“ 起床 ”


「ほらっ、起きた起きた！」


そう言って白髪の男は持っていた布団を折り畳み、彼女が寝ている布団の横へと置いた。
それから彼女の身体に手を伸ばし、軽く揺さぶりをかける。「ん〜〜……」と身じろぎさせ、半ば強引にその男に上半身を起こされては数回瞬きした後、

「……つぅまる、おはよ…」

へにゃりと笑みを浮かべながら、舌足らずな声で男の名前を呼ぶ。

「ちゃんと喋れてないぞー？ほら、お着替えするぞ。」

だいぶ意識がはっきりしてきたのか、着替えと聞けばコクコクと首を縦に振り、「ん、しょ…」と小さく声を出しながら布団の上から立ち退き、そのまま小さい身体ながらに布団を丁寧に折り畳む。折り畳んだ敷き布団の上に先程の男が掛け布団を積み重ね、これで布団は完璧のようだ。
そしてそのまま起こす時に持ってきていたのであろう彼女の小さな服を手に取り、着替えの手伝いをしながら服を着こなした。
襟元にフリルがついた可愛らしい白のブラウスに、爽やかな空の色のミニスカート。黒の靴下を身に付け、これがこの本丸内での彼女の普段着らしい。

「つるまる！できた！」

と寝起きとは違いハッキリとした声でその男“鶴丸”の名前を呼び、両手を広げて着替えが終わったと身体の態度で示せば、鶴丸はそれに応えるように、

「今日も可愛いぞ、主っ！」

わしゃわしゃと主と呼ばれる少女の頭を撫で回せば、彼女の小さな手を取り部屋を後にした。