その夜の出来事
(ヤバイ…眠れない…。)
何度ついたか分からない溜息をついてエレンは部屋の天井を見つめる。
窓から零れる月の光で内部が薄暗くぼんやりと見える明るさだ。
(明日も早朝から訓練があるし、寝不足でうたた寝なんかしたら…。)
上官であるリヴァイ兵長の顔を想像しただけで顔面が真っ青になる。
ゆっくりと上半身を起こし、気怠い体の状態を何となく感じながら自分の下半身にある1点をじっと見つめた。
エレン・イェーガー15歳。
普段は戦いと訓練に明け暮れる兵士とはいえ、思春期真っ盛りの男子がする事と言えば1つしかない。
(これやんないとマジで寝れないし…。)
ベッド横に配置された小さな机に手を伸ばし、ティッシュを箱ごと枕元に置いた。
布団を横にずらし、少し腰を浮かせて履いていたズボンとパンツを脱ぐ。
(する、か。)
少し立ち上がった自身に手をかけたその時、
「エレン入るぞ。」
聞き覚えのある声と同時にガチャッと部屋のドアが開いた。
「!」
エレンの身体は一瞬で硬直し頭が真っ白になる。
薄暗い部屋でも感じる、あの冷めた視線。
(リヴァイ…兵長…。)
呆然とするエレンをよそに、当の本人は涼しい顔でドアに持たれかかり腕を組んでじっと見つめていた。
「まだガキのくせに、やる事はやってんだな。」
「えっ…。」
エレンはハッと我に返り状況を把握する。
(み、見られたーーー!!!)
隠す暇がなかったとはいえ、リヴァイが部屋に入って来る直前のままだった状態に慌てて布団で下半身を隠す。
恥ずかしさと情けなさで顔を真っ赤にし、エレンは首を垂れた。
微動だにせず一部始終を見ていたリヴァイだったが、ゆっくりとエレンのいるベッドに近づいてきた。
「上官が部屋に入って来たにも関わらず立ち上がって挨拶をしない事、今回だけは見逃してやる。」
「っ……。」
その言葉にエレンは身体を強張らせるがあまりの恥ずかしさに顔を上げることは出来なかった。
ベッドに座っているエレンの真横に立ち、リヴァイはエレンを見下ろした。
月明かりに見える、小さく身体をまるめて俯く15歳の少年兵。
「まぁ…」
ー巨人化能力の持ち主ー
「その方が人間らしくていいだろ。」
図上から微かに聞こえてきたその言葉に、エレンは堪らず声の主を見上げた。
「リヴァ…」
「呼び捨てか、良い度胸だな。」
「違っ、すみません…。」
とりとめのないやり取りだが、エレンは胸がいっぱいになるのを感じていた。
久しぶりに人として扱ってもらえたからだろうか。
リヴァイの言葉に優しさを感じたのは、きっと今が夜でこの短時間に色々あったせいだからかもしれない。
「それにしても何で1人でヤってるんだ?ミカサがいるだろ。」
「なっ…」
あまりにも突然で不躾な質問に、エレンは唖然とする。
「ミカサはそんな関係じゃありません!」
「言われなくても知ってる。」
「~っっ!!」
わなわなと体が震え、エレンは開いた口がふさがらない。
からかっているのか、本気なのか、表情を一つ変えないリヴァイ。
「なら、俺がイかせてやろうか。」
「……は?」
混乱する頭の中を整理出来ないまま、エレンは布団の中に突っ込んできたリヴァイの手を必死に払いのけようとする。
「兵長…やめっ」
「大人しくしてろ。」
「ッうあっ…あ…!」
抵抗も虚しく自身を根元から強く握られたエレンは思わず声を上げた。
じんわりと手から伝わるリヴァイの体温にエレンの背中がぞくぞくと震える。
「ハァ…んん…」
「女みてぇな喘ぎ声だな。」
耳元で淡々と語るリヴァイの言葉すらエレンの体を熱くした。
「やッ…はぁっ…。」
連続的に親指の腹で先端を擦られ、絶え間ない刺激の波に耐えらずエレンはリヴァイの胸に顔を埋めた。
エレンの少し汗ばんだ髪がリヴァイの喉を撫で、湿り気を帯びた吐息が不規則に胸にかかる。
「っ…!」
リヴァイは愛撫していた手を止めると、そのままエレンの体をゆっくりとベッドに寝かせた。
「ハァ…ふっ…。」
呼吸を整えながら朦朧とする意識の中でエレンはドアに向かって歩くリヴァイの背中に焦点をあてようとする。
「兵長…。」
「明日は早朝から訓練がある。遅刻は許さん。」
そう言い残してリヴァイが部屋を後にすると、再び静寂が部屋を覆った。
(何だったんだ?)
自分の身に起こった出来事が信じられず、夢でも見ていたのではないかと思えてくる。
リヴァイの声、体温、愛撫する指の感触。
自分でするのとは全く違う快楽は、それを知ってしまった少年の体に現実として鮮明に残されていた。
(あの時…)
部屋を出る直前、一瞬だけこちらを振り返ったリヴァイの表情がエレンには笑っていたように見えた。
「気のせいだよな…。」
緊張から解放されたからなのだろう。
そう言い終わらない内にエレンの瞼は閉じられ、小さな寝息を立て始めた。
部屋に零れる月明かりが、優しくエレンの頬を撫でた。
『またな…エレン…。』
end.
