴァイ……先生ぇ……」
頬に手を添え再びキスで塞いできた薄い口唇を、エレンは少しだけ噛んで、舌で舐めた。
人は、
一度知った蜜の味を
忘れる事は出来ないーーーー。
PM12:50【兆候】
「エレン、お前最近何かあったのか?」
快晴の空とは反対に、曇りがちな瞳を向けられエレンは思わずドキッとする。
「え……」
「メールや電話はしてくれるけどよ、なんつーか、前より一緒にいる時間が減った気がするんだ」
「そ、そうか?気のせいだろ」
後ろめたい気持ちを隠すように否定で固めた言葉は、見透かされたように脆く崩れる。
「お前、本当にそう思ってんのか?」
「んん……っ!!」
やるせない思いが込められた口唇は、エレンの口内を強引に貪っていく。
「ん……っふ、……はぁ、ぁん……んんん…っっ!!!」
無機質で激しさだけが増していくキスに、エレンはジャンの胸元のシャツをきつく握り締めた。
「っ………は、はぁ、…」
細長い唾液の糸を引いて、ゆっくりと離れていく口唇。
哀しみを纏ったジャンの瞳に、顔を歪ませる自分が映って見えた。
「知らねぇキスの味がする…」
「!?」
掠れるような声で呟いた一言に、エレンの手が思わず口元を覆った。
「なぁ、エレン、他に好きな奴でもいるのか?」
不安な思いから否が応でも向けてしまう、疑惑の念。
「は……?」
自分自身で気づく程、エレンの声は不自然に上ずっていた。
「俺以外に、誰か……!なぁ、本当の事言えって……っ!!!」
きつく両肩を掴んでくる手に、エレンは戸惑いの色を隠しきれない。
「まっ待てよ、ジャン!!何でそうなるんだ?意味分かんねぇよ……っっ」
悲痛な表情を浮かべる恋人を、ただ説得するしかない自分が無力だった。
「そ、だよな…….、俺、どうかしてる……」
屋上の手摺に背を持たれ、ジャンは空を仰いだ。
「お前、もしかしてそれで最近サッカーに集中してなかったのか?今迄のお前じゃ考えられねぇミスの連発とかよ」
「お前、プロになるんだろ?留学する為に、今大事な時期じゃねぇか」
「…っ…だったら、…」
「俺はお前以外、誰も好きにならねぇよ!!!」
取り繕う言葉が無意味でも、自分の思いだけは何としても伝えたかった。
「エレン…」
互いを抱き締める力が儚くて、エレンは泣きそうになる。
このまま、夢なら醒めないで欲しいと願う程。
「……ン、…ジャン!」
遠くから聞こえてきた馴染みの声に、エレンとジャンは屋上のドアを見つめる。
程なくして扉が開き、金髪の少年が息を切らせて入ってきた。
「アルミン」
「はぁ、……ジャン、ハンジ先生が呼んでるよ」
「ハンジ先生が?」
「ずっと探してるみたい、ほら、急いで!」
エレンから少し強引にジャンを引き剥がすと、アルミンは急かすようにその背中を追い立てる。
「あ、あぁ、…」
ジャンは慌ててエレンに視線を向けると、エレンはにっこりと微笑っていた。
「俺はここで待ってるよ」
「もう、エレン!いくら次が自習だからって、サボるのを黙認する僕の身にもなってよね」
頬を膨らませながら、クラス委員のアルミンはエレンをキッと睨みつける。
「ははっ、悪ィなアルミン」
苦笑いを浮かべるエレンに対しアルミンはペロッと舌を出すと、「すぐ戻る……!」と告げたジャンと共にドアの向こうに消えた。
エレンは屋上の柵の上で腕を組み、その中に顔を埋める。
校庭をぼんやりと見つめていると、午後の授業開始を知らせる鐘の音が聞こえてきた。
「お前以外、誰も好きにならねぇよ、か……」
ジャンの辛そうな表情が頭から離れず、エレンは眉間に皺を寄せる。
「……何やってんだ、俺は……」
写真のデータを返してもらう為とは言え、自分のしている行為は恋人への裏切りそのものであり、罪悪感に押し潰されそうになる。
また、最近エレンには少し気がかりな事もあった。
リヴァイに呼び出された後の記憶が、部分的に抜けているのである。
(何で記憶が飛ぶんだ……?至って普通なのに……)
リヴァイとの関係が普通とはとても言い難いが、例えば記憶がおかしくなるほど酷い事をされた覚えはない。多分。
忘れてしまいたいと思いつつも、中途半端に記憶が抜け落ちているのが妙に引っ掛かる。
(あーもーすげぇ気持ち悪ィ!!)
エレンは頭をくしゃくしゃと掻き乱しながら1人悶々とする。
「はぁ、……ジャン、早く戻ってこーい…」
いつも2人で過ごすこの屋上は、今のエレンにとってあまりにも広すぎた。
「キルシュタインは当分戻ってこないぞ」
「!」
誰もいない筈の屋上で、その低く静かな声にエレンは眉をひそめる。
「……何で…?」
「授業が始まったにも関わらず堂々とサボりか…しっかり成績に反映させるからな」
振り向いた先にいる教師の存在に、エレンは目を見張る。
「だって、次の授業…」
「確か次の授業は自習だったか?」
リヴァイは首を傾げて少し考える素振りを見せるが、すぐにエレンに視線を戻した。
「ま、俺の授業をどう使おうが俺の自由だ」
「なっ……!!」
学校を私物化するリヴァイの横暴な態度に、エレンは唖然とする。
リヴァイは悪びれた様子もなく、エレンの元へ歩み寄る。
「エレン、今日も着けてるな」
「……….」
見上げてきた涼やかな瞳は、エレンに絶対的服従を要求する。
「見せろ」
エレンは頬を紅潮させ、無言のまま襟元から第2ボタンまでを外していく。
恥ずかしそうに襟を広げると、その肌に着けられた真っ赤な首輪を見てリヴァイは目を細めた。
涙を滲ませ俯くエレンの首輪に、リヴァイは容赦無くリードのチェーンを取り付け鍵をかける。
「もう、やめて下さ………っあ!!」
無理矢理リードを引っ張られ、強制的にリヴァイの顔に近づけさせられた。
「主人のやる事にいちいち口を出すな」
「……ジャンは、何で来ないんですか」
必死に訴えかけるエレンを、リヴァイは呆れ顔で見つめる。
「お前、自分が誰の飼い犬(モノ)か分かってねぇな」
ネクタイを緩め、襟元のボタンを外しながらリヴァイの視線がエレンをじっくりと眺め回す。
「エレン、下を脱いで跪け」
「…っ……」
いくら誰もいないとは言え、青空の広がる屋上で制服を脱ぐ行為はエレンにとって耐え難い羞恥であった。
「……や、嫌です………!!!」
エレンが拒絶をした途端、リヴァイはリードを屋上の手摺に巻き始める。
