【海導入】

榊「今回の合宿の目的はすでに聞いていると思うが……無人島の自然環境の中で、我々のみで生活し、精神と肉体を鍛える事だ」

木手「ふん……都会育ちの柔弱な人達が考えそうな事ですね」

柳沢「何だーね？何か文句あるだーね？」

木手「いえ……ただ、キミ達に自給自足の生活が我慢出来るのか、と思いましてね」

柳沢「お前、ケンカ売ってるだーね？」

榊「静かに。とにかく合宿に入れば以降の食事環境は保証出来ない。今の内に存分に食べて、英気を養っておく様に」

桃城「おう！言われなくても食って食って食いまくるぜ！」

忍足「相変わらず下品やな、桃城」

桃城「下品で結構。うまいもんが食えるなら何でもいいぜ」

跡部「では、監督。乾杯に移ります」

榊「うむ。跡部、いってよし」

――――――

跡部「いいか、てめぇら！いよいよ明日から、選抜メンバーの半サバイバル合宿の始まりだ。半端じゃなく鍛えてやるから覚悟しとけ、以上だ。乾杯！」

――――――

ジャッカル「すげぇごちそうじゃねぇか」

丸井「おう、食いつくしてやるぜぃ」

幸村「二人とも……あまりがっついちゃダメだよ」

ジャッカル「う……あ、ああ」

丸井「わ、わかってるって」

幸村「フフ……それならいいんだ」

剣太郎「あれが……立海の部長かぁ……何だか物静かだけど迫力あるなぁ」

「うわ……あの人達、すごい勢いで食べてる」

小日向「ホント……すごい食欲」

船長「お前達は食べないのか？」

小日向「あ、お父さん」

「おじさん」

船長「遠慮しなくていい。一緒に食べてきなさい」

「あ、でも……私達、無理言って乗せてもらった訳ですし」

榊「気にしなくていい、お嬢さん達」

小日向「あ、榊さん。今朝はありがとうございました」

榊「いや、チケット手配をミスしたのも榊グループ傘下の旅行会社だ。当然の処置をしただけだよ」

伴田「ああ、船長、榊監督。こちらでしたか」

船長「何でしょう、伴田さん」

伴田「少し相談がありましてな。お二方とも操舵室の方に来ていただけませんか」

榊「わかりました。」

船長「わかりました。すぐにうかがいます。二人とも、くつろいでいなさい」

小日向「うん、わかった」

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亜久津「チッ……あのクソジジィめ。何が慰安旅行だ」

千石「何だい、まだ文句言ってるの？ここまで来ちゃったんだし、もうあきらめなよ、亜久津」

亜久津「うるせぇ！」

千石「ハハ、ご機嫌斜めだね」

亜久津「それに大体何だ、あの女共は？この船は貸し切りっつー話だったろーが」

千石「ああ、あの子達は旅行会社の手配ミスで、急遽この船に乗る事になったんだってさ。それにしても、二人共可愛いじゃん。こいつはラッキー！」

亜久津「ケッ！」

千石「おーい、そこの可愛い二人連れ！こっち来て話さない？」

「え？何？もしかして私達の事？」

千石「そうだよ。ちょっとお話しようよ」

小日向「え～……でも……」

「行ってみようよ、つぐみ」

小日向「う、うん」

ーーーーーー

千石「やあ、近くで見ると一層可愛いね。キミ達、二年生？」

「はい、そうです。えと……千石さん、ですよね？」

千石「おおっ、知っててくれたんだ。ラッキー！」

小日向「あの、あなたは亜久津さん……ですよね？」

亜久津「……フン」

小日向「えっ？あ、あの……間違えましたか？」

亜久津「うるせーんだよ」

千石「大丈夫だよ、合ってるよ」

小日向「よ、良かった……」

千石「亜久津は照れ屋だから」

亜久津「テメェ、いい加減にしろよ」

千石「お～怖い怖い。ところで俺達、明日この船降りて島で合宿するんだけど、キミ達は？」

「南の島へバカンスに行くんです。私のおじさんが経営してるペンションがあるので」

千石「へぇ、いいなぁ。南の島でバカンスかぁ……俺も行きたいなぁ」

「でも、すごいじゃないですか。皆さん全国から選ばれた強化選手なんですよね」

小日向「え？強化選手って……」

「何よ、聞いてなかったの？テニスよ、テニス」

小日向「そうなの？全国って……皆さん、すごいんですね」

千石「いやあ、運が良かっただけだよ。ラッキー」

「そんな事ないですよ。すごいと思います」

千石「ハハハ、ありがと」

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伴田「いかがですか？」

船長「どうやらこちらに向かっています。この分だと夜半から未明に掛けて こちらの航路と交錯します」

竜崎「こんな時に熱帯性低気圧とは厄介じゃな……」

船長「ええ、ちょうど予定時刻に重なりますし……」

竜崎「問題はお嬢ちゃん達じゃ。対応は大丈夫かね？」

榊「申し訳ない。あの二人を乗せたのは、不用意でした。……もし不安があるのでしたら、予定を変更しても構いませんが」

船長「……いえ、何とかしてみせますよ。この船の性能なら問題ありません。それに、娘には万が一の時の対応は教えています。それさえ守ってくれれば大丈夫です」

オジイ「ではぁ～予定通りという事で……」

竜崎「うむ」

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