パルマよせあつめ
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年越し当直。まぁこの島には行く所もないしと黙々と仕事をしていたら須田看守から「引き出し」とメール。不審に思いつつ確認するとポチ袋が入っていた。まさか、と中を覗くと空っぽで。あの野郎…と思わず呟けば扉の向こうで噴き出す声。素直に会いにくればいいのにと呆れつつ私の頬は緩んでしまった。
***
残業。帰りたい。そんな気持ちで仕事してたら定時で帰ったはずの須田看守が不機嫌なオーラでやってきた。時間外勤務なんてありえませんとか言ってる。それでも仕事はきちんとこなす。そして「体調不良の同僚の代わりに休日出勤なんてごめんですから」と私にココアをおいていく。そういうのずるくない?
***
看守詰所を覗く。もう遅いし須田さん帰ったかな。出直そうと振り返ると彼が立っていた。それも私服で。「私としたことが忘れ物を」といつもの口調の筈なのになぜか私の顔は熱くなる。送るという珍しい申し出に喜んだら「今日だけ、気まぐれですので」って。翻弄される事さえ嬉しいって知ってるくせに。
***
「ハムスターとねずみの違いをご存じですか」そう言って須田看守は私の頬に触れそのまま親指を口の中へ入れる。「頬袋、です」閉じることを許されない口では何も答えられない。ご存知でしょうけど、と笑いながら言う。「食べに来ますか?種は沢山ありますし」そんな誘惑、断れる筈など無かった。
***
私のでよければお貸ししますよ、と須田さんっぽく言ってみる。リップクリーム。ちょっと揶揄ってやろうとしただけなのに「えぇ是非」ってこちらに向かってくる。想定外。リップはあるけど使い途中だ、そんなの。「あぁ、私は別に構いませんよ?間接キスでも」私の負けだ。今日も彼の仮面は剥がせない。
***
SABOTに迷惑メールが届くことに不満だらけの須田さん。確かに嫌だけど「あぁ、試しに音読してくれませんか」ってどうしてそうなるの?私はミチコじゃないので報酬が種ならそんな事しませんと断れば、そうですかとするりと私の唇を奪って「これで読みたくなりましたか」なんて言う。この人は本当に。
***
「パパの奇跡」が幻なら「ママの通常」は流通しているのでは、と探偵顔で詰め寄る私を呆れた目で見る狩谷さん。ワインの知識なんて皆無の中なんとか捻り出した話題だったんだけど。そしたら「ワインについて知りたいのでしたら次の休みは空けておいてください」だって。まさに奇跡。ワインってすごい。
***
この人は私の魅力にメロメロ。知ってるのよ、この頬袋がお好きなんでしょ?特別に見せてあげる。だってその手にあるひまわりの種が欲しいんだもの。だけどそうね。あなたが差し出す指に近付いて身体を預ける。あなたが私を愛しているとわかっているから、たまにはサービス。だから呼んで、ミチコって。
***
毎日飽きもせず私の元に顔を見せる相談員。面会予定がなくても詰所に来る彼女の姿を今日は見なかったと退勤時刻になって気付く。何かあったのかと端末を取り出したところで「須田さん!」と声が掛かった。あからさまにほっと胸をなでおろした自分に、彼女に興味を持ち始めたことを認めるしかなかった。
***
「随分楽しそうでしたので、つい。お邪魔してしまいましたか?」疑問形なのに否定させない口調で、私と話していた看守は持ち場へ戻る。引継のついでにちょっと談笑していただけのつもりだったけど須田さんの目には不機嫌が浮かんでいて。「随分楽しそうでしたね?」と呆れ顔で言う彼に私は笑顔を返した。
***
暗い廊下の端に連れてこられた私は、壁に向かって立たされる。「あぁ、怖がることはありません。誰が飼い主か思い出させて差し上げるだけです」ときっと微笑んでいる須田さんは、私の首にかかる髪をそっと持ち上げて項に噛み付いた。悪戯は程々に、と去っていく彼を振り返ることはまだできなかった。
***
私の態度が気に食わなかったのか、目の前の相談員は怒りで頬を膨らませた。それは頬袋の様で、つい私の口が緩んだらしく彼女はさらに頬を赤くして踵を返してしまった。あの頬袋を手放すのは惜しいと呼び止めてみるも振り返る素振りはなく。少し焦りを感じた私はご機嫌を取るべく彼女の後を追いかけた。
***
疲れた。他人の尻拭い程面倒なものはない。定時はとうに過ぎていた。「須田さん、お疲れ様です」と缶コーヒー持参で様子を見に来た相談員。もっと他にあるでしょう?という気持ちが顔に出たのか彼女は「ギモーブもどうぞ」と瑞々しい唇を私に差し出す。いちご味の唇はこの疲れを癒やすには充分だった。