「な、…っ何してるんですか!止めて下さい!!」
エレンは顔面蒼白になり、リヴァイの行動を止めようと腕を掴むが乱暴に振り払われる。
「言う事を聞かない犬に用はない」
がんじがらめに巻かれたリードは強固に硬く容易に取り外せない。
「やだ、先生、…外して…やだぁ……っっ!!」
頭の中が真っ白になり、エレンはその場に座り込んでしまった。
リヴァイはそんなエレンを冷ややかに見下ろす。
「お前の好きなジャンにでも助けてもらえ、写真どころの騒ぎじゃなくなるがな」
吐き捨てるように言い放つと、リヴァイはエレンに背を向け屋上の扉へと歩き始めた。
(こんなとこ、…見られでもしたら……)
不安と屈辱に追い詰められ、エレンは藁をもすがる思いで叫んだ。
「ま、待って下さ……っあぅ!!」
短く強固になったリードがエレンの首輪を引っ張り、息苦しさと共に動きを制限される。
「はぁ、…先生、…っ…置いてかないで…」
ポロポロと涙を零しながら、エレンはリヴァイの背中を見つめる。
「1人に、しないで下さい……」
悔しくてたまらないのに、それでもリヴァイを求めるしかない自分が恥ずかしくて情けなかった。
止まらない涙を必死に拭っていると、俯くエレンの視線の先にリヴァイの影が見えた。
「…っ……せんせぇ…」
「面倒くせぇ奴、最初から素直になれ」
リヴァイが目の前に立つと、エレンは真っ赤に泣き腫らした目を向ける。
「ごめんなさい…」
リードに繋がれたまま手摺に寄りかかり、肩を震わせるその姿は学生とは思えないほど色香が漂い、リヴァイは思わず呟く。
「お前、エロいな」
「ふぇ……?」
何も考えられずきょとんとするエレンの目の前に、リヴァイは人差し指と中指を差し出してきた。
「舐めろ」
「!」
リヴァイの命令に、エレンの鼓動が徐々に早くなる。
拒絶する気持ちすらリヴァイに支配され、鼓動の早さとは反対にエレンは大人しくなっていく。
指に視線を合わせるように膝を立たせると、リヴァイの脚に片手を添えてエレンは躊躇いがちに2本の指を口に含んでいった。
「……んっ……んぅ、…ふ、…」
唾液で潤した指を舌と口唇を使って丁寧に愛撫していく。
「はぁ、…あむ、…っ…んむむ……」
顔を前後に動かして喉の再奥まで咥え込む度に、エレンの背中がゾクゾクと震えた。
「エレン、指を咥えたまま下を脱げ」
「……っ…!!」
リヴァイから続く無遠慮な命令に、エレンは頬を紅潮させる。
ベルトに手をかける指先が小刻みに震えていた。
「うぅ、…っ…ふ、ん……んぅう…」
理由はどうあれ、指を咥えているのもズボンを下ろしているのも、全て自分の意思だった。
羞恥心に煽られ、エレンの体はさらに高ぶっていく。
「は、ぁ、…」
ズボンを膝まで下ろした段階で、リヴァイはエレンの口から唾液で濡れた指を引き抜いた。
「エレン、四つ這いになって手摺に掴まれ」
身体の奥が熱く、切なさで胸が締めつけられる。
「ん、はぁ、…」
エレンは素直に従い、手摺の柵に掴まりリヴァイに腰を突き出す形で四つ這いになる。
リヴァイは秘部に手を這わせ、唾液で濡れた指先で表面をなぞるとエレンの腰がぶるりと揺れた。
「んんっ…!」
「まだ早ぇよ」
リヴァイはゆっくりと2本の指を秘部に挿入していく。
「く……っ!あ、あぁ、…」
未だ慣れない下腹部の違和感に、エレンは顔を歪ませる。
しかし、抜き差しを繰り返す中ですぐにその違和感は快感へと変わり、徐々に卑猥な水音を立て始めた。
「はぁ、あぅ……んっ……や、やらっ……」
リヴァイの指が内側を掻き回す度に、小さな喘ぎ声が零れる。
校庭から聞こえてきた体育の授業を受けている生徒の声が、エレンの羞恥を駆り立てた。
「も、ムリ、…っ…恥ずかしいです…」
後ろを振り返り、目に涙を滲ませるエレンの顔は耳まで紅く染まっていた。
視姦するように見下ろしていたリヴァイは、その言葉に薄く笑うとエレンの耳元に口唇を押しあてる。
「何言ってんだ、お前……このまま放置するぞ」
「っ……!!」
「それとも、お前の携帯電話で今からあいつを呼び出してやろうか?」
「や、……らめ、…」
胸を苛む背徳感と罪悪感に、エレンはポロポロと涙を流す。
リヴァイはエレンの耳に舌を挿れて優しく舐めると、吐息混じりに囁いた。
「当たり前だ、お前は俺の飼い犬(モノ)だからな……」
「ひっ……ぁ、あ、ああああ!!!」
その言葉が言い終わらない内に、指とは比べものにならない内側の圧迫を感じて、エレンは堪らず矯声を上げた。
「はぁ、はぁ、………ん、あぁ、あぅ、……ぁああっっ!!!」
挿入と同時に激しく腰を突き動かされ、されるがままエレンの身体が大きくと揺さぶられる。
指で馴らされていた分、リヴァイを苦もなく受け入れてエレンの身体から快楽を引き出していく。
「今日は締まりが良い、外が気に入ったか」
「や、……違っ…!!!」
拒絶する言葉とは裏腹に高ぶる身体が衝動を抑えられず、エレンは無意識に自ら腰を振って貫かれる快感を追い求めていく。
「ひっ……らめ、…っ…ん!……ふ、ふぁあ、……ああああぅん!!!」
「…っ……お前、…」
柵に掴まる手に力がこもり、エレンの身体はぶるぶると震えていた。
リヴァイはリードを引っ張りエレンを強引に振り向かせると、その表情は恍惚そのものだった。
「ん、……せんせ……」
とろみを帯びた瞳を向けられ、リヴァイは目を細める。
「……面白い奴だな」
リヴァイは少し開いたその口唇に舌を滑り込ませると、エレンの細い身体が気持ちよさそうにその快感1つ1つを受け入れていた。
「んふ、…っ、あ……ひ、うぅんっっ!!!」
先程よりもさらに激しく再奥を突かれ、エレンはリヴァイから口唇を放して喘ぎ続ける。
ここが外である事も、校舎の屋上である事も、今のエレンにはもうどうでもよかった。
リヴァイは後ろから抱き締める様にエレンに覆い被さり、エレンの髪に口唇を押しあてた。
「少し、様子を見るか…」
「はぁ、あぅ、…んぅ、…ふぅ、……んんん…………っっっっ!!!!!」
快感に支配され続け内側で大きな熱の塊が弾けた瞬間、
エレンの意識は電池の切れた人形のように途絶え、支えていたリヴァイの腕の中で崩れるように落ちていった。
「ジャン…おい、ちょっと…待てって…」
「んだよ、俺が嫌なのか?」
