Find a Way
◼︎食卓
もし手術で、Ωの発情期に反応しなくて済むような身体になれるとしたら、榊さんは俺に手術を受けて欲しいと思ってくれるかな?
ニュースを聞きながらそんなことを考えつつ、良太は手際よく調理する。醤油ベースのタレに漬け込まれた鶏肉を焼き、スープと野菜炒めに玉子を使って簡単に夕食を 拵 えた。ラップに包まれたご飯をレンジで温める。
まだ付き合い始めて一ヶ月も経っていないのに、榊の部屋にはいつの間にか良太が使うことを想定しているであろう食器類が買い揃えられていた。例えばこの熱い白米を盛る茶碗だとか、箸、グラス、ランチョンマット。それに何より、今夜用意されたメインのおかずが二人分だ。
普通男の一人暮らしとなれば、一組で十分と考えるものなのではないだろうか。ましてや榊はミニマリストというわけでもないが、無駄に物を増やしたりはしない。
彼の領域の何気ない部分に、当たり前のように自分が存在している事実に良太は感動を覚える。
二人分の食卓が整った。
温かいご飯におかずにスープ、それを盛り付けた食器、箸、コップ、ランチョンマット、足りないものは何もない。
「できましたよー」
と呼びかけると、はぁい、と答えてくれる。すこし間延びした返事を可愛いと思った。
榊は席に着く前に氷水からビール缶を取り出して冷蔵庫の奥に仕舞う。
「美味しそう、いただきます」
「いただきます」
それから榊は良太の作った料理を口にして焼き加減がいいとか、出汁が丁度いいとか褒める。だがもともと食べながら会話するのが苦手らしく、ひとしきり感想を述べた後は黙々としたものだ。口にものを入れたままべちゃべちゃ喋ることはないし、食べ方の所作も落ち着いている。彼は児童養護施設で育ったそうだが、そこでの躾が行き届いていたためなのだろうか。それとも生来の品の良さなのか。なんとなく後者のような気がした。
「なに見てるの」
どこか変?と怪訝そうな表情で問われる。
「つい見惚れてたっつうか、食べ方綺麗だなって」
「そうかな」
あまりじっと見すぎると、気になるから今度からは一緒に食事はしない、なんて言われかねない。良太は自分の食事に集中した。
もし手術で、Ωの発情期に反応しなくて済むような身体になれるとしたら、榊さんは俺に手術を受けて欲しいと思ってくれるかな?
ニュースを聞きながらそんなことを考えつつ、良太は手際よく調理する。醤油ベースのタレに漬け込まれた鶏肉を焼き、スープと野菜炒めに玉子を使って簡単に夕食を
まだ付き合い始めて一ヶ月も経っていないのに、榊の部屋にはいつの間にか良太が使うことを想定しているであろう食器類が買い揃えられていた。例えばこの熱い白米を盛る茶碗だとか、箸、グラス、ランチョンマット。それに何より、今夜用意されたメインのおかずが二人分だ。
普通男の一人暮らしとなれば、一組で十分と考えるものなのではないだろうか。ましてや榊はミニマリストというわけでもないが、無駄に物を増やしたりはしない。
彼の領域の何気ない部分に、当たり前のように自分が存在している事実に良太は感動を覚える。
二人分の食卓が整った。
温かいご飯におかずにスープ、それを盛り付けた食器、箸、コップ、ランチョンマット、足りないものは何もない。
「できましたよー」
と呼びかけると、はぁい、と答えてくれる。すこし間延びした返事を可愛いと思った。
榊は席に着く前に氷水からビール缶を取り出して冷蔵庫の奥に仕舞う。
「美味しそう、いただきます」
「いただきます」
それから榊は良太の作った料理を口にして焼き加減がいいとか、出汁が丁度いいとか褒める。だがもともと食べながら会話するのが苦手らしく、ひとしきり感想を述べた後は黙々としたものだ。口にものを入れたままべちゃべちゃ喋ることはないし、食べ方の所作も落ち着いている。彼は児童養護施設で育ったそうだが、そこでの躾が行き届いていたためなのだろうか。それとも生来の品の良さなのか。なんとなく後者のような気がした。
「なに見てるの」
どこか変?と怪訝そうな表情で問われる。
「つい見惚れてたっつうか、食べ方綺麗だなって」
「そうかな」
あまりじっと見すぎると、気になるから今度からは一緒に食事はしない、なんて言われかねない。良太は自分の食事に集中した。