***
後ろからそっと近づいていきなり両手で彼の目を塞ぐ。なのに須田さんは1ミリも驚かない。肩を震わせながら突然私の手を取りあげ組み伏せた。「私、実は看守なんですよねぇ」と彼は言う。私の目に映るのは薄暗い天井と、面白い玩具を見つけた子供のように笑う彼。お近付き作戦、間違えたかもしれない。
***
上司の無茶振りに疲れた定時過ぎ。端末から無意識に選ぶのは彼女の番号。「須田さん、退勤ですか?お疲れ様です」とのほほんと間の抜けた声がした。須田さん?と何も話さない俺を呼び続けるその声が堪らない。「相変わらず無駄に元気ですね」とからかう元気も出た。さて少し付き合って貰いましょうか。
***
私の事が嫌いなら構わないでと投げた言葉に動じもしない仮面の男は「心外です。私は貴方を愛していますよ」だって。その顔本気じゃないくせにと須田さんを一瞥して、心の無い台詞に無言で席を立った瞬間「俺に、何をさせたいのかな?」と急に雰囲気が変わる彼。その仮面に初めて亀裂が入った気がした。
***
私はそっとそれを口へ含む。誰にも取られないように、私の物だと誇示するように。あなたは興奮を抑えきれない様子でそんな私を見おろしてる。愛おしそうに、だけどゾクゾクした顔を隠す事もしないから、私は嬉しくなって固いそれを喰んでいく。「あぁ可愛いですね、ミチコ」そうよ、だからもっと頂戴。
***
須田さんはお酒に強い。顔色も変えずに何でも飲む。私はその様子を見ながらチータラを食べつつちびちびと飲る。ふと気付くと彼がこちらをじっと見ていたからチータラを1つ差し出せば「あなたが食べる姿を見てるだけです」と逆に口に入れられた。無言でもぐもぐする私を見る彼の頬が赤い気がした。
***
今日の須田さんは心ここにあらずで、喫茶店で注文したピーナツにひまわりの種を混ぜてみたけど気付かなかった。どうせミチコに振られたんだろう。面白いけど面白くなくて、私はその種を彼の口に直接突っ込んだ。やっとこちらを見た彼は何故か機嫌を良くして「嫉妬ですか?」と笑う。うるさい浮気男。
***
今日は気分じゃないの。私はあの人に背中を向ける。だって今、アナタの隣にはあの女がいるじゃない。私絶対振り向いてやらないんだから。でもあの人は甘い声でミチコって私を呼ぶ。何をすれば私が喜ぶかを知っているんだもの。ずるいわ。チラリと振り返れば用意されたひまわりの種。うまいわねこれ。
***
面会準備中の私のキラキラネイルに視線を送って「収容者を刺激するような装飾は感心しませんね」と渋い顔の須田さん。数日後リセットされた私の爪を見て満足したのか、良ければ代わりにどうぞってピンクゴールドのアンクレットをくれた。必ず左足にって謎の条件付きだったけど、まぁ可愛いからいっか。
***
急な雨に降られて看守詰所に戻ってきた須田さんはあからさまに不機嫌に私の報告を聞き流していた。こんな気怠げな表情は他の看守がいない時しか見られないと笑みを深める私に、彼は怪訝そうな視線を送ってくる。「何が楽しいんだか」と呟かれた声すらもっと聞きたくて私の報告はとんどん下手になった。
***
漠然とした不安に眠れない夜。縋るように見返したのは業務連絡の合間に送られてきた話題。その彼らしさに不安は色を変えた。用事は無い。ただ声が聞きたくなった。きっと面倒そうにしながらも無下にはしない人だから。この際彼の愛人の話でも構わないと、私は震える指で画面の「須田」の文字に触れた。
***
須田さん自炊しないんですか、とジト目で尋ねる私に彼は迷い無く頷く。文句は言うのに作れないとは。「おや、心外ですねぇ」と箸を置いてから「貴女に作って頂きたくて」と胡散臭い笑顔を私に向ける。不信感。けど私の下手な料理に一瞬満足気な顔をするから、今日も大人しく彼の進言を聞くことにした。
***
「夜店に私を満足させられるものがあるとでも?」そう言って祭りへの誘いを断る彼。予想通りで驚きもしない。じゃ、おみやげ買ってきますねと踵を返す私に須田さんは少し慌てて「行かないとは言ってません」と何故か不機嫌顔。だからまさか彼も浴衣を着るとは思わなくて私の頬は緩んだままになった。
***
汗だくの須田さんは想像できないと言えば、そうですかといつもの読めない笑顔をくれた。夏だしいっそ我慢大会でもしますかと冗談半分で誘えば彼の笑顔が深くなる。「良いですねぇ。それで」何を我慢するんですか、と私に重なる彼の影。暑さの耐性勝負の筈なのに、この熱には白旗を上げるしかなかった。
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残業。帰りたい。そんな気持ちで仕事してたら定時で帰ったはずの須田看守が不機嫌なオーラでやってきた。時間外勤務なんてありえませんとか言ってる。それでも仕事はきちんとこなす。そして「体調不良の同僚の代わりに休日出勤なんてごめんですから」と私にココアをおいていく。そういうのずるくない?