「違ぇーよ、場所考えろって言ってんだよ!」
サッカー部部室兼更衣室のロッカーを背に、エレンはジャンに迫られていた。
自分より少しだけ背のあるジャンの艶めいた表情を見上げ、エレンは戸惑いの色を隠しきれない。
「みんなもう帰っちまったし、いいだろ……?」
「ついさっきの話だろーが!忘れ物とかで誰か来たらどうす……んんッ!!」
一瞬の隙を狙われジャンに口唇を奪われる。
「ふっ……んん、んぅ……ッはぁ、…」
少し汗ばんだジャンの逞しい身体に抱き締められ、何度も何度もキスをされる。
エレンの1番好きな瞬間だった。
名残惜しそうに離れた口唇を目で追えば、ジャンの甘えたような笑顔が見えた。
「エレン、…すげぇ可愛い…」
ジャンに見つめられ可愛いと褒められると、エレンは何も言えなくなってしまう。
「今日、だけだからな…」
「一応覚えとく」
首筋に顔を埋めるジャンの嬉しそうな声色に、エレンは恥ずかしさと同時に諦めにも似たため息をつく。
エレンとジャンは小学校時代のクラスメイトだった。
2人ともサッカー部に所属していた事がキッカケで急速に仲良くなり、いつしか親友になっていた。
親友から恋人同士になったのは、つい最近のことである。
エレンがサッカーの試合中に足を怪我し、日常生活に支障はないもののボールを蹴る事は二度と出来ない身体になってしまった。
その際、絶望するエレンを献身的に支えたのがサッカー部のエースであり親友のジャンだった。
初めてジャンから想いの内を明かされた時、エレンは不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
むしろこれからもずっとジャンの側にいられるという嬉しさが、自然とエレンの心の中で湧き上がっていた。
「んッ、……はぁ、はぁ、…くぅ……ん、…!!」
「なんで声我慢すんだよ…もっとエロい声聞かせろよ」
「ば、ばかじゃねぇの……ここ、学校だっ、…ッあ、ぁあ!…ん…や、…」
立ったままロッカーに両手をつき、エレンは背後からジャンに乳首を弄られる。
シャツ越しにも分かるぷっくりと立ち上がったそれは、ジャンの愛撫に反応してエレンから喘ぎ声を引き出した。
「はぁ、はぁ、……ぁ、あぁ、…らめ……っ」
頬を紅潮させ気持ち良さそうに身体をビクビクと震わせるエレンを見て、ジャンの気持ちもさらに高ぶっていく。
「エレン……もっと気持ちよくさせてやるよ…」
ジャンはエレンのズボンとパンツを脱がすと、既に立ち上がったペニスをやんわりと握り締めた。
「ふぁ…ッ!」
強弱をつけて上下に動かすジャンの体温と手の感触が、エレンに痺れるような快感をもたらしていく。
「あ、あぁ、…っく、ふっ…ぅう……ッ!あ、….…!!」
ペニスから徐々に溢れ出すカウパーを潤滑油に、さらになめらかになったジャンの手の滑りにエレンはよがり声をあげた。
「あぁ、はぁ、…あぅ…っ…ジャ…ン、…」
「こっちもそろそろ良いんじゃねーか?」
ジャンはペニスを握り締めたまま、空いてる手をエレンの秘部に這わせ人差し指をゆっくりと差し込んだ。
「あんッ…!ふっ、…ぅあ、あ、…!!」
狭い秘部を押し広げながら挿入を繰り返し、同時にペニスへの愛撫も続けられる。
「いっ……あっ、あぁ、らめ、…らめ……っくぅ!…ぁ、はぁあ……っ!!」
頭の中に白い靄がかかり、ジャンから与えられる刺激で体内が甘い快楽で満たされていく。
エレンはガクガクと震える四肢を支える為、必死にロッカーに手を押し付けた。
「はぁ、はぁ、ジャン……っ…挿れて、ほしい……」
エレンが珍しく自らジャンを誘ってきた。
背中を向けたまま、潤んだ目線を送るエレンの痴態に、ジャンの身体がぞくぞくと震える。
「今日は…いつもと違ってやらしいな…」
ジャンは指を引き抜くと、自らのベルトとチャックを外してズボンをおろした。
そそり立つペニスをエレンの秘部に押し当てる。
「エレン、力抜いてろよ」
「ぅん……!っはぁ、あ、ぁあ、あ……っ!!」
ゆっくりと内側を擦りながら奥へと進むジャンの熱いペニスを感じて、エレンの口から堪えきれない喘ぎ声が零れる。
「くぅ…っ……ふぅ、ぅんん…!!」
「エレンのなか、…っ…すげぇあったかい……」
「!…ばっ、…恥ずかしい事ゆぅ、な……っ!!」
背後から耳元で囁くジャンの声に、エレンは切なくなるような胸の痛みを感じた。
互いの身体が密着し、ジャンは改めて強くエレンを抱き締める。
「エレン、好きだ…初めて会った時から、ずっと……」
「ん……」
「俺、今まで以上にサッカー頑張るからな…エレンの分まで走って、俺の足でお前にもう1度夢を見せてやる…」
「…ジャン…」
真っ直ぐで純粋なジャンの言葉に、エレンは照れ臭さと嬉しさに自然と顔が綻んでいく。
「ただ、」
「ん?」
「この流れで言うセリフじゃねーだろ、ばか」
「ん?そーか?別にいいじゃねーか…エレン、愛してるぜ♪」
「なっ、それ、軽すぎるだろ、待て……ッん!ぁあ、……あっ、あああっっ!!」
気持ちの切り替えが出来ないまま、ジャンに主導権を握られる。
どこにでもいる、普通の恋人同士のとりとめのない幸せな時間。
ジャンには恥ずかしくて言えないが、この先もずっと2人でいられたらとエレンは切に願っていた。
PM16:27『教室』
『イェーガー、友人であるお前にキルシュタインに関する大事な話があるので放課後残ってほしい……重要な話だから本人には内密にな』
担任のリヴァイにそう告げられたのは、朝の日直での仕事中だった。
リヴァイはエレンとジャンの担任教師である。
物静かで口は悪いが人望は厚く、その端正な顔立ちと華奢な容姿に女生徒のファンも多かった。
普段から教師と喋る気にはなれないが、元ヤンで高学歴のギャップを持つリヴァイはエレンやジャンを始め男子生徒からも人気があった。
先にサッカーの練習に向かったジャンを見送ると、エレンは1人教室に残った。
午後の日差しが熱く、思わず日よけカーテンで一部の窓を覆う。
少し薄暗くなった夕方の教室は、どこか哀愁を帯びていた。
「待たせたな」
程なくしてリヴァイが教室へ入ってきた。
「先生」
新学期が始まり担任のリヴァイと2人きりになるのは、今回が初めてだった。
三白眼で切れ長のリヴァイの瞳は、本人の意思とは関係なく相手を威圧させる。
