8話 真実とはいつも残酷なもの
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あまりにも浮世離れした話を聞かされて、ホール内はざわついていた。
「跡部・・・今、なんて言うたん?」
みんなの声を代表するかのように忍足が声をあげた。
「この世界はこいつらからしたら漫画の世界らしい。そして、こいつらはこの魔法使いの力によって俺たちの世界にきた」
「どうもー」
跡部が魔法使いを顎で示すとその魔法使いはへらへらと笑って軽く挨拶をした。
「なぁなぁ!兄ちゃん!魔法使いってことは、ここにタコヤキ出せたりするん?」
魔法使いにそう聞いたのは金ちゃんだった。
「今は力が弱っているから大きなことはできないけど、タコヤキくらいなら出せるよ」
そう言って腕を振り上げ、金ちゃんの方に軽く腕を下ろすと金ちゃんの目の前にタコヤキが出てきた。
その様は、なんとも指揮者のような動きだった。
「やったー!わいのタコヤキー!」
そう言ってはしゃいで何の疑いもなくタコヤキを食べる金ちゃんに対して横にいた白石が心配を漏らす。
「そんな得体も知れんもん食べても大丈夫なんか、金ちゃん・・・」
「なんや、白石も欲しいんか?」
「そうやなくて・・・」
白石と謙也がそんなやり取りをしているとレイくんが口を開く。
「問題ないよ。確かにそれは僕が魔法で出したものではあるけど、正真正銘ただのタコヤキだからね」
そう言って「ハハッ」と笑う。
「黙っててごめん・・・でも、信じてもらえないと思って・・・」
「私からも。でも、これだけは分かってほしいの。
私たちは普段からここにいるみんなに会いたいと思ってたことを。」
「・・・たとえ、それが漫画の世界でも行きたいって!」
私が謝罪を口にした後、美夜子ちゃんと真琴が口を開いてそう語った。
その後、私と同じように騙していたことについての謝罪をして、5人で頭を下げる。
しばらく誰も私たちに声をかけることなくホール内がざわついているだけだった。
もう、どうしていいか分からないと思っていると1人が口を開いた。
「別にいいんじゃないっすか?」
「え・・・?」
声の主は越前リョーマ。この漫画の世界の主人公だ。
「だって、##NAME1##先輩たちがここにいるのは事実なんだし、それ以外に何がいるの?」
彼の言葉に押しつぶされそうになっていた気持ちが楽になる。
「それに・・・俺、主人公なんでしょ?・・・悪い気はしないよね」
そう言って悪戯に微笑む彼に視界が歪んでくる。
「まぁ。やっぱどっかで信じられねぇって思うけどよ、##NAME2##たちが嘘ついてると思えないしな」
次にそう声を上げてくれたのは、宍戸だった。
「宍戸・・・」
彼の言葉に堪えていたものが一気に溢れだす。
「俺も。・・・今ここに存在してる訳だし。」
いつもぼやいている深司がみんなに聞こえるくらいの大きな声を出して、そう主張してくれた。
次第にみんな口々に「そうだ」「そうだ」と肯定してくれて、私たちは拒絶されてもおかしくない存在なのに・・・
「まぁ。彼女たちは俺たちに危害を加えてくるどころか、熱心に俺たちのケアもしてくれてましたしね。信用に値すると思いますよ」
そう言ってくれたのは比嘉の木手くんだった。
正直言うと、比嘉は絶対に認めてくれないと思っていたのだが、意外だった。
「ちゃんと仕事しててよかったぁ・・・」
そうこぼしたのは、先日彼らを担当していた真琴である。
「・・・そういうことだ。
まだ気持ちの整理もついてない奴もたくさんいると思うが、少しずつでもいい・・・こいつらの存在を認めてやってくれ。
俺からは以上だ。解散。」
跡部がそう締め括り、その日は解散となった。
゚.+:。 2013/02/15 更新 ゚.+:。
゚.+:。 2017/12/05 大幅修正 ゚.+:。