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看守詰所を覗く。もう遅いし須田さん帰ったかな。出直そうと振り返ると彼が立っていた。それも私服で。「私としたことが忘れ物を」といつもの口調の筈なのになぜか私の顔は熱くなる。送るという珍しい申し出に喜んだら「今日だけ、気まぐれですので」って。翻弄される事さえ嬉しいって知ってるくせに。
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「ハムスターとねずみの違いをご存じですか」そう言って須田看守は私の頬に触れそのまま親指を口の中へ入れる。「頬袋、です」閉じることを許されない口では何も答えられない。ご存知でしょうけど、と笑いながら言う。「食べに来ますか?種は沢山ありますし」そんな誘惑、断れる筈など無かった。
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私のでよければお貸ししますよ、と須田さんっぽく言ってみる。リップクリーム。ちょっと揶揄ってやろうとしただけなのに「えぇ是非」ってこちらに向かってくる。想定外。リップはあるけど使い途中だ、そんなの。「あぁ、私は別に構いませんよ?間接キスでも」私の負けだ。今日も彼の仮面は剥がせない。
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SABOTに迷惑メールが届くことに不満だらけの須田さん。確かに嫌だけど「あぁ、試しに音読してくれませんか」ってどうしてそうなるの?私はミチコじゃないので報酬が種ならそんな事しませんと断れば、そうですかとするりと私の唇を奪って「これで読みたくなりましたか」なんて言う。この人は本当に。
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「パパの奇跡」が幻なら「ママの通常」は流通しているのでは、と探偵顔で詰め寄る私を呆れた目で見る狩谷さん。ワインの知識なんて皆無の中なんとか捻り出した話題だったんだけど。そしたら「ワインについて知りたいのでしたら次の休みは空けておいてください」だって。まさに奇跡。ワインってすごい。
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この人は私の魅力にメロメロ。知ってるのよ、この頬袋がお好きなんでしょ?特別に見せてあげる。だってその手にあるひまわりの種が欲しいんだもの。だけどそうね。あなたが差し出す指に近付いて身体を預ける。あなたが私を愛しているとわかっているから、たまにはサービス。だから呼んで、ミチコって。
***
毎日飽きもせず私の元に顔を見せる相談員。面会予定がなくても詰所に来る彼女の姿を今日は見なかったと退勤時刻になって気付く。何かあったのかと端末を取り出したところで「須田さん!」と声が掛かった。あからさまにほっと胸をなでおろした自分に、彼女に興味を持ち始めたことを認めるしかなかった。
***
「随分楽しそうでしたので、つい。お邪魔してしまいましたか?」疑問形なのに否定させない口調で、私と話していた看守は持ち場へ戻る。引継のついでにちょっと談笑していただけのつもりだったけど須田さんの目には不機嫌が浮かんでいて。「随分楽しそうでしたね?」と呆れ顔で言う彼に私は笑顔を返した。
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暗い廊下の端に連れてこられた私は、壁に向かって立たされる。「あぁ、怖がることはありません。誰が飼い主か思い出させて差し上げるだけです」ときっと微笑んでいる須田さんは、私の首にかかる髪をそっと持ち上げて項に噛み付いた。悪戯は程々に、と去っていく彼を振り返ることはまだできなかった。
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私の態度が気に食わなかったのか、目の前の相談員は怒りで頬を膨らませた。それは頬袋の様で、つい私の口が緩んだらしく彼女はさらに頬を赤くして踵を返してしまった。あの頬袋を手放すのは惜しいと呼び止めてみるも振り返る素振りはなく。少し焦りを感じた私はご機嫌を取るべく彼女の後を追いかけた。
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疲れた。他人の尻拭い程面倒なものはない。定時はとうに過ぎていた。「須田さん、お疲れ様です」と缶コーヒー持参で様子を見に来た相談員。もっと他にあるでしょう?という気持ちが顔に出たのか彼女は「ギモーブもどうぞ」と瑞々しい唇を私に差し出す。いちご味の唇はこの疲れを癒やすには充分だった。