(さすが、元ヤンキー…)
窓側1番奥に座るエレンの席に近づくと、リヴァイは手ごろな椅子に腰をかけた。
間近で見るリヴァイは先程の威圧感とは全く相反する妖艶な雰囲気を醸し出していた。
それは同性である事や教師である事を忘れてしまう程の魅力であり、一瞬にして人を惹きつけるとはこの事なんだなとエレンは素直に感心した。
リヴァイは上から下までゆっくりとエレンを眺めながら、おもむろに口を開いた。
「イェーガー、勿論だがお前1人か?」
「はい」
「キルシュタインに今日の事は?」
「大事な話と聞きましたので、一切話していません」
「そうか」
エレンの言葉を聞き終えると、リヴァイは安心したかのようににっこりと微笑んだ。
「では、今日からお前は俺の犬だ」
「は?」
エレンは一瞬聞き間違えたかと思った。
「あの、先生、もう1度…」
「お前は、犬だ」
「なっ」
リヴァイの口の悪さは有名だが、あまりの突拍子もない発言に思考が全くついていけない。
「え?え、どういう事ですか?何で先生に、そんなこと…」
「これ、見覚えあるだろ」
胸元のポケットから取り出した束を無造作に撒き散らされる。
「!?」
エレンは散乱した束の1枚を机から拾い上げ絶句した。
そこに写っていた被写体は、エレンとジャンの2人。
そして、昨日まさに部室でセックスをしていた時の写真だった。
濡れた瞳を向けるジャンの表情。
いやらしく喘ぐ自分自身。
口づけを交わし、抱き合い、繋がる、隠しておきたい情事の数々が数十枚に渡って写っていた。
「……なん、で……先生が、撮ったんですか……?」
「そうだ」
教師であるにも関わらず平然と語るリヴァイの態度にエレンは唖然とする。
「意味が、分かりません…」
「犬が理解しようとするな」
「!!」
既に人間として扱われていない発言に、エレンの怒りが爆発した。
「いい加減にして下さい、これが教師のやる事ですか?訴えますよ!!」
エレンはありったけの憎しみを込めてリヴァイを睨みつける。
しかし、リヴァイは動じる事なく、むしろエレンをなだめるように語りかけてきた。
「告訴するか、それも良いだろう……だが、キルシュタインはどうする?」
「え?」
「あいつはサッカーの才能があり将来を有望視されている、その芽をここで潰すのか?」
「………!!!」
悪魔の囁きは、エレンにこの状況の異常さを気づけなくさせつつあった。
「お前がこの事を誰かに話した瞬間に、先生もそれなりの対応をさせてもらう」
「そんな……!こんな事、許されるわけがない…っ……」
「現実を受け入れろ、イェーガー」
低く静かなその声は、ゆっくりと、確実に、エレンの心を蝕んでいく。
「キルシュタインは、お前にもう1度夢を見せてやると言ったんだろう?だったら、お前がすべき事は何だ」
リヴァイの言葉にエレンは茫然自失となる。
逃げ道はなく、黒く重たい何かに引きずり込まれていく感覚がエレンを襲った。
『エレン、好きだ…初めて会った時から、ずっと……』
『俺、今まで以上にサッカー頑張るからな…エレンの分まで走って、俺の足でお前にもう1度夢を見せてやる…』
脳裏に浮かぶジャンの笑顔に涙が溢れてきた。
「俺が、先生の言う事を聞けば、………ジャンを、巻き込まないって、約束してくれますか……?」
震える身体を必死に抑え、エレンは掠れる声でリヴァイに訴えかける。
「言う事を聞く、聞かないじゃない」
リヴァイは冷ややかな目で、エレンを見つめていた。
「お前は、犬だ」
リヴァイの言葉に悔しさを滲ませたエレンの目から、涙がゆっくりと頬を伝っていく。
「分かったか?」
「………はい」
少しずつエレンの思考はリヴァイに支配され、自分ではコントロールが出来なくなっていった。
PM12:10『資料室』
「……ふざけんなよ」
「ここは学校だ、教師に対する口を慎め」
「こんな昼時に呼び出すなんて、正気ですか!?」
緊急時の連絡網以外では使用されない筈のメールアドレスから送られてきたリヴァイの呼び出しに、エレンは怒りを露わにする。
人気のない資料室は、大量にある紙の匂いと密閉された埃っぽさで息が詰まりそうだった。
「キルシュタインはどうした?」
わざわざ神経を逆撫でするような質問をしてくるリヴァイに、エレンは眉をひそめる。
「……あいつには、用事があるって言ってきました…」
「当然だ、主人の言う事は絶対だからな」
「!!」
屈辱的な発言にプライドを傷つけられ、エレンは奥歯を強く噛みしめた。
「用件は、何ですか」
「そうだったな」
リヴァイは資料室の時計をチラリと確認した後、エレンに視線を向き直した。
「跪け」
静かに絶対的な服従を要求してくるその声に、エレンは抗う事が出来ない。
「…っ……」
エレンはゆっくりと腰を落としてその場に跪いた。
視線が逆転したからだろうか。
見上げた先にいるリヴァイは何も変わらない筈なのに、エレンの心の中で少しずつ不安と焦りが募っていく。
「イェーガー、この関係を早く終わらせたいか」
「え、……終われるんですか?」
いきなりの願ってもない話に、エレンの表情が明るくなった。
「そうだな…これから毎日先生とゲームをして、それに勝ったらお前を自由にしてやる」
「ゲーム?」
元サッカー少年のエレンにとってその言葉は、自由への褒賞として無意識に負けず嫌いの血を騒がせた。
「やります!俺、絶対に先生に負けませんから」
エレンの滾るような闘志を見て、リヴァイは不敵に微笑んだ。
「そうか……なら、さっさと咥えろ」
「!?」
突然後頭部の髪を掴まれ、リヴァイの股間に顔を押しつけられる。
「…やっ……何す…っ…」
布越しに伝わる生温かく硬い感触にエレンは顔をしかめた。
「今から5分以内に俺をイかせてみせろ」
「なッ…!そんなの、無理…」
「これでも余裕を持たせてやってるんだが……ゲームに勝てなきゃお前は犬のままだ」
「…っ……!!」
「どうせ、キルシュタインのものも咥えてるんだろ?犬なら大人しくしゃぶってろ」
いくら口が悪いとは言え、およそ教師とは思えない横暴な態度。
今朝のHRでは毎日見ているリヴァイと何一つ変わらないだけに、その変貌ぶりがエレンには未だ信じられずにいた。
(この人、……本当に、俺の知ってるリヴァイ先生、なのか……?)
