5話 無装備豪雨
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「宍戸。ジャージ、ごめんね・・・洗って返すから」
そういえばと、宍戸に謝ると宍戸が口ごもる。
「あぁ。別に構わねぇんだけどよ・・・その・・・」
「ん?何?」
彼の、柄にもない姿に不思議に思っていると、思いもよらない答えが帰ってきた。
「その・・・臭くねぇか?」
「へ?」
思わず、間抜けな声を出す。
そういうの、気にしちゃうの?
え?かわいい。宍戸、最高に尊い。
「そんなことないよ?・・・宍戸の匂いがする」
不安そうな彼に向かって、笑顔で言う。
「はぁっ?!」
すると彼は予想もしなかった私の返答に驚く。
心なしか、彼の頬が赤いような気がするが、気のせいだろうか?
「あ!」
まったりしている場合では、なかった。
ここに来た目的を、すっかりこってり忘れていた。
「ねぇ、跡部くん。」
「アーン?・・・なんだ?」
降り続く豪雨を、腕組みして眺めていた跡部に声をかけると、こちらに身体を向ける。
「開会式の後に渡された端末どうしたの?」
私が、そう聞くと跡部が視線を彷徨わせる。
こいつ・・・さては、部屋に忘れたな?
「それが・・・今日に限って、部屋に忘れてきちまって・・・」
「やっぱり・・・」
予想通りの返答に呆れる。
つまりは彼の端末は、家主の居ない部屋でずっと鳴り続けていたわけだ。
そして、おっちょこ跡部のせいで、私たちが駆り出された・・・っと。
「私たちに迷惑かけないよう、今後は気を付けてね?」
そう、嫌味たっぷりに笑って見せると、意外にも素直に「あぁ・・・」と返ってきた。
「今日の外練習は中止です。他校は、連絡を受けて合宿所に戻ってます」
そう告げると、跡部が短く「そうか」と返事をする。
「お前ら、俺様のせいで迷惑をかけたな。急いで合宿所に戻るぞ」
こうして、氷帝メンバーと2人は、合宿所に向けて歩を進めるのだった。
To be continued...