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色々なの


『Happy Birthday エド!!』

手紙を開くと愛しい彼女の声がその言葉を読み上げ、そしてふわりと突如降り注いだ沢山の色とりどりの薔薇。

『ふふ、びっくりした?!あ、えっとこの薔薇はこの手紙を読み終えると同時に全て消えるから安心してね!あと部屋の中が薔薇で埋もれることもないから!ある程度の量をキープするように魔法かけるの大変だったんだよ?』

その通りびっくりしている僕を置いて話し続ける彼女からの手紙。ふふと笑いながら、何というか彼女らしいなと思う。

普通の人がみたら手紙を開くと同時に薔薇の花が降り注ぎ手紙が話し出すなんて異様な光景だろう。でも僕にとってはいつもの光景だ。いや彼女にとっても、だろうか。

簡単に言うと、彼女は俗に言う魔法使いだ。まぁ今はまだ学校に通っているから、まだ見習いが付くのかもしれないけれど。

『ほんとは直接お祝いしに行きたかったけど流石に学校から出られなくて…ごめんね。でもあともう少しで学校も卒業。そうしたらこれからはずーっと一緒にいれるわ。そのことを楽しみにしてる。…貴方も勿論楽しみにしてくれてると嬉しいな。』

…勿論だとも。君と離れていることはとても辛いけれど、卒業すればその時間も終わり愛しい彼女と永遠に共にいられるんだ。楽しみに決まっている。

ああ、だけども今は離れていることが少し辛い。こんなにも可愛らしいことを言ってくれる愛おしい僕の妖精をこの腕の中に閉じ込めることが出来ないんだから。

『大好きよエド!未来永劫ずーっとね!』

そして最後の文を読み終えたと同時に、部屋に降り注いでいた薔薇が全て消えた。

それを少し名残惜しく思っていると

「おや…?」

手紙の横に何故か一輪の花が残っていた。だがよく見るとそれはどうやら先程彼女の魔法によって降り注いでいた薔薇ではない。彼女の照れた時の愛らしい頬の色のような桃色の花。見覚えがある。確かこれは、

「…ふふ、まったく君という人は」

愛しい愛しい彼女から贈られた花の名は"勿忘草(ワスレナグサ)"。可愛らしい小さな花が集まり咲き誇るその花は、彼女が生まれ育った土地では僕の誕生花なのだと前に話してくれた。まぁ他にも色々花があってどれが正解なのか分からないとも言っていたけれど、その中から彼女が選んだ花はこれだった。

そして彼女はその時にこの花の花言葉も教えてくれた。

花言葉は【私を忘れないで】。
…ああそうだ。彼女にこの花について教えてくれたのは、彼女が通う学校の休暇を終えて、再び離れ離れになってしまう時だった。いつも太陽のような笑顔を浮かべて皆を明るく照らしている彼女が、少し不安そうで寂しそうな顔をしていた。僕が君のことを忘れるはずなどあるわけがないのに。

でも彼女はそんな顔をしながらも、この花がもつもう一つの花言葉を教えてくれたんだ。

この花のもう一つの花言葉は【真実の愛】。
まるで僕を表すような言葉だと思ったから、数多くある誕生花の中でこの花を選んだんだそうだ。自分にいつも溢れんばかりの疑うことのない愛を多すぎるほど与えてくれるからだと、そう言っていた。

その言葉に嬉しく思いながら、君は随分とロマンチストだね?と言ったら貴方の傍にいたらいつの間にか似ちゃったんだよとはにかんだ表情で返してくれて……ああもう、彼女が恋しくして仕方がない。

考えているうちに、自分の手は手紙への返事を書き終えた。僕からの手紙は彼女の手紙のように僕の声で読み上げてはくれないけれど、きっと喜んでくれるだろう。頬を薔薇色に染めながら大好きな笑顔を浮かべて。…ああそうだ、素敵な贈り物してくれた彼女にお返しをしてあげなければ。

「…休んでいるところ申し訳ないが、この手紙の返事と共に彼女に贈りたいものがあるんだ。少しついて来てもらえるかな?」

バルコニーで羽を休めていた優秀な彼女のフクロウにそう声をかけると、返事をするかのように1度鳴き、そして僕の肩にとまった。

「ふふ、ありがとう。それじゃあ行こうか」

部屋の扉を開けて僕の愛する薔薇が咲き乱れる庭へ向かう。離れた地で僕のことを心から想い愛してくれている最愛のフィアンセに、最高の薔薇を用意する為に。


愛おしい彼女からの魔法の手紙


誕生日までに書き追えられませんでしたけどもはっぴーばーすでーエドワードさん!大好きだよ!
〈2017.05.15〉
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