解放を期待させておいて奈落へと突き落とされる感覚に、エレンは現実を受け止めきれず眩暈を覚える。
「早くしろ、昼休みが終わっちまうだろうが」
「?!ん、ぅうっっ!!!」
しかし、ゆっくりと考える余裕など与えられる筈もなく、エレンは無理矢理口をこじ開けられ強引にリヴァイのペニスを押し込まれた。
「…っ…ふぅ、んんぅ……ッは!、はぁ、あむ、……んむむ、…っ!!!」
「あと2分」
リヴァイの太腿に手を添え、エレンは必死に顔を前後に動かし続ける。
視姦するようにじっくりと眺めてくる冷めた視線を感じるが、エレンに睨み返す余裕などなかった。
「あと1分」
頭上から聞こえてくる刻一刻とタイムリミットを告げる声に、変化は何一つ感じられない。
「ちゅむ……むぅ、ぅんん…っん!、はぁ、はぅ、……んむむぅうう……っ!!!」
顔の動きに対し取り込む酸素の量が間に合わず、頭の中がぼうっとしてくる。
エレンは苦痛に顔を歪め、羞恥や屈辱を通り越し、ただひたすらリヴァイが早くイく事だけを願っていた。
そして、
「はい、終了」
気の遠くなるような、あっけない5分間が終わった。
「ぷはぁ……!!っ、はぁ、はぁ、げほっ…っ…あ、はぁあ……っっ!!!」
エレンはリヴァイのペニスから急いで口を離すと、時折咳き込みながら深呼吸を繰り返す。
唾液まみれになった口の周りを手で拭った瞬間、我に返ったエレンはリヴァイの方に視線を向けた。
「残念だが、時間切れだ」
「っ!!!」
あまりの悔しさに声が出ず、怒りに震える拳を強く握り締めた。
「今日はこれでお終いだが、安心しろ」
エレンとは対象的に、リヴァイは淡々とした口調で語りかける。
「これから毎日このゲームをすれば、いずれお前が勝つだろう」
「え……?」
当然の事のように言い放つリヴァイに対し、エレンは動揺を隠し切れない。
「ま、待って……!先生、待って下さい!!毎日って何ですか、冗談もほどほどに…」
「チッ…よく喋る犬だな」
「!?」
有無を言わせない低く静かな声に、エレンは思わずたじろいた。
「お前が俺を5分以内にイかせればいいだけの話だ……、写真をバラ撒かれないだけマシだと思え」
写真で揺すられ、責め立てられ、それでも言い返す事が出来ずエレンは俯き黙り込んだ。
「返事は?」
「うぁっ…!」
反応を示さないエレンの態度に苛立ちを募らせ、リヴァイは後頭部を掴むと無理矢理顔を上げさせた。
今は少しでもこの場から立ち去りたい気持ちに駆られ、エレンは気持ちを殺してリヴァイに同調する。
「わ、分かり、ました…」
「ごめんなさい、ご主人様……だろ?」
エレンが大人しくなった事につけ入り、リヴァイは服従の要求を強めてきた。
「……ご、…ごめんなさい……ご主人、さま……」
屈辱的な行為の数々を受け容れるしかない自分自身が、情けなくて許せなかった。
リヴァイはエレンの言葉に満足すると、目を細めてにっこりと微笑んだ。
「イェーガーは、聞き分けのいい子だな」
いつもの教師の表情に戻ったリヴァイに、エレンは胸を撫で下ろす。
「じゃ、じゃあ、もう帰って……」
「良いわけねぇだろ」
しかし、その微笑みの裏にあるもう1つの顔をエレンはまだ理解していなかった。
「んぐぅっっ!!」
隙をつかれ、半開きになったエレンの口へ再びリヴァイのペニスが問答無用で突っ込まれる。
勢いよく再奥まで挿入され、息苦しさと吐き気にエレンは眉間に皺を寄せ苦痛に顔を歪めた。
「主人を満足させられない犬には、躾をする必要がある」
優しく髪を撫でてくる細い指にエレンは怖気づき、リヴァイのペニスを咥え固定させられた頭を必死に左右に振って拒絶する。
「んぅう!…っふ、…ん!、んう、うーっうーっ!!」
目尻に涙を滲ませながら唸り声をあげるエレンを見つめ、リヴァイは薄く笑った。
「はっ……そんなに欲しいなら、たっぷりミルク飲ませてやるよ」
リヴァイはエレンの口内の温かさと感触を楽しむように、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「あいつのより、濃いやつをな」
PM19:42『保健室』
「…っ……はぁ、…ぁ、はぁ、ん、…んふっ……!!」
夜の色香を纏い始めた静かな保健室に、濡れた声が響き渡る。
戸棚に並べられた薬品の匂いがほんのりと鼻を掠める室内は、どこか悲現実感を漂わせていた。
「い、…いや、……はぁ、はぁ、…っ…せんせ……や、……」
真っ白なベッドに横たわり、エレンは身を捩らせる。
下腹部から聞こえてくる卑猥なバイブ音が、拒絶する気持ちとは裏腹に甘く痺れるような快楽をもたらしていく。
「あぁ、はぁ、…くぅ、……んっ!……ぃや、…はぁあ……ん、!!」
エレンの横でベッドに背をもたれながら、リヴァイは煙草を燻らせその姿をじっと眺めていた。
「せんせ、っ……抜いて、…ぁ、」
「それだけよがり声出して何言ってんだ、エロガキ」
リヴァイは煙草の煙をゆっくりと吐き出しながら、反対の手に持っていたリモコンボタンを最大まで押した。
「ひあっ…ぁあ!っ……く、ふぅう……ううううんっっっ!!!」
ローターから伝わる激しい振動が強烈な快感へと変わり、叫びそうになる声を抑える為にエレンは慌てて枕を抱きかかえ口元を覆った。
エレンの身体は一気に緊張感が高まり、額に汗を滲ませ力がこもる。
「お前、ローター好きだろ」
リヴァイは薄く笑いながら、リモコンボタンを弱にまで下げた。
