【山船脱出まで】

辻本「うぅ～……また揺れがひどくなってきた」

「大丈夫？彩夏」

辻本「何とかね……でも、こんなにひどい嵐に遭遇するなんて最悪……」

ガタガタッー(停電)

「きゃっ！？」

辻本「キャァァァァッ！な、何っ！？どうなったの！？」

「わ、わかんないけど……」

(復旧)

辻本「ちょっと……なんか傾いてない？」

「え？あ……どうして……」

辻本「ね……ねぇ。もしかして、船、止まってない？」

「う……うん……」

辻本「ど、どうなったの？もしかして、事故？この船、沈んじゃうの？」

「だ……大丈夫よ」
(そう、そうよ……落ち着かないと……)

辻本「大丈夫って言われたって……あっ！そ、そうよ、救命ボート！救命ボートに乗らないと」

「落ち着いて、彩夏。万が一何かあった時は、お父さんが来るまで、絶対にこの部屋から出るなって言われてるの」

辻本「ええっ？ちょっと待ってよ。このまま沈むのを待てって言うの？」

「だから、そうじゃなくって……」

バンッーー

「キャァァァァッ！！」

辻本「キャァァァァッ！！」

桃城「何やってんだ！お前ら！」

「えっ！？」

辻本「あ、あの……」

桃城「早く逃げろ！！」

辻本「あ、はい」

海堂「おい、こっちの救命ボートに乗れるぞ！」

「ちょ、ちょっと待って！私達、お父さんを……」

桃城「んな事言ってる場合じゃねーだろ！急ぐんだよ！」

辻本「そうよ！行こう、瞳！」

「で、でも……」

桃城「グズグズ言ってんじゃねぇ！風が強いからな、手を握ってろ！」

「は……はい」

海堂「お前もだ」

辻本「はい！」
(あ……この人、ちょっとカッコいいかも)

海堂「なんか言ったか？」
(……ギロッ)

辻本「い、いえ、別に……」
(ううっ……にらまれちゃった……)

桃城「行くぞ、遅れんじゃねぇぞ！」

海堂「テメェこそ！」

全国中学テニス大会を前に
選手育成委員会は
全国から有望な選手達を選抜し
特別合宿を行う事を決定した
合宿場所は海に浮かぶ絶海の孤島
その島での半サバイバル訓練で
精神修養を目的とした合宿になる
・・・はずであった。

だが・・・

合宿所の島を目前にした夜
選抜選手達の乗った船が嵐に遭遇
その行方を絶ってしまった・・・



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