8話 真実とはいつも残酷なもの
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「跡部。詳しく話すために紹介したい人がいるの。構わない?」
彼なしでは私は精神異常者にしか見えない。
私が正常だということを分からせるために彼の力を見せるのが手っ取り早い。
「紹介したい人・・・?お前ら5人の他にも誰かいるのか・・・?」
人と呼んでいいのかは分からないけどね。
「レイくん。聞いてるんでしょ?出てきて。」
どこにいるかも分からない傍観者にむけて言葉を発する。
どうせ近くでこの状況を見聞きして楽しんでいるはずだ。
「にゃあ。」
なんとなく透明にでもなって、そこらへんに浮いているのではと思っていたので視線を上に向けていた。
それ故に、どこからともなく突然現れて私の足にすり寄る猫の存在に驚いた。
・・・この野郎。
「その猫、どこから入ってきた・・・?」
跡部も驚いているようだった。
私はため息をついてその猫に話しかける。
「レイくん。聞いてたよね?跡部に全部説明したいの」
猫から返ってきたのは、再び「にゃあ」だった。
・・・これがただの猫なわけあるか。
「こうなったのはレイくんのせいでもあるよね?
思い付きでこっちに連れてきて、嘘でもなんでも戸籍作ってないのはどうなの?
おかげで早々に正体がばれちゃったじゃない。」
先ほど跡部から聞いて正直信じられなかった。
この魔法使いがここまでへっぽこだと思っていなかったのだ。
「さっさとその変身を解いて人間の姿で説明してもらえる?」
再度、猫にそう頼む。
「・・・わかった」
猫が心底面倒くさそうに口を開いた。
・・・やっぱりへっぽこ魔法使いだったか。
「猫がしゃべっ・・・うわっ!」
跡部がしゃべる猫に驚いたのもつかの間、猫が光り輝いて魔法陣があらわれる。
そしてみるみるうちに人へと姿を変える。
「ね、猫が人間に・・・?!」
光と魔法陣が徐々に消え、彼が名乗る。
「我が名はソウル・ムーン・ドン・スター・アンドレー・ミキサー・リュー・レイ。ソウル家に代々続く魔法使い・・・」
何だ、こいつ・・・
へっぽこの癖にめちゃくちゃ格好つけてやがる。
「・・・そういうのはいいよ」
私がそう漏らすとレイくんは不敵な笑みを浮かべる。
「こういう時だからこそ格好つけさせてくれてもいいんじゃない?」
「そういうのはへっぽこ魔法使いじゃなくなってからにしてくれる?」
すかさず私がそう嫌味を言うと、彼は肩をすくめる。
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