「っーーーーーあぁ、…はぁ、あぅ、っく、…っ………!!!」
一瞬の激しい振動からまろやかな振動に切り替わると、同時にエレンの身体の緊張も解けていく。
余韻の残る身体を震わせながら、エレンは枕をぎゅっと強く抱きしめた。
「それにしても、よく似合ってるな」
適当に引っ張りだしておいた皿で煙草の火を消すと、リヴァイはエレンの首元に手を伸ばす。
そのバックルのついた革性の細い首輪は、リヴァイの所有物として降された事を証明しているようでエレンにとって不名誉なものでしかなかった。
「気に入ったか?」
「はぁ、…っ…いりませんよ、こんなの……」
屈辱への怒りを露わにし、エレンはリヴァイを睨みつける。
「ほぅ…」
「い、…や、ぁああああああ……!!」
再び襲ってきた強烈な快感の波に、エレンの身体が大きく波打つ。
「犬が主人に噛みつこうとするな」
「っーーーーあ、あぁ、…はぁ、はぁ、…ぅ…」
激しさと甘さを繰り返され、下腹部に蓄積される熱と股間が圧迫される苦しさにエレンの頭の中は真っ白になる。
どれだけ心で否定をし続けても、リヴァイの手1つで快楽に翻弄されてしまう自分が恥ずかしくて情けなかった。
「…はぁ、はぁ、……も、帰りたい…」
「俺を満足させたら帰してやる」
リヴァイは煙草とライターを取り出そうと胸ポケットに手をかけた。
その時、
「……ジャン……」
エレンの口から無意識に出てきたその名前に、リヴァイの眉がピクリと動いた。
「う、…….くっ、…はぁ、…」
リヴァイに見られないよう枕に顔を突っ伏し、声を殺してエレンは泣いていた。
「何で、あいつの名前を出すんだ?」
「やだっ…!」
リヴァイは怯えて抵抗する両腕を抑えつけ、エレンの鼻先まで顔を近づける。
「何故、キルシュタインの名前を出すのかと聞いている」
「な、何でって、……ジャンは、俺の恋人だから…」
感情が高ぶり、エレンはポロポロと泣き続ける。
「ジャンは、……っく…俺にこんな酷い事、絶対しない……」
「…………」
「お願いします……ジャンに、会いたい……っ…帰して下さい……!!」
嗚咽をまじえながら、興奮した口調でリヴァイに解放を求めるエレン。
その様子を微動だにせず見ていたリヴァイだったが、おもむろに口を開く。
「言いたい事はそれだけか」
リヴァイは舌打ちし、間髪を容れずエレンの下腹部からバイブ音が鳴り響いた。
「ぁああああっ!!!」
突然襲ってくる脳天を突き抜けるような快感に、エレンは矯声をあげた。
「黙って聞いてりゃくだらない事喋りやがって……」
リヴァイはエレンの下半身に手を伸ばすと、手際よくベルトを外しズボンとパンツをずらした。
「だ、だめ、………!…っ…あぅ……くぅうううんッ!!」
焦らされ続けたエレンの身体は、やんわりとペニスを握りしめてきたリヴァイの手の感触だけでイきそうになるほど限界に達していた。
「きっちり躾ないと分からねぇみたいだな」
ローターの振動を最大まで上げられた状態でペニスを擦られ、エレンは身を捩らせて快感に泣き叫ぶ。
「いや、はぁ、ーーーーーーぁ、ぁあ、らめ、ぁ…………ッく、はぁあああああぅんっっ!!!」
エレンはリヴァイの手の中で、あっという間に絶頂を迎えた。
四肢は緩み、放心状態で見開く目から涙がとめどなく流れ落ちていく。
「はぁ、はぁ、…」
エレンを見下ろすその瞳は、暗闇の中で一層冷たく鋭い印象を与えた。
「リヴァイ……せんせ……」
「お前の主人が誰なのか、身体で教えてやるよ」
リヴァイの低く艶めいた声に、エレンはぞくりと身を震わせた。
「……は、ーーーーぁ?ふ、……い、いや、待っ……ああああっ!!!」
絶頂を迎えたばかりで敏感になっている先端を擦られ、エレンの身体がビクンと弓なりに仰け反った。
必死にリヴァイを突き放そうとするが、身体が気怠く指先に力が入らない。
「気持ちいいのに拒絶したくなるだろ……?」
エレンの精液を塗りたくりながら、先端を中心に半ば強引に柔らかくなったペニスを扱き上げる。
「や……やだ、……はぁ、はぁ、せんせ、…っ…らめぇぇ……!!」
執拗にペニスを愛撫され、同時に、内側で振動し続けるローターが快感を呼び起こしてエレンの身体を高ぶらせていく。
「らめ、……あぅ、…っくぅ…ん……、いッ、ぁ、ぁああああ……ッッ!!!」
エレンは程なくして2度目の絶頂を迎えた。
しかし、達したのも束の間、手や衣服が体液で汚れるのもお構いなしに熱を持ち敏感なそこを弄られ続ける。
「これ位でへばるなよ、まだ終わりじゃねぇぞ」
「あぁッ、はぁ、…………ぁ、もぉ、らめ、……い、いやぁぁ……っ…!!!」
身体中に電流が走るような快感と苦痛に、エレンは喘ぎ悶える。
リヴァイから与えられる溺れるような快楽とジャンへの想いから拒絶しようとする理性に、身体と心がバラバラになりそうだった。
「はぁ、あぅ、……っふ、ぅぅ……あぁ、はぁ、……」
身体中がじっとりと汗ばみ、エレンの顔は涙でぐしょぐしょに濡れていた。
(おかしく、……なりそう……)
頭の中に靄がかかり、思考が働かなくなっていく。
感覚が麻痺し、どこか自分の身体ではないような浮いた心地になっていた。
(誰か……)
エレンは無意識に何もない天井に向かって手を伸ばす。
「ん……」
不意に口唇に触れてきた温かく優しいキスに、エレンの不安と緊張が和らいだ。
(ぁ……ジャン、……?)
