8話 真実とはいつも残酷なもの
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「・・・ということなんだ」
どのくらいだろうか。
彼が話していたのは。
「おい・・・待て。」
へっぽこ魔法使いが話し終わって一息ついていると跡部が声をあげた。
「なんだい?」
それに対して魔法使いが彼に笑顔でそう問う。
「お前の話したことが本当なら・・・
##NAME1##たちが元いた世界では俺たちの住んでるこの世界は【漫画】ということになるのか・・・?」
動揺を隠しきれない彼のその問いに魔法使いは無慈悲にも「あぁ、そうだよ」と肯定した。
「##NAME1##・・・お前たちにとって、俺たちは漫画の世界のキャラクターなのか?」
彼が絞り出すような声で私に問う。
「・・・・・・っ!」
肯定するだけでいいのに、うまく言葉が出てこない。
だって残酷だ。
彼らはここで確かに真剣に生きているというのに、私たちの世界では結局は作り物でしかないのだ。
ただの作り物・・・
「もういい、##NAME1##・・・何も言うな・・・お前のその顔を見れば充分だ。」
私は今、とんでもなくひどい顔をしていると思う。
この世界に来れて嬉しかったはずなのに・・・正体がバレて、真実を口にするだけなのにできなくて・・・
私のなかで色んな感情が鬩ぎ合って、どうしたらいいのか分からなかった。
「・・・とにかく、俺だけ知ってると言うのは筋違いだ。この合宿所の全員がこの真実を知る権利がある」
跡部が言うことは正しい・・・けれど彼らにつらい思いをさせることになる。
「ねぇ!私たちを元の世界に戻して、みんなの記憶を消すことって出来ないの?そうすれば・・・」
私たちが居なくなることで、彼らが嫌な思いをしなくていいなら喜んで消える。
だが、現実はそう甘くはなかった。
「ごめんね、##NAME2##。それは出来ないんだ」
レイくんが申し訳なさそうに口にする。
「正直、僕は結構な力を持った魔法使いではあるんだ。でも・・・」
彼が言い渋っていると跡部が代わりに口を開いた。
「力が足りないんだな?」
跡部の言葉にレイくんは少し驚いた後に肯定する。
「あぁ・・・人間を別の世界に連れていくっていうのは、すごく力を使うものなんだ・・・それを5人。
それに他にも魔法で多少の記憶の改竄や雑用なんかしてるし、今の僕には魔法使いの見習いくらいの力しかない」
レイくんの話を聞いて茫然とする。
「それを言い訳にするわけではないんだけど、戸籍を作るのも後回しにしてしまった。
この世界については勉強不足でね・・・
こっちにきてから参考図書を読んでたものだから君みたいに財力や権力を持った人間がいるとは思わなかったんだ」
そう言って跡部を一瞥する。
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