パーシヴァルさんと
おなまえは?
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本日イエスノー枕が家に届いた。差出人はいつもとんでもないことをやらかしてくる友人。
だがそれを受け取ったのは私ではなく、共に住んでいる恋人であるパーシヴァルさん。開封してそれを一番に見たのも、『これで夜の営みを更に楽しんでね♡』なんて見慣れた友人の筆跡で書かれている手紙を読んだのも全て彼だった。
とりあえずそれを送ってきた友人にはすぐさまスタ爆しつつ絶対今度あったときにシバき倒すと決めたし、彼に荷物あけて中身確かめといて貰えますかと軽率に頼んだ数時間前の自分もシバきたい気持ちでいっぱいだ。何で頼んだ。あれか、疲れで頭やられてたからか。
家に帰るのがめっっっっっちゃ気まず過ぎるけど、でも帰るしかないのでちゃんと帰ったら、そんな私にとんでもない枕送ってきた友人関連のことで呆れた目されつつ、
「まぁでも……今夜、楽しみにしている」
とんでもない一言を言い放たれた。
自分の耳が今絶不調すぎて幻聴が聴こえたんだなきっとそうだと思いつつ、今から誰かから突然の呼出しとかあって家から離れられないかなと心の中で切実に願ったが何もなく、現在。
毎日彼と共に寝ているベッドの上にはとんでもない友人から送られたイエスノー枕。そして先にお風呂に入ってぴかぴかになった私がいる。ちなみにとんでもない一言を言い放った彼は私と入れ替わって現在お風呂中。
……どうしよう。逃げ場がない。それにもう私に残された道は2つしかない。
イエスを出すか、ノーを出すか。
というかじぃっとこの貰ったイエスノー枕を見つめながら悩んでたらなんかとてつもなく腹が立ってきた。
その枕の見た目がよくあるピンクと青がベースとかではなく白と黒かベースで、私が好きなののモチーフがお洒落に使われている。それは今いるベッドの上にあってもちょっと可愛いすぎるかもだけどまぁいいかなて感じで、見た目に対しては彼も私もあまり不満はないのがもうほんと、むかつく。
このやろう何でいい感じなの送ってきたんだよばか~~~~って友人への気持ちをこめてぼすって殴るとめちゃめちゃ触り心地も柔らかさもよかった。大変くやしい。
「(てかもうほんとさああああああああ……どうすればいいの……)」
そのクッションをぎゅうって抱き締めて、ベッドの上でぐてーんてしながら考える。
もしイエスを出すとしたら。
簡単に言えばえっちしたいですってことになるけど、恥ずかし過ぎない??ドン引きされない??大丈夫??
てかさ、2つあるんだから彼が出しても可笑しくないわけで。
もし彼が出したのがイエスだとしたら彼がそういう気持ちっていうことに……………………うん。考えるのやめよ。これ以上考えてると恥ずかしさやら色々なので私のこころがしんでしまうので。
でもノーを出すとしたら。
というか……ぶっちゃけていうと出したくないなぁというか、出さないと思うんだよなと。
………………だってその、彼とのえっちは嫌とかでは、ないし。寧ろ嬉しかったりだから。
い、いや体調面で色々あれだったり気分的にしたくないなぁて時もありますよ??でも、でもね。あの彼が私を求めてくれてるとか。欲しいって思ってくれてるとか。とてもとても嬉しすぎるから。だからきっと、ううん絶対に、ノーは出さない、かなと。
まぁこんなの恥ずかしすぎるし呆れられそうな気もするので言えないし言うつもりもないんですけどね!!!!
あああああああてかよく考えたら私に残された選択肢ってイエス出すってことしかないじゃん自分で自分追い込んでどうするんだよああああああああああああああむり。
ごろごろごろごろと荒れ狂う感情のままクッション抱えながらベッドの上をローリングしてたら、がちゃりと扉が開く音がして
「……何やっているんだお前は」
お風呂上がりのほこほこ状態で濡れた髪をタオルで拭いた格好で入ってきた彼に訝しげな顔をされた。
そんな彼に、正直にイエスって出す勇気がなくて羞恥心と格闘してました!なんて言えるはずがないので
「しょ、衝動的に転がりたくなって……??」
とか意味わからない理由で誤魔化したが
「はぁ……全く、どうせこのクッションのことで悩んでいたのだろう」
全然誤魔化せてなかったし、寧ろバレバレだった。
う……と呻く私を小さく笑う声と共にぎしりとベッドの軋む音。ちらっと視線を向けると彼が近くに座っていて
「で、悩みに悩んだ末のお前の意志はそれでいいということか?」
するりと伸びた彼の指先には私の腕の中でぎゅううと潰されてるクッション。そこには『NO』の文字が書かれていて。
「っ、ち、違います!!」
「ほぅ……違うのか」
「あっっっ!!いえあの、その……っ!!」
ち、違くはないんですけども!!でも、あああああああまってその、
違うけど恥ずかしすぎて言葉がうまく出てこなくて、真っ赤になった顔とか見られないようにクッションで隠そうとした、が、視界はそれで暗くなることなく大好きな彼の上機嫌な顔が広がって
「なら、構わないな」
『NO』だったそれを私に見えるように『YES』に変えて、熱い吐息と共に甘い口付けを唇に落とした。
選ぶのはひとつだけ
(だって)
(嫌、なんて選択肢はないんだもの)
(だって)
(嫌、なんて選択肢はないんだもの)
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