エレンの伸ばした手に指が絡み、その甲にもキスをされる。
(来て、くれたのか……)
汗で顔に張り付いた髪を取り除き、頭や頬を撫でてくる安らぎに、エレンは小さく息を吐いた。
(気持ちいい……)
エレンはうっすらと目を開け、その人物に焦点をあてた。
薄暗い部屋でも分かるその陰湿な微笑みに、エレンの目に涙が滲む。
「エレン、……お前の主人は誰だ?」
何も変わらない状況に、諦めと順応しようとする本能が働く。
「ぁ、…リヴァイ……先生ぇ……」
頬に手を添え再びキスで塞いできた薄い口唇を、エレンは少しだけ噛んで、舌で舐めた。
人は、
一度知った蜜の味を
忘れる事は出来ないーーーー。
PM12:50【兆候】
「エレン、お前最近何かあったのか?」
快晴の空とは反対に、曇りがちな瞳を向けられエレンは思わずドキッとする。
「え……」
「メールや電話はしてくれるけどよ、なんつーか、前より一緒にいる時間が減った気がするんだ」
「そ、そうか?気のせいだろ」
後ろめたい気持ちを隠すように否定で固めた言葉は、見透かされたように脆く崩れる。
「お前、本当にそう思ってんのか?」
「んん……っ!!」
やるせない思いが込められた口唇は、エレンの口内を強引に貪っていく。
「ん……っふ、……はぁ、ぁん……んんん…っっ!!!」
無機質で激しさだけが増していくキスに、エレンはジャンの胸元のシャツをきつく握り締めた。
「っ………は、はぁ、…」
細長い唾液の糸を引いて、ゆっくりと離れていく口唇。
哀しみを纏ったジャンの瞳に、顔を歪ませる自分が映って見えた。
「知らねぇキスの味がする…」
「!?」
掠れるような声で呟いた一言に、エレンの手が思わず口元を覆った。
「なぁ、エレン、他に好きな奴でもいるのか?」
不安な思いから否が応でも向けてしまう、疑惑の念。
「は……?」
自分自身で気づく程、エレンの声は不自然に上ずっていた。
「俺以外に、誰か……!なぁ、本当の事言えって……っ!!!」
きつく両肩を掴んでくる手に、エレンは戸惑いの色を隠しきれない。
「まっ待てよ、ジャン!!何でそうなるんだ?意味分かんねぇよ……っっ」
悲痛な表情を浮かべる恋人を、ただ説得するしかない自分が無力だった。
「そ、だよな…….、俺、どうかしてる……」
屋上の手摺に背を持たれ、ジャンは空を仰いだ。
「お前、もしかしてそれで最近サッカーに集中してなかったのか?今迄のお前じゃ考えられねぇミスの連発とかよ」
「お前、プロになるんだろ?留学する為に、今大事な時期じゃねぇか」
「…っ…だったら、…」
「俺はお前以外、誰も好きにならねぇよ!!!」
取り繕う言葉が無意味でも、自分の思いだけは何としても伝えたかった。
「エレン…」
互いを抱き締める力が儚くて、エレンは泣きそうになる。
このまま、夢なら醒めないで欲しいと願う程。
「……ン、…ジャン!」
遠くから聞こえてきた馴染みの声に、エレンとジャンは屋上のドアを見つめる。
程なくして扉が開き、金髪の少年が息を切らせて入ってきた。
「アルミン」
「はぁ、……ジャン、ハンジ先生が呼んでるよ」
「ハンジ先生が?」
「ずっと探してるみたい、ほら、急いで!」
エレンから少し強引にジャンを引き剥がすと、アルミンは急かすようにその背中を追い立てる。
「あ、あぁ、…」
ジャンは慌ててエレンに視線を向けると、エレンはにっこりと微笑っていた。
「俺はここで待ってるよ」
「もう、エレン!いくら次が自習だからって、サボるのを黙認する僕の身にもなってよね」
頬を膨らませながら、クラス委員のアルミンはエレンをキッと睨みつける。
「ははっ、悪ィなアルミン」
苦笑いを浮かべるエレンに対しアルミンはペロッと舌を出すと、「すぐ戻る……!」と告げたジャンと共にドアの向こうに消えた。
エレンは屋上の柵の上で腕を組み、その中に顔を埋める。
校庭をぼんやりと見つめていると、午後の授業開始を知らせる鐘の音が聞こえてきた。
「お前以外、誰も好きにならねぇよ、か……」
ジャンの辛そうな表情が頭から離れず、エレンは眉間に皺を寄せる。
「……何やってんだ、俺は……」
写真のデータを返してもらう為とは言え、自分のしている行為は恋人への裏切りそのものであり、罪悪感に押し潰されそうになる。
また、最近エレンには少し気がかりな事もあった。
リヴァイに呼び出された後の記憶が、部分的に抜けているのである。
(何で記憶が飛ぶんだ……?至って普通なのに……)
リヴァイとの関係が普通とはとても言い難いが、例えば記憶がおかしくなるほど酷い事をされた覚えはない。多分。
忘れてしまいたいと思いつつも、中途半端に記憶が抜け落ちているのが妙に引っ掛かる。
(あーもーすげぇ気持ち悪ィ!!)
エレンは頭をくしゃくしゃと掻き乱しながら1人悶々とする。
「はぁ、……ジャン、早く戻ってこーい…」
いつも2人で過ごすこの屋上は、今のエレンにとってあまりにも広すぎた。
「キルシュタインは当分戻ってこないぞ」
「!」
誰もいない筈の屋上で、その低く静かな声にエレンは眉をひそめる。
「……何で…?」
「授業が始まったにも関わらず堂々とサボりか…しっかり成績に反映させるからな」
振り向いた先にいる教師の存在に、エレンは目を見張る。
「だって、次の授業…」
「確か次の授業は自習だったか?」
リヴァイは首を傾げて少し考える素振りを見せるが、すぐにエレンに視線を戻した。
「ま、俺の授業をどう使おうが俺の自由だ」
「なっ……!!」
学校を私物化するリヴァイの横暴な態度に、エレンは唖然とする。
リヴァイは悪びれた様子もなく、エレンの元へ歩み寄る。
「エレン、今日も着けてるな」
「……….」
見上げてきた涼やかな瞳は、エレンに絶対的服従を要求する。
「見せろ」
エレンは頬を紅潮させ、無言のまま襟元から第2ボタンまでを外していく。
恥ずかしそうに襟を広げると、その肌に着けられた真っ赤な首輪を見てリヴァイは目を細めた。
涙を滲ませ俯くエレンの首輪に、リヴァイは容赦無くリードのチェーンを取り付け鍵をかける。
「もう、やめて下さ………っあ!!」
無理矢理リードを引っ張られ、強制的にリヴァイの顔に近づけさせられた。
「主人のやる事にいちいち口を出すな」
「……ジャンは、何で来ないんですか」
必死に訴えかけるエレンを、リヴァイは呆れ顔で見つめる。
「お前、自分が誰の飼い犬(モノ)か分かってねぇな」
ネクタイを緩め、襟元のボタンを外しながらリヴァイの視線がエレンをじっくりと眺め回す。
「エレン、下を脱いで跪け」
「…っ……」
