パルマよせあつめ
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冬に近いというのについ数日前まで汗ばむ陽気だった。だから近場の散歩に薄着で来てしまったのは仕方ないと謎の言い訳をする。陽が落ちれば乾いた風に熱はどんどん奪われて、少しでも気を緩めれば震えてしまいそうだった。だけど隣を歩くチアキくんには悟られたくなくて平気なフリで彼に笑顔を向けた。
*
俺に笑顔を向けて話す彼女はどう見ても我慢している。辺りが薄暗くなって人通りもまばらな散歩道、風が強くなっていく。寒いならそう言ってくれたらいいのに、と思いつつ何故か頑として平気そうに振る舞う彼女の腰を引き寄せる。驚きながらも抵抗無く俺の隣に収まるその体は予想よりも冷え切っていた。
*
チアキくんにピッタリとくっついていたら寒さが少し和らいできた。私の腰にまわされている手からじんわりと暖められている気がして、そっとそれに自分の手を重ねてみると、彼の体がビクリと揺れると同時に頭上から息を呑む音がした。見上げた先には鳩が豆鉄砲を食らったような顔。え、どうしたのかな。
*
俺の手に重ねられた彼女の手はあまりにも冷たく、一瞬にして自分が凍ってしまったような気持ちになった。平気なフリに気付いた時点でそうすべきだったのに。俺は急いで自分の上着を脱いで彼女の肩にかけ、何か言おうとする彼女を制してそのまま己の中へ包み込んだ。自分の体温が全て彼女へ届けばいい。
*
私が寒いといえばチアキくんは自分の上着を差し出しちゃうだろうと思っていた。だから悟られたくなかったのに、結局こうして彼と上着に守られてしまった。抱きしめ返せば冷えた背中に罪悪感が押し寄せる。帰ったらまず彼をお布団で包んであっためよう。それから貰った体温を半分こしようと心に決めた。
***
ゲームをしよう、と君がチェスを持ち出した。俺と勝負したくて勉強したらしい。初心者だから、たーくさんハンデ頂戴!なんて可愛く言われてしまえば断れるはずもない。勝者にはご褒美を、敗者にはもちろん罰を。ところで君が手に持っているのはなんだ?「猫耳だよ、チアキくん」結果は、果たして。
*
もう何度目かの罰ゲーム付きの勝負に負ける。猫耳を付けるという罰は正直良くわからないが、俺がそれを装備する瞬間の、本当に嬉しそうに笑う君が見たくていつも勝ちを譲ってしまう。今も「チアキくん、かわいい」の言葉にいとも簡単に絆される自分を自覚している。罰か褒美かわからなくなってきたな。
*
他の男の話をする彼女と喧嘩。俺に余裕がないせいだとわかっているから覚悟を決める。ずるい手だと思うけれど、ぎこちない雰囲気の残る寝室で「今日はこれ…付けなくていいのか?」と思い切って差し出した猫耳は「…チアキくんだけだよ?」の言葉と一緒に俺に届けられた。俺だけの、なら悪くない。
***
私を必要とする彼と、彼を一人にしたくない私。二人で過ごす日々は幸せで、なのにずっと拭いきれない不安が胸に淀む。微笑み合って終わる一日だって、彼の寝息を手に入れないと私は目を閉じられない。明日の朝もここに居てねと少し縋るような気持ちで眠る彼の鼻にキスをして。「おやすみ、チアキくん」
*
「おやすみ、チアキくん」と呟く、毎夜繰り返される小さな儀式。俺の隣に収まって眠る彼女を見る。その手は俺のシャツを掴んだまま。独りでどこにも行くつもりないんだけどな、とその喉へ噛み付くようなキスを贈る。君の居ない世界なんて意味がないんだと伝わるように。「おやすみ、俺の愛しい人。」
*
俺に笑顔を向けて話す彼女はどう見ても我慢している。辺りが薄暗くなって人通りもまばらな散歩道、風が強くなっていく。寒いならそう言ってくれたらいいのに、と思いつつ何故か頑として平気そうに振る舞う彼女の腰を引き寄せる。驚きながらも抵抗無く俺の隣に収まるその体は予想よりも冷え切っていた。
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チアキくんにピッタリとくっついていたら寒さが少し和らいできた。私の腰にまわされている手からじんわりと暖められている気がして、そっとそれに自分の手を重ねてみると、彼の体がビクリと揺れると同時に頭上から息を呑む音がした。見上げた先には鳩が豆鉄砲を食らったような顔。え、どうしたのかな。
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俺の手に重ねられた彼女の手はあまりにも冷たく、一瞬にして自分が凍ってしまったような気持ちになった。平気なフリに気付いた時点でそうすべきだったのに。俺は急いで自分の上着を脱いで彼女の肩にかけ、何か言おうとする彼女を制してそのまま己の中へ包み込んだ。自分の体温が全て彼女へ届けばいい。
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私が寒いといえばチアキくんは自分の上着を差し出しちゃうだろうと思っていた。だから悟られたくなかったのに、結局こうして彼と上着に守られてしまった。抱きしめ返せば冷えた背中に罪悪感が押し寄せる。帰ったらまず彼をお布団で包んであっためよう。それから貰った体温を半分こしようと心に決めた。
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ゲームをしよう、と君がチェスを持ち出した。俺と勝負したくて勉強したらしい。初心者だから、たーくさんハンデ頂戴!なんて可愛く言われてしまえば断れるはずもない。勝者にはご褒美を、敗者にはもちろん罰を。ところで君が手に持っているのはなんだ?「猫耳だよ、チアキくん」結果は、果たして。
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もう何度目かの罰ゲーム付きの勝負に負ける。猫耳を付けるという罰は正直良くわからないが、俺がそれを装備する瞬間の、本当に嬉しそうに笑う君が見たくていつも勝ちを譲ってしまう。今も「チアキくん、かわいい」の言葉にいとも簡単に絆される自分を自覚している。罰か褒美かわからなくなってきたな。
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他の男の話をする彼女と喧嘩。俺に余裕がないせいだとわかっているから覚悟を決める。ずるい手だと思うけれど、ぎこちない雰囲気の残る寝室で「今日はこれ…付けなくていいのか?」と思い切って差し出した猫耳は「…チアキくんだけだよ?」の言葉と一緒に俺に届けられた。俺だけの、なら悪くない。
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私を必要とする彼と、彼を一人にしたくない私。二人で過ごす日々は幸せで、なのにずっと拭いきれない不安が胸に淀む。微笑み合って終わる一日だって、彼の寝息を手に入れないと私は目を閉じられない。明日の朝もここに居てねと少し縋るような気持ちで眠る彼の鼻にキスをして。「おやすみ、チアキくん」
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「おやすみ、チアキくん」と呟く、毎夜繰り返される小さな儀式。俺の隣に収まって眠る彼女を見る。その手は俺のシャツを掴んだまま。独りでどこにも行くつもりないんだけどな、とその喉へ噛み付くようなキスを贈る。君の居ない世界なんて意味がないんだと伝わるように。「おやすみ、俺の愛しい人。」