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後ろからそっと近づいていきなり両手で彼の目を塞ぐ。なのに須田さんは1ミリも驚かない。肩を震わせながら突然私の手を取りあげ組み伏せた。「私、実は看守なんですよねぇ」と彼は言う。私の目に映るのは薄暗い天井と、面白い玩具を見つけた子供のように笑う彼。お近付き作戦、間違えたかもしれない。
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上司の無茶振りに疲れた定時過ぎ。端末から無意識に選ぶのは彼女の番号。「須田さん、退勤ですか?お疲れ様です」とのほほんと間の抜けた声がした。須田さん?と何も話さない俺を呼び続けるその声が堪らない。「相変わらず無駄に元気ですね」とからかう元気も出た。さて少し付き合って貰いましょうか。
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私の事が嫌いなら構わないでと投げた言葉に動じもしない仮面の男は「心外です。私は貴方を愛していますよ」だって。その顔本気じゃないくせにと須田さんを一瞥して、心の無い台詞に無言で席を立った瞬間「俺に、何をさせたいのかな?」と急に雰囲気が変わる彼。その仮面に初めて亀裂が入った気がした。
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私はそっとそれを口へ含む。誰にも取られないように、私の物だと誇示するように。あなたは興奮を抑えきれない様子でそんな私を見おろしてる。愛おしそうに、だけどゾクゾクした顔を隠す事もしないから、私は嬉しくなって固いそれを喰んでいく。「あぁ可愛いですね、ミチコ」そうよ、だからもっと頂戴。
***
須田さんはお酒に強い。顔色も変えずに何でも飲む。私はその様子を見ながらチータラを食べつつちびちびと飲る。ふと気付くと彼がこちらをじっと見ていたからチータラを1つ差し出せば「あなたが食べる姿を見てるだけです」と逆に口に入れられた。無言でもぐもぐする私を見る彼の頬が赤い気がした。
***
今日の須田さんは心ここにあらずで、喫茶店で注文したピーナツにひまわりの種を混ぜてみたけど気付かなかった。どうせミチコに振られたんだろう。面白いけど面白くなくて、私はその種を彼の口に直接突っ込んだ。やっとこちらを見た彼は何故か機嫌を良くして「嫉妬ですか?」と笑う。うるさい浮気男。
***
今日は気分じゃないの。私はあの人に背中を向ける。だって今、アナタの隣にはあの女がいるじゃない。私絶対振り向いてやらないんだから。でもあの人は甘い声でミチコって私を呼ぶ。何をすれば私が喜ぶかを知っているんだもの。ずるいわ。チラリと振り返れば用意されたひまわりの種。うまいわねこれ。
***
面会準備中の私のキラキラネイルに視線を送って「収容者を刺激するような装飾は感心しませんね」と渋い顔の須田さん。数日後リセットされた私の爪を見て満足したのか、良ければ代わりにどうぞってピンクゴールドのアンクレットをくれた。必ず左足にって謎の条件付きだったけど、まぁ可愛いからいっか。
***
急な雨に降られて看守詰所に戻ってきた須田さんはあからさまに不機嫌に私の報告を聞き流していた。こんな気怠げな表情は他の看守がいない時しか見られないと笑みを深める私に、彼は怪訝そうな視線を送ってくる。「何が楽しいんだか」と呟かれた声すらもっと聞きたくて私の報告はとんどん下手になった。
***
漠然とした不安に眠れない夜。縋るように見返したのは業務連絡の合間に送られてきた話題。その彼らしさに不安は色を変えた。用事は無い。ただ声が聞きたくなった。きっと面倒そうにしながらも無下にはしない人だから。この際彼の愛人の話でも構わないと、私は震える指で画面の「須田」の文字に触れた。
***
須田さん自炊しないんですか、とジト目で尋ねる私に彼は迷い無く頷く。文句は言うのに作れないとは。「おや、心外ですねぇ」と箸を置いてから「貴女に作って頂きたくて」と胡散臭い笑顔を私に向ける。不信感。けど私の下手な料理に一瞬満足気な顔をするから、今日も大人しく彼の進言を聞くことにした。
***
「夜店に私を満足させられるものがあるとでも?」そう言って祭りへの誘いを断る彼。予想通りで驚きもしない。じゃ、おみやげ買ってきますねと踵を返す私に須田さんは少し慌てて「行かないとは言ってません」と何故か不機嫌顔。だからまさか彼も浴衣を着るとは思わなくて私の頬は緩んだままになった。
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汗だくの須田さんは想像できないと言えば、そうですかといつもの読めない笑顔をくれた。夏だしいっそ我慢大会でもしますかと冗談半分で誘えば彼の笑顔が深くなる。「良いですねぇ。それで」何を我慢するんですか、と私に重なる彼の影。暑さの耐性勝負の筈なのに、この熱には白旗を上げるしかなかった。