いくら誰もいないとは言え、青空の広がる屋上で制服を脱ぐ行為はエレンにとって耐え難い羞恥であった。
「……や、嫌です………!!!」
エレンが拒絶をした途端、リヴァイはリードを屋上の手摺に巻き始める。
「な、…っ何してるんですか!止めて下さい!!」
エレンは顔面蒼白になり、リヴァイの行動を止めようと腕を掴むが乱暴に振り払われる。
「言う事を聞かない犬に用はない」
がんじがらめに巻かれたリードは強固に硬く容易に取り外せない。
「やだ、先生、…外して…やだぁ……っっ!!」
頭の中が真っ白になり、エレンはその場に座り込んでしまった。
リヴァイはそんなエレンを冷ややかに見下ろす。
「お前の好きなジャンにでも助けてもらえ、写真どころの騒ぎじゃなくなるがな」
吐き捨てるように言い放つと、リヴァイはエレンに背を向け屋上の扉へと歩き始めた。
(こんなとこ、…見られでもしたら……)
不安と屈辱に追い詰められ、エレンは藁をもすがる思いで叫んだ。
「ま、待って下さ……っあぅ!!」
短く強固になったリードがエレンの首輪を引っ張り、息苦しさと共に動きを制限される。
「はぁ、…先生、…っ…置いてかないで…」
ポロポロと涙を零しながら、エレンはリヴァイの背中を見つめる。
「1人に、しないで下さい……」
悔しくてたまらないのに、それでもリヴァイを求めるしかない自分が恥ずかしくて情けなかった。
止まらない涙を必死に拭っていると、俯くエレンの視線の先にリヴァイの影が見えた。
「…っ……せんせぇ…」
「面倒くせぇ奴、最初から素直になれ」
リヴァイが目の前に立つと、エレンは真っ赤に泣き腫らした目を向ける。
「ごめんなさい…」
リードに繋がれたまま手摺に寄りかかり、肩を震わせるその姿は学生とは思えないほど色香が漂い、リヴァイは思わず呟く。
「お前、エロいな」
「ふぇ……?」
何も考えられずきょとんとするエレンの目の前に、リヴァイは人差し指と中指を差し出してきた。
「舐めろ」
「!」
リヴァイの命令に、エレンの鼓動が徐々に早くなる。
拒絶する気持ちすらリヴァイに支配され、鼓動の早さとは反対にエレンは大人しくなっていく。
指に視線を合わせるように膝を立たせると、リヴァイの脚に片手を添えてエレンは躊躇いがちに2本の指を口に含んでいった。
「……んっ……んぅ、…ふ、…」
唾液で潤した指を舌と口唇を使って丁寧に愛撫していく。
「はぁ、…あむ、…っ…んむむ……」
顔を前後に動かして喉の再奥まで咥え込む度に、エレンの背中がゾクゾクと震えた。
「エレン、指を咥えたまま下を脱げ」
「……っ…!!」
リヴァイから続く無遠慮な命令に、エレンは頬を紅潮させる。
ベルトに手をかける指先が小刻みに震えていた。
「うぅ、…っ…ふ、ん……んぅう…」
理由はどうあれ、指を咥えているのもズボンを下ろしているのも、全て自分の意思だった。
羞恥心に煽られ、エレンの体はさらに高ぶっていく。
「は、ぁ、…」
ズボンを膝まで下ろした段階で、リヴァイはエレンの口から唾液で濡れた指を引き抜いた。
「エレン、四つ這いになって手摺に掴まれ」
身体の奥が熱く、切なさで胸が締めつけられる。
「ん、はぁ、…」
エレンは素直に従い、手摺の柵に掴まりリヴァイに腰を突き出す形で四つ這いになる。
リヴァイは秘部に手を這わせ、唾液で濡れた指先で表面をなぞるとエレンの腰がぶるりと揺れた。
「んんっ…!」
「まだ早ぇよ」
リヴァイはゆっくりと2本の指を秘部に挿入していく。
「く……っ!あ、あぁ、…」
未だ慣れない下腹部の違和感に、エレンは顔を歪ませる。
しかし、抜き差しを繰り返す中ですぐにその違和感は快感へと変わり、徐々に卑猥な水音を立て始めた。
「はぁ、あぅ……んっ……や、やらっ……」
リヴァイの指が内側を掻き回す度に、小さな喘ぎ声が零れる。
校庭から聞こえてきた体育の授業を受けている生徒の声が、エレンの羞恥を駆り立てた。
「も、ムリ、…っ…恥ずかしいです…」
後ろを振り返り、目に涙を滲ませるエレンの顔は耳まで紅く染まっていた。
視姦するように見下ろしていたリヴァイは、その言葉に薄く笑うとエレンの耳元に口唇を押しあてる。
「何言ってんだ、お前……このまま放置するぞ」
「っ……!!」
「それとも、お前の携帯電話で今からあいつを呼び出してやろうか?」
「や、……らめ、…」
胸を苛む背徳感と罪悪感に、エレンはポロポロと涙を流す。
リヴァイはエレンの耳に舌を挿れて優しく舐めると、吐息混じりに囁いた。
「当たり前だ、お前は俺の飼い犬(モノ)だからな……」
「ひっ……ぁ、あ、ああああ!!!」
その言葉が言い終わらない内に、指とは比べものにならない内側の圧迫を感じて、エレンは堪らず矯声を上げた。
「はぁ、はぁ、………ん、あぁ、あぅ、……ぁああっっ!!!」
挿入と同時に激しく腰を突き動かされ、されるがままエレンの身体が大きくと揺さぶられる。
指で馴らされていた分、リヴァイを苦もなく受け入れてエレンの身体から快楽を引き出していく。
「今日は締まりが良い、外が気に入ったか」
「や、……違っ…!!!」
拒絶する言葉とは裏腹に高ぶる身体が衝動を抑えられず、エレンは無意識に自ら腰を振って貫かれる快感を追い求めていく。
「ひっ……らめ、…っ…ん!……ふ、ふぁあ、……ああああぅん!!!」
「…っ……お前、…」
柵に掴まる手に力がこもり、エレンの身体はぶるぶると震えていた。
リヴァイはリードを引っ張りエレンを強引に振り向かせると、その表情は恍惚そのものだった。
「ん、……せんせ……」
とろみを帯びた瞳を向けられ、リヴァイは目を細める。
「……面白い奴だな」
リヴァイは少し開いたその口唇に舌を滑り込ませると、エレンの細い身体が気持ちよさそうにその快感1つ1つを受け入れていた。
「んふ、…っ、あ……ひ、うぅんっっ!!!」
先程よりもさらに激しく再奥を突かれ、エレンはリヴァイから口唇を放して喘ぎ続ける。
ここが外である事も、校舎の屋上である事も、今のエレンにはもうどうでもよかった。
リヴァイは後ろから抱き締める様にエレンに覆い被さり、エレンの髪に口唇を押しあてた。
「少し、様子を見るか…」
「はぁ、あぅ、…んぅ、…ふぅ、……んんん…………っっっっ!!!!!」
快感に支配され続け内側で大きな熱の塊が弾けた瞬間、
エレンの意識は電池の切れた人形のように途絶え、支えていたリヴァイの腕の中で崩れるように落ちていった。
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