Villain

「お前が俺の担当になってからどれくらい経つ?」
「Lがプライベートで俺のサロンに来てからそろそろ1年になります。」
「楽しいか?」
「やり甲斐があって毎日楽しいです。」
「アイドル辞めて3Bのトップか。ちやほやされるの本当好きだな。」
「否定はしませんけど、その3BのトップオブトップはLですよ。」
「……。」
「さて、キメが整ったところでベースメイクしていきますね。あ、バンドと言えば、親父の知り合いがNNが利用していたライブハウスを経営してて、昔Lが歌ってるところを偶然見たことあるんです。」
「あのライブハウスか?」
「当時バンド組み立てだったんでしょうね。ライブ中にLがハンジさんと口論してそれが観客にまで飛び火して大乱闘。ライブがめちゃめちゃになって今じゃ考えられないような面白さがあった。」
「ハッ…そんな時代もあったな。」
「危うさとカリスマ性を秘めた貴方に魅了されて、あの日を境に俺はアイドルを辞める決意をしました。スキャンダルを気にせずLのそばにいられる方法を考えてすぐにこの世界に飛び込んだんです……目を瞑って下さい。」
「ん。」
「Lの切長の瞳にはアイメイクがよく映えますね。緑のアイライナーが似合う人もなかなかいませんよ。」
「披露する機会はたまにしかないが身が引き締まる。」
「そう言って頂けて光栄です。それに、こうして2人だけの秘密が少しずつ増えていくのも嬉しいです。」
「お前はまたそういう…」
「貴方に少しでも近づきたいという淡い願望が、今では世界が熱狂するLという存在を俺の手で具現化出来るところまで上り詰めた。」
「(包帯は)きっちり雑に巻けよ。」
「はい。仕事でも私生活でもLそばにいられて、好きな時に触れられる。こんなに幸せなことはありません。」
「…待ては教えた筈だが。」
「両眼巻いてるのにさすがです。」
「躾きれてねぇのは飼い主の責任か。リップはお前の唇から貰う。」
「はい…っ。」

「んっ…ちゅ、…あっ、あっ、L…せっかく綺麗に仕上げたのに…はぁ、…ん…もうすぐライブ始まります…」
「ちゅ、…可愛がってやらねぇとまた欲しがるだろ。」
「あ、あっ…すき…でも、…んっ…」
「トロ顔で腰振ってる奴がなに言っても説得力0だな…ちゅ、…」
「いじわる…っ、ん、そこも、好き…ちゅ、…」

「Lはどこ!もうすぐライブ始まるってのに何やってんのよアイツ!」
「ハンジ、今すぐモニター確認しろ。」
「は?」

:抱っこ?:Lが抱っこしてる…:あああああ!:トキメキがすごい:ハスハス:アングル的にどうなの:えもい:夢なんじゃ…:跪け豚共が:Lこっち見て:抱っこされてるイケメン誰?:恋人のエ君:トップアイドル電撃引退→起業→人気アパレルブランド「マリア」ヘアメイクサロン「エルディア」オーナー→プライベートで通ってたLの寵愛を受けて専属契約:お似合いすぎて草:エ君専属になってからのLは神:インストぴえん:それな:考察はよ

「Lが担当に説明不用で極秘指示を出したらしい。」
「ちょっと待ってよ…無観客のアダルト限定配信だからってさすがにこれはヤバいって…」
「アルバム【villan】ライブ配信【the villain of the piece】……楽曲を作った段階で俺たちの負けだ。今のLは崇高でクレイジー。」
「こんなのに付き合ってたら身がもたないよ。…うわぁ…トレンド入りがエグい……。」

甘く繊細なオブラートで包まれたキスの正体をエレンはまだ知らない。
求めるまま、欲するまま、例えそれがエレンや周囲から理解されないとしても。

「エレン、綺麗だ…その瞳も、唇も、髪も、肌も、全て俺だけのもの…。」
「L…俺が全てを注いで貴方を作り上げるように、俺の内側にLの全てを注いで満たして…」

end.
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