何度ついたか分からない溜息をついてエレンは部屋の天井を見つめる。
窓から零れる月の光で内部が薄暗くぼんやりと見える明るさだ。
(明日も早朝から訓練があるし、寝不足でうたた寝なんかしたら…。)
上官であるリヴァイ兵長の顔を想像しただけで顔面が真っ青になる。
ゆっくりと上半身を起こし、気怠い体の状態を何となく感じながら自分の下半身にある1点をじっと見つめた。
エレン・イェーガー15歳。
普段は戦いと訓練に明け暮れる兵士とはいえ、思春期真っ盛りの男子がする事と言えば1つしかない。
(これやんないとマジで寝れないし…。)
ベッド横に配置された小さな机に手を伸ばし、ティッシュを箱ごと枕元に置いた。
布団を横にずらし、少し腰を浮かせて履いていたズボンとパンツを脱ぐ。
(する、か。)
少し立ち上がった自身に手をかけたその時、
「エレン入るぞ。」
聞き覚えのある声と同時にガチャッと部屋のドアが開いた。
「!」
エレンの身体は一瞬で硬直し頭が真っ白になる。
薄暗い部屋でも感じる、あの冷めた視線。
(リヴァイ…兵長…。)
呆然とするエレンをよそに、当の本人は涼しい顔でドアに持たれかかり腕を組んでじっと見つめていた。
「まだガキのくせに、やる事はやってんだな。」
「えっ…。」
エレンはハッと我に返り状況を把握する。
(み、見られたーーー!!!)
隠す暇がなかったとはいえ、リヴァイが部屋に入って来る直前のままだった状態に慌てて布団で下半身を隠す。
恥ずかしさと情けなさで顔を真っ赤にし、エレンは首を垂れた。
微動だにせず一部始終を見ていたリヴァイだったが、ゆっくりとエレンのいるベッドに近づいてきた。
「上官が部屋に入って来たにも関わらず立ち上がって挨拶をしない事、今回だけは見逃してやる。」
「っ……。」
その言葉にエレンは身体を強張らせるがあまりの恥ずかしさに顔を上げることは出来なかった。
ベッドに座っているエレンの真横に立ち、リヴァイはエレンを見下ろした。
月明かりに見える、小さく身体をまるめて俯く15歳の少年兵。
「まぁ…」
ー巨人化能力の持ち主ー
「その方が人間らしくていいだろ。」
図上から微かに聞こえてきたその言葉に、エレンは堪らず声の主を見上げた。
「リヴァ…」
「呼び捨てか、良い度胸だな。」
「違っ、すみません…。」
とりとめのないやり取りだが、エレンは胸がいっぱいになるのを感じていた。
久しぶりに人として扱ってもらえたからだろうか。
リヴァイの言葉に優しさを感じたのは、きっと今が夜でこの短時間に色々あったせいだからかもしれない。
「それにしても何で1人でヤってるんだ?ミカサがいるだろ。」
「なっ…」
あまりにも突然で不躾な質問に、エレンは唖然とする。
「ミカサはそんな関係じゃありません!」
「言われなくても知ってる。」
「~っっ!!」
わなわなと体が震え、エレンは開いた口がふさがらない。
からかっているのか、本気なのか、表情を一つ変えないリヴァイ。
「なら、俺がイかせてやろうか。」
「……は?」
混乱する頭の中を整理出来ないまま、エレンは布団の中に突っ込んできたリヴァイの手を必死に払いのけようとする。
「兵長…やめっ」
「大人しくしてろ。」
「ッうあっ…あ…!」
抵抗も虚しく自身を根元から強く握られたエレンは思わず声を上げた。
じんわりと手から伝わるリヴァイの体温にエレンの背中がぞくぞくと震える。
「ハァ…んん…」
「女みてぇな喘ぎ声だな。」
耳元で淡々と語るリヴァイの言葉すらエレンの体を熱くした。
「やッ…はぁっ…。」
連続的に親指の腹で先端を擦られ、絶え間ない刺激の波に耐えらずエレンはリヴァイの胸に顔を埋めた。
エレンの少し汗ばんだ髪がリヴァイの喉を撫で、湿り気を帯びた吐息が不規則に胸にかかる。
「っ…!」
リヴァイは愛撫していた手を止めると、そのままエレンの体をゆっくりとベッドに寝かせた。
「ハァ…ふっ…。」
呼吸を整えながら朦朧とする意識の中でエレンはドアに向かって歩くリヴァイの背中に焦点をあてようとする。
「兵長…。」
「明日は早朝から訓練がある。遅刻は許さん。」
そう言い残してリヴァイが部屋を後にすると、再び静寂が部屋を覆った。
(何だったんだ?)
自分の身に起こった出来事が信じられず、夢でも見ていたのではないかと思えてくる。
リヴァイの声、体温、愛撫する指の感触。
自分でするのとは全く違う快楽は、それを知ってしまった少年の体に現実として鮮明に残されていた。
(あの時…)
部屋を出る直前、一瞬だけこちらを振り返ったリヴァイの表情がエレンには笑っていたように見えた。
「気のせいだよな…。」
緊張から解放されたからなのだろう。
そう言い終わらない内にエレンの瞼は閉じられ、小さな寝息を立て始めた。
部屋に零れる月明かりが、優しくエレンの頬を撫でた。
『またな…エレン…。』
end.
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