出られない部屋
おなまえは?
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『ここは命令に従わないと出られない部屋です。相手とのえっちの時に好きなとこをお互い5個言うことで出られますので頑張ってくださいね♡』
それが書かれている看板を見つめながら立ち尽くす私たち。まず意味がわからない。というかさ、えっちの時に好きなとこって。どっちもって、私もパーシヴァルさんも言うの?羞恥プレイすぎませんか?いや無理でしょ絶対無理でしょいえるわけがな、
「……5個、か」
じぃっと書かれたものを見つめてぼそりと横でそう呟いた彼。
何で顎に手当ててちょっと考えてる感じなんですかパーシヴァルさん?何かその後に足りないなって言ったのも聞こえたんですけど幻聴ですよね?足りないって何が?好きなとこが?言わなきゃいけない数が??
「後者だな」
「へー…………あのその待ってください心読めたりしたんですか」
「読める訳がないだろう。普通にお前が全部口に出していた」
「あああああああああ」
こみ上げてくる恥ずかしさに耐え切れず、真っ赤になった顔を両手で覆い隠しながらしゃがみ込んだ。
待て待て待てほんと衝撃的すぎて頭回ってなかったとはいえなに口に出してんの私、テンパるといつもこうだ!誰もお前を愛さない!!
「はぁ…誰も、とは心外だな。俺がお前を愛していないとでも?」
「ひぇ」
ときめきで死んだ。てかこれネタなんですよ知ってま……せんよねごめんなさい!!そしてまた口に出してたんですね私!!スルーしてくれればいいのに今日何かデレがフルスロットルすぎません?!何か見た感じ今回のこれもめちゃめちゃ乗り気だし!!恥ずかしさとかないんですか私はもう既に泣きそうなくらい恥ずかしいのに!!
「まあ……そうだな、正直恥ずかしい気持ちも、こんなものどうしてやらなければいけないという気持ちもある。だが最終的にこんな突拍子もない事が無い限りお前の口から実際に思っていることを聞けないなという気持ちの方が心の中で買った」
だから諦めるんだなと、私の目線の高さに併せてしゃがみ込みながらそう言ってとどめを刺してきた彼。なんてひどい。
確かにこんな事がない限り素直に自分の気持ちを言えないですけども……今回のえ……っちなやつだと更に。てか本当に言わなければ出られないの?本当に?
「行わなければ出られないだろう。何故か俺の炎が出せないし、物理的にもそう易々と開けられそうな扉でもなさそうだからな」
炎が出せない事は初耳だった。実際に出せない様子を見ていないが、彼が嘘をつくわけがないので本当なのだろう。お付き合いして深い仲になってから気を許しているのか意地悪なことを言ってきたりするけれど、こういう時に嘘をつくような人ではないから。
「……じゃあやっぱり」
言うしか、と思った途端ふわりと浮いた身体。視界が彼の顔と白い天井だ。
何で??と一瞬困惑したが、パーシヴァルさんが私を抱き上げたからだと気づく。それもお姫様抱っこで。なるほど。…………いやなんで??
「逃げられたら困るからな」
逃げるって何処に。この部屋からはまず出られないし、部屋の中も天蓋付きの大きなベッドが一つあるだけで逃げたとしても隠れられる場所もない。逃げたとしても確実に捕まることがわかっているのに。…………いや、それがわかってても一度逃げようとするかもだし実際しようと思ってたけど。
もしかしてその気持ちがバレて…?!て思っていたらいつの間にかたどり着いていた大きなベッド。そこに私を優しく下ろした後、にぃと悪い顔で笑った彼。
…………あーこれバレてるやつですね。私の癖も考えパターンもよくご存知ですもんね。前に大体把握したとか言ってましたもんね。あの時は私のことよく見てくれてるんだとときめいたりもしたけれど、今は喜びより何でこうなるかもしれないって思わなかったんだって気持ちでいっぱいだ。
そんな彼から逃げるようにずり、とベッドの上で後退りすると、シーツに触れていた片方の手に重なるように彼の指が絡む。絡んでいないもう片方の彼の手は私の頬を優しく撫でたかと思ったら髪を梳きながら後頭部に回り、彼から視線が逸らせないようにがっしりと固定された。本気で逃さない気だ。身体も目線も全て。
「……それでは言い合うとするか。お前の口からどのようなことが聞けるのか楽しみだな?」
ああもう、逃げられない。
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